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  • 「へえ、やはり食物上にかね」 「うん、毎朝梅干に白砂糖を懸(か)けて来て是非(ぜひ)一つ食えッて云うんだがね。これを食わないと婆さんすこぶる御機嫌が悪いのさ」 「食えばどうかするのかい」 「何でも厄病除(やくびょうよけ)のまじないだそうだ。そうして婆さんの理由が面白い。日本中どこの宿屋へ泊っても朝、梅干
    73キロバイト (14,094 語) - 2023年10月17日 (火) 13:47
  • 夏蜜柑(なつみかん)のように腰へぶら下げて来て、それを食うんだって云うじゃないか。食うと云うよりむしろ食いつくんだね。すると中心から梅干が一個出て来るそうだ。この梅干が出るのを楽しみに塩気のない周囲を一心不乱に食い欠いて突進するんだと云うが、なるほど元気旺盛(おうせい)なものだね。独仙君、君の気に入りそうな話だぜ」…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • 好(しこう)にまであらわれて来たことを心配顔に叔父に話した。 「婆やにそう言われましたよ。『まあ妙な物をお節ちゃんは食べて見たいんですねえ』ッて――梅干のようなものが頂きたくて仕方が無いんですもの」  こう節子は顔を紅(あか)めながら言った。彼女はまた、婆やに近くいて見られることを一番恐ろしく思うとも言った。…
    1メガバイト (204,909 語) - 2019年9月29日 (日) 05:14
  • なのがいいって。だから、ここのお粥は――」 「六十になるまで、お粥のことばかり、試して来たんだからの、あの義観和尚。和尚がお粥でくりゃ、俺、梅干で行かあ。梅干あ、五月一日、巳の一点に、下から数えて、十番目の枝の、端から数えて五番目の実をもいだのが、一番うまえ――」 「ああ、お帰り――」  と、深雪が聞えて来た足音へ呟いた。…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59