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  • 或る朝、彼日当のいい彼の部屋で座布団を干してゐた。その座布団は彼の幼時からの記憶につばがれてゐた。ゝ切れ地で夜具が出来てゐたのだつた。――日なたの匂ひを立てながら縞目(しまめ)の古りた座布団は膨れはじめた。彼眼を瞠(み)つた。如何(どう)したのだ。まるで覚えが…
    5キロバイト (1,246 語) - 2021年9月8日 (水) 08:01
  • しら)えた座布団を三枚買った。まだ余り使わないのに中に入れた綿が方々に寄って塊(かたまり)になっている。客が三人まで座布団を敷かせることが出来るが、四人落ち合うと、畳んだ毛布の上に据(す)わらせられる。今日なぞとうとう毛布に乗ったお客があった。  客
    61キロバイト (12,116 語) - 2020年6月18日 (木) 15:57
  • いつも多い。堆(うずたか)く積んである。それ緩急によって畳(かさ)ねて、比較的急ぐものを上にして置くのである。  木村座布団の側にある日出(ひので)新聞を取り上げて、空虚にしてある机の上に広げて、七面の処を開ける。文芸欄のある処である。  朝日の灰の翻(
    33キロバイト (6,562 語) - 2021年5月17日 (月) 22:21
  • 花瓶に南天が生けてあるが、いつ生けたものか葉がところどころ泣菫(きゅうきん)の所謂(いわゆる)乾反葉(ひそりば)になっている。その側に水を入れた瓶とコップとがある。  十四五人ばかりの客が、二つ三つの火鉢を中心にして、よごれた座布団の上にすわっている。間々にばら蒔(ま)いてある座布団は跡から来る客を待っているのである。…
    404キロバイト (79,999 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  • 緑り深き庭に向えるが女である。 「画家ならば絵にもしましょ。女ならば絹を枠(わく)に張って、縫いにとりましょ」と云いながら、白地の浴衣(ゆかた)に片足をそと崩(くず)せば、小豆皮(あずきがわ)の座布団(ざぶとん)を白き甲が滑(すべ)り落ちて、なまめかしからぬほど艶(えん)なる居ずまいとなる。…
    24キロバイト (4,654 語) - 2022年3月30日 (水) 13:02
  • 「親族を喜ばせるためでしょう!」 彼そう言って、激しく軽蔑した。"親族が喜ぶわけがない" "墓石に嘘が書かれていて" "それが嘘であることが知れ渡るなんて" 彼私たちの足元にある石を指差した。崖の縁に近いところに板状に敷かれた石で、その上に座布団が置かれていた。「その石に書いてある嘘を読め」と彼言った。 私
    34キロバイト (6,712 語) - 2022年1月20日 (木) 13:38
  • 静に掌(てのひら)の上にある。自分手を開けたまま、しばらく死んだ鳥を見つめていた。それから、そっと座布団(ざぶとん)の上に卸した。そうして、烈(げ)しく手を鳴らした。  十六になる小女(おんな)が、いと云って敷居際(しきいぎわ)に手をつかえる。自分いきなり布団
    38キロバイト (7,590 語) - 2021年5月13日 (木) 16:06
  • そこいらに散らばっている茶器を押し除(の)けて、奥から座布団を持って来て私にあてがうと、 「私妻木(つまき)というものです。鶴原の甥です」  と挨拶をした。  さてはこの人がそうかと思いながら私改めて頭を下げていると、妻木君
    122キロバイト (24,317 語) - 2023年10月20日 (金) 13:50
  •  主人座布団(ざぶとん)を押しやりながら、「さあお敷き」と云ったが毬栗先生かたくなったまま「へえ」と云って動かない。鼻の先に剥()げかかった更紗(さらさ)の座布団が「御乗んなさい」とも何とも云わずに着席している後(うし)ろに、生きた大頭がつくねんと着席しているの妙なものだ。布団は乗るための布団
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • と、雪之丞、客のために手ずから座布団を押しやった。 相変らず、しッそうな、キラキラした目付きをした長崎屋、結城縞(ゆうきじま)に、鉄錆(てつさび)いろの短羽織という、がっちりしたなりで、雪之丞の鏡台近くにすわると 「いや、こないだ、いろいろ我儘を申して相すみませなんだ。その後…
    49キロバイト (9,625 語) - 2019年2月26日 (火) 14:51
  • 座布団を直すと、そこへすわった。そして黙って笑顔をして僕を見ている。僕黙って真面目な顔をして女を見ている。  中年増僕の茶を飲んだ茶碗に目を附けた。 「あなたこの土瓶のをあがったのですか」 「うむ。飲んだ」 「まあ」  中年増変な顔をして女を見ると、女が今度
    184キロバイト (37,284 語) - 2020年6月18日 (木) 15:52
  •  末造の床一番奥の壁際に、少し離して取ってある。その枕元に座布団が敷いて、烟草盆と茶道具とが置いてある。末造座布団の上に据わって、烟草を吸い附けながら、優しい声で云った。 「どうしたのだ。まだ寐(ね)ないでいるね」  お上さん黙っている。  末造も再び譲歩しようと
    240キロバイト (49,639 語) - 2021年5月20日 (木) 17:25
  •  明け易い夏の夜に、なんだってこんなそうぞうしい家に泊り合わせたことかと思って、己(おれ)うるさく頬(ほお)のあたりに飛んで来る蚊を逐(お)いながら、二間の縁側から、せせこましく石を据えて、いろいろな木を植え込んである奥の小庭を、ぼんやり眺めている。  座布団の傍(かたわら)に蚊遣(かやり)の土器が置いてあって、青い烟(け…
    36キロバイト (7,028 語) - 2020年6月18日 (木) 15:56
  • 「今日ね。座布団(ざぶとん)を買おうと思って、電車へ乗ったところが、つい乗り替を忘れて、ひどい目に逢(あ)った」 「おやおや」と気の毒そうに微笑(ほほえ)んだ娘 「でも布団は御買いになって?」と聞く。 「ああ、布団だけはこ
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • 布団(ふとん)の上でも容赦(ようしゃ)なく汚す。来客の用意に拵(しら)えた八反(はったん)の座布団(ざぶとん)、おおかた彼れのために汚されてしまった。 「どうもしようがないな。腸胃(ちょうい)が悪いんだろう、宝丹(ほうたん)でも水に溶(と)いて飲ましてやれ」  妻(さい)
    179キロバイト (34,779 語) - 2023年10月17日 (火) 13:46
  • からッぽになっていました。海水着だの、タオルだの、浴衣だのが、壁や、襖(ふすま)や、床の間や、そこらじゅうに引っかけてあり、茶器や、灰皿や、座布団(ざぶとん)などが出しッ放しになっている座敷の様子、いつもの通り乱雑で、取り散らかしてありましたけれど、何か、しーんとした人気のなさ、―――それ
    576キロバイト (106,275 語) - 2023年10月17日 (火) 13:48
  • 、ちゃんと火が埋(い)けてあり、鉄瓶も炭をたせば、すぐに煮えがくるほどになっている。 闇太郎八端がらの、あまり大きくない座布団を、雪之丞のために進めた。 「ごらんの通り、さっ風景な綬許なんで、おかまい出来ませんが、そのかわりどんな内緒ごとを大声でしゃべりあっても、聞く耳もねえ。あっしはこ
    66キロバイト (12,894 語) - 2019年2月26日 (火) 14:52
  •  余了念と入れ代る。室がすこぶる狭い。中に囲炉裏(いろり)を切って、鉄瓶(てつびん)が鳴る。和尚向側に書見(しょけん)をしていた。 「さあこれへ」と眼鏡(めがね)をはずして、書物を傍(かたわら)へおしやる。 「了念。りょううねええん」 「はい」 「座布団(ざぶとん)を上げんか」 「はい」と了念は遠くで、長い返事をする。…
    315キロバイト (58,693 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • こびょうぶ)、机と云うようなものを、自分の好みに任せてあてがわれた部屋のとすっかり取りかえて、隅(すみ)から隅まで綺麗に掃除をさせた。而して古藤を正座に据えて小ざっぱりした座布団に坐ると、にっこり微笑みながら、 「是()れなら半日位我慢が出来ましょう」 と云った。 「僕どんな所でも平気なんですがね」…
    1.07メガバイト (224,993 語) - 2023年3月24日 (金) 10:36
  • 「おお、待ちかねていましたぞ、さあ、おはいり――」 いくらか錆(さ)のある、芸人独特の響を含んだ声が答えた。 雪之丞、部屋へいる。 師匠菊之丞、厚い紫地の友禅の座布団に坐って、どてら姿だったが、いつもながら、行儀よく、キチンとした態度で、弟子を迎える。 部屋の中に、何処となく、練香(こう)の匂いが漂って、手ま…
    96キロバイト (18,832 語) - 2019年2月26日 (火) 14:51
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