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でしょう。僕は彼奴（あいつ）の部屋を捜したら、ラブ・レターでもありゃしないかと思ったもんだから、それで突然寄って見る気になったんです」 「ああそうですか、僕はそうじゃない、あなたが僕を掴（つか）まえに来たと思ったんです。しかしそれだと、後からナオミさんもやって来やしないでしょうか」…

　と私は答えました。容易に逃げ出せないと思いましたから、わざと金に眼が眩（くら）んだふりをしたのです。 『ウム。一緒に飲んだ馴染がいがあるからな。無茶なことはせぬつもりだが……おれもタッタ一人の仕事だからナ』と星黒主計殿は独言のようにいわれました。 　私は黙ってリュクサックの革紐（かわひも）に両手を突っ込みました。そうし…

からトテモ遣り切れたものじゃない。だから読むにしてもいずれ後（あと）からユックリの事にしてもらって、今日は取り敢えずこの絵巻物と、その由来記を見てもらう事にしよう……ところでまず由来記の方から読んでもらうかナ。そのあとで絵巻物を見た方が面白いだろうからナ……」…