「抑留朝鮮人問題に関する日本国際法律家連絡協会への書簡」の版間の差分

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2017年9月17日 (日) 07:20時点における版


北鮮から日本法律家協会に書簡

       在日抑留朝鮮問題


(RP=東京)二十一日夜の日本向け平壌放送によれば、北朝鮮民主法律家協会はこのほど、日本に抑留されている朝鮮人の釈放問題にかんし日本国際法律家連絡協会に全文次の書面を送った。


日本、東京、日本国際法律家連絡協会会長 長野国助貴下


 尊敬する会長貴下。旧ろう三十一日日本政府と南朝鮮当局は米帝国主義者に操られて日本の収容所に不法に抑留されている朝鮮公民を南朝鮮に強制送還することを取決めました。かかる不法な措置は一九五八年一月四日付朝鮮民主主義人民共和国南日外相の声明に正しく指摘されましたように人道にはずれた行為であるのみならず、国際法の原則に乱暴に違反するものであります。自由意思による居住地の選択と帰国の自由は何人といえどもおかしえない万人の権利であり、国際法に公認された原則であります。

 日本の収容所に抑留されている朝鮮公民は李承晩一味のテロ分子がありとあらゆる迫害と脅迫をもって、はなはだしきは朝鮮公民キヨウ・テイケンを殺害してまでいわゆる韓国の国籍をおしつけようとしましたけれども、自分たちの愛する祖国朝鮮民主主義人民共和国のあたたかいふところに帰ることを頑強に要求しています。日本政府と南朝鮮当局はこれらの人びとの希望をもぎちぎって居住地の選択と帰国の権利を奪っています。これははなはだしく人権をじゅうりんするものであります。

 かくのごとく日本政府と南朝鮮当局は初歩的な国際法の規範すらふみにじりながら日本の収容所に抑留されている千七百余名の朝鮮公民中一部のものを日本国内で釈放し、残りの千二百余名を本人たちの意思に反して南朝鮮に強制送還し、その不当な政治的目的をとげようとくわだてています。日本の収容所に抑留されている朝鮮公民の問題は政治的目的とは完全に切りはなして純然たる人道主義の精神と崇高な国際法の原則にもとづいて解決さるべきであります。全朝鮮人民は抑留されている朝鮮公民を南朝鮮に強制送還して李承晩一味の虐殺と迫害にまかせ、政治的ないけにえにすることに手をこまぬいていることができず、また朝鮮公民を人質にしてその政治的目的を達成しようとする日本政府と李承晩当局の企図をだんじて許さないでありましょう。

 われわれ法律家はだれよりも国際法の諸原則を守り、その正当な表現のため積極的に斗う崇高な任務をになっています。わが国の全法律家は日本政府が不当に抑留している朝鮮公民を即時釈放し、彼らの自由意思による居住地の選択と帰国の権利を保証し日本国内で釈放される朝鮮公民には生活の安定と国際法に公認された外国人としての待遇が保証さえるようにするためわが方の代表を日本に派遣することを日本政府は承認すべきであると考えます。われわれは南日外相の声明に指摘されていますように日本政府が在日財産請求権問題、在日朝鮮人国籍問題等をふくむ全朝鮮人民の利益にかかわる問題を全朝鮮人民の利益を代表しえない李承晩一味と一方的に話しあうのは完全に不法であり無効であるとみとめます。またわれわれは日本政府と南朝鮮当局間の訃報な取決めの裏にかくれている米帝国主義者の策謀を極東の平和と安全に有害であると認め、全世界の平和を愛する人民とともにだんこその策謀を糾弾するものであります。

 日本の収容所に不当に抑留されている朝鮮公民の問題を正当に解決するためのわれわれの斗いは全世界の善良な人民から支持されており、とくに日本の広はんな平和愛好の人民と進歩的な政治活動家の支持をうけています。われわれは人道主義の原則と人間の初歩的な自由、平等および人権を尊重し、侵略に反対し、世界平和を支持される日本の進歩的な法律家諸士がわれわれの正当な申し入れを実現しうるよう積極的協力をたまわるであろうと確信いたします。

 末筆ながら尊敬する諸士のご健康と正義のための貴協会の事業における御成果を心から希望いたします。


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