明治元訳新約聖書(大正4年)/提摩太後書

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ウィキペディアテモテへの第二の手紙のページがあります。
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[二千二十二]
新約全書使徒しんやくぜんしょしとパウロテモテおくれる後書のちのふみ

第一章[編集]

かみむねよりキリスト イエスいのち約束やくそくつたへためキリスト イエス使徒しととなれるパウロ
あいするテモテふみおくねがはくハ爾父なんぢちゝなるかみおよび我儕われらしゅキリスト イエスより恩寵めぐみ衿恤あはれみ平康へいこううけ
われひる祈禱いのりたえなんぢおもふにより先祖せんぞならきよ良心りゃうしんをもてつかふかみしゃ
われなんぢのなみだおもひなんぢんことをねが是歡喜これよろこびわれみたしめんためなり
われなんぢのいつはりなき信仰しんかうおもかくごと信仰前しんかうさきなんぢ祖母そぼロイスまたなんぢははユニケにあり今爾いまなんぢにもあることをしんずるなり
是故このゆゑ我爾われなんぢをして按手あんしゅよりなんぢうけかみたまものふたゝさかんにせんことをおもはしむ
そハかみ我儕われらたまへるれいおくするれいあらちからあいつゝしみれいなれバなり
是故このゆゑ爾我なんぢわれらのしゅあかしなすことゝ其囚人そのめしうどなるわれとをはぢとなすなか惟神たゞかみちからしたがひて福音ふくいんためわれともくるしみしのぶべし
かれ我儕われらすく聖召きよきめし召給めしたまへりこれわれらのおこなひよるあら惟神たゞかみおのがむねならざりしさきよりキリスト イエスうち我儕われらたまひし恩惠めぐみよるなり
この恩惠おんけいいまわれらの救主すくひぬしイエス キリストあらはたまひしによりあらはれたりキリストほろぼし福音ふくいん生命いのちくちざることとを明著あきらかにせり
十一 われこの福音ふくいんためたてられて宣傳のべつたふものとなり使徒しととなり異邦人いはうじんとなれり
十二 是故このゆゑわれこれらのくるしみあひたりされこれはぢとせずそはわれしんずるものしりかつわがかれにたくしたるものかれかのいたるまでまもることを爲得なしうるをしんずれバなり
十三 なんぢキリスト イエスにあるしんあいとをさきわれきゝところまことことば模楷かたたもつべし
十四 なんぢたくしたるよきものを我儕われらうちにをる聖靈せいれいまもるべし
十五 アジアにをるものすべてわれそむこれなんぢがしるところ
[二千二十八]
なりフゲロヒルモゲ子其中そのなかあり
十六 ねがはくハ主衿恤しゅあはれみオ子シポロいへたまそはかれしばゝゞわれをなぐさかつわがくさりはぢとせず
十七 そのロマありしときいそたづねわれあひたり
十八 ねがはくハ主彼しゅかれをしていたしゅ衿恤あはれみしめよかれエペソあり如何いかバかりわれつかへしかなんぢよくしるところなり


第二章[編集]

わがなんぢキリスト イエスにあるめぐみ堅固かたくなるべし
またなんぢおほく證人あかしびとまへにてわれよりきゝところこと忠信ちゅうしんにして能人よくひとをしふるにひとたくすべし
なんぢキリスト イエス精兵卒よきへいそつごとわれともくるしみしのぶべし
兵卒へいそつつとむもの世事よのこと自己みづからわづらハせず是募これつのれるものこゝろよろこバせんとすれバなり
もしちからきそふものはふしたがひてきそハずバかんむり
勤勞ほねおりたる百姓ひゃくしゃうまづべきなり
なんぢわがいひところおもふべし主爾しゅなんぢ萬物すべてのことさとらしめん
ダビデすえよりいでたるイエス キリストつたふところ福音ふくいんごとよりよみがへりたるを爾心なんぢこゝろとむべし
この福音ふくいんため我苦わがくるしみうけ罪人つみびとごとつながるゝにいたれりされかみことばつながれず
是故このゆゑ我選われえらばれしものためすべてことしのぶこれ彼等かれらにもキリスト イエスにあるすくひおよび永遠かぎりなきさかえしめんためなり
十一 こゝしんずべきはなしあり我儕われらもしかれともしなかれともいくべし
十二 我儕われらもししのバゞかれともわうなるべし我儕われらもしかれしらずといはかれ我儕われらしらずといは
十三 われらしんぜずといへどかれまことなりかれおのれたがふことあたはずるなり


十四 なんぢ彼等かれらをして此事このことおもはしめ且主かつしゅまへにて彼等かれらいましことばよりあらそふことなからしむべし是益これえきするところなく聽人きくひとをして沈淪ほろびいたらしむ
十五 なんぢかみよろこバるゝものならんことをつとめまたはづところなき工人はたらくものとなりて眞道まことのことばたゞしわかをしへんことをつとむべし
十六 みだりなるえきなきはなしさくべし蓋之そはこれをなすものますゝゝ不信ふしんすゝめバなり
十七 彼等かれらことば脱疽だっそごと腐爛くされひろがるべしヒメナヨ
[二千二十九]
レトかくごとものなかあり
十八 かれらまことあやまりて復生よみがへりすですぎたりといひかく数人すにん信仰しんかうほろぼすなり
十九 しかれどもかみ置給すえたまひし堅基かたきもとゐたてり其上そのうへいんありしるしていふ主己しゅおのれつけものしるとまたいふすべてしゅよぶものハ不義ふぎはなるべしと
二十 おほいなるいへうちにハきんぎんうつはあるのみならずつちうつはもありかれたふときにもちこれいやしきにもちゐるなり
二一 ひともし此等これらはなれておのれきよくせバたふときにもちゐうつはとなりきよくしてしゅようかなすべて善事よきわざなすことをうるなり
二二 なんぢ幼少いとけなきときのよくさけしんあい追求おひもと又清心またきよきこゝろにてしゅ龥者よぶものやはらこと追求おひもとむべし
二三 おろかなると無學むがくなる辨論べんろんさくべし蓋之そはこれより爭競あらそひおこるをしれバなり
二四 しゅしもべあらそふべからず和平やわらかすべてひとあしらをしへよくしのぶことをなし
二五 さからものをバ柔和にうわいましむべしかみあるひハ彼等かれら悔改くいあらたむるこゝろたまひこれ眞理まことしらしめたまハん
二六 また彼等かれらそのゑひさめて惡魔あくまわな脱出のがれいで蓋惡魔そはあくま彼等かれらをしておのれむねおこなハしめんためこれとりこにすれバなり


第三章[編集]

末世すゑのよなやみきたらんなんぢこのことしれ
その日至ひいたらバひとたゞおのれあい貪婪むさぼり矜誇ほこり驕傲たかぶり詬誶のゝしり不孝ふかうおんわすれ、不潔ふけつ
不情ふじゃううらみとかず、謗讟そしりよくほしいまゝにし、殘刻ざんこくぜんこのまず
ともうり放肆わがまゝ自負じふかみよりも伕樂たのしみあいすることをせん
彼等かれら敬虔けいけんかたちあれどじつ敬虔けいけんとくすつなんぢかくごとものさくべし
ひといへいりおろかなるをんなとりこにするハかくごとものなりをんなつみかさ各樣さまゞゝよくさそハれ
つねまなべども眞理まことしるいたることあたハず
かのひとヤン子ヤンブレモーセさからひしごと亦眞理またまことさからふなり彼等かれらこゝろくされたるもの信仰しんかうみちとりてハすてられたるものなり
されなほこのうへすゝむことあらじそはかの二人ふたりごと彼等かれらおろかなることもすべてひとあらはるべけれバなり
なんぢ
[二千三十]
教誨をしへ品行おこなひ志意こゝろざし信仰しんかう寛容くわんようあい忍耐しのび
十一 およわがアンテオケイコニオムルステラにてあひせめ困苦くるしみまたうけせめ如何いかなるかを知主悉しりしゅことゞゝ其中そのうちよりわれ救給すくひたまへり
十二 すべキリスト イエスありかみうやまひつゝわたらんとこゝろざものせめうくべし
十三 惡人あしきひとひとあざむひとますゝゝあくすゝひとまどは亦人またひとまどはさる
十四 なんぢまなびしんずるところことまもるべしそはなんぢたれよりこれまな
十五 かつ幼少いとけなきときより聖書せいしょしることをしれバなり聖書せいしょなんぢをしてキリスト イエスしんずるによりすくひしめんため智慧ちえあたふるものなり
十六 聖書せいしょハみなかみ黙示もくしにして教誨をしへ督責いましめまたひとをしてみちせしめ又義またたゞしきまなびしむるにえきあり
十七 これかみひと完全まったきもろゝゝ善事よきことおこなふにかけなからんためなり

第四章[編集]

われかみまへおよびあらはるゝときそのくにおいいけ者死ものしねもの審判さばきするキリスト イエスまへにてなんぢもと
なんぢみち宣傳のべつたふべしときうるときざるもはげみてこれつと各樣さまゞゝ忍耐しのび教誨をしへひとたゞいましすゝむべし
それ人眞ひとまことをしへいれみゝよろこバしむることこの其私慾そのしよくしたがひておのため増加ましくわふ時來とききたらん
かれらみゝ眞理まことよりそむあやしはなしむかふべし
されなんぢすべてのことつゝし苦難くるしみしのびて傳道者でんどうしゃわざをなしなんぢしょくつく
われ今祭物いまそなへものとならんとすをさるときちかづけり
われすで善戰よきたゝかひをたゝかひすではしるべき途程みちのりつくすで信仰しんかうみちまもれり
いまより後義のちぎかんむりわがためそなへありしゅすなハちたゞし審判さばきをなすものそのいたりてこれわれあたたゞわれにあたふるのみならずすべかれ顯著あらはるゝしたものにもあたふべし


なんぢつとめすみやかにわれきた
デマスこのあいしてわれすてテサロニケゆけクレスケンスガラテヤテトスダルマテヤ
[二千三十一]
ゆけたゞルカのみわれともにあり
十一 なんぢマコつれともきたそはかれのつとめわれにえきあれバなり
十二 われテキコエペソつかはせり
十三 なんぢきたるときわがトロアスにてカルポもとのこしゝ外衣うはぎたづさきたれまた書籍しょもつたづさきた其皮そのかはなるものもっとも肝要かんえうなり
十四 銅匠かぢやなるアレキサンデルおほわれなやませりしゅかれがおこなひしところしたがひてむくいなさ
十五 なんぢまたかれをふせぐべし彼甚かれはなはだしく我儕われらことばさからひたり
十六 はじめ審官さばきびと事由ことわけのべしときたれわれともにせずみなわれをはなれたりねがはくハ彼等かれらつみせざらんことを
十七 され主我しゅわれともありわれ力量ちからあたたまへりこれわれによりみちことゞゝくつたは異邦人いはうじんをしてみなこれをきかしめんためなり我救われすくはれて獅子しゝくちよりいでたり
十八 しゅまたわれすくひてもろゝゝ惡事あくじよりはなれしめかつわれをすくひて其天そのてんくにいれねがはくハさかえ世々よゝかぎりなくかれせんことをアメン
十九 こふなんぢプリスキラアクラオ子シポロいへやすきとへ
二十 エラストコリントとゞまれりトロピモやまひあれバわれかれをミレトスとゞめたり
二一 なんぢふゆよりまへいそわれきたユブルプデスリノスクラウデア兄弟きゃうだいみななんぢやすきとふ
二二 ねがはくハしゅイエス キリストなんぢたましひともにあれねがはくハ恩寵めぐみ爾曹なんぢらあらんことをアメン




新約全書提摩太後書 終