明治元訳新約聖書(大正4年)/加拉太人書

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[千九百七十三] 新約全書しんやくぜんしょ使徒しとパウロガラテヤびとおくれるふみ

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第一章[編集]

ひとよりにあら亦人またひとよらイエス キリストかれよりよみがへらしゝちゝなるかみよりたてられたる使徒しとパウロ
およわれともあるすべての兄弟きゃうだいガラテヤ諸教會しょけうくわいふみおく
なんぢらねがはくはちゝなるかみおよび我儕われらしゅイエス キリストより恩寵めぐみ平康やすきうけ
キリスト我儕われらちゝなるかみむねしたがいま惡世あしきよより我儕われら救出すくひいださんとて我儕われらつみためおのすてたまへり
ねがはくは榮彼さかえかれして世々よゝいたれアメン


キリストめぐみをもて爾曹なんぢらめしたるもの爾曹なんぢら如此かくすみやかにはなれてことなる福音ふくいんうつりこと我怪われあやしむ
これ福音ふくいんあら或人あるひとたゞ爾曹なんぢらみだキリスト福音ふくいんかへんとするなり
我儕われらにもせよてんよりの使者つかひにもせよもしわれらがかつ爾曹なんぢらつたへところさから福音ふくいん爾曹なんぢらつたふもののろはるべし
我儕既われらすでいひしがいままたわれそのごといはもしなんぢらがうけところさから福音ふくいん爾曹なんぢらつたふもののろはるべし
いまわれひとしたしみんことをねがハゞキリストしもべあらざるべし


十一 兄弟きゃうだいわれなんぢらにしめ我曾われかつ爾曹なんぢらつたへところ福音ふくいんひとよりいづるにあら
十二
そはわれこれひとよりうけ亦教またをしへられずたゞイエス キリスト默示しめしよりうけたればなり
十三 わがさきユダヤけうありしときおこなひたること爾曹聞なんぢらきけすなははなはだしくかみ教會けうくわいせめかつこれ殘賊ほろぼせり
十四 われまたこゝろひとよりも先祖等せんぞたち遺傳いひつたへあつくユダヤけうありてハ國人くにびとのうち年相若としひとしきおほくのひとまさりたり
十五 しかれどもはゝたいいでときよりわれえらびおきめぐみをもてわれ召給めしたまひしかみ
十六 その異邦人いはうじんうちのべしめんがためこゝろよしとしてかれこゝろしめたまへる其時そのときわれたゞち血肉けつにくはかることを
[千九百七十四]
せず
十七 またわれよりさき使徒しとなりエルサレムあるところのものにもゆかアラビヤゆきまたダマスコかへれり
十八 三年さんねんのちペテロたずねためエルサレムのぼ十五日彼じゅうごにちかれともをりしが
十九 ほか使徒等しとたちにハしゅ兄弟きゃうだいヤコブのぞきてハたれにもあはざりき
二十 いまわが爾曹なんぢら書遣かきおくところかみまへいつ[は]れることなし
二一 厥後そののちわれスリヤキリキヤいたれり
二二 しかれどもユダヤあるキリスト諸教會しょけうくわいかほしらざりき
二三 たゞかれらハさき己等おのれらせめしものいま其前そのさきほろぼさんとしたる信仰しんかうみち宣傳のべつたふときゝ
二四 我事わがことよりかみあがむることを


第二章[編集]

十四年じふよねんのちわれバルナバともテトスともなひてまたエルサレムのぼ
わがのぼりしハ默示しめししたがへるなり異邦人いはうじんなかおいのべところ福音ふくいん彼等かれらつげまたひそかある人等ひとたちこれつげたりそはいまつとむところこと徒然むなしくならざらんがためなり
われともありテトスギリシャびとなるになほしひてハこれ割禮かつれいうけさせざりき
そハひそかいれられしいつはり兄弟きゃうだいあるによりてなり彼等かれらひそかいりしハ我儕われらイエス キリストありたもつところの自由じゆううかゞ我儕われら奴隷どれいとせんがためなり
われら一時ひとときこれふくすることをせず福音ふくいんまことつねに爾曹なんぢらともあらんことをのぞめバなり
かのあるものよりわれうけしことなし彼等かれらいかなるひとなるにもせよわれおいあづかところなしかみかたよものあらあるものわれにをしへそへしことなきなり
かへっ彼等かれらペテロ割禮かつれいうけたるもの福音ふくいんつたふることをゆだねられしごと割禮かつれいうけざるもの福音ふくいんつたふることをゆだねられしを
ペテロ能力ちからあたへ割禮かつれいうけたるひと使徒しとなしものまたわれにも能力ちからあたへ異邦人いはうじん使徒しとり)
またわれたまひところめぐみしりしによりはしらおもはるゝヤコブケパヨハ子其右手そのみぎのてあたへわれ
[千九百七十五]
バルナバまじはりむすべりこれわれらハ異邦人いはうじんいた彼等かれら割禮かつれいうけたるものいたらんためなり
彼等かれらたゞねがふところ我儕われら貧民まづしきもの眷顧かへりみんことなり我儕われらまたこのこともとよりすゝんでなさんとするところなり
十一 ペテロアンテオケいたりしときかれせむべきところありしによりわれ當面まのあたりこれをいましめたり
十二 そはヤコブよりきたものいまいたらざるさきにハペテロ異邦人いはうじんともしょくしたれども彼等かれらいたるにおよび割禮かつれいうけたるものおそ退しりぞきて異邦人いはうじんわかれたれバなり
十三 そのほかユダヤびとかれともいつはりおこなひをなしバルナバつい其僞そのいつはりおこなひさそはれたり
十四 われかれらが福音ふくいんまことしたがたゞしおこなハざるをすべてのひとまへおいペテロいひけるハなんぢユダヤびとにして異邦人いはうじんごとおこなユダヤびとごとおこなハざるときはなん異邦人いはうじんしひユダヤびとならはししたがハせんとする
十五 それわれらは生來うまれつきユダヤびとにして異邦いはうよりいでたる罪人つみびとあら
十六 されひととせらるゝは律法おきておこなひよるあらたゞイエス キリストしんずるによるなるをしるこのゆゑ我儕われら律法おきておこなひよらキリストしんずるによりとせられんがためイエス キリストしん蓋律法そはおきておこなひよりとせらるゝものなければなり
十七 もしわれらキリストありとせられんことねがひなほ罪人つみびとならばキリストつみしもべなるかきはめしからず
十八 さきこぼちこのものをいまもしふたゝたてなばみづか其罪人そのつみびとなるをあらはすなり
十九 律法おきてにより律法おきてむかひてしね是神これかみむかひていきためなり
二十 われキリストとも十字架じふじかつけられたりもはやわれいけるにあらキリストわれありいけるなりいまわれ肉體にくたいありいけるなりいまわれ肉體にくたいありいけるハわれあいしてためおのれすてものすなハちかみしんずるによりいけるなり
二一 われかみめぐみ徒然むなしくせずとせらるゝこと律法おきてよらキリスト徒然いたずらなるわざなり


[千九百七十六]

第三章[編集]

おろかなるかなすでにイエス キリスト十字架じふじかつけられしことあきらかに其目前そのめのまへあらはされたるガラテヤびと爾曹なんぢらたぶらかしゝ
われたゞ此事このこと爾曹なんぢらみたまうけしは律法おきておこなふによるはたきゝてしんぜしによる
爾曹なんぢらかくおろかなるなんぢらみたまよりはじま今肉いまにくよりまったうせらるゝ
なんぢら如此かくおほくのくるしみ徒然いたづらうけしやじつ徒然いたづらにはあるまじ
それ爾曹なんぢらみたまあたへかつ奇跡ふしぎなるわざおこなはしめたまもの如此かくなすは爾曹なんぢら律法おきておこなふによりてなるまたはきゝしんぜしによりてなる
すなはアブラハムかみしん其信仰そのしんかうせられたるがごと
是故このゆゑ信仰しんかうによるものこれアブラハムなりと爾曹知なんぢらしるべし
かつ聖書せいしょすでに信仰しんかうよりかみ異邦人いはうじん爲給したまふことをあらかじめさとりまづ福音ふくいんアブラハムちたへ諸国すべてのくにたみなんぢよりさいはひんといへ
是故このゆゑ信仰しんかうよるものは信仰しんかうありしアブラハムともさいはひうく
おほよ律法おきておこなひよるものはのろはるべし蓋律法そはおきてふみのせたるすべてことつねおこなハざるもののろはるとしるされたればなり
十一 かつ義人ぎじん信仰しんかうよりいくべしとあれ律法おきてよりとせらるゝものなきことはあきらかなり
十二 それ律法おきて信仰しんかうよらすなはいふこれをおこなものこれよりいくべしと
十三 キリストすで我儕われらためのろハるゝものとなりて我儕われらあがな律法おきてのろひよりはなれしめたまへりそはすべてかゝもののろはれしものなりとしるされたればなり
十四 これアブラハム約束やくそくたまひし恩惠めぐみイエス キリストより異邦人いはうじんにまでおよ我儕われらにも信仰しんかうより約束やくそくみたまうけしめんためなり
十五 兄弟きょうだいわれいまひとことよりいはひと契約けいやくだにすでさだむれバこれけしまたくはふることなし
十六 それ約束やくそくアブラハム其裔そのすゑとに立給たてたまひしものにしておほくひとさし裔々すゑゞゝいへるにあら惟一人たゞひとりさしなんぢすゑいへ也此即なりこれすなはキリストなり
十七 われこれをいはかみあらか
[千九百七十七]
定給さだめたまひし契約けいやく四百三十年よんひゃくさんじゅうねんのちの律法おきてこれをすてその約束やくそくことば徒然むなしくすることをせざるなり
十八
嗣業よつぎなること律法おきてよら約束やくそくにハよらざるべしされかみ約束やくそくよりこれアブラハムたまへり


十九 しからバ律法おきてようなにぞや約束やくそくうくべきすゑきたるまでつみためくはへしものにて天使等てんのつかひたちにより中保なかだちそなたまひしなり
二十 それ中保なかだち一人ひとりつけものあらかみすなは一人ひとりなり
二一 しからバ律法おきてかみ約束やくそくもとるやきはめしからひといかしうる律法おきてたまはりしならバとせらるゝハかなら律法おきてよるべし
二二 しかれども聖書せいしょかへっ萬人すべてのひとつみもと拘幽とぢこめたりイエス キリストしんずるによれ約束やくそくのものをもろゝゝ信者しんじゃたまはらんがためなり
二三 信仰しんかうきたらざるさきには我儕律法われらおきてした拘幽とぢこめられ且守かつまもられて其顯そのあらはれんとする信仰しんかうまて
二四 かく律法おきて我儕われらをして信仰しんかうよりとせらるゝことしめんがため我儕われらキリストみちび師傳しふとなれり
二五 しかれども今信仰いましんかうすでにきたりたれば我儕われらもハや師傳しふしたにあらず
二六 爾曹なんぢらみなキリスト イエスしんずるによりかみとなれり
二七 そハおほよそバプテスマをうけキリストいれ爾曹なんぢらキリストたるものなればなり
二八 かゝものうちにハユダヤびとまたギリシャびとあるひハ奴隷どれいあるひハ自主じしゅあるひハをとこあるひハをんなわかちなしそはなんぢらみなキリスト イエスありひとつなればなり
二九 もしなんぢらキリストぞくするものならバ爾曹なんぢらアブラハムすゑすなハち約束やくそくしたがひて嗣子よつぎたるなり


第四章[編集]

われいハん嗣子よつぎたるもの全業ぜんげふしゅなれども其童蒙そのわらべときしもべことなることなし
ちゝさだめときいたるまで受託身うしろみおよび家宰いへづかさしたあり
かくごと我儕われら童蒙わらべうち此世このよ小学せうがくしたありしもべたるなり
しかれどもときすでにいたるにおよびてかみそのつかはたまへりかれをんなよりうま律法おきてした
[千九百七十八]
うまれたり
これ律法おきてしたにあるものあがな我儕われらをしてたることをしめんがためなり
かつなんぢらすでたることをしがゆゑかみそのみたま爾曹なんぢらこゝろおくりアバちゝよばしむ
是故このゆゑなんぢはもはやしもべあらなりすでならバ亦神またかみより嗣子よつぎたるなり
しかれども爾曹神なんぢらかみしきざりしとき其實神そのじつかみあらざるものつかへしもべたりき
しかれども爾曹なんぢらいまかみしれかえっかみしられたりといふべしなんよわいやし小学せうがくかへりてふたゝこれしもべたらんことをねがふや
なんぢらつつしみつきせつとしとをまも
十一 われ爾曹なんぢらついあやぶおそらくハ爾曹なんぢらためつとめしこと徒然むなしくならんことを


十二 兄弟きゃうだいねがわくハ爾曹なんぢらわがごとくなれそはわれ爾曹なんぢらごとくなりたれバなりなんぢらハわれがいせしことなし
十三 さきわれよわきにして爾曹なんぢら福音ふくいんつたへしことハ爾曹なんぢらしるところなり
十四 爾曹なんぢらこゝろむものありしを爾曹なんぢらいやしめず亦厭またいとはかへっ天使てんのつかひごとキリスト イエスごとくにわれあつかひたり
十五 爾曹なんぢらそのときさいはひ如何いかにありしわれ爾曹なんぢらあかし爲得なしうべくば爾曹なんぢらみづからのとりわれあたへんとてまでねがひたり
十六 しかるにわれなんぢらに眞理しんりかたりしによりわれなんぢらのあたとなりし
十七 彼等かれら爾曹なんぢら熱心ねっしんなるハ善意よきこゝろあら爾曹なんぢらおのれ熱心ねっしんならしめんとて爾曹なんぢらはなれしめんとするなり
十八 されたゞわが爾曹なんぢらともなるときのみならず善事よきことためつね熱心ねっしんなるはよろしきなり
十九 小子をさなごわれなんぢらのこゝろキリスト狀成かたちなるまでハふたゝ爾曹なんぢらためうみ劬勞くるしみをなす
二十 われいま爾曹なんぢらともあり口氣こゑあらためんことをねがそはわれ爾曹なんぢらついまどへバなり


二一 なんぢら律法おきてしたあらんことをねがものわれかた爾曹律法なんぢらおきてきかざる
二二 しるしてアブラハム二人ふたりあり一人ひとりしもめより一人ひとり自主じしゅをんなよりうまれたりとある
二三 そのしもめよりうまれしものにくしたが自主じしゅをんなよりうまれしもの約束やくそくよりうまれたるなり
二四
[千九百七十九]
こと譬喩たとへにしてすなは此婦このをんなふたつ契約けいやくなぞらふべしひとつシナイやまよりいで奴隷どれいうむこれすなはハガルなり
二五 このハガルアラビアシナイ山今やまいまエルサレムあたれるなりそはかれ其諸子そのこどもとも奴隷どれいたれバなり
二六 されうへあるところのエルサレム自主じしゅにしてこれわれらのはゝなり
二七 そハしるしてはらまうまざるものよろこうみ劬勞くるしみせざるものこゑあげよばは寡居ひとりすめものおっとあるものよりもおほきゆゑなりとあれバなり
二八 兄弟きゃうだい我儕われらイサクごと約束やくそくなり
二九 しかれども當時むかしにくしたがひてうまれしものみたましたがひてうまれしものせめごといま亦然またしか
三十 され聖書せいしょなにいへるやしもめおよび其子そのこおへそはしもめ自主じしゅをんなとも嗣子よつぎとなるべからざればなりいへ
三一 兄弟きゃうだいかくごとくなれバ我儕われらしもめあら此自主このじしゅをんななり


第五章[編集]

イエス キリスト我儕われらとき自由じゆうさせたり是故このゆゑ爾曹堅立なんぢらかたくたちふたゝ奴隷どれいくびきつながるゝなか
われパウロ爾曹なんぢらにいふ爾曹なんぢらもし割禮かつれいうけなバキリストさら爾曹なんぢらえきなし
われまた割禮かつれいうけたるおのゝゝひとついあかし其人そのひとまった律法おきておこなふべきものなり
なんぢら律法おきてよりとせらるゝものキリストかゝはりなくめぐみよりおちたるものなり
われらのぞところのものすなは信仰しんかうとせらるゝことをみたまよりまつなり
それキリスト イエスありてハ割禮かつれいうくるもうけざるもえきなく惟愛たゞあいよっはたらところ信仰しんかうのみえきあり
なんぢらさきにハ善走よくはしりたり爾曹なんぢら眞理まことしたがはざるやうさゝふることをしや
そのすゝめ爾曹なんぢら召者めすものよりいづるにあら
少許すこし麪酵ぱんだね全團かたまりをみなふくれしむ
爾曹なんぢらついてハわれなんぢらがすこしも異念ことなるおもひいだかざることをしゅよりしんたれにても爾曹なんぢらなんぢらをわづらはすもの其審判そのさばきうくべし
十一 兄弟きゃうだいわれもしいま尚割禮なほかつれいのべなんせめらるゝことあらんもししかせば
[千九百八十]
もは十字架じふじかつまづくことやむべし
十二 爾曹なんぢらみだものみづか爾曹なんぢらよりはなれんことをねが
十三 そは兄弟きゃうだい爾曹なんぢらめしかうむりて自由じゆうたるものなればなりされど其自由そのじゆう機會をりとしてにくしたがなか惟愛たゞあいたがひつかふることを
十四 それおのれごとなんぢとなりあいすべしといへ此一言このひとつのことばすべての律法おきてまったうするなり
十五 なんぢらつゝしめもしたがひに呑噬かみくらはゞおそらくハたがひほろぼされん


十六 われいふなんぢらみたまよりあゆむべしさらにくよくなすことなからん
十七 そハにくねがひみたまさからみたまねがひにくさから此二このふたつのものたがひ相敵あひもと是故このゆゑ爾曹好なんぢらこのところことをなすを
十八 され爾曹なんぢらもしみたまみちびかるゝときハ律法おきてしたあらざるべし
十九 それにくおこなひ顯著あらはなりすなは苟合こうがふ[う]汚穢をくわい好色かうしょく
二十 偶像ぐうざうつかふること、巫術ふじゅつ仇恨きうこん爭鬪さうとう妒忌とき忿怒ふんど分爭ぶんそう結黨けったう異端いたん
二一 娼嫉ばうしつ兇殺きょうさつ醉酒すゐしゅ放蕩はうとう、などのごと此等これらことにつき我甞われかつ爾曹なんぢらかゝことをなすもの神國かみのくにつぐべからずとつげしそのごといままたあらかじめこれつぐ
二二 みたまむすところ仁愛じんあい喜樂きらく平和へいわ忍耐にんたい慈悲じひ良善りょうぜん忠信ちゅうしん
二三 温柔おんじう撙節そんせつかくのごとたぐひきんずる律法おきてハあることなし
二四 それキリストぞくするものにく其情そのじょうおよびよくとを十字架じふじかつけたり
二五 もしわれらみたまよりいきなバ亦靈またみたまよりあゆむべし
二六 たがひいかりたがひにねたむことをなし虛榮むなしきほまれもとむなか


第六章[編集]

兄弟きゃうだいもしはからずもあやまちおちいものあらば爾曹なんぢらのうちみたまかんじたる者柔和ものにうわなるこゝろをもてこれ爲正たゞすべし亦自己またみづからをもかへりみよおそらくハ爾誘なんぢさそはるゝことあら
なんぢら彼此たがひらうかくしてキリスト律法おきてまったうすべし
ひともしあることなくしてみづかありとせバこれみづからあざむくなり
各人おのゝゝそのなすところをかんが如此かくせバほこもとゐハたゞおのれありひとあら
そハひとおのゝゝ其荷おふべけれバなり
されみちをしへらるゝものみちおしふものすべ有益いうえきなるもの分予わけあたふべし
みづかあざむなか
[千九百八十一]
かみあなどるべきものあら蓋人そはひとまくところのものまたそのかるところとなるなり
おのにくのためにまくものハにくより敗壞くづるものをかりとりみたまのためにまくものハみたまより永生かぎりなきいのちかりとるべし
ぜんおこなふにおくするなかそはもしうむことなくバ我儕時われらときいたりて穫取かりとるべければなり
是故このゆゑ機會をりあらバすべてひとぜんなすべし信仰しんかうともがらにハわけこれなすべし


十一 爾曹なんぢらわが親手てづからなんぢらに書遣かきおくもじいかおほいなるかを
十二 およにくについてうるはしからんことをねがもの爾曹なんぢら割禮かつれいこれたゞおのれキリスト十字架じふじかためせめらるゝことをまぬかれんがためなり
十三 そハ割禮かつれいをうけたる彼等かれらなほみづか律法おきてまもることをせず彼等かれら爾曹なんぢら割禮かつれいうけさせんとするハ爾曹なんぢらにくおいほこらんとおもふなり
十四 されわれにはたゞわれらのしゅイエス キリスト十字架じふじかほかほこところなからんことをねがこのキリストより我世われよむかへバ十字架じふじかつけられわれむかふも亦然またしか
十五 それイエス キリストおいては割禮かつれいうくるもうけざるもえきなく唯新たゞあらたつくられしもののみえきあり
十六 およ此規矩こののりしたがひてあゆものねがはくハ平康やすき恩惠めぐみとあれかみイスラエルにも亦然またしか
十七 いまよりのちたれわれわづらハすなかそはわれイエス印記しるしおびたれバなり
十八 兄弟きゃうだいねがはくは我儕われらしゅイエス キリストめぐみなんぢらのれいともならんことをアメン


新約全書加拉太書 終