明治元訳新約聖書(大正4年)/約翰第一書

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ウィキペディアヨハネ第一の手紙のページがあります。

[二千七十九]
新約全書しんやくぜんしょ使徒しとヨハ子第一書だいいっしょ

第一章[編集]

それ我儕われらきゝまた見懇切みねんごろわが手捫てさはりしところ者即ものすなは元始はじめよりあり生命いのちことば爾曹なんぢらつた
この生命いのちすでにあらはれたれば我儕われらこれをあかしをなすすなは原父もとちゝともありものにて我儕われらあらはれたるかぎりなきところ此生命このせいめい爾曹なんぢらつた
われらしところきゝところ爾曹なんぢらつたふるは爾曹なんぢら我儕われら同心ともならしめんためなり我儕われらちゝおよび其子そのこイエス キリスト同心ともなり
我儕われらこのふみをかきおくり爾曹なんぢら喜樂よろこびみたしめんとす
かみひかりなりすこし暗處くらきところなし我儕彼われらかれよりきゝまたなんぢらにつたふつげなり
もしわれらかみ同心ともなりといひくらきあるかば我儕われらいふところはいつはりにして眞理まことおこなふにあら
若神もしかみひかりうちあるかば我儕互われらたがひ同心ともとなるをかつ其子そのこイエス キリストすべてつみより我儕われらきよ
もしつみなしといへこれみづからあざむけるにて眞理まことおこなふにあら
もしおのれつみいひあらはさばかみ信實まことなる公義者たゞしきものなるがゆゑかなら我儕われらつみゆるすべて不義ふぎより我儕われらきよむべし
もしつみをかしたることなしといはかみ謊者いつはりものとするなりそのことばわれらにあるなし

第二章[編集]

わが小子をさなごわれこれらのこと爾曹なんぢら書贈かきおくるは爾曹なんぢらをしてつみをかすことなからしめんためなり人罪ひとつみをかせば我儕われらためちゝまへ保惠師はうけいしありすなはなるイエス キリスト
かれ我儕われらつみ挽回なだめ祭物そなへものなりたゞ我儕われらためのみならずあまねため挽回なだめ祭物そなへものなり
われらもしそのいましめまもらばこれよりかれしれりとみづかさとるべし
われかれしれりといひ其誡そのいましめまもらざるもの謊人いつはりびとなり眞理まことそのうちあるなし
すべ其道そのことばまもものかみあいするの愛誠あいまこと其衷そのうちおい完全まったうこれより
[二千八十]
我儕われらかれることをみづかさと
かれをるといふものかれあゆみごとあゆむべきなり


兄弟きゃうだいわれなんぢらにあたらしきいましめ書贈かきおくるにあらすなははじめより爾曹なんぢらもて舊誡ふるきいましめなり此舊誡このふるきいましめはじめより爾曹なんぢらきゝところことばなり
され爾曹なんぢら書贈かきおくところはまたあたらしきいましめなり此言このことかれおいても爾曹なんぢらおいても眞實まことなりそはいま暗昧くらきはやゝすぎまこと光耀ひかりてればなり
ひかりをるいひ其兄弟そのきゃうだいにくものいまなほくらきをるなり
兄弟きゃうだいあいするものひかりをりおのれつまづかするもの其衷そのうちになし
十一 兄弟きゃうだいにくものくらきにをりくらきあゆみ其行そのゆくところをしらこれそのくらきくもらさるればなり
十二 小子をさなごわれこのふみ爾曹元始なんぢらかきおくるは爾曹主なんぢらしゅよりつみゆるされたるによる
十三 父老ちゝわれこのふみ爾曹なんぢらにかきおくるは爾曹元始なんぢらはじめよりのものしれるによる壯者わかきものわれこのふみ爾曹なんぢらかきおくるは爾曹惡者なんぢらあしきものかてるによる孺子わかきこわれこのふみ爾曹なんぢらかきおくるは爾曹父なんぢらちゝしれるによる
十四 父老ちゝわれこのふみ爾曹なんぢらおくりしは爾曹始なんぢらはじめよりのものしれるによりてなり壯者わかきものわれこのふみ爾曹なんぢらおくりしは爾曹剛健なんぢらつよくかつかみことばなんぢらのこゝろあり惡者あしきものかてるによりてなり
十五 このあるひは此世このよにあるものあいするなかひともし此世このよあいせばちゝあいするのあいそのうちあるなし
十六 おほよあるものすなは肉體にくたい慾眼目よくまなこよくまたいきほいよりおこ驕傲たかぶりこれらは皆父みなちゝよりいづるにあらよりいづるものなり
十七 この其慾そのよくとはすぐるものにてかみむねおこなもの永遠存かぎりなくとどまるなり


十八 孺子わかきこいますなは季世すゑのよキリストてきする者來ものきたらんと爾曹なんぢらきゝところごといますでにキリストてきする者多ものおほこれよりいますなはすゑなるを我儕われらしれ
十九 我儕われらはなれて彼等出かれらいでたりといへどもとより我儕われらものならざるなりもし我儕われらものならんにはつね我儕われらともなるべし彼等かれらいでされるはすべてものことゞゝくは我儕われらものならざることをあらはさんがためなり
二十 爾曹なんぢらすで聖主きよきもの
[二千八十一]
あぶらそゝがれて一切すべてことしる
二一 われ爾曹なんぢら眞理まことしらざるにより此書このふみかきおくるにあら爾曹なんぢら眞理まことしりかつすべていつはり眞理まことよりいでざることをしれるをてなり
二二 たれ是謊者このいつはりびとイエスいひキリストとせざるものならずやちゝとをこばものすなはキリストてきするものなり
二三 およこばものちゝをももたうくものちゝをももて
二四 なんぢらはじめよりきけもの爾曹なんぢらうちをらしむべし若始もしはじめよりきけものなんぢらのうちをら爾曹なんぢらちゝとにをら
二五 これしゅ我儕われら約束やくそくたまへる約束やくそくすなはちかぎりなき生命いのちなり
二六 われ爾曹なんぢらまどはものつい此等これらこと爾曹なんぢら書贈かきおくれり
二七 爾曹なんぢらしゅよりそゝがれたるあぶらそのうちとゞまれるがゆゑをしへひとよりうくるにおよばず其膏そのあぶらすべてのこと爾曹なんぢらをし且眞實かつまことにして虛假いつはりなし爾曹膏なんぢらあぶらをしふごとつねしゅをるべし
二八 小子おさなごつねしゅをるべし其顯現時そのあらはるゝとき我儕懼われらおそるることなく其降臨時そのきたるとき其前そのまへはづることなからんためなり
二九 爾曹なんぢらしゅ公義たゞしきしるより公義たゞしきおこなもの皆主みなしゅうむところなるをまたしるなり

第三章[編集]

なんぢら我儕稱われらとなへられてかみたることをこれちゝ我儕われらたま何等いかばかりあいちゝしらこれより我儕われらをもしらざるなり
あいするもの我儕われらいまかみたりのちいかんいまあらはれず其現そのあらはれんときにはかならかみんことをしるそは我儕われらその眞狀まことのさまみるべければなり
おほよかみよれ此望こののぞみいだもの其潔そのきよきごと自己みづからきよくする
つみをかもの律法おきてをかつみとはすなは律法おきてをかすことなり
我儕われらつみのぞかんためしゅあらはたまひしことは爾曹なんぢらしるところなりかれまたみづかつみなし
おほよかれ居者をるものつみをかさずおほよつみをかものいまかれいまかれしらざるなり
小子をさなごひとまどはさるゝことなかおこなもの義人ぎじんなりすなはしゅなるがごと
つみをかもの惡魔あくまよりいづその惡魔あくま
[二千八十二]
はじめよりつみをかせばなりかみあらはるゝは惡魔あくまわざこぼたんがためなり
おほよかみよりうまるゝものつみをかさず蓋神そはかみたねそのうちあるよるかれ亦罪またつみをかすことあたはず蓋神そはかみよりうまるればなり



これよりかみ惡魔あくまとはあきらかにあらはおほよおこなはず其兄弟そのきゃうだいあいせざるもの皆神みなかみよりいでしにあら
十一 我儕われらたがひ相愛あひあいすべきは爾曹なんぢらはじめよりきゝところ命令めいれいなり
十二 カインならふことなかかれはかの惡者あしきものよりいでものにて其弟そのおとうところせり何故なにゆゑこれをころしゝかおのれおこなひあしおとうとおこなひところたゞしかりしによる
十三 わが兄弟きゃうだいなんぢらをにくむともおどろくことなか
十四 われら兄弟きゃうだいあいするによりすでにいでいのちいりしことをみづからしる兄弟きゃうだいあいせざるものうちをる
十五 おほよ兄弟きゃうだいにくものすなはひところものなりおほよひところものかぎりなき生命いのちそのうちあることなし爾曹なんぢらしるところなり
十六 しゅ我儕われらためいのちすてたまへりこれよりあいといふことしりたり我儕われらまた兄弟きゃうだいためいのちすつべし
十七 資財たからをもち兄弟きゃうだい窮乏ともしきかへっ惠施めぐみこゝろとづものいかかみあいするのあいそのうちをらんや
十八 小子をさなご我儕愛われらあいするにことばしたとを相愛あひあいすることなくおこなひじつとをてすべし
十九 これより我儕われら眞理まことよりいでしをしりかつ我儕心われらこゝろしゅまへやすんずべし
二十 我儕われらこゝろもし我儕われらせめかみ我儕われらこゝろよりもおほいなるによりすべてこと知給しりたまはざるなし
二一 あいするもの我儕われらこゝろみづからせむることなくかみむかひはゞかところなかるべし
二二 かつわれらがすべもとむところかれよりうくそは其誡そのいましめまもりて其悦そのよろこたまところおこなへばなり
二三 このいましめすなは我儕神われらかみイエス キリストしんかれ我儕われらめいぜしごとたがひ相愛あひあいすることなり
二四 かみいましめまもものかみにをりかみまたかれにをるわれら其賜そのたまところみたまよりすなはそのわれらに居給をりたまふことをしれ


[二千八十三]

第四章[編集]

あいするものすべてれいしんずるなかれその靈神れいかみよりいづるやいなこゝろむべしおほく僞預言者にせよげんしゃいでゝいれ
おほよイエス キリスト肉體にくたいとなりてきたたまへることをいひあらはすれいかみよりいづこれによりかみれいしるべし
おほよイエス キリストいひあらはさゞるれいかみよりいづるにあらすなはキリストてきするものれいなり此者このものまさきたらんとすること爾曹なんぢらきけところなりいますでにをれ
小子をさなご爾曹なんぢらかみよりいでまた彼等かれらかつことをたりそはなんぢらのうちをるものはうちにをるものよりおほいなるによりてなり
彼等かれらよりいでものなればそのいふところよりいでものいふべきことにして世人よのひとこれきけ
我儕われらかみよりいでたりかみしるものは我儕われらにきゝかみよりいでざるもの我儕われらきかこれより眞理まことれい迷謬まどひれいとをしるなり


あいするもの我儕互われらたがひ相愛あひあいすべしあいかみよりいづればなりおほよそあいあるものかみよりうま且神またかみしれるなり
あいなきものかみしらかみすなはあいなればなり
かみはその生給うみたまへる獨子ひとりごつかはし我儕われらをしてかれよりいのちしむこゝおいかみあいわれらにあらはれたり
われらかみあいするにあらかみわれらをあい我儕われらつみため其子そのこつかはして挽回なだめ祭物そなへものとせりこれすなはちあいなり
十一 あいするものかくごとかみわれらをあいたまへば我儕われらまたたがひに相愛あひあいすべし
十二 いまかみものなし我儕われらもしたがひ相愛あひあいせばかみわれらのうちをりかれあいするあい我儕われらうち完全まったう
十三 かれすで其靈そのみたまをもて我儕われらたまこれより我儕われらかれをることをしる
十四 父曩ちゝさき其子そのこつかはして救主すくひぬしなせ我儕われらすでにこれたりいまそのあかしなすなり
十五 おほよイエスかみなりといひあらはすものかみかれにをりかれかみ
十六 我儕われらためかみもてあい我儕われらすでにしりしんかみすなはあいなりおほよあいにをるものかみにをりかみまたかれまたかれをる
十七 かくごと我儕われら愛全備あいまったき
[二千八十五]
鞫日さばきのひおそれなからしむ蓋主そはしゅごと我儕世われらよあればなり
十八 あいうちおそれあることなしまったあいおそれのぞくそはおそれくるしみもておほよおそるゝものあい全備まったうせざるなり
十九 われらかみあいするはかれまづ彼等かれらあいするによれ
二十 もしわれかみあいするといひ其兄弟そのきゃうだいにくもの是謊者これいつわりびとなりすでみるところの兄弟きゃうだいあいせずしていまざるかみあいせん
二一 かみあいするものまたその兄弟きゃうだいあいすべし此誡このいましめ我儕彼われらかれよりさづけられたり

第五章[編集]

おほよイエスキリストしんずるものかみよりうまれたるなりおほよそこれ生者うむものあいするものまたそのうまるゝところものをもあいするなり
我儕われらもしかみあいして其誡そのいましめまもらばこれより我儕神われらかみ兒女こどもあいするとしる
かみいましめまもるはこれすなはちかみあいするなりそのいましめかたからず
おほよかみよりうまるゝもの勝我儕かつわれらをしてかたしむるもの我儕われらしんなり
たれ能世よくよかたイエスかみしんずるものあらずや


かみみづをもてきたすなはイエス キリストなり惟水たゞみづのみならずみづにまたかぬ
あかしものみたまなりみたま眞實まことなればなり
あかしなすものはみつすなはちみたまみづこのみつものするところひとつなり
我儕われらもしひとあかしうくときかみあかしさらおほいなるべしかみあかしこれなりすなは其子そのこためなせあかしなり
かみしんずるもの其衷そのうち此證このあかしありかみしんぜざるものかみ謊者いつはりものとす蓋神そはかみ其子そのこためあかしせるあかししんぜざればなり
十一 かみかぎりなきいのちをもて我儕われらたま此生このいのちすなはちそのありこれ其證そのあかしなり
十二 かみをもつものいのちもちそのもたざるものいのちもた
十三 われかみしんずる爾曹なんぢら此等これらこと書贈かきおくるは爾曹なんぢらかぎりなきいのちあることしらしめんがためなり
十四 すべ我儕神われらかみむねかなへることもとめかれかならずきかこれわれらかれむかひあつしん
[二千八十五]
ところなり
十五 すべもとむところかれきくことをしらもとむところかれることをまたしるなり
十六 もしひとその兄弟きゃうだいいたらざるつみをかすをいのりていたらざるつみをかものいのちあたふべしいたつみありわれこれがためいのれといは
十七 すべての不義ふぎつみなりされいたらざるつみあり
十八 すべかみよりうまれたるものつみをかさゞること我儕われらはしるかみよりうまれたるものみづかまもるかの惡者あしきものこれにふるゝことをざるなり
十九 我儕われらかみにつき擧世すべてのよ惡者あしきものふくするを我儕われらしる
二十 またかみすでにきた我儕われら眞理者まことのものしる智慧ちゑ我儕われらたまへるをしるわれら眞理者まことのものにありすなは其子そのこイエス キリストありかれはすなは眞神まことのかみまた永生かぎりなきいのちなり
二一 小子をさなご爾曹なんぢらみづからつゝしみて偶像ぐうざうとほざかれアメン




新約全書使徒約翰第一書 終