日比谷

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

Wikisource:文学 < 『死刑宣告

本文[編集]

日比谷
萩原恭次郎

強烈な四角
   鎖と鉄火と術策
   軍隊と貴金と勲章と名誉
高く 高く 高く 高く 高く 高く聳える
 首都中央地点——日比谷

屈折した空間
   無限の陥穽と埋没
   新しい智識使役人夫の墓地
高く 高く 高く 高く 高く より高く より高く
 高い建築と建築の暗間
   殺戮と虐使と噛争

高く 高く 高く 高く 高く 高く 高く
  動く 動く 動く 動く 動く 動く 動く
日 比 谷
彼は行く——
彼は行く——
   凡てを前方に
彼の手には彼自身の鍵
   虚無な笑い
   刺戟的な貨幣の踊り
彼は行く——

黙々と——墓場——永劫の埋没へ
最後の舞踏と美酒
頂点と焦点
高く 高く 高く 高く 高く 高く 高く聳える尖塔

彼は行く 一人!
彼は行く 一人!
日 比 谷

解題[編集]

作者:萩原恭次郎

底本:萩原恭次郎『死刑宣告』日本図書センター〈愛蔵版詩集シリーズ〉(2004年3月25日初版第1刷発行) ISBN 978-4-8205-9599-1

表記について:旧仮名遣いは初版本(1925年10月18日発行、長隆舎書店)のまま、漢字は常用漢字に改めてある。