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文部省直轄諸学校官制 (明治23年勅令第233号)

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朕文部省直轄諸学校官制ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム



明治二十三年十月十四日

内閣総理大臣 伯爵山県有朋
文部大臣   芳川顕正


勅令第二百三十三号

高等師範学校官制

第一条 高等師範学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ師範学校中学校及小学校ノ教員ヲ養成スル所トス

第二条 高等師範学校ニ附属中学校及附属小学校ヲ置ク

第三条 高等師範学校ニ東京教育博物館ヲ附設ス

東京教育博物館ハ普通教育ニ関スル諸般ノ物品ヲ陳列シ参考ニ便スル所トス

第四条 高等師範学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 勅任二等以下奏任二等以上

教授 奏任

助教授 判任

教諭 奏任四等以下

助教諭 判任

訓導 判任

幹事 奏任四等以下

舎監 奏任五等以下判任四等以上

書記 判任

第五条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第六条 教授ハ十五人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ二人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第七条 教諭ハ二人トス附属中学校生徒ノ授業ヲ掌ル

助教諭ハ十二人トス教諭ノ職掌ヲ助ク

第八条 訓導ハ十一人トス附属小学校生徒ノ授業ヲ掌ル

第九条 幹事ハ専任官ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第十条 舎監ハ専任官ハ二人トス学校長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ関スル事ヲ掌ル

第十一条 書記ハ十一人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第十二条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ東京教育博物館主事ヲ命シ館務ヲ掌ラシム

第十三条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


女子高等師範学校官制

第一条 女子高等師範学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ女子師範学校高等女学校及小学校ノ女教員並幼稚園保姆ヲ養成スル所トス

第二条 女子高等師範学校ニ附属高等女学校附属小学校及附属幼稚園ヲ置ク

第三条 女子高等師範学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

教諭 奏任四等以下

助教諭 判任

訓導 判任

保姆 判任

幹事 奏任四等以下

舎監 奏任五等以下判任四等以上

書記 判任

第四条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第五条 教授ハ十一人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ二人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第六条 教諭ハ五人トス附属高等女学校生徒ノ授業ヲ掌ル

助教諭ハ十三人トス教諭ノ職掌ヲ助ク

第七条 訓導ハ二十人トス附属小学校生徒ノ授業ヲ掌ル

第八条 保姆ハ三人トス附属幼稚園幼児ノ保育ヲ掌ル

第九条 幹事ハ専任官ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第十条 舎監ハ専任官ハ二人トス学校長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ関スル事ヲ掌ル

第十一条 書記ハ九人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第十二条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


高等中学校官制

第一条 高等中学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ高等ノ普通教育ヲ授ケ大学並高等専門学科ノ学習ニ須要ナル予備ヲ為サシムル所トス

高等中学校ハ全国ヲ五区ニ分画シ毎区ニ一校ヲ置キ第一高等中学校第二高等中学校第三高等中学校第四高等中学校第五高等中学校トス其区域ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル

第二条 高等中学校ハ法科文科理科医科工科農科商科等ノ専門学部ヲ設クルコトヲ得

第三条 高等中学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

幹事 奏任四等以下

舎監 奏任五等以下判任四等以上

書記 判任

第四条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第五条 教授ハ生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ教授ノ職掌ヲ助ク

第六条 幹事ハ専任官ハ各学校一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第七条 舎監ハ専任官ハ各学校二人トス学校長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ関スル事ヲ掌ル

第八条 書記ハ上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第九条 各学校教官及書記ノ定員左ノ如シ

教授 助教授 書記
第一高等中学校 六十四人 五十二人 二十三人
第二高等中学校 二十六人 二十四人 八人
第三高等中学校 五十二人 二十七人 十二人
第四高等中学校 二十九人 二十七人 八人
第五高等中学校 三十 三十二人 十人

第十条 文部大臣ハ教官ノ中ヨリ専門学部主事ヲ命シ部務ヲ掌ラシム

第十一条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ各学校ニ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第十二条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得

第十三条 諸学校通則第一条ニ依リ文部大臣ノ管理ニ属スル高等中学校ハ山口高等中学校及鹿児島高等中学造士館トス

第十四条 山口高等中学校及鹿児島高等中学造士館ハ総テ此官制ノ規定ニ依ル其教官及書記ノ定員左ノ如シ

教授 助教授 書記
山口高等中学 十人 九人 五人
鹿児島高等中学造士館 八人 十三人 五人


高等商業学校官制

第一条 高等商業学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ商務ヲ処理経営スヘキ者又ハ商業科ノ教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス

第二条 高等商業学校ニ附属主計学校ヲ置ク附属主計学校ハ官庁及銀行会社等ノ会計事務ニ関スル必須ノ学科及実務ヲ教授スル所トス

第三条 高等商業学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

幹事 奏任四等以下

舎監 奏任五等以下判任四等以上

書記 判任

第四条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第五条 教授ハ二十三人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ二十六人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第六条 幹事ハ専任官ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第七条 舎監ハ二人トス学校長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ生徒ノ取締ニ関スル事ヲ掌ル

第八条 書記ハ十一人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第九条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第十条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


東京工業学校官制

第一条 東京工業学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ職工長又ハ工業科ノ教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス

第二条 東京工業学校ニ附属職工徒弟学校ヲ置ク

附属職工徒弟学校ハ主トシテ木工若クハ金工ヲ業トスル者ノ子弟ニ実業ヲ授ケ適良ノ職工ヲ養成スル所トス

第三条 東京工業学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

幹事 奏任四等以下

書記 判任

技手 判任

第四条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第五条 教授ハ十二人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ十六人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第六条 幹事ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第七条 書記ハ九人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第八条 技手ハ十三人トス上官ノ命ヲ承ケ学科ニ関スル技術ニ従事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ

第九条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第十条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


東京美術学校官制

第一条 東京美術学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ絵画彫刻建築及美術工芸ノ技術者又ハ普通ノ図画教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス

第二条 東京美術学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

幹事 奏任四等以下

書記 判任

技手 判任

第三条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第四条 教授ハ十八人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ十人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第五条 幹事ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第六条 書記ハ五人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第七条 技手ハ二人トス上官ノ命ヲ承ケ学科ニ関スル技術ニ従事ス又特ニ授業ヲ助ケシムルコトアルヘシ

第八条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第九条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


東京音楽学校官制

第一条 東京音楽学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ音楽師又ハ音楽教員タルヘキ者ヲ養成スル所トス

第二条 東京音楽学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任三等以上

教授 奏任

助教授 判任

幹事 奏任四等以下

書記 判任

第三条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第四条 教授ハ七人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教授ハ八人トス教授ノ職掌ヲ助ク

第五条 幹事ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第六条 書記ハ五人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第七条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第八条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


東京盲唖学校官制

第一条 東京盲唖学校ハ文部大臣ノ管理ニ属シ盲唖教育法ノ模範ヲ示シ兼ネテ盲唖ヲ教育スル所トス

第二条 東京盲唖学校ニ左ノ職員ヲ置ク

学校長 奏任

教諭 奏任三等以下

助教諭 判任

幹事 奏任四等以下

書記 判任

第三条 学校長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス

第四条 教諭ハ三人トス生徒ノ教授ヲ掌ル

助教諭ハ十人トス教諭ノ職掌ヲ助ク

第五条 幹事ハ一人トス学校長ノ指揮ヲ承ケ庶務会計ヲ幹理ス

第六条 書記ハ二人トス上官ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第七条 文部大臣ハ校務上ノ須要ニ依リ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其委員ハ文部大臣之ヲ命ス

第八条 教官ノ欠員アルトキ又ハ特別ノ必要アルトキハ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ外国教師ヲ雇入レ又ハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得

此他臨時ノ須要ニ依リ学校長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得


  • 底本中の旧字を新字に改めた。

関連項目

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外部リンク

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この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。