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手話に関する施策の推進に関する法律

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手話に関する施策の推進に関する法律をここに公布する。
御名御璽

    令和七年六月二十五日

法律第七十八号

手話に関する施策の推進に関する法律

目次
 第一章 総則(第一条―第五条)
 第二章 基本的施策(第六条―第十八条)
 附則

   第一章 総則

 (目的)
第一条 この法律は、手話がこれを使用する者にとって日常生活及び社会生活を営む上で言語その他の重要な意思疎通のための手段であることに鑑み、手話の習得及び使用に関する施策、手話文化の保存、継承及び発展に関する施策並びに手話に関する国民の理解と関心の増進を図るための施策(以下「手話に関する施策」という。)に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本となる事項を定めること等により、他の関係法律による施策と相まって、手話に関する施策を総合的に推進することを目的とする。

 (基本理念)
第二条 手話に関する施策は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

一 手話の習得及び使用に関する施策を講ずるに当たっては、手話を必要とする者及び手話を使用する者の意思が尊重されるとともに、手話の習得及び使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるために必要な環境の整備が図られるようにすること。
二 手話が長年にわたり受け継がれてきたものであり、かつ、手話により豊かな文化が創造されてきたことに鑑み、手話文化(手話及び手話による文学、演劇、伝統芸能、演芸その他の文化的所産をいう。以下同じ。)の保存、継承及び発展が図られるようにすること。
三 全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するよう、手話に関する国民の理解と関心を深めるようにすること。

 (国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、手話に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 (障害者基本計画等との関係)
第四条 政府が障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第十一条第一項に規定する障害者基本計画を、都道府県が同条第二項に規定する都道府県障害者計画を、市町村が同条第三項に規定する市町村障害者計画を策定し、又は変更する場合には、それぞれ、当該計画がこの法律の規定の趣旨を踏まえたものとなるようにするものとする。

 (財政上の措置等)
第五条 政府は、手話に関する施策を実施するため必要な財政上又は法制上の措置その他の措置を講じなければならない。

   第二章 基本的施策

 (手話を必要とするこどもの手話の習得の支援)
第六条 国及び地方公共団体は、手話の習得についての理解に資するよう、手話を必要とするこども及びその保護者に対する手話に関する情報の提供、相談及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、手話を必要とするこどもがその希望により手話を習得することができるよう、乳幼児期においてその心身の発達に応じて手話を学習することができる機会の提供、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学及び高等専門学校を除く。)及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。次条において同じ。)の授業その他の教育活動においてその心身の発達に応じて手話を学習することができる機会の提供その他の手話の習得の支援のために必要な施策を講ずるものとする。
3 国及び地方公共団体は、手話を必要とするこどもの手話の習得に資するよう、その保護者及び家族が手話を学習することができる機会の提供、これらの者に対する手話に関する相談及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (学校における手話による教育等)
第七条 国及び地方公共団体は、教育の機会均等の趣旨にのっとり、手話を使用するこどもが在学する学校において、その意向ができる限り尊重されつつ手話による教育を受けることができるよう、手話の技能を有する教員、手話通訳を行う者、手話に関する必要な支援を行う者等が適切に配置されるようにするための取組の推進、手話を使用した教材の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、前項の施策の実施に資するため、手話の技能を有する教員が養成されるようにするための大学及び教員養成機関による取組の促進、手話を使用するこどもが在学する学校の教員に対する手話を使用した指導方法に関する研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
3 国及び地方公共団体は、手話を使用するこどもが学校生活において手話を自由に使用することができる環境の整備が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。

 (大学等における配慮)
第八条 国及び地方公共団体は、大学等(学校教育法第一条に規定する大学及び高等専門学校並びに専修学校、各種学校その他の同条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うものをいう。以下この条において同じ。)において手話を使用する者に対しその意向ができる限り尊重された適切な教育上の配慮がなされるよう、手話通訳を行う者の確保のための大学等による取組の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (職場における環境の整備)
第九条 国及び地方公共団体は、手話を使用する者を雇用し、又は雇用しようとする事業主における手話を使用する者が手話を適切かつ円滑に使用することができる職場環境の整備のための取組が促進されるよう、事業主に対する情報の提供、相談及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (地域における生活環境の整備等)
第十条 国及び地方公共団体は、手話を使用する者が地域において手話を使用して日常生活及び社会生活を円滑に営むことができる環境の整備が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、手話を使用する者が災害その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においてその安全を確保するため必要な情報を迅速かつ確実に取得することができるよう、手話による情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 

 (その他の手話の習得の支援)
第十一条 国及び地方公共団体は、第六条に定めるもののほか、音声言語を習得した後に音声言語による意思疎通を行う上での困難を有することとなった者であって手話を必要とするものその他手話を必要とする者がその希望により手話を習得することができるよう、手話に関する情報の提供、相談及び助言、手話を学習することができる機会の提供その他の手話の習得の支援のために必要な施策を講ずるものとする。

 (手話文化の保存、継承及び発展)
第十二条 国及び地方公共団体は、手話文化の保存、継承及び発展が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策には、文化芸術活動、スポーツ及びレクリエーションを通じて手話文化の保存、継承及び発展が図られるようにするための取組が含まれるものとする。

 (国民の理解と関心の増進)
第十三条 国及び地方公共団体は、手話に関する国民の理解と関心を深めるよう、手話に関する広報活動及び啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、学校教育において手話に関する理解と関心が深められるよう、学校教育において利用できる効果的な手法に関する情報の提供、児童、生徒等が手話を学習することができる機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (手話の日)
第十四条 国民の間に広く手話に関する理解と関心を深めるようにするため、手話の日を設ける。
2 手話の日は、九月二十三日とする。
3 国及び地方公共団体は、手話の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。

 (人材の確保等)
第十五条 国及び地方公共団体は、手話通訳を行う者その他の手話に関する専門的な知識及び技能を有する人材の安定的な確保、養成及び資質の向上のため、研修の機会の確保、適切な処遇の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (調査研究の推進等)
第十六条 国は、手話文化の保存、継承及び発展に資するよう、手話文化に関する調査研究の推進、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、手話の習得のための効果的な手法の開発、手話による円滑な意思疎通を図るためのデジタル技術その他の先端的な技術を活用した機器等の開発、手話の習得及び使用に関する調査研究等の推進並びにその成果の普及のために必要な施策を講ずるものとする。  

 (国際交流の推進)
第十七条 国は、手話に関する国際交流を推進するため、手話を使用する者の国際的交流の支援、手話文化に関する情報の交換等の活動の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (意見の反映)
第十八条 国は、手話に関する施策の策定及び実施に資するよう、手話を使用する者その他の関係者の意見を聴き調査審議を行う等、その意見を国の施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)
2 この法律の規定については、この法律の施行後おおむね五年を目途として、その施行の状況等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

内閣総理大臣 石破  茂
文部科学大臣 阿部 俊子
厚生労働大臣 福岡 資麿

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