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学制

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条文構成

○二百十四号(八月二日)

人々自ラ其身ヲ立テ其産ヲ治メ其業ヲ昌ニシテ以テ其生ヲ遂ル所以ノモノハ他ナシ身ヲ修メ智ヲ開キ才芸ヲ長スルニヨルナリ而テ其身ヲ脩メ智ヲ開キ才芸ヲ長スルハ学ニアラサレハ能ハス是レ学校ノ設アル所以ニシテ日用常行言語書算ヲ初メ士官農商百工技芸及ヒ法律政治天文医療等ニ至ル迄凡人ノ営ムトコロノ事学アラサルハナシ人能ク其才ノアル所ニ応シ勉励シテ之ニ従事シ而シテ後初テ生ヲ治メ産ヲ興シ業ヲ昌ニスルヲ得ヘシサレハ学問ハ身ヲ立ルノ財本共云ヘキ者ニシテ人タルモノ誰カ学ハスシテ可ナランヤ夫ノ道路ニ迷ヒ飢餓ニ陥リ家ヲ破リ身ヲ喪ノ徒ノ如キハ畢竟不学ヨリシテカヽル過チヲ生スルナリ従来学校ノ設アリテヨリ年ヲ歴ルコト久シト雖トモ[1]或ハ其道ヲ得サルヨリシテ人其方向ヲ誤リ学問ハ士人以上ノ事トシ農工商及ヒ婦女子ニ至ツテハ之ヲ度外ニヲキ学問ノ何物タルヲ弁セス又士人以上ノ稀ニ学フ者モ動モスレハ国家ノ為ニスト唱ヘ身ヲ立ルノ基タルヲ知ラスシテ或ハ詞章記誦ノ末ニ趨リ空理虚談ノ途ニ陥リ其論高尚ニ似タリト雖トモ[1]之ヲ身ニ行ヒ事ニ施スコト能ハサルモノ少カラス是即チ沿襲ノ習弊ニシテ文明普ネカラス才芸ノ長セスシテ貧乏破産喪家ノ徒多キ所以ナリ是故ニ人タルモノハ学ハスンハ有ヘカラス之ヲ学フニハ宜シク其旨ヲ誤ルヘカラス之ニ依テ今般文部省ニ於テ学制ヲ定メ追々教則ヲモ改正シ布告ニ及フヘキニツキ自今以後一般ノ人民華士族[2]農工商及婦女子必ス邑ニ不学ノ戸ナク家ニ不学ノ人ナカラシメン事ヲ期ス人ノ父兄タル者宜シク此意ヲ体認シ其愛育ノ情ヲ厚クシ其子弟ヲシテ必ス学ニ従事セシメサルヘカラサルモノナリ高上ノ学ニ至テハ其人ノ材能ニ任カスト雖トモ幼童ノ子弟ハ男女ノ別ナク小学ニ従事セシメサルモノハ其父兄ノ越度タルヘキ事

但従来沿襲ノ弊学問ハ士人以上ノ事トシ国家ノ為ニスト唱フルヲ以テ学費及其衣食ノ用ニ至ル迄多ク官ニ依頼シ之ヲ給スルニ非サレハ学ハサル事ト思ヒ一生ヲ自棄スルモノ少カラス是皆惑ヘルノ甚シキモノナリ自今以後此等ノ弊ヲ改メ一般ノ人民他事ヲ抛チ自ラ奮テ必ス学ニ従事セシムヘキ様心得ヘキ事

右之通被 仰出候条地方官ニ於テ辺隅小民ニ至ル迄不洩様便宜解訳ヲ加ヘ精細申諭文部省規則ニ隨ヒ学問普及致候様方法ヲ設可施行事

今般被 仰出候旨モ有之教育ノ儀ハ自今尚又厚ク御手入可有之候処従来府県ニ於テ取設候学校一途ナラス加之其内不都合ノ儀モ不少依テ一旦悉令廃止今般定メラレタル学制ニ循ヒ其主意ヲ汲ミ更ニ学校設立可致候事

但外国教師雇入有之場所ハ当省ヨリ官員ヲ派出シ地方官協議ノ上可及処分候条夫迄ノ処生徒教授向等不都合無之様可取計尤当省出張ヲ不待学制ノ目的ニ依リ成丈相運候様可致事

壬申七月

文部

学制

大中小学区之事[3]

第一章 全国ノ学政ハ之ヲ文部一省ニ統フ

第二章 全国ヲ大分シテ八大区トス之ヲ大学区ト称シ毎区大学校一所ヲ置ク

第三章 大学区ノ分別左ノ如シ[4]

第一大区
東京府 神奈川県 埼玉県 入間 木更津県 足柄県 印旛県 新治県
茨城県 群馬 栃木県 宇都宮県 山梨 静岡県
計一府十三県東京府ヲ以テ大学本部トス
第二大区
愛知県 額田県 浜松県 犬上県[5] 岐阜県 三重県 度会県
計七県[5]愛知県ヲ以テ大学本部トス
第三大区
石川県 七尾県[5] 新川県 足羽県 敦賀県 筑摩県
計六県[5]石川県ヲ以テ大学本部トス
第四大区
大阪府 京都府 兵庫県 奈良県 和歌山県 飾磨県 豊岡県
高知県 名東県 香川県 岡山県 滋賀県
計二府十一県大阪府ヲ以テ大学本部トス
第五大区
広島県 鳥取県 島根県 北条県 小田県 石鉄県 神山県 山口県
浜田県
計九県広島県ヲ以テ大学本部トス
第六大区
長崎県 佐賀県 八代県 白川県 美々津県 都城県 鹿児島県 小倉県
大分県 福岡県 三潴県
計十一県長崎県ヲ以テ大学本部トス
第七大区
新潟県 柏崎県 置賜県 酒田県 若松県 長野県 相川県
計七県新潟県ヲ以テ大学本部トス
第八大区
青森県 福島県 磐前県 水沢県 岩手県 秋田県 山形県 宮城県
計八県青森県ヲ以テ大学本部トス
総計三府七十二県[5]

第四章 北海道ハ当分第八大区ヨリ之ヲ管ス他日別ニ区分スヘシ

第五章 一大学区ヲ分テ三十二中区トシ之ヲ中学区ト称ス区毎ニ中学校一所ヲ置ク全国八大区ニテ其数二百五十六所トス[6]

第六章 一中学区ヲ分テ二百十小区トシ之ヲ小学区ト称ス区毎ニ小学校一所ヲ置ク一大区ニテ其数六千七百二十所全国ニテ五万三千七百六十所トス[6][7]

第七章 中学区以下ノ区分ハ地方官其土地ノ広狭人口ノ疎密ヲ計リ便宜ヲ以テ郡区村市等ニヨリ之ヲ区分スヘシ

第八章 一中区内学区取締十名乃至十二三名ヲ置キ一名ニ小学区二十或ハ三十ヲ分チ持タシムヘシ此学区取締ハ専ラ区内人民ヲ勧誘シテ務テ学ニ就カシメ且学校ヲ設立シ或ハ学校ヲ保護スヘキノ事或ハ其費用ノ便用ヲ計ル等一切其受持所ノ小学区内ノ学務ニ関スル事ヲ担任シ又一中区内ニ関スル事ハ互ニ相論議シ専ラ便宜ヲ計リ区内ノ学事ヲ進歩セシメンヿヲ務ムヘシ

第九章 学区取締ハ地方官ニ於テ之ヲ命スヘシ

但其人名ハ本省督学局ニ届クヘシ督学局ハ第十五章ニ見ユ

第十章 学区取締ハ其土地ノ居民名望アル者ヲ撰ムヘシ

但戸長里正等ヲシテ兼ネシムルモ妨ケナシトス[8]

第十一章 学区取締給料ハ当分其土地ノ情態ニヨリテ之ヲ定ムヘシ此給料ハ土地ヨリ出スヘキモノトス然トモ[1]事実止ヲ得サルモノハ姑ク官ヨリ其幾分ヲ助給スヘシ[8]

第十二章 一般人民華士族[2]農工商及婦女ノ学ニ就クモノハ之ヲ学区取締ニ届クヘシ若シ子弟六歳以上ニ至リテ学ニ就カシメサルモノアラハ委シク其由ヲ学区取締ニ届ケシムヘシ私塾家塾ニ入リ及ヒ已ムヲ得サル事アリテ師ヲ其家ニ招キ稽古セシムルモ皆就学ト云フヘシ

第十三章 学区取締ハ毎年二月区内人民子弟六歳以上ナルモノヽ前年学ニ就モノ幾人学ニ就カサルモノ幾人ト第一号ノ式ノ如ク表ヲ作リ之ヲ地方官ニ出シ地方官之ヲ集メテ四月中督学局ニ出スヘシ

第十四章 官立私立ノ学校及私塾家塾ヲ論セス其学校限リ定ムル所ノ規則及生徒ノ増減進否等ヲ書記シ毎年二月[5]学区取締ニ出スヘシ学区取締之ヲ地方官ニ出シ地方官之ヲ集メテ四月中督学局ニ出スヘシ[2][9][8][10]

学校ヨリ出ス書記ハ三紙トシ一紙ハ学区取締ニ留置キ一紙ハ地方官ニ留メ一紙ハ督学局ニ出スヲ法トス

大学及外国教師アル校ニ於テハ直ニ地方官督学局ニ出スモ妨ケナシ

但大学及外国教師アル校ニ於テモ学区取締其心得ノ為メ規則並ニ生徒ノ増減進否等ヲ知ランヿヲ求メハ丁寧ニ之ヲ告クヘシ[2]

第十五章 大学本部毎ニ督学局一所ヲ設ケ督学ヲ置キ附属官員数名之ニ充テ本省ノ意向ヲ奉シ地方官ト協議シ大区中ノ諸学校ヲ督シ及教則ノ得失生徒ノ進否等ヲ検査シ論議改正スルヿアルヘシ

但大事ハ決ヲ本省ニ取リ小事ハ其時々之ヲ本省ニ開申スヘシ[2]

第十六章 督学局ニ於テハ毎年学区取締ヨリ出ス所ノ表並ニ諸学校ヨリ出ス所ノ書記トヲ以テ学校及生徒進歩ノ状態並ニ六歳以上ノ男女学ニ就クモノ幾人就カサルモノ幾人等ノ表ヲ製シ本省ニ送リ本省ニテ之ヲ上梓公告スヘシ

第十七章 督学局ハ総テ地方官ト協議スヘシトイヘトモ[1]直ニ学区取締ヲ呼出シ本局ノ意向ヲ諭示スルヿアルヘシ

第十八章 地方官ハ総テ督学局ニ協議スヘシ

但督学局完全ナラサルノ間ハ総テ本省ニ申出ツヘシ

第十九章 地方官ニ於テハ学務専任ノ吏員一二名ヲ置キ部内ノ学事ヲ担任セシムヘシ其人名ハ兼テ本省並ニ督学局ニ届ケ置クヘシ

○学校ノ事[11]

第二十章 学校ハ三等ニ区別ス大学中学小学ナリ学校教則書ハ別冊アリ

○小学[12]

第二十一章 小学校ハ教育ノ初級ニシテ人民一般必ス学ハスンハアルヘカラサルモノトス之ヲ区分スレハ左ノ数種ニ別ツヘシ然トモ[1]均ク之ヲ小学ト称ス即チ尋常小学女児小学村落小学貧人小学小学私塾幼稚小学ナリ[2]

第二十二章 幼稚小学ハ男女ノ子弟六歳迄ノモノ小学ニ入ル前ノ端緒ヲ教ルナリ

第二十三章 小学私塾ハ小学教科ノ免状アルモノ私宅ニ於テ教ルヲ称スヘシ

第二十四章 貧人小学ハ貧人子弟ノ自活シ難キモノヲ入学セシメン為ニ設ク其費用[2]ハ富者ノ寄進金[2]ヲ以テス是専ラ仁恵ノ心ヨリ組立ルモノナリ仍テ仁恵学校トモ称スヘシ

第二十五章 村落小学ハ僻遠ノ村落農民ノミアリテ教化素ヨリ開ケサルノ地ニ於テ其教則ヲ少シク省略シテ教ルモノナリ或ハ年巳ニ成長スルモノモ其生業ノ暇来リテ学ハシム是等ハ多ク夜学校アルヘシ

第二十六章 女児小学ハ尋常小学教科ノ外ニ女子ノ手芸ヲ教フ

第二十七章 尋常小学ヲ分テ上下二等トス此二等ハ男女共必ス卒業スヘキモノトス教則別冊アリ

下等小学教科[13]
字綴 読並盤上習字 習字 字形ヲ主トス
単語  会話 
読本 解意 修身 解意
書牘 解意並盤上習字 文法 解意
算術 九々数位加減乗除但洋法ヲ用フ 養生法講義
十一 地学大意 十二 理学大意[2]
十三 体術 十四 唱歌 当分之ヲ欠ク
上等小学ノ教科ハ下等小学教科ノ上ニ左ノ条件ヲ加フ
史学大意 幾何学罫画大意[2]
博物学大意 化学大意[2]
其他ノ形情ニ因テハ学科ヲ拡張スル為メ左ノ四科ヲ斟酌シテ教ルヿアルヘシ
外国語学ノ一二 記簿法
画学[2] 天球学[2]

下等小学ハ六歳ヨリ九歳マテ上等小学ハ十歳ヨリ十三歳マテニ卒業セシムルヲ法則トス但事情ニヨリ一概ニ行ハレサル時ハ斟酌スルモ妨ケナシトス

第二十八章 右ノ教科順序ヲ蹈マスシテ小学ノ科ヲ授ルモノ之ヲ変則小学ト云フ

但私宅ニ於テ之ヲ教ルモノハ之ヲ家塾トス

○中学

第二十九章 中学ハ小学ヲ経タル生徒ニ普通ノ学科ヲ教ル所ナリ分テ上下二等トス二等ノ外工業学校商業学校通弁学校農業学校諸民学校アリ此外廃人学校アルヘシ[2]

下等中学教科[13]
国語学 数学[2]
習字 地学
史学 外国語学
理学[2] 画学[2]
古言学 幾何学[2]
十一 記簿法 十二 博物学
十三 化学 十四 修身学
十五 測量学[2] 十六 奏楽 当分缺ク
上等中学教科[13]
国語学 数学[2]
習字 外国語学
理学[2] 罫画
古言学 幾何代数学[2]
記簿法 化学
十一 修身学 十二 測量学
十三 経済学 十四 重学[2]
十五 動植地質鉱山学[2]

下等中学ハ十四歳ヨリ十六歳マテ上等中学ハ十七歳ヨリ十九歳マテニ卒業セシムルヲ法則トス

第三十章 当今中学ノ書器未タ備ラス此際在来ノ書ニヨリテ之ヲ教ルモノ或ハ学業ノ順序ヲ蹈マスシテ洋語ヲ教ヘ又ハ医術ヲ教ルモノ通シテ変則中学ト称スヘシ

但私宅ニ於テ教ルモノハ之ヲ家塾トス

第三十一章 当今外国人ヲ以テ教師トスル学校ニ於テハ大学教科ニ非サル以下ハ通シテ之ヲ中学ト称ス

第三十二章 私宅ニアリテ中学ノ教科ヲ教ルモノ教師タルヘキ証書ヲ得ルモノハ中学私塾ト称スヘシ其免状ナキモノハ之ヲ家塾トス

第三十三章 諸民学校ハ男子十八歳女子十五歳以上ノモノニ生業ノ間学業ヲ授ケ又十二歳ヨリ十七歳マテノ者ノ生業ヲ導カンカ為メ専ラ其業ヲ授ク故ニ多ク夜分ノ稽古アラシムヘシ

第三十四章 農業学校ハ小学ヲ経テ農業ヲ治メントスルモノヽ為ニ設ク

第三十五章 通弁学校ハ専ラ通弁ノ事ヲ主トス或ハ商人等交易ノ為メ専ラ通弁ノミヲ志スモノ此校ニ入ル

但外国教師アリト雖トモ[1]只語学ノミヲ教ル者ハ之ヲ通弁学校ト称ス

第三十六章 商業学校ハ商用ニ係ルヿヲ教フ海内繁盛ノ地ニ就テ数所ヲ設ク

第三十七章 工業学校ハ諸工術ノヿヲ教フ

○大学

第三十八章 大学ハ高尚ノ諸学ヲ教ル専門科ノ学校ナリ其学科大略左ノ如シ

理学
化学[2] 法学 医学 数理学[2]

第三十九章 小学校ノ外師範学校アリ此校ニアリテハ小学ニ教ル所ノ教則及其教授ノ方法ヲ教授ス当今ニ在リテ極メテ要急ナルモノトス此校成就スルニ非サレハ小学ト雖トモ[1]完備ナルヿ能ハス故ニ急ニ此校ヲ開キ其成就ノ上小学教師タル人ヲ四方ニ派出センヿヲ期ス

○教員ノ事[14]

第四十章 小学教員ハ男女ヲ論セス年齢二十歳以上ニシテ師範学校卒業免状或ハ中学免状ヲ得シモノニ非サレハ其任ニ当ルヿヲ許サス

第四十一章 中学校教員ハ年齢二十五歳以上ニシテ大学免状ヲ得シモノニ非サレハ其任ニ当ルヿヲ許サス

第四十二章 大学校教員ハ学士ノ称ヲ得シモノニ非サレハ許サス

以上三章ハ其目的ヲ示ス数年ノ後ヲ待テ之ヲ行フヘシ後章ハ現今ノ位ニ応シテ之ヲ許スモノトス

第四十三章 私学私塾及家塾ヲ開カント欲スル者ハ其属籍住所事歴及学校ノ位置教則等ヲ詳記シ学区取締ニ出シ地方官ヲ経テ督学局ニ出スヘシ[15]

第四十四章 私学私塾教員タルモノ総テ規則ニ違ヒ或ハ不行状アル時ハ之ヲ譴責シ又ハ之ヲ止メシムルヿアルヘシ

第四十五章 師範学校ニ於テ教授ヲ受ケタル教員ハ他ノ職務ヲ兼ネ及他ニ転スヘカラサルヲ法トス

第四十六章 小学教員ハ男女ノ差別ナシ其才ニヨリ之ヲ用フヘシ

第四十七章 教員生徒ヲ教授スルノ功他ニ秀越スルモノアル時ハ公私学校私塾ヲ問ハス督学局地方官ト協議シ之ヲ本省ニ乞テ之ニ褒賞ヲ与フ

生徒及試業ノ事[16]

第四十八章 生徒ハ諸学科ニ於テ必ス其等級ヲ蹈マシムルヿヲ要ス故ニ一級毎ニ必ス試験アリ一級卒業スル者ハ試験状ヲ渡シ試験状ヲ得ルモノニ非サレハ進級スルヲ得ス

第四十九章 生徒学等ヲ終ル時ハ大試験アリ小学ヨリ中学ニ移リ中学ヨリ大学ニ進ム等ノ類

但大試験ノ時ハ学事関係ノ人員ハ勿論其請求ニヨリテハ[2]他官員トイヘトモ[1]臨席スルヿアルヘシ

第五十章 私学私塾生徒モ其義前二章ニ同シ

第五十一章 試験ノ時生徒優等ノモノニハ褒賞ヲ与フルヿアルヘシ

第五十二章 生徒ノ内学業鋭敏後来大成スヘキノ目的アレトモ[1]学資ヲ納ルヿ能ハス及其衣食ヲ給スルヿ能ハサルモノニハ費用ヲ給貸スルヿアルヘシ但成業ノ後年割ヲ以テ之ヲ償フトモ或ハ官ニ奉事シテ使役ヲ受ルトモ命ニ随フヘキノ証書ヲ出サシメ年限ヲ定メ其費用ヲ貸与ス是ヲ三等ニ分ツ年割ヲ以テ償ヒ還スハ其学業ヲ離テ五年ノ後ヨリスヘシ病死等アルトキ[1]ハ之ヲ棄ツ[15][17]

公費ヲ受ル二年ノ者

同三年ノ者

同五年ノ者

此生徒八大区ニ平分シテ全国千五百人ト限ル故ニ缺員アルニ非サレハ増加スルヿヲ得ス

二年公費ヲ受クル者ハ官ニ使役スルヿ四年償還スルハ六年ヲ以テス

三年ノ者ハ使役七年償還九年

五年ノ者ハ使役十一年償還十五年

此生徒一人ノ費用一年百二十両一切官ニ於テ之ヲ賄フ[2]

但使役ノ間ハ相当ノ歳俸ヲ給スルハ勿論タルヘシ若其役ヲ奉セサルモノハ前ノ官費ヲ償フヘシ

第五十三章 私学私塾生徒モ其義前章ニ同シ

第五十四章 生徒ニ費用ヲ給貸スルニハ其父兄及本人ヨリ証書ヲ出サシメ且其修業シタル学科ノ証書ヲ出サシム検査法及証書式等ハ別冊アリ

第五十五章 生徒ニ費用ヲ給貸スルニハ其学業ヲ授ケシ教師ヨリ其生徒学業鋭敏後来大ニ成ルヘキノ目的アルノ状並ニ其曽テ進級セシ処ノ学科ノ証書ヲ具ヘ幾年ノ公費ヲ給スヘキ云々等教師見込ヲ詳記シ之ヲ督学局ニ達スヘシ校長[2]アル校[2]ニ在テハ校長[2]其見込ヲ添ヘ之ヲ達スヘシ督学局之ヲ地方官ニ議シ其貧困ノ状ヲ詳ニシ而シテ後其学業ヲ試験[2]シ本省ヘ申達スヘシ

但此生徒ハ公私大中小学ニ抅ハラス且試験[2]ハ地方官学務掛立会ヲ以テ法トスヘシ

第五十六章 師範学校ノ生徒ハ第五十二章ニ定ムル所ノ生徒員数ノ内ヨリ之ヲ採ルヘシ

但当今設クル所ノ師範学校ノ生徒ハ此限ニアラス

第五十七章 第五十二章ニ定ム所ノ生徒ノ外ニ公撰生ヲ設ク此ノ公撰生ハ他日之ヲ論定ス

海外留学生規則ノ事[18]

第五十八章 海外留学生徒ハ都テ本省ニ於テ之ヲ管轄ス[19]

第五十九章 留学免状ハ本省ニ於テ渡スヘシ

但渡海免状ハ外務省ヨリ受取リ相渡スヘシ

第六十章 留学中諸般ノ事件ハ弁務使[20]ヘ依頓シ其指令ニ従フヘシ且生徒ノ中人撰ノ上生徒総代ノ者一人或ハ幾人弁務使[20]ヨリ申付ヘシ

第六十一章 留学ニ官撰ト私願トノ別アリ官私共都テ本省ニ於テ之ヲ達スヘシ

第六十二章 官撰留学生ヲ撰ムニ二等ノ差アリ一ヲ初等留学生トシ一ヲ上等留学生トス

第六十三章 初等留学生ハ中学卒業ノモノヨリ撰ム上等留学生ハ大学ノ学科卒業ノモノヨリ撰ム

第六十四章 初等留学生ハ禀性誠実達敏ニシテ十九歳以上二十五歳迄ノ者小学初級ヨリ順次進級シ中学ノ課程ヲ卒業セシ証書アルモノヲ公ニ撰挙スヘシ

但国内大学校ニ入リテ研業センヿヲ願フ者ハ撰ニ当ル人トイヘトモ[1]其情願ニ任スヘシ

第六十五章 初等留学生ヲ撰ムニハ其学業ヲ授ケシ教師ヨリ生徒中学卒業試験[2]ノ証書ヲ具ヘ其撰挙見込ヲ詳記シ之ヲ督学局ニ達ス督学局之ヲ試験[2]シ甲第ノモノハ即チ其試験[2]ノ始末ヲ詳記シ本省ニ出シ其允可ヲ得ルヲ法トス

但試験[2]ノ時ハ本省官員ハ勿論其請求ニヨリテハ[2]他官員タリトモ臨席スルヿアルヘシ

第六十六章 官撰留学生ハ第六十四章第六十五章ニ定ル所ノ規則ニ随ヒ其進級ノ順序確実ニシテ後来成業ノ目的アルニ於テハ生徒公私ノ差別アルヿナシ

第六十七章 官撰留学生ノ学科ハ官ヨリ命スヘシト雖モ当人ノ望ミト其教師ノ見込トニヨルヿアルヘシ故ニ当人ノ望ミ其ノ科ヲ修業スルニアレハ教師ノ思考果シテ適当スルヤ否ヲ詳記シ試験ノ節教師ヨリ之ヲ出スヲ法トス

但此記載ハ両紙ヲ出スヘシ一紙ハ之ヲ本省ニ留メ一紙ハ之ヲ弁務使[20]ニ遣ハス

第六十八章 官撰留学生外国ヘ着セハ某地ニアリテ某ノ学校ニ入リ某ノ人ニ従テ某科ヲ学フ等ノ事ヲ詳記シ本省ヘ届クヘシ

但シ八ケ月ヲ越テ其報ナキ時ハ即弁務使[20]ニ掛合ヒ呼戻スヘシ

第六十九章 官撰留学生ハ外国ニアリテ学科進級ノ時ハ必ス本省ニ届クヘシ

第七十章 官撰留学生帰 朝ノ時ハ某外国ニアリテ研業セシ所ノ状ヲ具シ本省ヘ出スヘシ本省ニ於テ之ヲ試験スルヲ法トス

但外国ニ於テ大学卒業ノ免状アルモノハ試験ニ及ハス[21]

第七十一章 大学校ニ於テ専門ノ学科ヲ卒業セシモノハ官撰ヲ以テ順次順次トハタトヘハ大学科卒業ノモノ幾人アルニ教師試験ヲナシ其内甲第ノモノ一人若クハ二人ヲ採リテ上等生ノ撰ニ当ツヘシ而シテ下第ノモノハ半年若クハ一年ヲ経テ前ノ如ク撰擢スルヲ云フ海外ニ派出シ其業ヲシテ一層精密錬熟セシム是ヲ上等留学生トス

第七十二章 初等留学生ハ通常年限満五年ニ過クヘカラス

第七十三章 上等留学生ハ通常年限満三年トスヘシ

第七十四章 初等留学生ハ一年ノ[2]定員百五十人ト定ム

第七十五章 上等留学生ハ定員ナシトイヘトモ[1]多キモ三十人ニ過クヘカラス

第七十六章 大学設置ノ日ニ当ツテ中等留学生ヲ設クルハ其時ニヨルヘシ

第七十七章 初等留学生学資

初二年 九百ドルラル[22]

但止ムヲ得ス都下ニ滞在スヘキモノハ千ドルラル[22]ヲ給スヘシ

後三年 千ドルラル[22]

但往返途中旅費ハ定限ノ外タリ支度料ハ上程前学資一ケ月分ニ当ル高ヲ賜フ

第七十八章 上等留学生学資

千五百ドルラル[22]ヨリ千八百ドルラル[22]

但往返旅費支度料前章ニ同シ

第七十九章 私願留学生ハ官費ニ拘ラストイヘトモ[1]学科上ニ於テハ官撰留学生ニ准スヘシ唯精密ノ検査ヲ受ケサルノミ

第八十章 留学私願ノモノハ其教師ヨリ見込ヲ詳記スルヿ第六十五章ノ如クシ之ヲ本省ニ出スヘシ本省ニ於テ其見込書ヲ以テ検査ノ上可否スヘシ

但研業セシ所ノ学科規則ニ入ラサルモノハ留学ノ名義ヲ免サス

第八十一章 私願留学ハ年限其人ノ望ミニ任スヘシ

但一ケ年大概六七百ドルラル[22]以上ヲ費スニ非サレハ留学為シ難キヲ以テ其員数ヲ出スヿ能ハサルモノハ之ヲ許サス

第八十二章 留学中居所転換ハ官私共止ムヲ得サル事故アルニ非サレハ容易ニ許サス必弁務使[20]ノ指揮ヲ待ヘシ

第八十三章 留学中疾病事故等アルトキハ其費別ニ弁務使ヨリ受取リ私費留学ノモノハ此地ニ於テ之ヲ本省ヘ上納スヘシ[20]

第八十四章 公費ノ生徒ハ上程ノ節学費一年分ヲ渡シ翌年ヨリハ前半年分米国ハ前年九月欧洲ハ前年七月後半年分米国ハ其年ノ三月欧洲ハ其年ノ正月本省ヨリ弁務使ヘ迴送スヘシ私費ノモノモ之ニ同シ故ニ私費ノ分ハ前以テ本省ニ納ムヘシ

第八十五章 官撰留学生ハ帰 朝ノ上必官ニ奉職スルカ又ハ官費ヲ償還スルカ共ニ命ニ随フヘキノ証書ヲ出スヿ等第五十二章ニ同シ

但奉職十一年償還十五年ヲ限トス

第八十六章 生徒留学中言行ヲ慎ミ学業ヲ勉メ国体ヲ汚サヽルヤウ日夜心ヲ用ユヘシ若シ懶惰或ハ不行状ニシテ前途ノ見込之ナキモノハ直ニ之ヲ呼戻スヘシ

第八十七章 其地ノ弁務使[20]ニ於テ常ニ生徒ヲ監視シ毎年生徒ノ勤惰進退等明細表ヲ作リ之ヲ本省ヘ送リ即本省ニ於テ上梓公告スヘシ

第八十八章 時ニ因テ留学ノ定規ヲ変スヘキ件々ハ本省ト弁務使[20]ト絶ヘス往復商量シテ之ヲ改ムヘシ

○学費ノ事[23]

第八十九章 学事ニ関係スル官金ハ定額ニヨリ本省ニ於テ一切之ヲ管知スルヿ

但教育ノ設ハ人々自ラ其身ヲ立ルノ基タルヲ以テ其費用ノ如キ悉ク政府ノ正租ニ仰クヘカラサル論ヲ待タス且広ク天下ノ人々ヲシテ必ス学ニ就カシメンヿヲ期スレハ政府正租ノ悉ク給スル所ニアラス然レトモ[1]方今ニアツテ人民ノ智ヲ開クヿ極メテ急務ナレハ一切ノ学事ヲ以テ悉ク民費ニ委スルハ時勢未タ然ル可カラサルモノアリ是ニ因テ官力ヲ計リ之ヲ助ケサルヲ得ストイヘトモ[1]官ノ助ケアルヲ以テ従来ノ弊ニ依著ス可ラス御布告ニヨル

第九十章 凡人民ヲシテ学ニ就カシムル勉メテ広普ナルヲ欲ス故ニ官金ヲ以テ学事ヲ助クルモノノ如キハ必民ノ及ハサルモノヲ助クルニアリ決シテ偏重ノ事アルヘカラス士ヲ学ハシメテ農工商ヲ学ハシメス或ハ富者ニ衣食ヲ給シテ学ハシメ貧ナル者学フヿヲ得ス或ハ一人ニ数百金ヲ費ヤシテ学ハシメ衆人学フヿヲ得サル類ノ如キヿ有ルヘカラス

第九十一章 生徒衣食ノ費用或ハ官金ヲ以テ之ニ給シ以テ当然トス是従来ノ弊ナリ公私学校ノ生徒衣食ノ用ヲ供スルヿ一切之ヲ廃止スヘシ

第九十二章 当今学事ヲ助クルニ官金ヲ以テスルモノ左ノ目的ノ外ニ出ツヘカラス

一外国教師ノ俸給並ニ外国人ニ係ル費用方今才芸ヲ進ムルニハ外国芸術ノ実用ヲ採ルニアリ即外国教師ヲ仮ラサルヲ得ス而シテ[24]此俸給ハ生徒弁シ得ルヿ能ハス仍テ官ヨリ之ヲ助ク

一大学校ノ営繕及大学校ニ備フヘキ書籍器械学校営繕ノ如キハ完全ナルニ非サレハ姑息ノ弊止マスシテ生徒ノ学業ヲ妨クル甚多シタトヒ完全ナラスト雖トモ[1]其費用少シトセス究理舎密[2]其他百工技術必器械ヲ以テ之ヲ教授ス此等ノ費生徒悉ク弁シ得ル能ハス仍テ官ヨリ之ヲ助ク

一中学校ニ於テモニ同シ

一生徒ニ費用ヲ給貸スルノ費第五十二章ヲ見合スヘシ及留学生公撰生ノ費用

一学区ヲ助クル費第九十八章第九十九章第百章ニ載スル所ヲ見合スヘシ

第九十三章 諸学校ニ於テ需ツ所ノ費用ノ条件左ノゴトシ

一教師ノ歳俸或ハ其居宅ノ屋賃

一学区取締給料

一学校僕役入費

一学校造営及修理ノ入費或ハ人家ヲ借テ学校トスル時ハ其借賃

一学校諸器械教授器械或ハ修覆

一学校ニ用ル薪炭油筆紙墨ノ費

一試業ノ入用

一体術器械ノ入用

此数件ノ全費ハ生徒之ヲ弁スヘキモノナリ然レトモ[1]悉ク生徒ヨリ出サシムルトキハ生徒ノ力及ハスシテ学業之力為ニ滞稽スヘシ故ニ官ヨリ之ヲ助クト雖トモ[1]生徒固ヨリ幾分ノ受業料ヲ納メサル可ラス

第九十四章 大学校ニアリテハ生徒ノ受業料一月七円五十銭ヲ相当トス外ニ六円四円ノ二等ヲ設ケ相当ノ受業料ヲ納ル能ハサルモノヽ為ニス中学校ニアリテハ一月五円五十銭ヲ相当トス外ニ三円五十銭二円ノ二等ヲ設ク小学校ニアリテハ一月五十銭ヲ相当トス外ニ二十五銭ノ一等ヲ設ク

但相当ノ受業料ヲ納ル能ハサルモノハ戸長里正之ヲ証シ学区取締ヲ経テ其学校ニ出シ許可ヲ受クヘシ

第九十五章 一家二人ノ子弟ヲ学校ニ入ル者ハ戸長若クハ里正ノ証ヲ待タスシテ其由ヲ陳シ下等ノ受業料ヲ納ムヘシ三人以上アル時ハ二人ノ外受業料ヲ出スニ及ハス

第九十六章 諸学校に於テハ第九十四章定ル所ノ受業料ヲ以テ便宜ヲ計リ其学校ヲ保護スルヿヲ要スヘシ然レトモ[1]生徒ノ多少ト学校ノ高下トニヨツテ其保護スルノ費過不足ヲ生スヘシコレハ其校ノ情態ニ応シ少シク受業料ヲ斟酌スルヿ妨ケナシトス

但大学校及外国教師アル中学校ニ於テハ多分ノ不足生スルハ言ヲ待タス是官ノ助カアル所以トイヘトモ[1]各校ノ情態同ラサルモノアルヲ以テ之ニ応シ亦少シク受業料ヲ糾酌スルヿアルヘシ中小学校トイヘトモ[1]学区人民ノ貧富等ニヨツテハ少シク斟酌スルモ妨ケナシ

第九十七章 定ル所ノ受業料ハ当今ニアリテ一概ニ行ハレサル事アラハ便宜ニ随ヒ各区ノ情態及学校ノ事情ニヨリテ暫ク下等ヨリ少ク定ムルヿアルヘシ

第九十八章 凡学校ヲ設立シ及之ヲ保護スルノ費用ハ中学ハ中学区ニ於テシ小学ハ小学区ニ於テ其責ヲ受クルヲ法トス故ニ官金ヲ以テ之ヲ助クルモノハ学区ヲ助クルモノナリ区ノ情態ニヨリ人口ニ平均シ毎年出金セシムルカ或ハ一時富人ヨリ出金セシムルカ或ハ地方ニテ旧来ノ積金等学校ニ費ヤシテ妨ケナキモノアルトキハ其金ヲ以テ融通セシムルカ其他幾様ノ便宜ハ土地ノ事情ニ随フヘシ[25]

第九十九章 教育ヲシテ普及ナラシメンカ為メ府県ニ委托シ其学区ヲ助クルノ金額左ノ如シ[26]

人員男女共一万人ニ付━━━━━━ノ割[17]

金━━━━━━━━━━━両三府七十二県[17]

此金高━━ハ其三分ノ二ヲ出シ━━━迄学区其他今般定ル所ノ規則ヲ立ツ可キノ基礎ヲ定ムヘシ基礎巳ニ定ツテ此全額ヲ出ス[17]

此金額ハ━━━ヨリ向五ケ年━━━ヲ一期トシテ之ヲ定ム一期以後ノ増減ハ其時ノ議決ニヨルヘシ[17]

此金ノ遣払ハ毎年六ケ月毎ニ詳記シ本省ヘ届クヘシ本省ニ於テ委シク上梓公告スヘシ

第百章 前章定ムル所ノ金額ハ務テ民力ノ及ハサル所ヲ助クルヲ以テ目的トス是故ニ尋常容易ノ事ニ使用スヘカラス

但此金専ヲ小学ヲ広普シテ学則完整ナラシムルカ為ニ用フヘシタトヘハ小学校ヲ設立セシメン為学区積金ノ幾分ヲ助ケ学区ニ托シ其使用ヲ為スヿ学区貧ニシテ力足ラサル時其幾分ヲ助クルヿ止ムヲ得サル情故アリテ小学教師ヲ官ヨリ遣ス時其給俸ヲ助クルヿ貧困ノ生徒受業料ヲ出スヿ能ハサルモノニ其幾分ヲ助クルヿ完全ノ学校ヲ設クル為メ其営繕等ノ用ヲ一時融通スルヿ器械書籍体術等ヲ備フル為メ一時融通スルヿ学区取締ノ給料幾分ヲ助クルヿ等

第百一章 額金ノ内五分ヲ引キ別ニ之ヲ備ヘ置キ師範学校ニ於テ教授ヲ受ケシモノ後来小学ノ教師トナル時ニ其給料ヲ与フルノ助ケトスヘシ[27]

但此俸給ハ学区ニ於テ弁スヘキモノトイヘトモ[1]現今ノ事情イマタ茲ニ至ラサルモノアルヲ以テ官暫ク之ヲ助ケサルヲ得ス

第百二章 当今外国教師アル学校ヲ保護スルノ費用ハ本省ヨリ直ニ之ヲ管理ス地方官其情状ヲ具シテ本省ニ達スヘシ私ニ外国人ヲ雇入タル学校ハ此限ニアラス

第百三章 将来大中学ヲ設ケ及之ヲ保護スルノ費用モニ同シ

但其教員アルヲ待テ追々設立スヘシ

第百四章 変則中小学費用ハ地方官ノ見込ニヨリ之ヲ処分スヘシ

但其事実ヲ具シ本省ニ届クヘシ

第百五章 凡大中小学校ノ営繕ハ公私共務テ完全ナルヲ期ス若目前ノ速成ヲ欲シテ事姑息ニ渉ラハ到底得ル所ナカルヘシ故ニ其力ヲ計リ今年其一ヲナシ明年其二ヲナシ順次進歩数年ヲ期シテ全国ノ完整ニ至ルヲ要ス

但生徒学業ノ事ニ至リテハ一日モ忽ニスヘカラストイヘトモ[1]広ク全局ヲ見テ宜ク本末順序ヲ誤ルヘカラス

第百六章 本省定額金ノ遣払ハ毎年七月中明細ニ記シ上梓公告スヘシ

第百七章 諸学校ニ於テ毎年費ス所ノ金額ハ学校ノ実情ニヨリテ之ヲ定ムヘシ其公私共遣払ハ第二号式ノ如ク明細表ヲ製シ毎年二月七月督学局ニ出スヘシ

第百八章 器械書籍ハ学校必要ノモノトス心ヲ用ヒテ完備セシメスンハアル可ラス諸学校所在ノ書器ハ第三号式ノ如ク表ニ製シ毎年二月中督学局ニ出スヘシ

第百九章 凡諸学校ノ設立スル必ス維持保護ノ目的ヲ要ス即第四号式ノ如ク表ニ製シ毎年二月中督学局ニ出スヘシ

明治五年壬申七月

文部

学制第十三章第一号表式

但用紙美濃紙ノ事

就学男女
第何大学区内
中学区 小学区
就学男
不学男










































学制第百七章第二号表式

但用紙美濃紙ノ事
私費ノモノハ私学ト書スヘシ官ノ扶助金ア
ルモノハ私費半ハヲ過クトモ[1]公学ト書スヘシ

第幾大学区何県管
何郡何村第幾番中学
第幾中学区何郡何村第幾番小学
明治何年干支出納
納之 出之

受業
教師給

学費
教官給
書籍払 通弁給
誰寄
金利
教授人給料 官員ニアラスシテ教授人ヲ相雇分

事務官給料
官ヨ
扶助
小吏門監給
某ノ積 役夫給
教師
教官
営繕入
書籍入
器械入
諸雑 筆墨紙薪炭油等ノ如キ費ハコノ部ニ入ル
生徒賄入費


干支何月何日調

学制第百八章第三号表式

但用紙美濃紙ノ事


第幾大学区何県管
何郡何村第幾番中学
第幾中学区何郡何村第幾番小学

何月
書籍 器械 新規買


調


代金


代金
従何月何
月迄改
生徒拝 拝借返 払下 諸向出
何部何
何部何
出 何部何
納 何部何
第幾大学区内何県管内 第幾番中学
第幾中学区第幾番小学

学制第百九章第四号表式

但用紙美濃紙ノ事


第幾大学区何県管
何郡何村第幾番中学
第幾中学区何郡何村第幾番小学
一ヶ年出費ノ大
何百 学校営繕入 何百 書籍
何百 教授人給 何百 器械
何百 雇夫給 何百 諸雑
総計何百
一ヶ年納金ノ大



何百
何百
何ノ廉ニ
何百
利子一ケ年
上ノ如シ
何百
何ノ廉ニ
外年々積金何円ツヽ増加ニ付年々利分何分ツヽ増加ノヿ




何百
何百 誰寄
何百
利子一ケ年
上ノ如シ
何百 誰寄
何百
但区内毎戸何銭ヲ以集メ一ケ年如上
受業料
何百
但生徒何人トシテ一人ニ付一月何銭ヲ収メシメテ
一ケ年如上

扶助金
何百
何百
何百

何月調

  • 脚註:
  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 「トモ」は合字。
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 2.22 2.23 2.24 2.25 2.26 2.27 2.28 2.29 2.30 2.31 2.32 2.33 2.34 2.35 2.36 2.37 2.38 2.39 明治5年文部省布達第22号による改正の箇所。
  3. 明治6年文部省布達第51号により官私学校設立願方(第177章第181章)を追補。
  4. 明治6年文部省布達第42号による改正の箇所(明治5年太政官布告第372号により額田県は愛知県へ、明治6年太政官布告第12号により足羽県は敦賀県へ、明治6年太政官布告第14号により八代県は白川県へ、明治6年太政官布告第59号により香川県は名東県へそれぞれ合併。明治6年太政官布告第15号により美々津・都城両県を廃止し宮城県を設置。明治6年太政官布告第60号により神山・石鉄両県を廃止し愛媛県を設置)。
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 明治5年文部省布達第41号による改正の箇所(明治5年太政官布告第291号により七尾県は石川・新川両県へ、明治5年太政官布告第292号により犬神県は滋賀県へ合併)。
  6. 6.0 6.1 明治6年文部省布達第13号による改正の箇所。
  7. 明治6年文部省布達第82号による改正の箇所。
  8. 8.0 8.1 8.2 明治6年文部省布達第18号による改正の箇所。
  9. 明治6年文部省布達第12号による改正の箇所。
  10. 明治6年文部省布達第35号による改正の箇所。
  11. 明治6年文部省布達第30号により神官僧侶学校に関する条文(第154章第158章)を、明治6年文部省布達第57号により外国語学校および専門学校に関する条文(第189章第207章)を追補。
  12. 明治6年文部省布達第77号により小学入学要件に関する条文(第211章)を追補。
  13. 13.0 13.1 13.2 明治5年文部省布達第44号による改正の箇所。
  14. 明治6年文部省布達第51号により学士称号に関する条文(第182章第188章)を、明治6年文部省布達第57号により専門学校卒業者への学士称号授与に関する条文(第209章)を追補。
  15. 15.0 15.1 明治5年文部省布達第24号による改正の箇所。
  16. 明治6年文部省布達第30号により学科卒業証書式(第159章)を、明治6年文部省布達第51号により貸費生規則(第160章第176章)を、明治6年文部省布達第57号により専門学校生徒への学費給貸に関する条文(第208章)を、明治6年文部省布達第99号により数ヶ国語を学ぶ外国語学校生徒への学資貸給に関する条文(第212章)を、明治明治6年文部省布達第102号により貸費生疾病時入費に関する条文(第213章)を追補。
  17. 17.0 17.1 17.2 17.3 17.4 明治6年文部省布達第1号による改正の箇所。
  18. 明治6年文部省布達第30号により海外留学生規則(第111章第153章)を追補。
  19. 明治6年太政官布告第317号により自費留学生を除外。
  20. 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 20.5 20.6 20.7 明治5年文部省布達第45号による改正の箇所。
  21. 明治6年文部省布達第127号による改正の箇所。
  22. 22.0 22.1 22.2 22.3 22.4 22.5 明治6年文部省布達第30号による改正の箇所。
  23. 明治6年文部省布達第57号により学資等献納・寄附者の届出方(第210章)を追補。
  24. 「シテ」は合字。
  25. 明治6年文部省布達第49号による改正の箇所。
  26. 明治6年文部省布達第5号による改正の箇所。
  27. 明治6年文部省布達第24号による改正の箇所。

関連項目

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外部リンク

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この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。