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大斎第一週間奉事式略

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大斎第一週間奉事式

第一週間月曜日晩堂大課式

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司祭始めて誦す

我等の神はつねあがめらる、今も何時いつも世世に。

誦経「アミン」。

我等の神よ、光栄はなんぢす、光栄は爾に帰す。

てんおうなぐさむるものよ、真実しんじつ神゜しんらざるところなきものたざるところなきものよ、万善ばんぜん宝蔵ほうぞうなるもの生命せいめいたましゅよ、きたりて我等われらうちり、我等われらもろもろけがれよりいさぎよくせよ、善者ぜんしゃよ、我等われらたましひすくたまへ。

聖なるかみ、聖なる勇毅ゆうき、聖なる常生じょうせいの者よ、我等をあわれめよ。 三次みたび

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

聖三者せいさんしゃよ、我等をあわれめ、主よ、我等の罪をいさぎよくせよ、主宰しゅさいよ、我等のあやまちゆるせ、聖なる者よ、のぞみて我等のやまいいやたまへ、ことごとなんぢる。

しゅあわれめよ。 三次みたび

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

てんいます我等のちちよ、ねがわくはなんぢせいとせられ、なんぢくにきたり、なんぢむねてんおこなわるるがごとにもおこなわれん、日用にちようかて今日こんにち我等にあたえ給え、我等をいざないみちびかず、なお我等を凶悪きょうあくよりすくい給え。

司祭 けだし国と権能と光栄はなんぢ父と子と聖神に帰す、今も何時いつも世世に。

誦経「アミン」。

しゅあわれめよ。 三次

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

きたれ、ハリストス我等のおうかみ叩拝こうはいせん。

きたれ、ハリストス我等の王と神の前に叩拝こうはいふくせん。

第六十九聖詠

かみよ、すみやかに我をすくへ、主よ、すみやかに我を助け給へ。

たましいを求むる者は、ねがわくははじはずかしめけん、わざわいを我に望む者は、ねがわくは退しりぞけられてあざけられん。

われむかいて、嘻嘻よしよしう者は、その我をはずかしむるにりて、ねがわくは退しりぞけられん。

およなんぢを求むる者は、ねがわくはなんぢためよろこたのしまん、なんぢすくいを愛する者は、ねがわくは常にかみおおいなりとわん。

われまづしくしてとぼし、神よ、すみやかに我にいたたまへ、なんぢは我のたすけなり、我をすくものなり、主よ、おそなわるなかれ。

ぎて大規定ダイカノンはじむ。我が聖神父クリト島の大主教アンドレイの作。 之を「イルモス」と共に四分して、月火水木の四曜日に配当す。讃詞トロパリ毎に右左の詠隊かわるがわる神よ、我をあわれみ給への詞をしょうす。


第一歌頌「イルモス」

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第六の調

たすまもものあらわれて、すくいれり、彼はかみなり、われ彼をげん、彼はちちかみなり、われ彼をとうとうたはん、彼おごそか光栄こうえいあらわしたればなり。

しょう 神よ、我をあわれみ、我をあわれみ給へ。

不当ふとうなる度生どせいおこないを泣くはなによりはじむべきか、ハリストスよ、が今のなげきなにもつおこすべきか、ただ求む、爾慈憐じれんなるにりて、我に罪のゆるしあたたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。


わざわいなるたましいよ、からだともきたりて、万有ばんゆう造物主ぞうぶつしゅまえつみみとめ、いまよりのちさき無知むちしりぞけて、痛悔つうかいなみだかみささげよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われいましめおかすをもつはじめてつくられしアダムならひて、諸罪しょざいために、おのれかみ永遠えいえんくに福楽ふくらくよりとおざけられしをおぼへたり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

かなしいかなわざわいなるたましいよ、なんぢ何為なんすれぞはじめてつくられしエヴァたるものりし、なんぢよこしまはなはだしくきずつき、れて、えて無知むちしょくくらへり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

るべきエヴァへて、見るべからざるエヴァわれうちおこれり、これ肉欲にくよくじょうなり、われあまきをすすむれども、われあじわうとき常ににがきをおぼゆ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、アダムなんぢひとついましめまもらずして、りてエデムよりわれたり、我は常になんぢ生命せいめいほどこいましめおかして、なんばつを受くべきか。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

永久えいきゅう三者さんしゃ一性いつせいおい伏拝ふくはいせらるるものよ、つみおもわれよりおろして、慈憐じれんなるにりて、われ感涙かんるいあたたまへ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

生神女しょうしんじょよ、なんぢを歌ふ者の憑恃たのみ及び轉達てんたつよ、つみおもわれよりおろして、いさぎよ女宰じょさいたるにりて、われゆるものたまへ。


第二歌頌「イルモス」

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てんよ、け、われつたへて童貞女どうていじょよりりてきたりしハリストスうたわん。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

てんよ、け、われつたへん、よ、かみまえ痛悔つうかいしてかれうたこえれよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

かみ救世主きゅうせいしゅよ、なんぢ慈憐じれんなるもつわれ熱心ねっしんなる告解こくかいたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、われ衆人しゅうじんえてつみおかし、われひとりなんぢまえつみおかせり、しかれどもなんぢかみなるにりて、なんぢ造物ぞうぶつあわれみ給へ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われ諸慾しょよくみにくきをうちうつし、快楽かいらくほしいままにして智慧ちえうるわしきをそこなえり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

慈憐じれんなるしゅよ、諸悪しょあく烈風あらしわれめぐれり、しかれどもなんぢペトルけるがごとく、われにも手をたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、われ肉体にくたいころもけがし、なんぢぞうしょうとにりてつくられしものくろませり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われ諸慾しょよくたのしみにてたましいうるわしきをくらくし、智慧ちえまったちりせり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われはじめころも造物主ぞうぶつしゅはじめためりしものけり、ゆえ裸体らたいにしてす。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われ襤褸つづれころもへびいつわりもつためりしものて、みづかづ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

仁慈じんじなるものよ、われ淫婦いんぷごとなみだながす、救世主きゅうせいしゅよ、なんぢ慈憐じれんりてわれあわれたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われうるわしきをて、こころまどへり、ゆえ裸体らたいにしてして、みづかづ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

諸慾しょよくかしらことごとたがへして、その不法ふほう穿うがてり。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

われなんぢ三位さんいにして惟一ゆいいちなる万有ばんゆうかみ、父と子と聖神せいしんうたふ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

じょうなる生神しょうしん童貞女どうていじょひとり衆人しゅうじん讃頌さんしょうせらるるものよ、我等われらすくいんことをせついのたまへ。


第三歌頌「イルモス」

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ハリストスよ、なんぢいましめうごかざるいし意思おもひかたたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

しゅむかししゅよりらして、ソドムけり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、ロトごとく、やまのがれ、いそぎてシゴルかくれよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、ほのおけよ、かるるソドムけよ、かみほろぼさるるをけよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ハリストス救世主きゅうせいしゅよ、われひとりなんぢの前につみおかし、衆人しゅうじんへて罪をおかせり、われつるなかれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

なんぢ牧者ぼくしゃなり、われこひつじなるものたづねよ、われまよひしものつるなかれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

なんぢしたふべきイイススなんぢわれ造物主ぞうぶつしゅなり、救世主きゅうせいしゅよ、われなんぢりてとせらるるをん。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、われなんぢまえつみみとむ、われつみおかせり、なんぢまえつみおかせり、しかれどもなんぢ慈憐じれんなるにりて、われなだめ、われゆるたまへ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

鳴呼ああ三者さんしゃ惟一ゆいいちしゃかみよ、我等われら誘惑いざない試誘こころみ危難あやうきよりすくたまへ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

かみれしはらよ、よろこべ、しゅ宝座ほうざよ、よろこ生命いのちははよ、よろこべ。


第四歌頌「イルモス」

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しゅよ、預言者よげんしゃなんぢ降臨こうりんことき、なんぢ童貞女どうていじょよりうまれ、人人ひとびとあらわれんとほつするをおそれて、へり、われなんぢ風聲ふうせいきておそれたり、しゅよ、光栄こうえいなんぢちからす。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

なる審判者しんぱんしゃよ、なんぢ造工しわざしりぞくるなかれ、なんぢ造物ぞうぶつつるなかれ、けだしわれひとり人として衆人しゅうじんへてつみおかしたれども、なんぢひとあいするものよ、万有ばんゆうしゅとして、つみゆるけんたもたまふ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、おわりちかづく、ちかづけどもなんぢつつしまず、おのれそなへず、ときちぢまる、きよ、審判者しんぱんしゃすでちかし、もんおよべり、生命いのちぐるはゆめごとく、はなごとし、我等われら何為なんすれぞいたづらこころわづらわす。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

鳴呼ああたましいよ、めよ、なんぢおこなひし所為しわざおもひ、これなんぢまえてて、なんぢなみだしたたりそそげ、いさみてなんぢおこないおもいとをハリストスげて、とせられよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、およにあるつみあるい行為しわざあるいあくわれおもいことば希望のぞみにてあづからざるなく、すなわちこころざしもつて、意念いねんもつて、おこないもつて、おかししこと衆人しゅうじんへたり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ゆえわれつみせらる、われわざわいなるものおのれ良心りょうしんにて定罪ていざいせらる、世界せかいこれよりきびしきはなし、審判者しんぱんしゃ贖罪者しょくざいしゃおよ明察者めいさつしゃよ、われなんぢぼくなだめ、き、すくたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、むかし太祖たいそおおいなるものたるかけはしは、おこないもつのぼり、知識ちしきもつあがしるしなり、ゆえおこない知識ちしき明悟さとりとをもつすまわんとほつせば、みづかあらたまれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

太祖たいそ必要ひつようりて、ひるあつさをこらへ、よるさむさしのぎて、日日ひびもとめ、ぐんぼくし、ろうり、つとめつくせり、二人ふたりつまためなり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

二人ふたりつまおこない明悟さとり知識ちしきとをしめすをれ、リヤおおくのあるものとしておこないしめし、ラヒリおおくの苦労くろうもつられしものとして知識ちしきしめす、けだしたましいよ、苦労くろうあらずしては、おこない明悟さとりらず。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

われなんぢどうおうにして同座どうざたる、三位さんいにして惟一ゆいいちなる神性しんせいせいおいわかれず、おい混合こんごうせざるものめ、なんぢおおいなるうたいとたか居所すまい三次みたびとなへらるるものうたふ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

なんぢむにも、童貞どうていまもるにも、ふたつながら天性てんせい童貞女どうていじょなり、なんぢよりうまれしもの天性てんせいほうあらため、まざるはらむ、かみほつするところには天性てんせい順序じゅんじょへらる、かれほつすることをおこなへばなり。


第五歌頌「イルモス」

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ひとあいするしゅよ、いのる、よりむるものてらし、われをもなんぢいましめみちびき、救世主きゅうせいしゅよ、 われなんぢむねおこなふをおしたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われつね生命いのちうちおくれり、けだしつみため闇冥くらやみふかきりたりき、しかれども救世主きゅうせいしゅよ、われあらわしてひるとなしたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われ不当ふとうものルヴィムごとく、じょうなるかみまえ不法ふほうにしてみちもとることをおこなひ、とこけがししことかれちちとこけがししがごとし。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ハリストスおうよ、われなんぢまえ痛告つうこくす、われつみおかし、むかし潔浄けつじょう貞潔ていけつとの結果けっかたるイオシフりし兄弟けいていごとくにつみおかせり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

なるたましい親族しんぞくしばられ、あいすべきものしゅかたどりりて奴隷どれいられたり、ただなんぢたましいよ、みづかおのれまつた罪悪ざいあくれり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

わざわいなる不当ふとうたましいよ、なるイオシフおよその貞潔ていけつ智恵ちえならひて、おのれけがなかれ、無知むちなるおもいもつつね不法ふほうおこななかれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

主宰しゅさいよ、むかしイオシフおとしあなりたれども、なんぢほうむり復活ふくかつとをかたどれり、われいずれときなにをかくのごときをなんぢささげん。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

三者さんしゃよ、我等われらなんぢ惟一ゆいいちかみ讃詠さんえいす、せいせいせいなるかななんぢ父と子と聖神せいしん単一たんいつせい永遠えいえん伏拝ふくはいせらるる惟一者ゆいいちしゃや。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

無玷むてんにしておっとらざるはは童貞女どうていじょよ、世世よよつくりし、かみなんぢうちおい霊体れいたいて、人性じんせいおのれあわたまへり。


第六歌頌「イルモス」

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われこころつくして仁慈じんじなるかみべり、かれいとふか地獄ぢごくよりぶをき、生命いのち亡滅ほろびよりたすたまへり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、われせつなみだ中心ちゅうしんなげきとをなんぢささげてぶ、かみよ、われなんぢまえつみおかせり、われあわれみたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、なんぢダファンおよアヴィロンごとなんぢしゅはなれたり、しかれどもいとふか地獄ぢごくよりなだたまへとべ、ふちなんぢおおわざらんためなり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、なんぢ牝牛めうしごとくにれて、エフレムたるものれり、鹿しかごとなんぢ生命いのちあみよりすくひ、おこない明悟さとりとをもつ智恵ちえつばさとせよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、モイセイかみ如何いかにして癩病らいびょう生命いのちしろくしいさぎよくするを我等われらしんぜしむべし、なんぢ癩病らいびょううれふといえどもも、みづかのぞみうしななかれ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

われ単一たんいつにしてわかれざる三者さんしゃおいわかれたるものなり、またわれ惟一者ゆいいちしゃせいおい合一ごういつなるものなり、ちち聖神せいしん之をふ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

生神女しょうしんじょよ、なんぢはら我等われらためかたちけしかみめり、その万有ばんゆう造物主ぞうぶつしゅなるをもつて、かれいのたまへ、我等われらなんぢ祈祷きとうりてとせらるるをためなり。

しゅあわれめよ。 三次

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

小讃詞コンダク 第六の調

たましいよ、たましいよ、きよ、なんねむる、おわりちかづく、なんぢみだれん、ゆえめよ、らざるところなく、たざるところなきハリストスかみなんぢなだめんためなり。


第七歌頌「イルモス」

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列祖れっそかみよ、我等われらつみおか不法ふほうおこなひ、不義ふぎなんぢまえし、なんぢ我等われらいましめしことをまもらざりき、おこなわざりき、しかれどもおわりいたるまで我等われらつるなかれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われつみおかし、不法ふほうおこなひ、なんぢいましめそむけり、けだしわれつみうちうまれ、かつきずまたきずくわへたり、しかれどもなんぢ列祖れっそかみよ、慈憐じれんなるにりて、みづかわれあわれたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

われこころ秘密ひみつなんぢ審判者しんぱんしゃまえあらわせり、へりくだりをうれいよ、いまおのれつみするをかえりみて、なんぢ列祖れっそかみよ、慈憐じれんなるにりて、みづかわれあわれたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしサウルそのちちうさぎうまうしなひて、これかんする音信おとづれともにわかくにたり、たましいよ、つつしめ、おのれわすれて、畜類ちくるいよくおもんずること、ハリストスくにゆるなかれ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしかみ先祖せんぞダヴィド姦淫かんいんきずつけられ、かつ残忍ざんにんなる殺害せつがいやりもちひて、二倍にばいつみおかせり、しかれどもなんぢたましいよ、みづかほしいままなるよくむこと、おこないよりもはなはだし。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしダヴィド不法ふほう不法ふほうくわへたり、けだし殺害せつがい姦淫かんいんあわせたり、しかれどもかれすみやか二倍にばい痛悔つうかいせり、たましいよ、なんぢなおおおいなるつみおこなひて、いまかみまえ痛悔つうかいせざりき。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしダヴィドくがごとくにうたしるし、其中そのうちおのれおかししおこないあらわしてべり、われあわれたまへ、けだしわれなんぢひとり萬有ばんゆうかみまえつみおかせり、みづかわれきよたまへ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

単一たんいつにしてわかれざる一体いつたい三者さんしゃ惟一ゆいいちせい三光さんこう一光いっこう三聖さんせい一聖いつせいなるかみ三者さんしゃうたもつうたわる、たましいよ、なんぢ三一さんいち生命いのちなる万有ばんゆうかみうたげよ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

かみははよ、我等われらなんぢうたひ、なんぢあがめ、なんぢ伏拝ふくはいす、けだしなんぢわかれざる三者さんしゃいつなるハリストスかみみて、みづか我等われらものためてん住所すまいひらたまへり。


第八歌頌「イルモス」

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およ呼吸いきあるもの造物ぞうぶつは、天軍てんぐん讃揚さんようし、ヘルヴィムセラフィムおののものうたひ、あがめて、世々よよげよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

救世主きゅうせいしゅよ、われ罪人ざいにんあわれたまへ、智慧ちえおこしてただしきにかえらせ、ゆるものれ、もの慈憐じれんたまへ、われなんぢまえつみおかせり、われすくたまへ、われ不法ふほうにしておくれり、われあわれたまへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

くるまイリヤむかし諸徳しょとくくるまのぼりて、てんげらるるがごとく、一切いっさいものよりうえのぼれり、たましいよ、かれのぼしことをおもへ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしエリセイイリヤころもけて、しゅより二倍にばい恩寵おんちょうたり、しかれどもなんぢたましいよ、節制せっせいなきにりて、恩寵おんちょうあづからず。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしエリセイイリヤころももつイオルダンながれ左右さゆうわかてり、しかれどもなんぢたましいよ、節制せっせいなきにりて、恩寵おんちょうあづからず。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

むかしソマンおんなまことこころもつ義人ぎじんもてなせり、なんぢたましいよ、他邦たほうものをも旅行りょこうするものをもなんぢいえれざりき、ゆえ哀哭あいこくして婚筵こんえんみやよりわれん。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

不当ふとうなるたましいよ、なんぢつねギエジイ不潔ふけつふうならへり、すでゆるにおよびてもかれむさぼりれ、なんぢ悪業あくぎょうはなれて、地獄ぢごくのがれよ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

無原むげんちちどう無原むげん仁慈じんじじゅつしゃなるしん神言かみことばちち無原むげんちちことば生活せいかつにして造成ぞうせいするしん三者さんしゃ惟一者ゆいいちしゃよ、われあわれたまへ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

じょうなるものよ、くれない組織くみたてもつにしきころもるがごとく、エムマヌイル肉体にくたいなんぢはらうちられたり、ゆえ我等われらじつなんぢ生神女しょうしんじょとしてたっとあがむ。


第九歌頌「イルモス」

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たねなきはらごもりさんがたし、おっとらざるははちず、かみさん天性てんせいあらたむればなり、ゆえ我等われら万世ばんせいなんぢかみよめなるははとしてただしくあがむ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

智慧ちえきずつけられ、肉体にくたいおとろへ、霊魂たましいみ、ことばよわり、生命いのちころされ、おわりもんり、我がわざわいなるたましいよ、審判者しんぱんしゃきたりてなんぢおこないたださんときなんぢなにをかさん。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、われなんぢモイセイ創世そうせいでんしめし、これぎて義者ぎしゃ不義者ふぎしゃとのことぶる聖約せいやくしょことごとしめせり、ああたましいよ、なんぢうちさきものならはず、のちものならひて、かみまえつみおかせり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、なんぢため律法りっぽうちからなく福音経ふくいんきょうしるしなく、ことごとくの聖書せいしょえきなく、預言者よげんしゃおよ義人ぎじんことぶることばとは徒然とぜんなり、なんぢきずいよいよくわわりてこれいや医師いしなし。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

たましいよ、われ新約しんやくしょよりなんぢ傷感しょうかんおこれいく、ゆえ義人ぎじんならひ、罪人ざいにんけ、祈祷きとう禁食きんしょく潔浄けつじょう無玷むてんもつハリストスあわれみむかへよ。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ハリストスひとりて、盗賊とうぞく淫婦いんぷとを痛悔つうかいまねけり、たましいよ、痛悔つうかいせよ、くにもんすでひらけて、痛悔つうかいするファリセイ税吏ぜいり姦淫者かんいんしゃとはなんぢさきだちてこれる。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ハリストス肉体にくたいりてひとり、つみほかおよ人性じんせいかなふことを自由じゆうこころみて、たましいよ、なんぢおのれ寛容かんようれい表式のりとをしめせり。

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

ハリストス博士はかせすくひ、牧者ぼくしゃし、おおくの嬰児おさなご致命者ちめいしゃし、おきないたるやもめとのさかえあらわせり、たましいよ、なんぢ彼等かれらおこない生命いのちとにならわず、ああ審判しんぱんわんときなんぢわざわいなるかな

かみよ、我をあわれみ、我をあわれたまへ。

しゅ十日じゅうにちものいみし、ついへて、おのれうちひとせいあらわせり、たましいよ、てきなんぢめば、おこたなかれ、すなはち祈祷きとうものいみとをもつこれなんぢ足下あしもとより退しりぞかしめよ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。
聖三者讃詞

我等われらちちげ、あがうたひ、しんもつ聖神せいしんたっとおがみ、わかれざる三者さんしゃせいおい惟一ゆいいちなるもの、一光いつこう三光さんこう三一さんいち生命いのちきょく生命いのちほどこしてこれてらものあがめん。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。
生神女讃詞

いたりていさぎよかみははよ、なんぢ城邑まちまもたまへ、けだしかれしんもつなんぢちからにてち、なんぢりて堅固けんごにせられ、なんぢもつおよそのいざないち、諸敵しょてきやぶりてこれしたがはしむ。

聖アンドレイ讃詞
克肖こくしょうなる神父しんぷアンドレイよ、我等われらためかみいのたまへ。

たっとアンドレイいたりてふくたる神父しんぷクリト牧者ぼくしゃよ、なんぢうたものためつねいのりて、我等われらおよなんぢ記憶きおく中心ちゅうしんよりたっとむものを忿怒いかりと、憂愁うれい傷害そこないと、かぞがた罪過ざいかよりのがれしめたまへ。

嗣ぎて復「イルモス」を歌ふ、

たねなきはらごもりさんがたし、おっとらざるははちず、かみさん天性てんせいあらたむればなり、ゆえ我等われら万世ばんせいなんぢかみよめなるははとしてただしくあがむ。 叩拝1次

ぎて誦経聖詠を誦す、
第四聖詠

かみよ、ときわれたまへ。せまきときなんぢわれひろきあたへたり。われあはれみて、いのりたまへ。

ひとよ、さかえはづかしめらるることいづれときいたるか、なんぢむなしきこのいつはりもとむることいづれときいたるか。

なんぢしゅその聖者せいしゃわかちておのれぞくせしめしをれ、われべば、しゅこれく。

いかりてつみおかなかれ、とこるときなんぢこころはかりて、おのれしづめよ。

まつりささげて、しゅたのめ。

おほくのものふ、たれわれぜんしめさん。しゅよ、なんぢかんばせひかりわれあらはたまへ。

なんぢこころたのしみつるは、かれパンさけあぶらとにゆたかなるときよりまされり。

われ安然あんぜんとしてぬ、けだししゅよ、ひとりなんぢわれなんにしてわたらしめたまふ。

第六聖詠

しゅよ、なんぢいきどほりもつわれむるなかれ、なんぢいかりもつわればつするなかれ。

しゅよ、われあはれたまへ、われよわければなり、しゅよ、われいやたまへ、ほねおののき、

たましひはなはだおののけばなり、なんぢしゅよ、いづれときいたるか。

しゅよ、おもてかへし、たましひまぬかれしめ、なんぢあはれみりてわれすくたまへ。

けだしうちにはなんぢおくするなし、はかうちにはたれなんぢ讃揚さんようせん。

われなげきにてつかれたり、まいとこあらひ、なみだにてわれしとねうるほす。

うれひりてれ、もろもろてきりておとろへたり。

およほうおこなものわれはなれよ、けだししゅこえけり、

しゅねがひたまへり、しゅいのりれんとす。

ねがはくはもろもろてきはづかしめられていたたれん、ねがはくは退しりぞきてにはかはぢん。

第十二聖詠

しゅよ、われまつたわするることいづれときいたるか、なんぢおもてわれかくすこといづれときいたるか、

おのれたましひうちはかり、こころうちにちうれひいだくこと、いづれときいたるか、てきわれたかぶること、いづれときいたるか。

しゅかみよ、かへりみてわれたまへ、あきらかにして、われねむりねざらしめたまへ、

てきわれかれてりとはざらんためわれむるものわれうごときよろこばざらんためなり。

われなんぢあはれみたのみ、こころなんぢすくひよろこばん、われおんほどこしゅうたひ、じょうなるしゅあがうたはん。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

「アリルイヤ」「アリルイヤ」「アリルイヤ」、神よ、光栄は爾に帰す。三次、躬拝三次

しゅあわれめよ。 三次

ぎて諧和かいわの声を以てほがらかに左の諸句を歌ふ、イサイヤ八章九節至九章七節選句

神は我等とともにす

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左列詠隊 神は我等とともにす、異邦人いほうじんよ、これりてしたがへよ、 かみ我等われらともにすればなり。

右列詠隊同句 神は我等とともにす、異邦人いほうじんよ、これりてしたがへよ、 かみ我等われらともにすればなり。

嗣ぎて両詠隊次序を以て各其句を歌ふ、

はてまでもこれけ、 かみ我等われらともにすればなり。

権力ある者よ、したがへ、 かみ我等われらともにすればなり。

またいきおいらば、またやぶられん、 かみ我等われらともにすればなり。

はかりごともうけば、主は之をこぼたん、 かみ我等われらともにすればなり。

ことばいださば、かならずらざらん、 かみ我等われらともにすればなり。

なんぢおそるる所は我等われらおそれず、おどろかず、 かみ我等われらともにすればなり。

しゅ我が神を以て聖と為す、彼は我がおそれとならん、 かみ我等われらともにすればなり。

われ彼をたのまば必ず我を聖にせん、 かみ我等われらともにすればなり。

われ彼をのぞみ、彼にりてすくいん、 かみ我等われらともにすればなり。

よ、我及び神が我にあたへたる諸子はここに在り、 かみ我等われらともにすればなり。

幽闇くらやみうちたみおおいなる光を見たり、 かみ我等われらともにすればなり。

かげの地に居る者よ、光は爾等をてらさん、 かみ我等われらともにすればなり。

けだしおさなごは我等の為に生れ、子は我等にたまはりたり、 かみ我等われらともにすればなり。

権柄けんぺい其肩そのかたに在り、 かみ我等われらともにすればなり。

その和平わへいおわりなし、 かみ我等われらともにすればなり。

そのおおいなる議事の使者ととなへらる、 かみ我等われらともにすればなり。

神妙しんみょうなる議士ぎしとなへらる、 かみ我等われらともにすればなり。

大能だいのうかみ主宰しゅさい和平わへいきみとなへらる、 かみ我等われらともにすればなり。

来世らいせいの父ととなへらる、 かみ我等われらともにすればなり。

かみ我等われらともにす、異邦人よ、これを知りてしたがへよ、 かみ我等われらともにすればなり。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す、 かみ我等われらともにすればなり。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」、 かみ我等われらともにすればなり。

かみ我等われらともにす、異邦人よ、此を知りて従へよ、 かみ我等われらともにすればなり。

嗣ぎて左の讃詞トロパリを誦す、

主よ、日を送りてなんぢに感謝す、救世主よ、求む、我に罪なくくれよるとをわたらしめて、我を救ひ給へ。

光栄は父と子と聖神せいしんに帰す。

主宰しゅさいよ、日を送りてなんぢ讃栄さんえいす、救世主よ、求む、我にいざないなくくれよるとをわたらしめて、我を救ひ給へ。

今も何時いつ世世よよに、「アミン」。

聖なる者よ、日を送りてなんぢ讃頌さんしょうす、救世主よ、求む、我に無難にくれよるとをわたらしめて、我を救ひ給へ。

無形の性のヘルヴィムめざる歌にてなんぢげ、六翼りくよく造物ぞうぶつセラフィムえざる声にて爾をたっとみ歌ひ、天使の萬軍は聖三の歌にて爾を崇め讃む、けだし爾は萬有の先より、自ら存する父にして、どう無原むげんなる爾の子をたもち、同尊どうそんなる生命いのちしんいだし、三位の分れざるをあらはたまふ。

至聖なる童貞女・神の母と、親しく聖言を見て之につとめし者と、預言者よげんしゃ及び致命者ちめいしゃむれよ、死せざる生命いのちたもつにりて、我等の為に切に祈り給へ、我等われらみな苦難のうちに在ればなり。願はくは我等われら凶悪のいざないのがれて、天使の歌をうたはん、聖、聖、聖なる三聖の主よ、我等をあわれみて救ひ給へ、「アミン」。


大斎第一週間奉事式略 2 に続く】

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この作品は1930年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。

 
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この作品は1930年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。