大斎第一週間奉事式
- 司祭始めて誦す
我等の神は恒に崇め讃めらる、今も何時も世世に。
誦経「アミン」。
我等の神よ、光栄は爾に帰す、光栄は爾に帰す。
天の王、慰むる者よ、真実の神゜、在らざる所なき者、満たざる所なき者よ、万善の宝蔵なる者、生命を賜ふ主よ、来りて我等の中に居り、我等を諸の穢より潔くせよ、至善者よ、我等の霊を救ひ給へ。
聖なる神、聖なる勇毅、聖なる常生の者よ、我等を憐めよ。 三次
光栄は父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に、「アミン」。
至聖三者よ、我等を憐め、主よ、我等の罪を潔くせよ、主宰よ、我等の愆を赦せ、聖なる者よ、臨みて我等の病を癒し給へ、悉く爾の名に因る。
主憐めよ。 三次
光栄は父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に、「アミン」。
天に在す我等の父よ、願わくは爾の名は聖とせられ、爾の国は来り、爾の旨は天に行わるるが如く地にも行われん、我が日用の糧を今日我等に与え給え、我等を誘に導かず、猶我等を凶悪より救い給え。
司祭 蓋国と権能と光栄は爾父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に。
誦経「アミン」。
主憐めよ。 三次
光栄は父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に、「アミン」。
来れ、ハリストス我等の王・神に叩拝せん。
来れ、ハリストス我等の王と神の前に叩拝俯伏せん。
- 第六十九聖詠
神よ、速に我を救へ、主よ、速に我を助け給へ。
我が霊を求むる者は、願わくは耻を得て辱を受けん、禍を我に望む者は、願わくは退けられて嘲けられん。
我に向いて、嘻嘻と云う者は、其我を辱しむるに因りて、願わくは退けられん。
凡そ爾を求むる者は、願わくは爾の爲に喜び楽まん、爾の救を愛する者は、願わくは常に神は大なりと云わん。
我は貧しくして乏し、神よ、速に我に格り給へ、爾は我の助なり、我を救ふ者なり、主よ、遅わる毋れ。
- 嗣ぎて大規定を始む。我が聖神父クリト島の大主教アンドレイの作。 之を「イルモス」と共に四分して、月火水木の四曜日に配当す。讃詞毎に右左の詠隊更神よ、我を憐み給への詞を附唱す。
- 第六の調
佑け護る者顕れて、我が救と為れり、彼は吾が神なり、我彼を讃め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼厳に光栄を顕したればなり。
附唱 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我が不当なる度生の行を泣くは何より始むべきか、ハリストスよ、我が今の歎は何を以て起すべきか、惟求む、爾慈憐なるに因りて、我に罪の赦を与へ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
禍なる霊よ、体と偕に来りて、万有の造物主の前に罪を認め、今より後先の無知を斥けて、痛悔の涙を神に献げよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我誡を犯すを以て首めて造られしアダムに效ひて、我が諸罪の為に、己が神と永遠の国と福楽より遠ざけられしを覚へたり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
哀しい哉吾が禍なる霊よ、爾は何為れぞ首めて造られしエヴァに肖たる者と為りし、爾は邪に視、太しく傷つき、樹に觸れて、敢えて無知の食を食へり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
見るべきエヴァに代へて、見るべからざるエヴァは我の内に起れり、是肉欲の情なり、我に甘きを進むれども、我味わう時常に苦きを覚ゆ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、アダムは爾が一の誡を守らずして、義に依りてエデムより逐われたり、我は常に爾が生命を施す誡を犯して、何の罰を受くべきか。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
永久の三者、一性に於て伏拝せらるる者よ、罪の重き負を我より卸して、慈憐なるに因りて、我に感涙を与へ給へ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
生神女よ、爾を歌ふ者の憑恃及び轉達よ、罪の重き負を我より卸して、潔き女宰たるに因りて、我悔ゆる者を納れ給へ。
天よ、聴け、我伝へて童貞女より身を取りて来りしハリストスを歌わん。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
天よ、聴け、我伝へん、地よ、我が神の前に痛悔して彼を歌ふ声を納れよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
神吾が救世主よ、爾が慈憐なる目を以て我を視、我が熱心なる告解を納れ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、我衆人に超えて罪を犯し、我独爾の前に罪を犯せり、然れども爾神なるに因りて、爾の造物を憐み給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我諸慾の醜きを我が中に写し、快楽を恣にして智慧の美しきを残えり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
慈憐なる主よ、諸悪の烈風は我を繞れり、然れども爾ペトルに於けるが如く、我にも手を舒べ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、我我が肉体の衣を汚し、爾の像と肖とに因りて造られし者を緇ませり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我諸慾の楽にて霊の美しきを黯くし、我が智慧を全く塵と為せり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我は我が始の衣、造物主が初に我が為に織りし者を裂けり、故に裸体にして臥す。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我は襤褸の衣、蛇が詐を以て我が為に織りし者を着て、自ら耻づ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
仁慈なる者よ、我も淫婦の如く涙を流す、救世主よ、爾の慈憐に因りて我を憐み給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我樹の美しきを見て、心惑へり、故に裸体にして臥して、自ら耻づ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
諸慾の魁は悉く我が背に耕して、我が身に其不法を穿てり。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
我爾三位にして惟一なる万有の神、父と子と聖神を歌ふ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
至浄なる生神・童貞女、独衆人に讃頌せらるる者よ、我等が救を得んことを切に祈り給へ。
ハリストスよ、爾が誡の動かざる石に我が意思を固め給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
主は昔主より火を降らして、ソドムの地を焚けり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、彼のロトの如く、山に遁れ、急ぎてシゴルに匿れよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、焔を避けよ、焚かるるソドムを避けよ、神の火に滅さるるを避けよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
ハリストス救世主よ、我独爾の前に罪を犯し、衆人に超へて罪を犯せり、我を棄つる勿れ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
爾は善き牧者なり、我羔なる者を尋ねよ、我迷ひし者を棄つる勿れ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
爾は慕ふべきイイスス、爾は我の造物主なり、救世主よ、我爾に依りて義とせらるるを得ん。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、我爾の前に罪を認む、我罪を犯せり、爾の前に罪を犯せり、然れども爾慈憐なるに因りて、我を宥め、我を赦し給へ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
鳴呼、三者惟一者、神よ、我等を誘惑と試誘と危難より救ひ給へ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
神を容れし腹よ、慶べ、主の宝座よ、慶べ我が生命の母よ、慶べ。
主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顕れんと欲するを懼れて、曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光栄は爾の力に帰す。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
義なる審判者よ、爾の造工を斥くる毋れ、爾の造物を遺つる毋れ、蓋我独人として衆人に超へて罪を犯したれども、爾人を愛する者よ、万有の主として、罪を赦す権を有ち給ふ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、終は近づく、近づけども爾は慎まず、己を備へず、時は蹙まる、興きよ、審判者は已に近し、門に及べり、生命の日の過ぐるは夢の如く、花の如し、我等何為れぞ徒に心を煩わす。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
鳴呼我が霊よ、醒めよ、爾が行ひし所為を想ひ、之を爾が目の前に立てて、爾が涙の滴を注げ、勇みて爾の行と思とをハリストスに告げて、義とせられよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、凡そ世にある罪、或は行為、或は悪は我思と言と希望にて與からざるなく、即志を以て、意念を以て、行を以て、犯ししこと衆人に超へたり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
故に我罪せらる、我禍なる者は己の良心にて定罪せらる、世界に此より厳しきはなし、吾が 審判者、贖罪者、及び明察者よ、我爾の僕を宥め、釈き、救ひ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我が霊よ、昔太祖の大なる者が見たる梯は、行を以て登り、知識を以て上る表なり、故に行と知識と明悟とを以て住わんと欲せば、自ら改まれ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
太祖は必要に因りて、昼の暑さを堪へ、夜の寒を凌ぎて、日日に利を求め、群を牧し、労を取り、勤を盡せり、二人の妻を獲ん為なり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
二人の妻が行と明悟の知識とを示すを知れ、リヤは多くの子ある者として行を示し、ラヒリは多くの苦労を以て獲られし者として知識を示す、蓋霊よ、苦労に非ずしては、行も明悟も成らず。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
我爾同王にして同座たる、三位にして惟一なる神性、性に於て分れず、位に於て混合せざる者を承け認め、爾に大なる歌、最高き居所に三次唱へらるる者を呼び歌ふ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
爾は生むにも、童貞を守るにも、二ながら天性の童貞女なり、爾より生れし者は天性の法を改め、生まざる腹は生む、神の欲する所には天性の順序渝へらる、彼欲することを行へばなり。
人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、 我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我常に我が生命を夜の中に送れり、蓋罪の夜は我が為に闇冥と深き霧たりき、然れども救世主よ、我を顕して昼の子となし給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我不当の者はルヴィムの如く、至浄なる神の前に不法にして道に悖ることを行ひ、我が榻を汚ししこと彼が父の榻を汚ししが如し。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
ハリストス王よ、我爾の前に痛告す、我罪を犯し、昔潔浄と貞潔との結果たるイオシフを賣りし兄弟の如くに罪を犯せり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
義なる霊は親族に縛られ、愛すべき者は主を象りて奴隷に賣られたり、惟爾霊よ、自ら己を全く罪悪に賣れり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
禍なる不当の霊よ、義なるイオシフ及び其貞潔の智恵に傚ひて、己を汚す毋れ、無知なる思を以て常に不法を行ふ毋れ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
主宰よ、昔イオシフは穽に在りたれども、爾の葬と復活とを象れり、我は何の時に何をか斯くの如きを爾に献げん。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
三者よ、我等爾惟一の神を讃詠す、聖、聖、聖なる哉爾父と子と聖神、単一の性、永遠に伏拝せらるる惟一者や。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
無玷にして夫を知らざる母・童貞女よ、世世を造りし、神は爾の中に於て我が霊体を衣て、人性を己に合せ給へり。
我心を盡して仁慈なる神に籲べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命を亡滅より援け給へり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、我切に我が目の涙と中心の歎とを爾に献げて呼ぶ、神よ、我爾の前に罪を犯せり、我に憐を垂れ給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、爾はダファン及びアヴィロンの如く爾の主に離れたり、然れども最深き地獄より宥め給へと呼べ、地の淵が爾を覆わざらん為なり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、爾は牝牛の如くに暴れて、エフレムに似たる者と為れり、鹿の如く爾の生命を網より救ひ、行と明悟とを以て智恵の翼とせよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、モイセイの手は神が如何にして能く癩病の生命を白くし潔くするを我等に信ぜしむべし、爾癩病を患ふと雖も、自ら望を失ふ毋れ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
我は単一にして分れざる三者、位に於て分れたる者なり、又我は惟一者、性に於て合一なる者なり、父、子、聖神之を言ふ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
生神女よ、爾の腹は我等の為に我が形を受けし神を生めり、其万有の造物主なるを以て、彼に祈り給へ、我等が爾の祈祷に依りて義とせらるるを得ん為なり。
主憐めよ。 三次
光栄は父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に、「アミン」。
- 小讃詞 第六の調
我が霊よ、我が霊よ、起きよ、何ぞ眠る、終は邇づく、爾擾れん、故に寤めよ、在らざる所なく、充たざる所なきハリストス神が爾を宥めん為なり。
列祖の神よ、我等罪を犯し不法を行ひ、不義を爾の前に為し、爾が我等に誡めしことを守らざりき、行わざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我罪を犯し、不法を行ひ、爾の誡に背けり、蓋我罪の中に生れ、且我が瘡に復瘡を加へたり、然れども爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
我我が心の秘密を爾我が審判者の前に顕せり、我が謙りを視、我が憂を視よ、我が今己を罪するを顧みて、爾列祖の神よ、慈憐なるに因りて、親ら我を憐み給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔サウルは其父の驢を亡ひて、是に関する音信と共に俄に国を獲たり、霊よ、慎め、己を忘れて、畜類の慾を重んずること、ハリストスの国に超ゆる毋れ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔神の先祖ダヴィドは姦淫の矢に傷つけられ、且残忍なる殺害の槍を用ひて、二倍の罪を犯せり、然れども爾我が霊よ、自ら恣なる慾を疾むこと、此の行よりも甚し。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔ダヴィドは不法に不法を加へたり、蓋殺害に姦淫を合せたり、然れども彼は速に二倍の痛悔を為せり、霊よ、爾は猶大なる罪を行ひて、未だ神の前に痛悔せざりき。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔ダヴィドは画を描くが如くに歌を記し、其中に己が犯しし行を顕して呼べり、我を憐み給へ、蓋我爾独萬有の神の前に罪を犯せり、親ら我を浄め給へ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
単一にして分れざる一体の三者と惟一の性、三光と一光、三聖と一聖なる神三者は歌を以て歌わる、霊よ、爾も三一の生命なる万有の神を歌ひ讃め揚げよ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
神の母よ、我等爾を歌ひ、爾を崇め讃め、爾に伏拝す、蓋爾は分れざる三者の一なるハリストス神を生みて、親ら我等地に居る者の為に天の住所を開き給へり。
凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讃揚し、ヘルヴィムとセラフィムの戦く者を歌ひ、崇め讃めて、世々に讃め揚げよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
救世主よ、我罪人を憐み給へ、我が智慧を起して正しきに反らせ、悔ゆる者を容れ、呼ぶ者に慈憐を垂れ給へ、我爾の前に罪を犯せり、我を救ひ給へ、我不法にして世を送れり、我を憐み給へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
車に乗るイリヤは昔諸徳の車に上りて、天に挙げらるるが如く、地の一切の物より上に升れり、我が霊よ、彼の升しことを思へ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔エリセイはイリヤの衣を受けて、主より二倍の恩寵を獲たり、然れども爾我が霊よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔エリセイはイリヤの衣を以てイオルダンの流を左右に分てり、然れども爾我が霊よ、節制なきに因りて、此の恩寵に與らず。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
昔ソマンの婦は誠の心を以て義人を饗せり、爾霊よ、他邦の者をも旅行する者をも爾の家に入れざりき、故に哀哭して婚筵の宮より逐われん。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
不当なる霊よ、爾は常にギエジイの不潔の風に傚へり、已に老ゆるに及びても彼の貪を去れ、爾の悪業を離れて、地獄の火を脱れよ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
無原の父同無原の子、仁慈の撫恤者、義なる神、神言の父、無原の父の言、生活にして造成する神、三者惟一者よ、我を憐み給へ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
至浄なる者よ、紅の組織を以て錦の衣を織るが如く、エムマヌイルの肉体は爾が腹の中に織られたり、故に我等実に爾を生神女として尊み崇む。
種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讃む。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
智慧は傷つけられ、肉体は衰へ、霊魂は疚み、言は弱り、生命は殺され、終は門に在り、我が禍なる霊よ、審判者来りて爾の行を糾さん時爾何をか為さん。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、我爾にモイセイが創世の伝を示し、之に次ぎて義者と不義者との事を述ぶる聖約の書を悉く示せり、吁霊よ、爾は此の中前の者に傚はず、後の者に傚ひて、神の前に罪を犯せり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、爾の為に律法は力なく福音経は效なく、悉くの聖書は益なく、預言者と凡そ義人の事を述ぶる言とは徒然なり、爾の瘡は愈加わりて此を療す医師なし。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
霊よ、我新約の書より爾の傷感を起す例を引く、故に義人に傚ひ、罪人を避け、祈祷、禁食、潔浄、無玷を以てハリストスの憐を迎へよ。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
ハリストスは人と為りて、盗賊と淫婦とを痛悔に招けり、霊よ、痛悔せよ、国の門は已に啓けて、痛悔するファリセイと税吏と姦淫者とは爾に先ちて此に入る。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
ハリストスは我が肉体を取りて人と為り、罪の外は凡そ人性に適ふことを自由に試みて、霊よ、爾に己の寛容の例と表式とを示せり。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
ハリストスは博士を救ひ、牧者を召し、衆くの嬰児を致命者と為し、翁と老いたる嫠との栄を顕せり、霊よ、爾は彼等の行と生命とに傚わず、嗟審判に逢わん時爾禍なる哉。
- 神よ、我を憐み、我を憐み給へ。
主は四十日野に斎し、遂に飢へて、己の中に人の性を顕せり、霊よ、敵爾を攻めば、怠る毋れ、乃祈祷と斎とを以て是を爾の足下より退かしめよ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
- 聖三者讃詞
我等父を讃め揚げ、子を崇め歌ひ、信を以て聖神を尊み拝み、分れざる三者、性に於て惟一なるもの、一光と三光、三一の生命、四極に生命を施して之を照す者を崇め讃めん。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
- 生神女讃詞
至りて潔き神の母よ、爾の城邑を衛り給へ、蓋彼は信を以て爾の力にて建ち、爾に依りて堅固にせられ、爾を以て凡その誘に勝ち、諸敵を敗りて之を従はしむ。
- 聖アンドレイ讃詞
- 克肖なる神父アンドレイよ、我等の為に神に祈り給へ。
尊きアンドレイ、至りて福たる神父、クリトの牧者よ、爾を讃め歌ふ者の為に常に祈りて、我等凡そ爾の記憶を中心より尊むものを忿怒と、憂愁と傷害いと、数へ難き罪過より脱れしめ給へ。
- 嗣ぎて復「イルモス」を歌ふ、
種なき胎の産は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む産は天性を改むればなり、故に我等万世爾を神の嫁なる母として正しく崇め讃む。 叩拝1次
- 嗣ぎて誦経聖詠を誦す、
- 第四聖詠
吾が義の神よ、吾が籲ぶ時、我に聴き給へ。我が狭に在る時、爾我に廣を與へたり。我を憐みて、我が祷を聴き給へ。
人の子よ、我が榮の辱しめらるること何の時に至るか、爾等虚を好み詭を求むること何の時に至るか。
爾等主が其聖者を析ちて己に属せしめしを知れ、我籲べば、主は之を聴く。
怒りて罪を犯す毋れ、榻に在るとき爾等の心に謀りて、己を鎮めよ。
義の祭を献げて、主を恃め。
多くの者は言ふ、誰か我等に善を示さん。主よ、爾の顔の光を我等に顕し給へ。
爾の我が心に楽を満つるは、彼等が餅と酒と油とに豊なる時より勝れり。
我安然として偃し寝ぬ、蓋主よ、獨爾は我に無難にして世を渡らしめ給ふ。
- 第六聖詠
主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、我を憐み給へ、我弱ければなり、主よ、我を医し給へ、我が骸は慄き、
我が霊も甚慄けばなり、爾主よ、何の時に至るか。
主よ、面を転し、我が霊を免れしめ、爾の憐に由りて我を救ひ給へ。
蓋死の中には爾を記憶するなし、墓の中には誰か爾を讃揚せん。
我嘆にて憊れたり、毎夜我が榻を滌ひ、我が涙にて我の褥を濡す。
我が眼は憂に因りて枯れ、我が諸の敵に由りて衰へたり。
凡そ不法を行ふ者は我を離れよ、蓋主は我が泣く声を聞けり、
主は我が願を聴き給へり、主は我が祷を納れんとす。
願はくは我が諸の敵は辱しめられて痛く撃たれん、願はくは退きて俄に愧を得ん。
- 第十二聖詠
主よ、我を全く忘るること何の時に至るか、爾の面を我に隠すこと何の時に至るか、
我が己の霊の中に謀り、心の中に日夜憂を懐くこと、何の時に至るか、我が敵の我に高ぶること、何の時に至るか。
主我が神よ、顧みて我に聴き給へ、我が目を明にして、我を死の寐に寐ねざらしめ給へ、
我が敵が我は彼に勝てりと曰はざらん爲、我を攻むる者が我の撼く時に喜ばざらん爲なり。
我爾の憐を恃み、我が心爾の救を喜ばん、我恩を施す主を讃め頌ひ、至上なる主の名を崇め歌はん。
光栄は父と子と聖神に帰す、今も何時も世世に、「アミン」。
「アリルイヤ」「アリルイヤ」「アリルイヤ」、神よ、光栄は爾に帰す。三次、躬拝三次
主憐めよ。 三次
- 嗣ぎて諧和の声を以て朗に左の諸句を歌ふ、イサイヤ八章九節至九章七節選句
左列詠隊 神は我等と偕にす、異邦人よ、此を知りて従へよ、 神我等と偕にすればなり。
右列詠隊同句 神は我等と偕にす、異邦人よ、此を知りて従へよ、 神我等と偕にすればなり。
- 嗣ぎて両詠隊次序を以て各其句を歌ふ、
地の極までも之を聴け、 神我等と偕にすればなり。
権力ある者よ、従へ、 神我等と偕にすればなり。
復勢を張らば、復敗られん、 神我等と偕にすればなり。
謀を設けば、主は之を毀たん、 神我等と偕にすればなり。
言を出さば、必成らざらん、 神我等と偕にすればなり。
爾等の畏るる所は我等畏れず、驚かず、 神我等と偕にすればなり。
主我が神を以て聖と為す、彼は我が畏とならん、 神我等と偕にすればなり。
我彼を頼まば必ず我を聖にせん、 神我等と偕にすればなり。
我彼を望み、彼に因りて救を得ん、 神我等と偕にすればなり。
視よ、我及び神が我に與へたる諸子は此に在り、 神我等と偕にすればなり。
幽闇の中を行く民は大なる光を見たり、 神我等と偕にすればなり。
死の蔭の地に居る者よ、光は爾等を照さん、 神我等と偕にすればなり。
蓋嬰は我等の為に生れ、子は我等に賜はりたり、 神我等と偕にすればなり。
権柄は其肩に在り、 神我等と偕にすればなり。
其和平は終なし、 神我等と偕にすればなり。
其名は大なる議事の使者と称へらる、 神我等と偕にすればなり。
神妙なる議士と称へらる、 神我等と偕にすればなり。
大能の神、主宰、和平の君と称へらる、 神我等と偕にすればなり。
来世の父と称へらる、 神我等と偕にすればなり。
神は我等と偕にす、異邦人よ、此を知りて従へよ、 神我等と偕にすればなり。
光栄は父と子と聖神に帰す、 神我等と偕にすればなり。
今も何時も世世に、「アミン」、 神我等と偕にすればなり。
神は我等と偕にす、異邦人よ、此を知りて従へよ、 神我等と偕にすればなり。
- 嗣ぎて左の讃詞を誦す、
主よ、日を送りて爾に感謝す、救世主よ、求む、我に罪なく暮と夜とを度らしめて、我を救ひ給へ。
- 光栄は父と子と聖神に帰す。
主宰よ、日を送りて爾を讃栄す、救世主よ、求む、我に誘なく暮と夜とを度らしめて、我を救ひ給へ。
- 今も何時も世世に、「アミン」。
聖なる者よ、日を送りて爾を讃頌す、救世主よ、求む、我に無難に暮と夜とを度らしめて、我を救ひ給へ。
無形の性のヘルヴィムは息めざる歌にて爾を讃め揚げ、六翼の造物セラフィムは絶えざる声にて爾を尊み歌ひ、天使の萬軍は聖三の歌にて爾を崇め讃む、蓋爾は萬有の先より、自ら存する父にして、同無原なる爾の子を有ち、同尊なる生命の神を出し、三位の分れざるを顕し給ふ。
至聖なる童貞女・神の母と、親しく聖言を見て之に役めし者と、預言者及び致命者の群よ、死せざる生命を有つに因りて、我等の為に切に祈り給へ、我等皆苦難の中に在ればなり。願はくは我等凶悪の誘を遁れて、天使の歌を歌はん、聖、聖、聖なる三聖の主よ、我等を憐みて救ひ給へ、「アミン」。
【大斎第一週間奉事式略 2 に続く】
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この文書は翻訳文であり、原文から独立した著作物としての地位を有します。翻訳文のためのライセンスは、この版のみに適用されます。
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原文:
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この作品は1930年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
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翻訳文:
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この作品は1930年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
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