大塚徹・あき詩集/太陽相尅
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太陽相尅
[編集]拭えばとて
しむしむと
ちくちくと
深夜、血に狂う、酒池肉林の、白狼の舞踏。
白昼、敬虔しき
日夜、寒月に牙爪を研ぐ階級の相尅。
やがて生まれいづる嬰児の
掌に、寒々と焦衰の
妻よ!歎けばとて
ひたひたと濃霧に濡れて、帰えりくるは
白鬼に屠られたる、血泥の、同志の屍のみ―。
嗚呼、腹立たしきは暴虐の湿風。
哀れ、口惜しきは忍従の雑草。
呪咀する、侵略の人柱。資本の奴隷。
打破する、宗教の伝統。労農の地獄。
今日もまた、血涙に燃ゆる屈辱の西天。
己れ自ら崩壊する第三朝の太陽。
妻よ!
生まれいづる吾子は革命の分身。
地軸に潜み、地殻を破り、東天に鶏鳴する新
しき太陽。
嗚呼、黎明わが世の春も遠からじ、程遠から
じ。
〈昭和八年、愛誦〉