国際連合安全保障理事会決議第千九百八十号(コートジボワールに対する武器禁輸措置等の期限延長に関する決議)に関する件

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○外務省告示第二百七号

平成二十三年四月二十八日、国際連合安全保障理事会において、コートジボワール情勢に関し、武器禁輸措置等の期限を延長することを決定する次の決議が採択された。

平成二十三年六月十六日

外務大臣 松本 剛明

(訳文)

二千十一年四月二十八日、国際連合安全保障理事会がその第六千五百二十五回会合において採択した決議第千九百八十号(二千十一年)

安全保障理事会は、コートジボワールにおける情勢に関する従前の決議及び議長声明、特に決議第千八百八十号(二千九年)、第千八百九十三号(二千九年)、第千九百十一号(二千十年)、第千九百三十三号(二千十年)、第千九百四十六号(二千十年)、第千九百六十二号(二千十年)及び第千九百七十五号(二千十一年)を想起し、

コートジボワールの主権、独立、領土保全及び統一に対する同理事会の強い支持を再確認し、また、善隣、不干渉及び地域協力の原則の重要性を想起し、

国連事務総長の二千十一年三月三十日の報告書(S/二〇一一/二一一)並びに国際連合専門家グループの二千十一年の報告書(S/二〇一一/二七二)及び二千十年の最終報告書(S/二〇一一/二七一)に留意し、

決議第千五百七十二号(二千四年)、第千六百四十三号(二千五年)及び第千九百七十五号(二千十一年)により課された措置が、コートジボワールにおける安定に継続して貢献していることを強調し、これらの措置がコートジボワールの和平プロセスを支援することを目的とするものであることを強調し、

コートジボワールのアラサン・ドラマン・ウワタラ大統領が、国際社会にも認められたように、二千十年十一月二十八日の大統領選挙において表明されたコートジボワール国民の意思に基づき、今や国家元首としての全ての責務を負うことが可能となったことを歓迎し、

全てのコートジボワール国民が対話及び協議を通じて国民和解及び平和の定着を促進するために持続的な努力を払うことが必要不可欠であることを強調し、この点に関し、アフリカ連合(AU)及び西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の支援を歓迎し、

女性、平和及び安全保障に関する決議第千三百二十五号(二千年)、第千八百二十号(二千八年)、第千八百八十八号(二千九年)第千八百八十九号(二千九年)及び第千九百六十号(二千十年)、児童と武力紛争に関する決議第千六百十二号(二千五年)及び第千八百八十二号(二千九年)並びに武力紛争における文民の保護に関する決議第千六百七十四号(二千六年)及び第千八百九十四号(二千九年)を想起し、

コートジボワールにおける全ての人権侵害及び国際人道法違反に対する確固とした非難を改めて表明し、女性、児童、国内避難民及び外国人を含む文民に対して行われる全ての暴力並びに他の人権侵害、特に強制失踪、裁判外の殺害、児童の殺傷、強姦及び他の性的暴力を非難し、かかる犯罪行為の実行者は司法手続に付されなければならないことを強調し、

決議第千五百八十四号(二千四年)7の規定に基づき設立された専門家グループがその任務の遂行のために十分な資源の提供を受けることの重要性を強調し、

コートジボワールにおける事態がこの地域において国際の平和及び安全に対する脅威を構成することを認定し、

国際連合憲章第七章の下に行動して、

1 決議第千五百七十二号(二千四年)7から12までの規定、決議第千九百四十六号(二千十年)5の規定及び決議第千九百七十五号(二千十一年)12の規定により課せられた武器に関する措置及び、財政上及び渡航上の措置を二千十二年四月三十日まで延長することを決定し、更に、決議第千六百四十三号(二千五年)6の規定により課せられた全ての国がコートジボワールからの全てのダイヤモンド原石の輸入を防止する措置を二千十二年四月三十日まで延長することを決定する。

2 安全保障理事会が上記1にいう期間の終了時までに、コートジボワール全域における安定化、議会選挙の実施及び決議第千九百三十三号(二千十年)に規定する選挙プロセス及び和平プロセスの重要な段階の履行において達成された進捗状況に照らし、上記1の規定において延長された措置を再検討することを決定し、さらに、上記1にいう期間に、和平プロセスの進捗状況並びに人権侵害及び議会選挙の推移に従い、二千十二年四月三十日よりも前に、制裁制度の全部又は一部の修正、解除又は維持を行い得るとの観点から、二千十一年十月三十一日までに、上記1の規定において延長された措置の中間再検討を実施することを決定する。

3 全ての国連加盟国(特にこの地域の国)に対し、上記1の規定において延長された措置(適切な場合には、必要な規定及び規則を実施することを含む。)を完全に実施することを要請し、また、国際連合コートジボワール活動(UNOCI)に対し、その能力及び任務の範囲内で十分な支援を提供することを要請し、また、フランス軍に対し、この観点からその展開及び能力の制約の範囲内でUNOCIを支援することを更に要請する。

4 全ての不法な武装した戦闘員に対して直ちに武器を放棄するよう要請し、UNOCIに対して、その任務、能力及び展開する地域の範囲内で、コートジボワール政府がこうした武器を回収し貯蔵することへの支援を継続するよう奨励し、さらに、小型武器の拡散及び不正取引に取り組む国民委員会を含むコートジボワール当局に対し、それらの武器が、ECOWAS小型武器、弾薬及び関連物資に関する条約に従い、無害化されること又は不法に広まらないことを確保するよう要請する。

5 UNOCIは、武器禁輸の監視の範囲内で、適切な場合には、決議第千五百七十二号(二千四年)7の規定により課される措置に違反してコートジボワールに持ち込まれた武器及びすべての関連物資を回収し、必要に応じ処分する権限を与えられていることを想起する。

6 特に近隣諸国からのコートジボワールにおける傭兵の存在に深い懸念を表明し、コートジボワール及びリベリアの当局に対し、この問題を解決するため両国の行動を調整するよう要請し、さらに、UNOCIと国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)に対し、それぞれの任務、能力及び展開する地域の範囲内で、特に国境を越えた戦闘員の移動及び武器の移転に注意を払いつつ、コートジボワール政府及びリベリア政府が両国の国境を監視することをそれぞれ支援するよう奨励する。

7 決議第千七百三十九号(二千七年)、第千八百八十号(二千九年)、第千九百三十三号(二千十年)及び第千九百六十二号(二千十年)で定められているとおり、コートジボワールの当局が、専門家グループ、UNOCI及びこれを支援するフランス軍に対し、決議第千五百八十四号(二千五年)2⒜に規定される機材、場所及び設備並びに場所を問わず全ての武装治安部隊の全ての武器、弾薬及び関連物資(上記4に言及する回収に由来するものも含む。)への妨害のないアクセス(適切な場合には通告のないアクセスを含む。)を提供する必要性を改めて表明する。

8 コートジボワール治安部隊に対する車両の提供は、決議第千五百七十二号(二千四年)7の規定に基づく措置の対象となることを決定する。

9 決議第千五百七十二号(二千四年)8⒠に規定する免除手続は、コートジボワール政府からの公式な要請及び制裁委員会による事前の承認に従い、コートジボワールの治安部門改革のプロセスを支援する武器及び関連物資、車両並びに技術訓練及び支援の提供にのみ適用されることを決定する。

10 特に次に該当すると認められ、決議第千五百七十二号(二千四年)9、11及び14の規定に従って委員会により指定される者に対し、対象を特定した措置を課す十分な用意があることを強調する。

⒜ 特にワガドゥグ政治合意に規定する和平プロセスの実施を妨げることにより、コートジボワールにおける和平及び国民和解の過程に対する脅威であること。

⒝ UNOCI、それを支援するフランス軍及び事務総長特別代表の行動を攻撃し又は妨害していること。

⒞ UNOCI及びそれを支援するフランス軍の移動の自由に対する障害に責任を有すること。

⒟ コートジボワールにおいて行われた人権及び国際人道法の重大な違反に責任を有すること。

⒠ 憎悪及び暴力を公然に扇動していること。

⒡ 上記1の規定により課された措置に違反して行動していること。

11 選挙プロセス、特に独立選挙委員会及び関係するその他全ての関係者の行動、並びに議会選挙の結果発表及び認証を妨害する者に対し、制裁を課す用意があることを改めて表明する。

12 全ての関係国、特にこの地域の国に対し、委員会に全面的に協力することを要請し、また、委員会が必要と考える全ての更なる情報を要請する権限を与える。

13 決議第千七百二十七号(二千六年)7の規定に定める専門家グループの任務を二千十二年四月三十日まで延長することを決定し、事務総長に対し、同グループの活動を支援するため必要な措置をとることを要請する。

14 専門家グループに対し、決議第千五百七十二号(二千四年)7、9及び11の規定、決議第千六百四十三号(二千五年)6の規定及び決議第千九百七十五号(二千十一年)12の規定により課されている措置の履行につき、二千十一年十月十五日までに中間報告を、並びに任務の期間の終了の十五日前までに最終報告書及び勧告を、委員会を通じて安全保障理事会に提出することを要請する。

15 決議第千七百二十七号(二千六年)7⒠に規定される専門家グループの報告書は、適切な場合には、委員会が行い得る決議第千五百七十二号(二千四年)9及び11の規定に定める個人及び団体の追加指定に関連するいかなる情報及び勧告も含み得ることを決定し、また、監視メカニズムの方法の基準を明確にするための可能な措置について論じている21、22及び23の規定を含む最良の慣行及び方法に関する制裁についての一般的問題に関する非公式作業部会の報告書(S/二〇〇六/九九七)を更に想起する。

16 事務総長に対し、UNOCIが収集し、可能な場合には専門家グループにより再検討された、コートジボワールへの武器及び関連物資の供給に関する情報を、委員会を通じて、適切な場合には安全保障理事会に通報することを要請する。

17 フランス政府に対しても、フランス軍が収集し、可能な場合には専門家グループにより再検討された、コートジボワールへの武器及び関連物資の供給に関する情報を、委員会を通じて、適切な場合には安全保障理事会に通報することを要請する。

18 キンバリー・プロセス証明制度に対しても、ダイヤモンドの生産及びコートジボワールからの不正な輸出に関する情報であって、可能な場合には専門家グループにより再検討されたものを、委員会を通じて、適切な場合には安全保障理事会に通報することを要請し、また、キンバリー・プロセスにより調整された科学的調査の目的のためのダイヤモンド原石の標本の確保に関する決議第千八百九十三号(二千九年)16及び17の規定により定められた免除を延長することを更に決定する。

19 決議第千六百四十三号(二千五年)6の規定に基づく措置の修正又は解除を適当な場合に行うため、コートジボワール当局に対し、キンバリー・プロセス証明制度と協力し、ダイヤモンド原石の取引のための同国の国内管理制度の見直し及び評価、並びに同国の潜在的なダイヤモンド資源及び生産能力に関する包括的な地質学調査を行うよう奨励する。

20 コートジボワール当局に対し、同国全域、特に北部及び西部において、税関及び国境管理当局者を配置するよう奨励し、UNOCIに対し、その任務の範囲内で、コートジボワール当局による正常な税関及び国境管理活動の再構築について支援するよう奨励する。

21 全ての国、国際連合の関連機関並びにその他の機関及び関係当事者に対し、特に決議第千五百七十二号(二千四年)7、9及び11の規定、決議第千六百四十三号(二千五年)6の規定及び第千九百七十五号(二千十一年)12の規定により課され、上記1の規定において改めて表明された措置の違反の疑いに関する利用可能な情報を提供することにより、委員会、専門家グループ、UNOCI及びフランス軍に全面的に協力することを要請し、また、専門家グループに、適切な場合には、その活動を全ての政治主体と調整するよう更に要請する。

22 性的及びジェンダーに基づく暴力並びに武力紛争下の児童に関する決議第千九百六十号(二千十年)7及び第千八百八十二号(二千九年)7(b)を想起し、委員会と、児童と武力紛争に関する事務総長特別代表及び紛争下の性的暴力に関する事務総長特別代表との間でなされるそれぞれの任務に従った適切な情報共有を歓迎する。

23  全てのコートジボワールの当事者及び全ての国、特にこの地域の国に対し、以下を確保することを、この文脈で、更に要請する。

―専門家グループの構成員の安全

―専門家グループによる、特に専門家グループがその任務を行うための人、文書及び場所への妨害のないアクセス

24 この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。


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