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同志社国際高等学校の研修旅行等について (これまでの把握事項と文部科学省の見解)

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令和8年5月22日
文部科学省
同志社国際高等学校の研修旅行等について
(これまでの把握事項と文部科学省の見解)
 文部科学省では、本年3月16日に沖縄県名護市の辺野古沖で発生した、同志社国際高等学校における研修旅行中の重大な事故に関し、事案発生以降、所轄庁である京都府を通じて累次の確認を行ってきた。また、学校法人同志社を所轄する行政機関として、4月24日に京都府と連携して現地調査を行った。これらを通じて、これまでに把握した事項及び文部科学省の見解は、以下のとおりである。

1.研修旅行について

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(1) 辺野古への訪問の経緯

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【これまで確認した事項】
  • 2012年以前も、一部コースで、辺野古テント村を見学することはあったこと
  • 2015年から2018年までの間、一部コースで、辺野古テント村への訪問を実施したこと
  • コロナ禍後、2023年3月の研修旅行初日に行う開会礼拝を牧師(「不屈」の船長と同一人物。以下「牧師」という。)に依頼した際、牧師から辺野古でのボート乗船の提案を受け、ボートに係る事前下見を行うことなく、校内で検討の上、2023年3月からコース別学習においてボート乗船を開始したこと
  • 2023年3月の乗船と同様、2024年3月、2025年3月(2025年3月は当日雨天で中止)、2026年3月の乗船に関しても、事前の下見を行っていないこと
  • 牧師には、キリスト教のつながりから、2018年3月の研修旅行より開会礼拝を依頼していたこと
  • 各年度の研修旅行の計画は、学年の担任会、教職員会議の合議で決定・承認され、最終的には校長の責任の下、実施していたこと
【学校からの説明】
  • 2015年から辺野古テント村への訪問を開始した理由は、辺野古の問題が社会的に大きな関心事となっており、沖縄の現状を知る観点から、見識を深めさせたいと考えたため
  • 2023年からボート乗船を始めたことについては、牧師への信頼が、牧師が船長を務めている船であれば、安全であるという過信へと行き過ぎた結果、旅行会社を通じた手配で安全確保等の万全の体制をとるという考えに至らなかった

(2) 2025年度(2026年3月)の研修旅行の計画・事前準備等

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【これまで確認した事項】
  • 研修旅行に参加した259名のうち、当日は35名(欠席を含めると37名)の生徒が「辺野古をボートに乗り海から見るコース」(以下「辺野古コース」という。)に参加していたこと
  • ボートへの乗船に関して、2025年度についても、学校側が、牧師と那覇市内で「例年通り」と確認したのみであり、事前下見が行われていないこと
  • 転覆時、引率教員は同行していなかったこと。当初乗船予定であった教員は、当日、体調不良と乗り物酔い体質等により乗船を見送ったこと。また、2隻の船に対し、1名の引率教員しか配置されていなかったこと
  • どのような船に乗るのかについて、生徒や保護者への事前説明がなされていなかったこと
  • ボートへの乗船については、学校が牧師に対して直接依頼をしているが、契約書は締結しておらず、依頼文を送付するのみであり、その上で謝礼を支払っているものであること。ボート乗船に際し、牧師以外の2名の船員に対しては、学校は直接依頼をしていないが、これら船員にも謝礼を支払う予定であったこと
【学校からの説明】
  • 事前下見が行われていなかったことについて、安全管理意識が欠如していた
  • 引率教員が同行していなかったことについては、重大な判断ミスであり、そのような判断を現場のみで実施できる体制を容認していたことや、バックアップ体制が不十分であったことについて、学校として落ち度があった
  • 生徒や保護者に対し十分な説明ができていなかったとの指摘は重く受け止めている
【文部科学省の見解】
  • 修学旅行等(旅行・集団宿泊的行事)は、校外において集団で行動すること等に伴い、絶えず事故等の発生の可能性をはらんだものである。特に今回のように海上で抗議活動を行っているボートへの乗船という危険性の高い行為であったこと等を踏まえると、事前に下見を行う中で安全性を確認し、教職員間でその状況等を共有し乗船の必要性を吟味するとともに、当日の引率に当たって必要十分な教職員が同行する必要性があったことは言うまでもなく、加えて引率教員が同行しないとの重大な判断ミスや教職員の体調不良により対応できなかった場合の体制等を構築していなかったことなど、研修旅行の事前の計画や当日の対応が不適切であったと考える。
  • また、生徒や保護者に対して事前にプログラムの詳細について十分な説明がなされず、理解の徹底が図られなかったことについても学校としての対応は不適切であったと考える。
  • さらに、牧師や船員への依頼について、信用度等に関し十分な調査を行った事実や、学校としての依頼事項の明確な提示などが確認できず、牧師に対する信頼に基づき依頼をし、学校が主体性を持って安全確保を図っていたとは言えないことから、その点においても不適切であったと考える。
  • 以上、学校の対応は、「修学旅行における安全確保の徹底について」(昭和63年文部事務次官通達)や、高等学校学習指導要領解説(特別活動編)等に沿ったものとは言えず、生徒が死亡するという重大な事故につながったことを踏まえれば、著しく不適切であったと考えられ、是正を図る必要がある。

2.安全管理について

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【これまで確認した事項】
  • 学校が策定していた危機管理マニュアルの記載は、事故発生時の連絡体制等のみであり、校外活動時の事前の安全確保の検討・対策に関する記載がなかったこと
  • 文部科学省が示す「学校の危機管理マニュアル作成の手引」等における校外活動時の事前の安全確保の検討・対策の項目について、学校の当初の回答では、項目の多くが「文書では作成されていないが、事前の打ち合わせ及び現地での打ち合わせでは、原則確認をしている」とのことであったが、項目に沿って対応の詳細を確認したところ以下のとおりであったこと
  • 事前の現地の状況や天候把握について、今回のプログラムを想定した確認がされておらず、当日の波浪注意報の気象情報についても確認していなかったこと
  • 悪天候などによる活動の変更・中止を想定した代案について、学校において事前に決めていなかったこと
  • 安全面における現地固有の状況や乗船に伴うリスク(海上運送法上の事業登録の有無、航路、船の形状、通常の船着き場ではなく危険な護岸からの乗船など)について、事前に下見や実地調査などにおいて把握・確認しておらず、リスクを可能な限り軽減する取組や想定される事故等が発生した場合の対策が講じられていないこと
  • 今回のプログラムは旅行会社における下見等の確認対象に入っていないにもかかわらず、学校は事前の下見等を行っておらず、現地で事故等が発生した際の対応や救護・通報にかかる施設・設備等の調査・確認を行っていないこと、また、これらの内容を今回の研修旅行の諸注意資料に記載・反映していないこと、加えて、生徒が引率教員と離れて乗船する中で、転覆時の海上保安部への通報も生徒自ら調べて通報するに至ったこと
  • 訪問先の船の運航関係者との安全確保に関する事前調整を十分に行っていないこと
  • 学校において、今回のプログラムに参加する生徒に対して、ライフジャケットの着用方法等の事前の安全指導・教育がなされていなかったこと
【学校からの説明】
  • 今回のプログラムの危険性について認識が甘かったこと、ボートそのものの安全性の検討や乗船に当たってのリスク分析、対策の必要性について意識が及ばなかったことは事実であり、深く反省するところである
  • 現場の教員のいずれも事故の前日及び当日に波浪注意報の情報を把握していなかったことについては、危機管理マニュアルの整備・運用状況等に不備があったことが原因であると考えている
  • 事前下見が行われていなかったことについて、安全管理意識が欠如していた
  • 生徒が海上保安部に通報した。生徒によれば、船員もすぐに番号が分からずにおり、生徒のスマートフォンに番号が表示されたので、それで生徒が通報した
  • 今回のプログラムにおける訪問先とは、安全確保について十分に事前調整できていなかった
  • 今回のプログラムに参加する生徒に対して、事前に安全に関する具体的な指導はしておらず、教員がライフジャケットの着用方法等について指導していなかったことは把握している
【文部科学省の見解】
  • まず、学校保健安全法に基づいて学校ごとに策定することとされている危機管理マニュアルに関して、文部科学省が示す「学校の危機管理マニュアル作成の手引」(平成30年2月)、「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」(令和3年6月)、「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」(平成31年3月)等における校外活動時の事前の安全確保の検討・対策についての項目・内容が、学校の危機管理マニュアルに記載されておらず、不適切であったと考える。
  • また、学校における今回のプログラムの実施に当たっては、
    • 本プログラムを想定して事前の現地の状況や天候把握の確認をしていなかったことや、悪天候などによる活動の変更・中止を想定した代案について事前に決めていなかったこと、
    • 本プログラムは旅行会社における下見等の確認対象に入っていないにもかかわらず、安全面における現地固有の状況や乗船に伴うリスク(海上運送法上の事業登録の有無、航路、船の形状、通常の船着き場ではなく危険な護岸からの乗船など)、救護・通報にかかる施設等について、事前に下見や実地調査などにおいて把握・確認しておらず、想定される事故等が発生した場合の対策等が講じられていないこと、
    • 訪問先の船の運航関係者との安全確保に関する事前調整を十分に行っていないこと、
    • プログラムに参加する生徒に対して、学校からライフジャケットの着用方法等の事前の安全指導・教育が行われていないこと
などから、文部科学省が「学校の危機管理マニュアル作成の手引」等で示す安全管理・安全確保の取組が不適切であったと考える。
  • したがって、今回の研修旅行のプログラムにおける学校の安全管理・安全確保の取組は、著しく不適切であったと考えられ、是正を図る必要がある。

3. 教育活動の状況について

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【これまで確認した事項】
  • 今年度の研修旅行の3日目は、7つの選択コースが用意されており、辺野古コースについては、教員から生徒に対し、「主たる目的は「きれいな海を見る」ことではなく、基地建設と、それに反対する人が対峙する「現場」を見ること」であるとのメッセージが送られており、生徒だけでなく、学年主任、担任が見られるものとなっていたこと
  • 2026年3月の研修旅行初日の開会礼拝のメッセージにおいて、牧師より「米軍基地建設に抗議する船の船長をずっと今やっています」、「基地建設に反対し、抗議して声を上げ、ここから入るなよっていうエリアがあります(略)ここから入ったら、法律違反、法令違反、逮捕する、捕まえる、そういう線引きされるんです。あえてそこを越えて入っていって抗議します。だから当然、陸では警察機動隊に拘束される。海では海上保安庁に拘束されます。」との発言があったこと
  • 2025年3月の研修旅行初日の開会礼拝のメッセージにおいて、牧師より「研修旅行で去年、グループ別で辺野古に来てくださった方々に辺野古の抗議船に乗っていただいた」、「海は危険な場所でもあるんですね。みなさんの船も極力安全にありたいけど、注意を払って船長は船を出します。外から来たお客さんが乗っていない中で抗議活動をするときも、もちろん、それを考えています(略)そういう活動の一端を見ていただけたらと思います」との発言があったこと
  • 2019年3月の研修旅行初日の開会礼拝のメッセージにおいて、牧師より「牧師ですが、こうして長靴で午前中、船に乗っていたんです。辺野古の新基地建設が進められているところで私は12年、ずっとそこで海からこの工事を食い止める活動をしています。牧師ですけど、そっちで船長をしています。今日も早朝から海に出ていました」、「こんな海の格好のまま来てしまいました」との発言があったこと
  • 辺野古への移設工事について扱う際に、沖縄県の見解を学習させていたことや、ワークシートで「県は何を訴えたのか」という観点で扱っていたことは確認できたこと。一方で、これ以外の様々な見解について十分な事前又は事後の学習を行っていたことが確認できないこと
  • 2025年の研修旅行における謝礼の領収書の名義人の一部が「ヘリ基地反対協議会」となっていること
  • 2015年から2018年にかけて作成・配布された生徒向けの研修旅行のしおりにおいて、現地のガイドからの依頼を受け、ヘリ基地反対協議会による座り込みをお願いする内容(「辺野古新基地建設反対に賛同して、この座り込み現場に来てくださったことを歓迎いたします。共に闘うために」(2015年、2016年)、「ここでの闘いは「座り込み」です。私たちの行動に賛同いただける方は、まず一緒に座り込んでください」(2015年~2018年))を掲載していたこと
  • 2015年の辺野古コースに参加した生徒の感想の中には、「ヘリ基地反対協議会の共同代表」の名前を具体的に挙げた上で、その方から基地に反対する理由を聞いたと記述があること
  • 平成27年通知(政治的中立性の確保)について、校内では、通知発出時点でのメールでの形式的な周知にとどまっており、今回問題になった諸事案の意思決定プロセスにおいて同通知が一度も参照されていなかったこと
【学校からの説明】
  • 高校2年の教員を中心とした一部の引率教員が、牧師が抗議活動を行っていることを事前に認識していたものの、生徒を乗船させる船が「抗議活動を行っている船(抗議船)」であるという認識を持っていた教員はごく一部にとどまっていた
  • ボートへの乗船については、生徒を抗議活動に参加させるわけではなく、あくまでも平和学習のためにボートの運航を牧師に依頼したものであり、いわゆる「抗議船」としての運航ではないため、問題ないと判断した
  • 一方で、抗議活動で使われているボートに生徒を乗船させること自体が、客観的に見て政治的な意味を帯びているように見える恐れがあることについて、十分な検討及び配慮ができていなかったという点については、重く受け止めている
  • 開会礼拝については、信頼している牧師に開会礼拝を依頼したという認識で、特別な意図をもってメッセージをお願いしたわけではない
  • 年間を通じた平和学習全体として基地問題以外にも様々な内容も扱っており、政治的中立性は確保していたと考えるが、沖縄研修旅行の辺野古コースの実施に当たっては、事前学習も含め辺野古への移設工事の扱いにバランスが取れていたかという点について、対立する意見について両方の視点が提示できていなかったことに疑いを持たれてもやむを得ない活動となっていたことは、至らない点があった
  • ヘリ基地反対協議会による座り込みをお願いする文書については、生徒向けではなく、一般向けのものを掲載したものであり、現地のガイドから「辺野古テント村」がどういう場所であるかを生徒に知らせておいてほしいとの意向を受けてそのまま書き写したものであったが、生徒に依頼したと受け取られる可能性に思いが至っていなかった
  • 生徒や教職員が座り込みを含む抗議活動に参加したことはなかった
【文部科学省の見解】
  • 多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなどが重要であり、特定の事柄を強調しすぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないようにすることが求められる。
  • この点、同志社国際高等学校の研修旅行における辺野古への移設工事に関する学習について、これまで把握した限りでは、事前及び事後の学習を含めて、様々な見解を十分に提示していたことが確認できず、特定の見方・考え方に偏った取扱いであったと考えられる。
  • また、研修旅行冒頭の開会礼拝で牧師自身が行っている辺野古への移設工事に反対する抗議活動の説明が少なくとも 2019年、2025年、2026年の複数年にわたり行われていたこと、2025年の研修旅行における謝礼の領収書の名義人の一部が「ヘリ基地反対協議会」となっていること、主たる目的として、「「きれいな海を見る」ことではなく、基地建設と、それに反対する人が対峙する「現場」を見ること」であるとのメッセージが生徒だけでなく、学年主任や担任も見られるものであったことなどから、教員の相当数が、船長が抗議船で日常的に抗議活動を行うとともに、生徒らを乗せる船が抗議船であるという認識を持っていたと考えざるを得ない。
     その上で、当該プログラムを含む研修旅行は、同志社国際高等学校の公式の学校行事であり、研修旅行の研修内容は、教職員会議で決定・承認され、最終的には校長の責任の下、実施されたものであって、当該プログラムも、その決定プロセスで研修旅行に組み込まれ、行われたものである。学校は、生徒を乗船させる船が抗議船であるという認識を持っていた教員はごく一部にとどまっていたと述べているが、当該プログラムの具体的内容は、担当教員で計画し、当日は引率教員により実施されたものであり、当該教育活動は学校の教育活動として実施されたものであることは明らかである。
  • 学校は、辺野古への移設工事に関する学習は、平和に関する学習の一環であり、政治的中立性を確保していたと説明しているが、上記のとおり様々な見解を十分に提示しておらず、教員の相当数は、船長が日常的に抗議活動を行い、生徒らを乗せる船が抗議船であるという認識を持っていたと考えざるを得ない中で、学校の研修旅行の選択プログラムの一つとして、辺野古テント村への訪問や、辺野古沖での抗議船として日常的に使用される船による見学のプログラムを組み実施していたこと、研修旅行初日の開会礼拝のメッセージにおいて牧師より複数年にわたって抗議活動に関する説明が行われていたこと、2015年から 2018年までの研修旅行のしおりの中で、ヘリ基地反対協議会による座り込みをお願いする文書を掲載していたこと、2015年の辺野古コースに参加した生徒の感想の中には、「ヘリ基地反対協議会の共同代表」の名前を具体的に挙げた上で、その方から基地に反対する理由を聞いたと記述があることなどが明らかになった。
  • 以上のことを総合的に勘案すれば、現時点で把握した情報からは、辺野古への移設工事に関する学習について、政治的活動を禁じる教育基本法第14条第2項に反するものであったと考えられ、是正を図る必要がある。
  • 平和に関する学習については、学習指導要領等に基づき、小中高等学校段階を通じ、児童生徒の発達段階に応じて主として社会科や地理歴史科、公民科等において指導することとされており、例えば、高等学校段階では第二次世界大戦について扱う中で、我が国においても沖縄戦などで戦禍を被ったことに着目させ、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性を自覚させるようにすることとしている。
     各学校が行う沖縄における平和に関する学習についても、こうした観点から教育基本法や学習指導要領等の関係法令、「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(平成27年文部科学省初等中等教育局長通知)、「学校における校外活動の安全確保の徹底等について(令和8年文部科学省初等中等教育局長・総合教育政策局長・高等教育局長通知)を踏まえ、適切に行われることが必要である。

4. 学校法人及び学校としての対応について

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(1) 学校法人同志社としての対応

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【これまで確認した事項】
  • 研修旅行の実施日程は学校から事前に報告を受けて把握しているが、研修旅行のプログラムの詳細については、学校法人としては、事前又は事後にかかわらず把握していなかったこと
  • 3月28日、学校法人同志社と利害関係を有しない第三者である弁護士により構成される特別調査委員会の設置を決定。詳細な調査項目は同委員会において検討中であるが、事実関係の認定、事実関係に基づく法的評価や原因分析、再発防止策の提言等が調査項目となる見込み。最終的な調査結果は夏頃を目途に取りまとめの見込みであるが、調査結果は、完了次第、速やかに公表を予定
  • 今般の平和に関する学習の内容や過去の教育プログラム等も含めた教育活動の適切性については、特別調査委員会による調査とは別に、同委員会で解明された事実関係等も踏まえ、学校法人同志社において改めて外部の教育専門家等を含めて検証していくことを想定していること。本年8月を目途に見解を公表する予定であること
  • 今後、本年10月を目途に、学校法人内に「安全管理室(仮称)」を設置し、各設置校の教育活動のリスク評価・分析するための統一基準の設定、学外活動を含むリスクへの対応状況の点検・確認や改善指示等を行うなど、学校法人としての安全管理体制の強化に取り組むこと
【学校法人からの説明】
  • これまで、学校法人としては各設置校の自主性を尊重し、行事の詳細は各設置校の判断に委ねていたが、各設置校の教育活動に関する安全管理上のリスクを設置者として把握し、必要な指導・監督をする体制が十分ではなかったことを反省しており、今後、「安全管理室(仮称)」の設置等により、学校法人としての危機管理及び安全管理体制の強化に取り組む
  • また、各学校で開催される各種行事の教育内容等についても、今後は、学校長会や事務責任者会の規程を制定し、権限を伴う法人のハンドリングを明確化していく
  • 同志社国際高等学校では、教職員は一度就職すると退職するまで同じ学校で勤務することが一般的であったが、それが教職員間のなれ合い、相互に干渉しない風土を生じさせていたことを踏まえ、今後は学校法人・設置校間の人事交流等を進めることにより、教職員間のチェック機能をより有効にしていくことを検討している

(2) 学校としての対応

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【これまで確認した事項】
  • 2023年からボートへの乗船が行われる中で、
    • 安全管理面においては、事前の下見や研修旅行当日の引率教員の同行、通常の船着き場ではなく護岸からの乗船、事後の生徒の感想において、警備中の船から注意を受けたり、船に乗ることに恐怖を感じたりした者がいたこと
    • 教育活動面においては、抗議船として日常的に使われている船への乗船や、開会礼拝における牧師のメッセージにおいて、牧師自身が行っている辺野古への移設工事に反対する抗議活動の説明が行われていたこと、2015~2018年の研修旅行のしおりにおいて、座り込みをお願いする文書を掲載していたこと
といった事項について、校長や管理職、教職員の間で疑問が呈されたり、議論がなされたりしたことはないこと
  • 教育基本法反対及び辺野古の米軍新基地建設反対を宣教基本方策に掲げる日本基督教団京都教区のホームページ上で、関連諸団体として、同志社国際中学・高等学校が位置付けられていること
【学校からの説明】
  • 過去の研修旅行において乗船時の恐怖を生徒が感想文に記載していたことや、生徒への依頼の意図はなかったものの「辺野古テント村」への座り込み依頼を教員が軽率に掲載してしまっていたことについて、これまで教職員会議等で疑問が呈されずに前例踏襲が続き、校長の責任で止めることがなかったことについてはガバナンスの不備であると考えている。今回の研修旅行においても、校内における平和に関する学習は、これまで校内で作り上げられてきたものを、敢えて積極的に変えていくことが必要であるという考えに至らなかった
  • 日本基督教団京都教区のホームページで同志社国際高等学校が関連諸団体として位置付けられているが、許諾なく掲載されているものであり、同志社国際高等学校は日本基督教団京都教区の関連諸団体ではない。また、同志社国際高等学校には、日本基督教団京都教区に所属する牧師でもある教員が在籍しているものの、同志社国際高等学校において学校教育の在り方を決定づける権限はなく、外部団体による教育内容への直接的な影響はなかった
【文部科学省の見解】
  • 「修学旅行における安全確保の徹底について」(昭和63年文部事務次官通達)において、「学校の管理機関等においては、平素から、各学校に対して、修学旅行のもつ意義と留意点についての理解の徹底を図るとともに、各学校の修学旅行の計画実施が児童生徒の安全と健康の保持上無理なく適切なものであるかにつき、十分な実態の把握と必要な指導を行うこと」とされていることも踏まえれば、まず、設置者である学校法人としての管理体制が不十分であったと考える。
  • 学校が今回の事案のような教育活動を行うに当たっては、外部団体との関係の有無にかかわらず、安全性の確保はもとより、教育基本法や平成 27 年通知等を踏まえた対応が求められることはいうまでもない。しかし、学年の担任会、教職員会議、最終的には校長の責任の下での意思決定の過程において、これらの法令等を踏まえた議論が全く行われず、過去の研修旅行後の感想文で参加生徒が危険性や不安を申し述べていたことも一顧だにされず、結果として必要な見直し等が行われることなく、今回の事案に至った。
     これらを踏まえれば、学校運営の責任者である校長の責任の下、学校組織として適切な内部チェック体制が整っていたとは言えず、適切な意思決定を行うためのガバナンスに極めて大きな問題があったと考えられ、是正を図る必要がある。
     また、生徒や保護者に対して、事前に研修旅行のプログラムの詳細について十分な説明が行われていなかった点についても、学校としての組織的な対応が不適切であったと考える。
  • 以上のことから、今回の事案に関して、設置校における安全管理も含めた教育活動の最終的な責任を負う設置者たる学校法人及び学校の責任は極めて重い。

<今後の対応>

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  • 文部科学省としては、同志社国際高等学校における研修旅行に関し、特別調査委員会や、教育の中立性に関し法人設置予定の外部有識者による検証の状況等について確認を求めつつ、学校の所轄庁である京都府とも連携し、本事案に関する保護者等への説明責任等も求めながら、検証を進めていく。

【参考】

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修学旅行における安全確保の徹底について(昭和63年3月31日付け文部事務次官通達)(抜粋)

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 今回、海外を修学旅行中の生徒に多数の死傷者を出す事故が発生したことは、誠に遺憾に堪えない。
 小学校、中学校、高等学校等における修学旅行については、かねてから、事故の絶無を期し、安全確保のために適切な措置が講ぜられるよう配慮願っているところであるが、この際、これまでの指導の在り方を見直し、安全確保の徹底につき特段の措置が必要であると考える。
 ついては、特に下記の諸点について留意の上、修学旅行が安全でかつ有意義に実施されるよう特段の御配慮を願いたい。
 おって、貴管下の市町村教育委員会及び学校に対しこの趣旨の徹底が図られるようよろしく取り計らい願いたい。

一 修学旅行は、平素と異なる生活環境の中にあって見聞を広げ、集団生活のきまりを守り、公衆道徳について望ましい体験を得ることなどを目的とする意義ある教育活動であるが、一方で、校外を集団で行動すること等に伴い、絶えず事故等の発生の余地をはらんだものであることを再認識する必要があること。このため、学校においては、修学旅行の計画実施に当たり、その実施のねらい、教育的意義を明らかにするとともに、旅行経路、交通機関、現地の状況等についての事前の実地調査の実施、引率体制等の充実、万一の事故発生等緊急時の連絡体制・医療体制等の点検、保護者の理解の徹底等、細心かつ周到な準備を整え、関係業者に過度に依存することなく主体性をもって修学旅行の安全確保につき万全を期すること。
二 学校の管理機関等においては、平素から、各学校に対して、修学旅行のもつ意義と留意点についての理解の徹底を図るとともに、各学校の修学旅行の計画実施が児童生徒の安全と健康の保持上無理なく適切なものであるかにつき、十分な実態の把握と必要な指導を行うこと。また、万一、事故等緊急の対応が必要な場合、すみやかな対応のとれる体制を整えること。

学校保健安全法(昭和33年法律第56号)(抄)

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(危険等発生時対処要領の作成等)
第29条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の実情に応じて、危険等発生時において当該学校の職員がとるべき措置の具体的内容及び手順を定めた対処要領(次項において「危険等発生時対処要領」という。)を作成するものとする。
2 校長は、危険等発生時対処要領の職員に対する周知、訓練の実施その他の危険等発生時において職員が適切に対処するために必要な措置を講ずるものとする。
3 学校においては、事故等により児童生徒等に危害が生じた場合において、当該児童生徒等及び当該事故等により心理的外傷その他の心身の健康に対する影響を受けた児童生徒等その他の関係者の心身の健康を回復させるため、これらの者に対して必要な支援を行うものとする。この場合においては、第十条の規定を準用する。

学校の危機管理マニュアル作成の手引」(平成30年2月)(抜粋)

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  • 校外での活動を行う場合は、事前に現地の状況や気象情報などを十分に把握すること
  • 悪天候などで活動を変更又は中止する場合を想定し、事前に代案を決めておくとともに、活動中は気象情報に配慮すること
  • 児童生徒等が教職員から離れて活動する場合などは、児童生徒等から教職員への報告体制や学校、保護者、関係機関等への緊急連絡体制を整備すること(以上、第3章-2【2】校外活動時に事故等が発生した場合の留意点における事前の対策を参照)
  • 障害のある児童生徒等が在籍する場合には、伝達方法の整備や避難経路・避難体制の整備など、障害のある児童生徒等の特性に応じた内容となるよう留意すること(第3章-10 特別支援学校等における留意点を参照)

学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」(令和3年6月)(抜粋)

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◆ 校外活動における危機未然防止対策
(1) 事前の検討・対策
遠足、社会科見学、移動教室、修学旅行、その他の校外活動について、児童の安全確保の観点から以下の点についての事前の検討・対策を講じることとする。
  • 校外活動先における地域固有のリスク(津波・土砂災害などの自然災害、その他の事故・災害の危険性)を調査し、これを可能な限り軽減するとともに、想定される事故・災害等が発生した場合の対応を検討すること
  • 事前の下見で、現地で被災した場合の様々なリスクや、活動場所近くの利用可能な施設・設備等(AED 配置場所、病院・警察署等)を調査するとともに、これを活動計画や活動のしおりに反映させること
  • 訪問先・宿泊先・旅行代理店等関係者との安全確保に関する事前調整を行うこと
  • 引率教職員間での連絡方法、引率教職員と在校教職員との定期的な連絡の方法について検討すること
  • 災害発生時の避難経路・避難場所、情報収集手段等について確認し、全引率教職員間の共通認識とすること
  • 緊急時の連絡体制(医療機関、学校、保護者)を整備し、確実に機能するかを事前に確認すること
  • 一人で避難できない児童への対応について検討すること

学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」(平成31年3月改訂2版)(抜粋)

[編集]
  • 校外学習や学校行事については、綿密な計画の作成と安全の確認、児童生徒等への事前の安全に関する指導の十分な実施及び教職員体制が通常と異なる場合の役割分担、緊急事態が発生した場合の連絡方法等の確立などについて検討し、必要な対策を実施すること(第3章第3節2(2)校外活動時等における事故等発生時の留意点)

教育基本法(平成18年法律第120号)(抄)

[編集]
(政治教育)
第14条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

学校教育法(昭和22年法律第26号)(抄)

[編集]
第52条 高等学校の学科及び教育課程に関する事項は、前二条の規定及び第六十二条において読み替えて準用する第三十条第二項の規定に従い、文部科学大臣が定める。

学校教育法施行規則(昭和22年文部省令11号)(抄)

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第84条 高等学校の教育課程については、この章に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する高等学校学習指導要領によるものとする。

高等学校学習指導要領(平成30年3月告示)(抜粋)

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第2章 各学科に共通する各教科
第2節 地理歴史
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(3) 社会的事象については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,生徒が多面的・多角的に考察したり,事実を客観的に捉え,公正に判断したりすることを妨げることのないよう留意すること。
第3節 公民
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(3) 社会的事象等については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,生徒が多面的・多角的に考察したり,事実を客観的に捉え,公正に判断したりすることを妨げることのないよう留意すること。
第5章 特別活動
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学校行事〕
2 内容
(4) 旅行・集団宿泊的行事
 平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること。

高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 特別活動編(抜粋)

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第3章 各活動・学校行事の目標と内容
第3節 学校行事
2 内容
(4)旅行・集団宿泊的行事
(前略)
旅行・集団宿泊的行事としては,遠足,修学旅行,集団宿泊,野外活動などが考えられる。
② 実施上の留意点
(ア~エ 略)
オ 生徒の心身の発達の段階,安全,環境,交通事情,経済的な負担,天候,不測の事故,事故の発生時における対応策などに十分配慮し,学校や生徒の実態を踏まえた活動となるよう工夫すること。特に,教師の適切な管理の下での生徒の活動が助長されるように事故防止のための万全な配慮をすること。また,自然災害などの不測の事態に対しても,自校との連絡体制を整えるなど適切な対応ができるようにすること。(なお,計画の実施に関しては,「小学校,中学校,高等学校等の遠足・修学旅行について」(昭和43年10月2日付け,文初中第450号文部省初等中等教育局長通達),「修学旅行における安全確保の徹底について」(昭和63年3月31日付け,文初高第139号文部事務次官通達)などを参照すること。)

高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(平成27年10月29日付け初等中等教育局長通知)(抜粋)

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第1 高等学校等における政治的教養の教育
 教育基本法第14条第1項には「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」とある。このことは、国家・社会の形成者として必要な資質を養うことを目標とする学校教育においては、当然要請されていることであり、日本国憲法の下における議会制民主主義など民主主義を尊重し、推進しようとする国民を育成するに当たって欠くことのできないものであること。
 また、この高等学校等における政治的教養の教育を行うに当たっては、教育基本法第14条第2項において、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動」は禁止されていることに留意することが必要であること。
第2 政治的教養の教育に関する指導上の留意事項
1. 政治的教養の教育は、学習指導要領に基づいて、校長を中心に学校として指導のねらいを明確にし、系統的、計画的な指導計画を立てて実施すること。また、教科においては公民科での指導が中心となるが、総合的な学習の時間や特別活動におけるホームルーム活動、生徒会活動、学校行事なども活用して適切な指導を行うこと。指導に当たっては、教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること。
2. 政治的教養の教育においては、議会制民主主義など民主主義の意義とともに、選挙や投票が政策に及ぼす影響などの政策形成の仕組みや選挙の具体的な投票方法など、政治や選挙についての理解を重視すること。あわせて、学校教育全体を通じて育むことが求められる、論理的思考力、現実社会の諸課題について多面的・多角的に考察し、公正に判断する力、現実社会の諸課題を見いだし、協働的に追究し解決する力、公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度を身に付けさせること。


3. 指導に当たっては、学校が政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、より一層具体的かつ実践的な指導を行うこと。
 また、現実の具体的な政治的事象については、種々の見解があり、一つの見解が絶対的に正しく、他のものは誤りであると断定することは困難である。加えて、一般に政治は意見や信念、利害の対立状況から発生するものである。そのため、生徒が自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが重要である。したがって、学校における政治的事象の指導においては、一つの結論を出すよりも結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が重要であることを理解させること。
 さらに、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなどが重要であること。
 その際、特定の事柄を強調しすぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう留意すること。また、補助教材の適切な取扱いに関し、同様の観点から発出された平成27年3月4日付け26文科初第1257号「学校における補助教材の適正な取扱いについて」にも留意すること。
4. 生徒が有権者としての権利を円滑に行使することができるよう、選挙管理委員会との連携などにより、具体的な投票方法など実際の選挙の際に必要となる知識を得たり、模擬選挙や模擬議会など現実の政治を素材とした実践的な教育活動を通して理解を深めたりすることができるよう指導すること。
 なお、多様な見解があることを生徒に理解させることなどにより、指導が全体として特定の政治上の主義若しくは施策又は特定の政党や政治的団体等を支持し、又は反対することとならないよう留意すること。
5. 教員は、公職選挙法第137条及び日本国憲法の改正手続に関する法律(平成19年法律第51号)第103条第2項においてその地位を利用した選挙運動及び国民投票運動が禁止されており、また、その言動が生徒の人格形成に与える影響が極めて大きいことに留意し、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って生徒に接することのないよう、また不用意に地位を利用した結果とならないようにすること。

学校における校外活動の安全確保の徹底等について(令和8年4月7日付け初等中等教育局長・総合教育政策局長・高等教育局長通知)(抜粋)

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 令和8年3月16日、京都府内の高等学校における校外活動中に生徒に死傷者が出る重大な事故が発生しました。学校の管理下での教育活動の最中に、決してあってはならない事故が起きてしまったことは極めて遺憾です。
 学校における校外活動を実施するに当たっては、事故防止等に万全の措置が必要です。学校における校外活動時を含めた児童生徒の安全の確保については、学校保健安全法第29条において各学校で「危機管理マニュアル」を作成することが義務付けられており、文部科学省としてはこれまでに、学校のマニュアル作成の参考となる「学校の危機管理マニュアル作成の手引」(平成30年2月)等を示してきたところです。また、修学旅行等における安全確保にあたり留意いただきたい点等については、関係の通知等において示してきたところです。
 上記の事故については、現在、その詳細な調査等が進められているところでありますが、今後の各学校における校外活動の実施に当たり、今回の事故を受け、改めて、安全の確保のために配慮いただきたい点や教育活動として適切に計画・実施していただくに当たって留意いただきたい点等を下記のとおり通知しますので、今回のような痛ましい事故が二度と発生することの無いよう、対応の徹底をお願いします。
 各学校の設置者におかれましては、本通知の趣旨を踏まえ、本年度の学校における校外活動の実施に当たり、改めて安全性が確保されているか、その実施内容が適切であるかについて確認いただくとともに、必要に応じて見直しを図っていただくようお願いいたします。
 高等学校等については、社会全体で高校教育の支援を行っていく観点から、本年4月に新たな高等学校等就学支援金制度が開始され、その適切な実施とともに、その教育活動や学校運営に対し期待と責任が求められています。各都道府県知事にあっては所轄の私立学校及び学校法人において適切な運営がなされるよう、必要な指導・助言を行っていただきますようお願いいたします。
 加えて、都道府県知事において上記の対応等を行う上では、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第27条の5の規定により、教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言又は援助を求めることができることから、必要に応じ、教育委員会の助言又は援助も得つつ、適切に対応いただくようお願いします。
 これらのことについて、各都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、各都道府県知事にあっては所轄の学校及び学校法人に対して、国公立大学法人の長にあっては設置する附属学校に対して、各文部科学大臣所轄学校法人理事長にあっては設置する学校に対して、株式会社立学校を認定した地方公共団体の長にあっては認可した学校に対して周知いただきますとともに、適切な対応がなされるよう、特段のご配慮をお願いします。

1. 学校における校外活動時の安全の確保について

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 学校における校外活動時を含めた児童生徒の安全の確保については、学校保健安全法に基づき、危機管理マニュアルの作成が義務付けられており、文部科学省としては、特に校外活動等の安全の確保について、以下の通り参考資料等を示している。
 改めて、以下資料等を参考に、各学校の「危機管理マニュアル」の記載内容を点検いただき、必要に応じて改定等を行っていただきたい。その際、「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」及び同ガイドラインに掲載されているチェックリストも活用しながら、各学校の「危機管理マニュアル」に沿った実際の学校における活動を徹底し、校外活動時の安全確保に万全を期していただきたい。
※「学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」(平成31年3月改訂2版)・校外学習や学校行事については、綿密な計画の作成と安全の確認、児童生徒等への事前の安全に関する指導の十分な実施及び教職員体制が通常と異なる場合の役割分担、緊急事態が発生した場合の連絡方法等の確立などについて検討し、必要な対策を実施すること
(第3章第3節2(2)校外活動時等における事故等発生時の留意点)
※「学校の危機管理マニュアル作成の手引」(平成30年2月)
  • 校外での活動を行う場合は、事前に現地の状況や気象情報などを十分に把握すること
  • 悪天候などで活動を変更又は中止する場合を想定し、事前に代案を決めておくとともに、活動中は気象情報に配慮すること
  • 児童生徒等が教職員から離れて活動する場合などは、児童生徒等から教職員への報告体制や学校、保護者、関係機関等への緊急連絡体制を整備すること(以上、第3章-2【2】校外活動時に事故等が発生した場合の留意点における事前の対策を参照)
  • 障害のある児童生徒等が在籍する場合には、伝達方法の整備や避難経路・避難体制の整備など、障害のある児童生徒等の特性に応じた内容となるよう留意すること(第3章-10特別支援学校等における留意点を参照)
※「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」(令和3年6月)
◆ 校外活動における危機未然防止対策
(1)事前の検討・対策
遠足、社会科見学、移動教室、修学旅行、その他の校外活動について、児童の安全確保の観点から以下の点についての事前の検討・対策を講じることとする。
  • 校外活動先における地域固有のリスク(津波・土砂災害などの自然災害、その他の事故・災害の危険性)を調査し、これを可能な限り軽減するとともに、想定される事故・災害等が発生した場合の対応を検討すること
  • 事前の下見で、現地で被災した場合の様々なリスクや、活動場所近くの利用可能な施設・設備等(AED配置場所、病院・警察署等)を調査するとともに、これを活動計画や活動のしおりに反映させること
  • 訪問先・宿泊先・旅行代理店等関係者との安全確保に関する事前調整を行うこと
  • 引率教職員間での連絡方法、引率教職員と在校教職員との定期的な連絡の方法について検討すること
  • 災害発生時の避難経路・避難場所、情報収集手段等について確認し、全引率教職員間の共通認識とすること
  • 緊急時の連絡体制(医療機関、学校、保護者)を整備し、確実に機能するかを事前に確認すること
  • 一人で避難できない児童への対応について検討すること
 加えて、今般の事案を踏まえ、修学旅行等においては、利用する旅客運送の安全確保(例:関係事業者における業務運営上必要な登録や保険加入の有無等)について、予め確認すること等も重要である。
 特に、船舶により旅客を運送する事業には、海上運送法の許認可の取得が必要となっているところである。海上運送法の許認可を取得した事業者については、安全管理規程において発航基準等を定め地方運輸局等に届出し、経営の責任者、運航管理者、船長等は安全管理規程を遵守することが義務づけられている。このため、特に修学旅行等において船舶を利用する場合には、海上運送法の許認可を取得した事業者を選定すべきである。船舶運航事業者に係る海上運送法の許認可の取得の有無については、船舶を運航する地域の地方運輸局等にお尋ねいただければ確認することが可能であり、また、船舶運航事業者の安全対策への取組状況を検索できる「旅客船事業者の安全情報検索サイト」を活用することで確認することも可能である。なお、船舶の利用時点では情報が変更となっている場合があるため、最新の情報については、地方運輸局等又は事業者へ確認することが望ましい。

2. 旅行・集団宿泊的行事(※)における留意点について

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(※)中学校・高等学校学習指導要領では「旅行・集団宿泊的行事」、小学校学習指導要領では「遠足・集団宿泊的行事」と規定されている
 学習指導要領上、「特別活動」の中の「学校行事」に位置づけられる修学旅行等の「旅行・集団宿泊的行事」に該当するものは、平素と異なる生活環境の中にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、校外における多様な集団活動を通して、よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすることを目的とする意義ある教育活動であるが、一方で、このような多様な活動の重要性を踏まえつつ、校外を集団で行動すること等に伴い、絶えず事故等の発生の余地をはらんだものであることを改めて教職員間で強く認識し、児童生徒等の安全を確保するための対応を徹底する必要がある。
 このことから、学校においては、前記1に加え、その実施に当たり、特に以下のことに留意いただきたい。
  • 計画・実施に当たり、その実施のねらい、教育的意義を明らかにするとともに、これらの内容や行程等の詳細について、児童生徒や保護者に対し予め十分に説明し、不利益が生じることがないようにすること。
  • 事前の実地調査や関係者間での打合せなどにより、経路、交通機関、行程の確認や現地の最新の情報等の把握に努め、安全に実施するために必要十分な情報を予め確認すること。
  • 引率教職員の数は、必要十分な体制とするとともに、引率責任者を明確にするなど、その指導組織や事務分担を明らかにし、常に児童生徒を掌握し、秩序ある行動と安全が保てるよう、配慮すること。引率責任者は、計画作成の中心となり、また、その実施にあたっては、的確に状況を判断し、予期しない事情の変化に際しては、日程、経路、目的地を変更することや、引率教員の体制を見直すこと等、臨機応変の措置を取ること。
  • 関係業者を利用する場合には、関係業者に過度に依存することなく、学校が主体性をもって旅行・集団宿泊的行事の安全確保につき万全を期すること。なお、関係業者については信用度等を十分に調査したうえで利用し、また、これと不明朗な関係をもつことのないよう厳に注意すること。
  • 加えて、旅行・集団宿泊的行事の実施に当たっては、児童生徒への事前の安全指導の徹底を図ること。
 学校の設置者においては、平素から、各学校に対して、旅行・集団宿泊的行事のもつ意義と留意点についての理解の徹底を図るとともに、各学校が作成した計画について、その日程、目的地、見学先、経路、交通機関等を十分検討し、特に、児童生徒の安全と健康の保持上無理なく適切なものとなるよう必要な指導を行っていただきたい。さらに、万一、事故等緊急の対応が必要な場合、すみやかな対応がとれる体制を整えていただきたい。
 その他、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領解説(特別活動編)や、「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について」(昭和43年10月2日付け、文初中第450号文部省初等中等教育局長通達)、「修学旅行における安全確保の徹底について」(昭和63年3月31日付け、文初高第 139 号文部事務次官通達)などを参照いただきたい。

3.適切な教育活動の実施について

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 高等学校等における教育活動については、これまで教育基本法第14条第2項で「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動」が禁止されていることに留意することや、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなどが重要であり、特定の事柄を強調し過ぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう留意することなどを示している(「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(平成27年10月29日付け、27文科初第933号初等中等教育局長通知)」)ところであるが、これらの考え方に基づき教育活動を行う必要があることは、義務教育諸学校等においても同様であることは言うまでもない。
 このことを踏まえ、各学校においては、旅行・集団宿泊的行事等を含む教育活動について、上記の趣旨に照らして適切に行われているか、適切に計画されているかについて、改めて確認し、必要に応じて見直しを図るとともに、児童生徒や保護者等の十分な理解を得るために、教育活動の趣旨や具体的な内容等について事前に十分な説明を行っていただきたい。
 また、学校の設置者においては、こうしたことが各学校において適切に行われるよう、必要な指導を行っていただきたい。