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千島樺太交換條約附錄

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露西亞國ト千島樺太兩島交換條約明治八年十一月第百六拾四號ヲ以テ布吿候處右附錄別紙ノ通ニ候條此旨布吿候事

(別紙)

千島
樺太
交換條約附錄

明治八年五月七日卽チ千八百七十五年四月二十五日露國聖比特堡府ニ於テ調印濟ノ公文第三款ニ基キ及同日調印ノ條約第五款ノ旨趣ヲ完全ナラシメ且施行センカ爲メ雙方讓與濟ノ領地ニ在住セル各政府臣民ノ權利及其身分且兩地方土人ノニツキ日本皇帝陛下及全露西亞皇帝陛下ハ爲メニ各全權委員ヲ命シタリ卽チ日本皇帝陛下ハ其外務卿寺島宗則ヲ之レニ任シ又全露西亞皇帝陛下ハ侍從兼コンセイヱーデターアクチユウエル日本在留辨理公使シヤル、スツルウエヲ以テ此ノ任ニ宛テ雙方委任ノ書ヲ照應シ狀實良好ニシテ其至當タルヲ見テ左ノ條款ヲ合議決定スルモノナリ

第一條 交換濟ノ各地ニ住ム日本及露西亞ノ臣民現ニ其所有セル地ニ在住セント願フモノハ自個ノ職業ヲ十分營ムヲ得且其保護ヲ受クヘシ又現在所有地界限中ニテ漁獵及鳥獸獵ヲ爲スノ權ヲ有シ且其生涯中自己ノ職業上ニ關スル諸稅ヲスヘシ

第二條 樺太サカリヌ島及クリル島ニ在住セント決定スヘキ各臣民ハ所有ノ權利ヲ有スヘシ又現今所持ノ不動產ヨリ收入スル物件及所有ノ權利ヲ證明セル證書ヲ渡シ置クヘシ

第三條 樺太サカリヌ島及クリル島ニ在ル各臣民ハ自個ノ宗旨ヲ尊崇スル全ク自由タルヘク又禮拜堂寺堂及墓所ハ毀害スヘカラス

第四條 樺太サカリヌ島及クリル島ニ在ル土人ハ現ニ住スル所ノ地ニ永住シ且其儘現領主ノ臣民タルノ權ナシ故ニ若シ其自個ノ政府ノ臣民タランヲ欲スレハ其居住ノ地ヲ去リ其領主ニ屬スル土地ニ赴クヘシ又其儘在來ノ地ニ永住ヲ願ハヽ其籍ヲ改ムヘシ各政府ハ土人去就決心ノ爲メ此條約附錄ヲ右土人ニ達スル日ヨリ三ヶ年ノ猶豫ヲ與ヘ置クヘシ此三ヶ年中ハ是迄ノ通樺太島及クリル島ニテ得タル特許及義務ヲ變セスシテ漁獵及鳥獸獵其他百般ノ職業ヲ營ム妨ナシト雖モ總テ地方ノ規則及法令ヲ遵奉スヘシ前ニ述フル三ヶ年ノ期限過キテ猶雙方交換濟ノ地ニ居住センヲ欲スル土人ハ總テ其地新領主ノ臣民トナルヘシ

第五條 樺太島及クリル島ノ土人ハ各自個ノ宗旨ヲ尊崇スル全ク自由タルヘシ又寺堂及墓所ハ毀害スヘカラス

第六條 此條約附錄ノ右五ヶ條ニ載セタル議定ノ件々ハ明治八年五月七日聖比特堡ニ於テ調印濟ノ條約ニ加ヘタルモ同シ權力アルモノナリ

右ヲ確定スル爲メ各全權委員此條約附錄ヲ作リ二通ト爲シ以テ各其印ヲ調スルモノナリ

東京ニ於テ

明治八年八月廿二日
日 本 外 務 卿  寺 島 宗 則 印

露西亞國辨理公使 セ、スツルウヱ 印

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。