一言芳談抄卷之上
有云。惠心僧都伊勢太神宮へまいりて七ヶ日參籠はつる夜の夢に。寶殿の御戶たちまちにひらけて。ゆゆしけなる。貴女一人いてたまへり。示云太神宮は本覺の都へかへりおはします。これは御留守に侍ものなり。末代の衆生出離の要道をたつぬる事あらば。彌陀佛を念ぜよとすすむべきよしおほせをかれ侍る
有云。俊乘上人高野の奧院に七か日參籠結願の夜深更にをよびて。よろづ寂寞たりける時。入定の御殿のうちに。ただ一こゑ念佛の御聲さだかにしたまひけり。人これをききて悲喜身にあまり。感淚たもとをしほりけるとぞ
有云蓮阿彌陀佛れんあみだふつが夢に八幡宮つけてのたまはく往生は一念にもよらす。他念にもよらず。心によるなり
高野の明遍僧都。善光寺參詣のかへりあしに法然上人に對面僧都問云いかがして今度生死をはなるへく候上人云念佛申てこそは問給はく誠にしかり但妄念おこるをば。いかが仕候べき。上人答云妄念おこれども本願力にて往生するなり僧都さうけたまはりぬとて出給ぬ上人つぶやきて云妄念おこさすして往生せんとおもはん人はむまれつきの目鼻を取すてて念佛申さんと思ふかことし明禪法印云ただよく念佛すべし石に水をかくるやうなれとも申は益あるなり
明遍僧都云はく、「穢土のことは、いづくも心にかなふ道理あるべからず。ただ少難をば心に忍ぶべきなり。たとへPage:NDL2583390 一言芳談抄 - 2巻.(1).pdf/4Page:NDL2583390 一言芳談抄 - 2巻.(1).pdf/5Page:NDL2583390 一言芳談抄 - 2巻.(1).pdf/6Page:NDL2583390 一言芳談抄 - 2巻.(1).pdf/7Page:NDL2583390 一言芳談抄 - 2巻.(1).pdf/8