刑事判決書作成方式の適正化に関する例規

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刑事判決書作成方式の適正化に関する例規[編集]

第1章 総則[編集]

第1条(目的)この例規は,刑事訴訟において判決書作成方式を適正化することにより,法定中心の充実した審理を図り,刑事訴訟手続きにおける公判の機能を強化し,ひいては訴訟関係人に対する説得的機能を高揚することを目的とする。

第2条(適用範囲)①この例規は,第1審の刑事判決書作成に適用するが,性質に反しない限り控訴審の判決書作成にも適用することができる。

②刑事判決書作成方式に関しては,他の例規の規定にも拘らず,この例規を優先して適用する。

第3条(一般事項)①刑事裁判において心証形成及び当事者に対する説得は,判決書ではなく,法廷における審理を通してなされなければならないことを留意する。

②判決書は,国語及び理解し易い語で表現し,短い文章を使用して簡潔に作成する。

第2章 有罪の判決[編集]

第4条(犯罪事実)公訴事実が全部認められる場合において,犯罪事実の記載は,公訴事実を別紙として添付する方式ですることができる。

(例示)

 犯 罪 事 実
(被告人 ○○○に対する犯罪事実は,)別紙公訴事実記載のとおりである。

第5条(証拠の要旨)①証拠に関する争いが裁判の主たる争点であって,それについての判断を記載する必要のある場合において,その判断は,証拠の要旨とともに記載することができる。

②証明力についての争いについては,原則的に別途の判断を記載しない。

③証拠の要旨とともにそれについての判断を記載する場合において,当該証拠の標目の横に判断を附記し,又は証拠の要旨下段部分に判断を記載する。

④第3項により判断を記載する場合において,別途の項目において訴訟関係人の主張及び判断を記載しない。

(例示1)証拠能力についての判断

1. 毛髪についての遺伝子鑑定結果通報(証人甲の法定陳述によれば,被告人の遺伝子鑑定のための毛髪採取は,被告人の同意の下になされた事実を認めることができるから,証拠能力が認められる)

(例示2)信憑性についての判断(特別に記載を要するとき)―証拠の標目部分を活用する方法

1. 被告人の一部法定陳述
1. 証人甲の法定陳述(犯行時間に関して合理的に理解しがたい部分が一部あるものの,全体的にその陳述の経緯,内容,一貫性,被告人との関係等に照らし信憑性を認定)

(例示3)信憑性についての判断(特別に記載を要するとき)―証拠の要旨下段に主張及び判断を簡略的に附記する方法

1. 被告人の一部法定陳述
1. 証人 金○○,廉○○の各法廷陳述
1. 犯行道具の写真,捜査報告(現場CCTV キャプチャ画面)の各記載及び映像
1. 判示前科 : 犯罪経歴及び捜査経歴資料,個人別収監・収容現況の各記載
[被告人及び弁護人は,暴行・脅迫事実を否認するが,証人金○○,廉○○の一貫した陳述及び現場CCTV映像等によれば,被告人が判示犯罪事実のように警察官らに暴行・脅迫を加えた事実が十分に認められる]

第6条(法令の適用)①法令の適用に関する争いが裁判の主たる争点であって,それについての判断を記載する必要のある場合において,その判断は,法令の適用とともに記載することができる。

②法令の適用とともにそれについての判断を記載する場合において,当該適用法条の横に判断を附記し,又は法令の適用下段部分に判断を記載する。

③第2項により判断を記載する場合において,別途の項目において訴訟関係人の主張及び判断を記載しない。

(例示1)「危険物」与否を争い,暴処法適用の排除を主張した場合

1. 犯罪事実に対する該当法条 : 暴力行為等処罰に関する法律第3条第1項,第2条第1項第1号,刑法第366条(危険物携帯財物損壊の点,犯罪事実において認定したとおり,本件衝突当時のような状況下においては,被害者は勿論,第三者であっても本件自動車と衝突すれば生命又は身体に殺傷の危険を感じたであろうものと認められるから,本件自動車を利用した被告人の行為は,「危険物」を携帯してなされた犯罪であると思料することが相当である。)

(例示2)

1. 没収 : 刑法第48条第1項第1号(判示コンピュータ本体1台は,被告人が本件利敵表現物を所持・保管するための用途としてのみならず,北朝鮮労働新聞の文件等を甲にイーメールで発送する等,利敵表現物を頒布する用途においても使用した事実が認められる。従ってこれは,犯罪行為に提供した物に該当する)

第7条(事実上の主張についての判断)①刑事訴訟法第323条各項に定める事項のほか,訴訟関係人の事実上の主張についての判断は,別途記載しないことを原則とする。

②前項にも拘らず,例外的に結論に影響を及ぼす主たる争点に関して判断を記載する場合において,次の各号の方法により記載をする。

1. 判断を要する争点についての具体的な題目を附し,その争点に関してのみ判断して,その他の主張についての判断を記載し,又は推論の全段階についての判断を全部記載することはしない。
2. 判断の結果は明確に記載するが,判断の理由は,主たる根拠を主として短く簡潔に記載する。
3. 判断を記載しつつ,証拠の内容を具体的に摘示し,又は証拠の取捨選択の理由及び心証形成の過程は説明しない。
4. 単に犯罪事実及び証拠の要旨に記載された内容に反する主張については,その判断を再度記載しない。

第8条(量刑の理由)①次の各号の一に該当する場合においては,量刑の理由を記載する。

1. 裁判所組織法第81条の7第2項により量刑基準を逸脱した判決をするとき
2. 数名の共同被告人に対する刑を差別化するとき
3. その他量刑の理由記載が必要であると認められるとき

②量刑の理由は,公判過程において顕出され確認された量刑因子に基づいて簡潔に記載する。

③量刑基準が適用される事件において,量刑基準の適用に関する判断を記載する場合においては,特別量刑因子と勧告刑量範囲等の核心的な項目を主として簡略に記載する。

第3章 無罪の判決[編集]

第9条(無罪の理由)①公訴事実に符合しない核心的な証拠は,その標目及び趣旨を紹介した後その排斥に必要な反対証拠又は状況の主たる趣旨のみを簡略に記載する方式により排斥する理由を記載する。

②付随的な有罪証拠の排斥理由,当事者の陳述の変動過程,信憑性を排斥するための弾劾証拠の採択理由等は,具体的に記載しないことを原則とする。

③共同被告人中,一部についてのみ証拠能力のある証拠は,証拠能力を排斥する理由を簡潔に記載する。

附則<2014.7.4.>[編集]

この例規は,2014年8月1日から施行する。

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