共通法

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公布文[編集]

朕帝國議會ノ協賛ヲ經タル共通法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年四月十六日


內閣總理大臣  伯爵寺内正毅

內務大臣    男爵後藤新平

海軍大臣     加藤友三郎

陸軍大臣      大島健一

外務大臣〈法學博士子爵〉本野一郎

司法大臣〈法學博士〉松室 致

文部大臣      岡田良平

逓信大臣    男爵田健治郎

農商務大臣     仲小路連

大藏大臣      勝田主計

法文[編集]

法律第三十九號

共通法[編集]

第一條 本法ニ於テ地域ト稱スルハ内地、朝鮮、臺灣又ハ關東州ヲ謂フ
前項ノ内地ニハ樺太ヲ包含ス

第二條 民事ニ關シ一ノ地域ニ於テ他ノ地域ノ法令ニ依ルコトヲ定メタル場合ニ於テハ各地域ニ於テ其ノ地ノ法令ヲ適用ス二以上ノ地域ニ於テ同一ノ他ノ地域ノ法令ニ依ルコトヲ定メタル場合ニ於テ其ノ相互ノ間亦同シ
民事ニ關シテハ前項ノ場合ヲ除クノ外法例ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ各當事者ノ属スル地域ノ法令ヲ以テ其ノ本國法トス

第三條 一ノ地域ノ法令ニ依リ其ノ地域ノ家ニ入ル者ハ他ノ地域ノ家ヲ去ル
一ノ地域ノ法令ニ依リ家ヲ去ルコトヲ得サル者ハ他ノ地ノ家ニ入ルコトヲ得ス
陸海軍ノ兵籍ニ在ラザル者及兵役ニ服スル義務ナキニ至リタル者ニ非サレハ他ノ地域ノ家ニ入ルコトヲ得ス但シ徴兵終決處分ヲ經テ第二國民兵役ニ在ル者ハ此ノ限ニ在ラズ

第四條 一ノ地域ニ於テ成立シタル法人ハ他ノ地域ニ於テ其ノ成立ヲ認ム
前項ノ法人ハ他ノ地域ノ法令ニ依リ同種又ハ類似ノ法人ノ爲スコトヲ得サル事項ハ其ノ地ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得ス

第五條 一ノ地域ノ法人ハ其ノ事務所若ハ營業所ヲ他ノ地域ニ移轉シ又ハ従タル事務所若ハ營業所ヲ他ノ地域ニ於テ設立スルコトヲ得但シ主タル事務所又ハ營業所ノ移轉ハ移轉地ニ於テ設立スルコトヲ得ヘキ法人ト同種ノ法人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ移轉又ハ設立ニ必要ナル條件ハ各地域ノ法令ノ定ムル所ニ依ル

第六條 一ノ地域ノ法人カ其ノ事務所若ハ營業所ヲ他ノ地域ニ移轉シ又ハ従タル事務所若ハ營業所ヲ他ノ地域ニ於テ設立シタルトキハ四週間内ニ各其ノ地ノ法令ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ法人ニ關シ一ノ地域ニ於テ生シタル事項ニ付他ノ地域ニ於テ登記ヲ爲スヘキ場合ニ之ヲ準用ス

第七條 一ノ地域ノ會社ハ他ノ地域ノ會社ト合併ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前條第一項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ合併ニ必要ナル條件ハ各地域ノ法令ノ定ムル所ニ依ル

第八條 一ノ地域ノ法人ノ役員ノ行爲ニ付定メタル過料ノ規定ハ其ノ地域ニ於テ他ノ地域ノ同種又ハ類似ノ法人ノ役員ノ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス
前項ノ役員トハ発起人、理事、監事及之ニ準スヘキ者並清算人ヲ謂フ

第九條 民事訴訟及非訟事件ニ付一ノ地域内ニ住所ヲ有セサル者ノ裁判管轄又ハ他ノ地域ノ法人ノ裁判管轄ニ關シテハ民事訴訟法、人事訴訟手続法及非訟事件手続法中日本ニ住所ヲ有セサル者又ハ外國法人ノ裁判管轄ニ關スル規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ニ付裁判管轄ノ指定ニ關スル司法大臣ノ職務ハ朝鮮、臺灣、又ハ關東州ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣總督、關東都督之ヲ行フ

第十條 一ノ地域ニ主タル營業所又ハ住所ヲ有スル者ニ対シテハ其ノ地域ニ於テノミ破産ノ宣告ヲ爲スコトヲ得
一ノ地域ニ於テ爲シタル破産ノ宣告ノ効力ハ他ノ地域ニ及フ

第十一條 一ノ地域ニ於テ民事訴訟、非訟事件又ハ破産事件ニ關シテ爲シタル訴訟行爲、裁判、處分其ノ他ノ手続上ノ行爲ハ他ノ地域ニ於ケル法令ノ適用ニ關シテハ其ノ地ノ法令ニ依リ爲シタルモノト同一ノ効力ヲ有ス但シ其ノ地ノ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ民事争訟調停ニ付之ヲ準用ス民事争訟調停ニ關スル規定ナキ地域ニ於テハ其ノ調停ハ民事訴訟法ニ依リテ爲シタル和解ト同一ノ効力ヲ有ス

第十二條 一ノ地域ニ於テ作成シタル公正證書其ノ他法令ニ依リ官署公署ノ作成シタル文書ハ他ノ地域ニ於テ其ノ地ノ法令ニ依リ作成シタルモノト同一ノ公正ノ効力ヲ有ス

第十三條 一ノ地域ニ於テ罪ヲ犯シタル者ハ他ノ地域ニ於テ之ヲ處罰スルコトヲ得

第十四條 刑事ニ關シ一ノ地域ニ於テ他ノ地域ノ法令ニ依ルコトヲ定メタル場合ニ於テハ各地域ニ於テ其ノ地ノ法令ヲ適用ス二以上ノ地域ニ於テ同一ノ他ノ地域ノ法令ニ依ルコトヲ定メタル場合ニ於テ其ノ相互ノ間亦同シ
一ノ地域ニ於テ他ノ地域ノ犯罪ヲ處断スル場合ニ於テハ前項ノ場合ヲ除クノ外犯罪地ノ法令ニ依ル但シ笞刑ニ關スル規定ハ此ノ限ニ在ラス
犯罪地ノ法令ニ依リ處断スル場合ニ於テ處断地ノ法令ニ笞刑ニ關スル規定アルトキハ其ノ規定ニ依リ笞刑ノ言渡ヲ爲スコトヲ得

第十五條 一ノ地域ノ法人ノ役員又ハ支配人ノ行爲ニ付定メタル刑罰ノ規定ハ其ノ地域ニ於テ他ノ地域ノ同種ノ法人ノ役員又ハ支配人ノ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス
前項ノ役員ニハ第八條第二項ニ掲クル者ノ外検査役ヲ包含ス

第十六條 一箇ノ刑事事件又ハ牽連スル數箇ノ刑事事件地域ヲ異ニスル數箇ノ裁判官廰ノ管轄ニ属スルトキハ刑事訴訟法第二十七條及第二十八條ノ規定ヲ準用ス

第十七條 一ノ地域ノ検事、検察官又ハ其ノ職務ヲ行フ者他ノ地域ノ管轄裁判官廰ニ於テ事件ヲ審理スルコトヲ適當ト認ムルトキハ其ノ地域ノ検事、検察官又ハ其ノ職務ヲ行フ者ニ之ヲ送致スルコトヲ得
一ノ地域ノ豫審又ハ第一審ノ裁判官廰他ノ地域ノ管轄裁判官廰ニ於テ事件ヲ審理スルコトヲ適當ト認ムルトキハ検事、検察官又ハ其ノ職務ヲ行フ者ノ請求ニ因リ決定ヲ以テ其ノ地域ノ管轄裁判官廰ニ之ヲ移送スルコトヲ得

第十八條 一ノ地域ニ於テ刑事ノ訴訟若ハ即決處分又ハ假出獄ニ關シテ爲シタル裁判、處分其ノ他ノ手続上ノ行爲ハ他ノ地域ニ於ケル法令ノ適用ニ關シテハ其ノ地ニ於テ爲シタルモノト同一ノ効力ヲ有ス
第十一條第一項但書ノ規定ハ私訴ニ之ヲ準用ス

第十九條 一ノ地域ニ於テ爲シタル刑ノ執行猶豫ノ言渡又ハ假出獄ノ處分ハ他ノ地域ニ於テ其ノ地ノ法令ニ依リ之ヲ取消スコトヲ得

附則[編集]

本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ第三條ノ規定ニ付テハ別ニ其ノ施行期日ヲ定ムルコトヲ得
本法ハ本法施行前ニ生シタル事項ニ付亦之ヲ適用ス但シ第十一條第一項及第十八條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ人ノ資格ニ基ク既成ノ効果ヲ妨ケス
本法施行前ニ宣告シタル破産ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル

法文(現代かな版)[編集]

法律第39号

共通法[編集]

第1条 本法において地域と称するは、内地、朝鮮、台湾又は関東州をいう。
 前項の内地には樺太を包含す。
第2条 民事に関し一の地域において他の地域の法令に依ることを定めたる場合においては、各地域において、その地の法令を適用す。2以上の地域において同一の他の地域の法令に依ることを定めたる場合において、その相互の間また同じ。
 民事に関しては前項の場合を除くの外、法例を準用す。この場合においては各当事者の属する地域の法令をもってその本国法とす。
第3条 一の地域の法令によりその地域の家に入る者は、他の地域の家を去る。
 一の地域の法令により家を去ることを得ざる者は、他の地の家に入ることを得ず。
 陸海軍の兵籍に在らざる者及び兵役に服する義務なきに至りたる者に非ざれば、他の地域の家に入ることを得ず。ただし徴兵終決処分を経て第二国民兵役に在る者は、この限にあらず。
第4条 一の地域において成立したる法人は、他の地域においてその成立を認む。
 前項の法人は、他の地域の法令により同種又は類似の法人のなすことを得ざる事項は、その地においてこれをなすことを得ず。
第5条 一の地域の法人は、その事務所若は営業所を他の地域に移転し又は従たる事務所もしくは営業所を他の地域において設立することを得。ただし主たる事務所又は営業所の移転は移転地において設立することを得べき法人と同種の法人に限りこれをなすことを得。
 前項の移転又は設立に必要なる条件は各地域の法令の定むる所による。
第6条 一の地域の法人かその事務所もしくは営業所を他の地域に移転し又は従たる事務所もしくは営業所を他の地域において設立したるときは、4週間内に各その地の法令により登記をなすことを要す。
 前項の規定は法人に関し、一の地域において生じたる事項につき、他の地域において登記をなすべき場合にこれを準用す。
第7条 一の地域の会社は他の地域の会社と合併をなすことを得。この場合においては前条第1項の規定を準用す。
 前項の合併に必要なる条件は、各地域の法令の定むる所による。
第8条 一の地域の法人の役員の行為につき定めたる過料の規定は、その地域において他の地域の同種又は類似の法人の役員のなしたる行為にこれを準用す。
 前項の役員とは発起人、理事、監事及びこれに準ずべき者並びに清算人をいう。
第9条 民事訴訟及び非訟事件につき、一の地域内に住所を有せざる者の裁判管轄又は他の地域の法人の裁判管轄に関しては、民事訴訟法、人事訴訟手続法及び非訟事件手続法中日本に住所を有せざる者又は外国法人の裁判管轄に関する規定を準用す。
 前項の規定の適用につき裁判管轄の指定に関する司法大臣の職務は、朝鮮、台湾、又は関東州にありては朝鮮総督、台湾総督、関東都督これを行う。
第10条 一の地域に主たる営業所又は住所を有する者に対しては、その地域においてのみ破産の宣告をなすことを得。
 一の地域においてなしたる破産の宣告の効力は、他の地域に及ぶ。
第11条 一の地域において民事訴訟、非訟事件又は破産事件に関してなしたる訴訟行為、裁判、処分その他の手続上の行為は、他の地域における法令の適用に関しては、その地の法令によりなしたるものと同一の効力を有す。ただしその地の公の秩序又は善良の風俗に反するときはこの限にあらず。
 前項の規定は、民事争訟調停につきこれを準用す。民事争訟調停に関する規定なき地域においては、その調停は民事訴訟法によりてなしたる和解と同一の効力を有す。
第12条 一の地域において作成したる公正証書その他法令により官署公署の作成したる文書は、他の地域においてその地の法令により作成したるものと同一の公正の効力を有す。
第13条 一の地域において罪を犯したる者は、他の地域においてこれを処罰することを得。
第14条 刑事に関し、一の地域において他の地域の法令によることを定めたる場合においては、各地域においてその地の法令を適用す。2以上の地域において同一の他の地域の法令によることを定めたる場合において、その相互の間また同じ。
 一の地域において、他の地域の犯罪を処断する場合においては前項の場合を除くの外、犯罪地の法令による。ただし笞刑に関する規定はこの限にあらず。
 犯罪地の法令により処断する場合において処断地の法令に笞刑に関する規定あるときは、その規定により笞刑の言渡をなすことを得。
第15条 一の地域の法人の役員又は支配人の行為につき定めたる刑罰の規定は、その地域において他の地域の同種の法人の役員又は支配人のなしたる行為にこれを準用す。
 前項の役員には第8条第2項に掲ぐる者の外、検査役を包含す。
第16条 1箇の刑事事件又は牽連する数箇の刑事事件地域を異にする数箇の裁判官庁の管轄に属するときは、刑事訴訟法第27条及び第28条の規定を準用す。
第17条 一の地域の検事、検察官又はその職務を行う者、他の地域の管轄裁判官庁において事件を審理することを適当と認むるときは、その地域の検事、検察官又はその職務を行う者にこれを送致することを得。
 一の地域の予審又は第1審の裁判官庁、他の地域の管轄裁判官庁において事件を審理することを適当と認むるときは、検事、検察官又はその職務を行う者の請求により、決定をもってその地域の管轄裁判官庁にこれを移送することを得。
第18条 一の地域において刑事の訴訟もしくは即決処分又は仮出獄に関してなしたる裁判、処分その他の手続上の行為は、他の地域における法令の適用に関しては、その地においてなしたるものと同一の効力を有す。
 第1項だだし書の規定は、私訴にこれを準用す。
第19条 一の地域においてなしたる刑の執行猶予の言渡又は仮出獄の処分は、他の地域においてその地の法令によりこれを取消すことを得。

附則[編集]

 本法施行の期日は勅令をもってこれを定む。ただし第3条の規定については、別にその施行期日を定むることを得。
 本法は本法施行前に生じたる事項につき、またこれを適用す。ただし第11条第1項及第18条第1項の規定の適用については人の資格に基く既成の効果を妨げず。
 本法施行前に宣告したる破産については、なお従前の例による。

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。