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八重衣 小倉百人一首より5首
地歌。小倉百人一首より衣にちなんだ5首をあつめたもの。第1首より順に、 古今集、巻一、春歌上、光孝天皇。 新古今集、巻三、夏歌、持統天皇。 新古今集、巻五、秋歌下、参議雅経。 後撰集、巻十、秋歌、天智天皇。 新古今集、巻五、秋歌下、後京極摂政前太政大臣。
君が為め、春の野に出でて若菜摘む、我が衣手に雪は降りつつ。 春過ぎて、夏来にけらし白妙(しろたへ)の、衣ほすてふ天(あま)の香具山(かぐやま)。 三芳野(みよしの)の、山の秋風小夜(さよ)ふけて、古郷(ふるさと)寒く衣打つなり。 秋の田の、かりほの庵(いほ)の苫(とま)をあらみ、わが衣手は露にぬれつつ。 きりぎりす、鳴くや霜夜の狭筵(さむしろ)に衣片敷き独りかも寝ん。
この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。