何百の眼球がつぶれ歪んだのだ!

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本文[編集]

何百の眼球がつぶれ歪んだのだ!
萩原恭次郎

何百の眼球がつぶれ歪んだのだ———
赤い流星がポールにひつかゝつて
ぶるさがつて
跳ね上がつて———泥だらけの車輪よ!
目鼻よ!
頂上で●●●廻れ!廻れ!廻れ!
もつと!もつと!
急速に!猛烈に!狂暴に!ヒステリカルに!
アセチリン瓦斯と泥だ!
その手を挙げてつゝ走れ!
トタン屋根の上では
シグナルが廻る!
プラタナスの幹にはホワイトテロルのびた一面のビラだ!
梅毒患者よ!
かさぶたを剥せ!
青つ白い霧の中に
地球に埋もれてゐる生霊を呼べ! 呼べ!
飛ぶ!
飛ぶ!
ナイフをつつこまれた胸と云ふ胸!
彼の胸を抱き起さうか!
ままよ!
——朽ちて朽ちてあれ!安らかに幸福に墓場で——死人共!
新しい・・・だ!騒擾だ!
突走する自動車よ!
切れた電線と胸部のモーターは破裂だ!
愛は薔薇の花にをいて朽ち衰えた!
ひび割れた女の胸に
子供を抱かせろ!
何回!
心臓は変色し廻転したら!
男よ!
つつ立ち上れ!

解題[編集]

作者:萩原恭次郎

底本:萩原恭次郎『死刑宣告』日本図書センター〈愛蔵版詩集シリーズ〉(2004年3月25日初版第1刷発行) ISBN 978-4-8205-9599-1

表記について:旧仮名遣いは初版本(1925年10月18日発行、長隆舎書店)のまま、漢字は常用漢字に改めてある。

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