マトフェイ伝02

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イイススイロドわうときイウデヤワィフレエムうまれしに、よ、はかにんひがしよりイエルサリムきたりていはく、

うまれたるイウデヤじんわういづるか、けだしわれそのほしひがしたれば、かれはいせんためきたれり。

イロドわうこれきてこゝろさわげり、イエルサリムこぞりてまたしかり。

すなはちおよそさいちようみんかんがくとをあつめて、かれへり、ハリストスいづうまるべきか。

かれへり、イウデヤワィフレエムおいてす、けだしげんしやりてしるされたり、

いはく、イウダワィフレエムよ、なんぢイウダしよぐんうちおいいさゝかちひさしとせず、けだしなんぢよりたみイズライリぼくせんとするきみでんと。

こゝおいイロドひそかはかし、つまびらかほしあらはれしときひ、

彼等かれらワィフレエムつかはしてへり、きて、つぶさをさなことたづね、これはゞ、われげよ、われきてかれはいせんためなり。

かれわうきてけり、よ、かつひがしたるほしかれさきだちてき、つひをさなところいたりて、そのうへとゞまれり。

一〇彼等かれらほしよろこびへざりき。

一一すなはちいへりて、をさなそのはゝマリヤともるをふくしてかれはいそのたからばこひらきて、これれいもつけんじたり、すなはちわふごんにふかうもつやくなり。

一二すでにしてゆめうちに、イロドかへからずとのて、みちよりそのほんかへれり。

一三かれかへりしのちよ、しゆ使つかひゆめイオシフあらはれていはく、きて、をさなそのはゝたづさへて、エギペトはしり、しこりて、なんぢぐるをて、けだしイロドをさなもとめて、これころさんとはかる。

一四かれきて、かんをさなそのはゝとをたづさへて、エギペトき、

一五しこりて、イロドするにいたれり。これしゆげんしやもつひしところかなふをいたす、いはく、われしてエギペトよりいだせりと。

一六そのときイロドおのれはかあざむかれたるをて、おほいいかり、ひとつかはしてかつつまびらかはかひしときはかり、ワィフレエムおよそのよもさかひうちなるさいをさなこところせり。

一七こゝおいげんしやイエレミヤひしことかなへり、いはく、

一八ラマかなしはなはだしくさけこゑきこゆ、ラヒリそのためきて、なぐさむるをほつせず、きがゆゑなりと。

一九イロドせしのちよ、しゆ使つかひエギペトおいゆめイオシフあらはれて

二〇いはく、きて、をさなそのはゝとをたずさへて、イズライリけ、けだしをさな生命いのちもとむるものせり。

二一かれきて、をさなそのはゝとをたずさへて、イズライリきたれり。

二二たゞアルヘライそのちゝイロドぎて、イウデヤわうたりときて、しこくことをおそれ、すなはちゆめうち黙示つげて、ガリレヤさかひき、

二三ナザレトづくるまちきたりてこゝりたり、しよげんしやもつて、かれナゾレイとなへられんと、はれしことかなふをいたす。