ノーベル平和賞受賞に際するバラク・オバマの声明

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おはよう。さて、今朝の目覚めをこのような形で迎えることになろうとは思っていなかった。(受賞の)知らせを受けた後、マリーア[1]がやって来てこう言った。「お父さんがノーベル平和賞をもらったよ。それから今日はボー[2]誕生日だよ!」。そしてサーシャ[3]は「それに、3日間の週末(の休日)もあるよ」と付け加えた。子らが事実を正しく捉えるのは良いことだ。

私は、ノーベル委員会の決定に驚くと同時に、深く恐縮している。はっきり言いたい。私はこれを私自身の業績としてではなく、全国家の人民が抱く希望を代表した米国の指導力の確認として観ている。

正直なところ、この賞によって顕彰された多くの変革者――私を鼓舞し、勇気ある平和の追求を通じて世界全体を鼓舞してきた人々 ――に伍する価値が自分にあるとは思わない。

だが私は、そうした人々や全ての米国民が築きたいと願う類の世界――我が国の建国の文書における約束を実現する世界―― をこの賞が反映していることも承知している。また、歴史を通じて、ノーベル平和賞は特定の業績を顕彰するためだけではなく、一連の目的に弾みを付ける手段として用いられることもあるということも承知している。故に私は、この賞を行動への呼び声として――21世紀の共通課題に対処せよと全国家に求める声として――お受けする所存である。

こうした諸課題は、一指導者や一国家によっては解決され得ない。だからこそ我が政権は、我々が求める世界に対する責任を全国家が負わねばならないという、新たな関与の時代を確立しようとしている。我々は、核兵器が更なる諸国に拡散したり、核による殺戮の恐怖が更なる人々を危険に晒したりするような世界には耐えられない。だからこそ、我々は核兵器なき世界に向けた具体的措置を取り始めた。何故ならば、原子力の平和利用を求める権利を全国家が有するが、それらの平和利用の意志を示す責任をも全国家が有するからである。

我々は、気候変動によって増しつつある脅威を受け入れられない。それは、子らに継承する世界を永久に毀損する――紛争や飢饉の種を蒔き、海岸線を浸食し、都市を抜け殻にする。だからこそ、今や全国家が、エネルギー利用のあり方を変革する責任の一端を担わねばならないのである。

我々は、人々が互いを見た目で判断するのを容認できない[4]。だからこそ我々は、異なる信条や人種宗教を持つ人々の間で、新たな始まりを追求せねばならないのである[5]。相互利益と相互尊重に基づく、新たな始まりを。

また、長年に亙って多くの苦痛と困難を惹起してきた紛争を解決するためにも、我々は皆、責任を果たさねばならない。その取り組みは、イスラエルパレスティナの全人民が、自国で平和かつ安全に生活する権利を最終的に実現するという、揺るぎない関与を含むべきである。

誰でもが切望する機会や尊厳――それは教育を受けたりまともな生活を送ったりする能力であり、将来への希望を失い、病や暴力を恐れながら暮らすといったことのないような保障のことであるが――を、より多くの人々が否定されている、そんな世界も我々は受け入れられない。

我々は紛争が平和裡に解決され、繁栄が広く共有される世界を求めて奮闘しているが、今知る世界にも向き合わねばならない。国家の最高司令官たる私は、ある戦争を終結させる責任を有すると同時に、米国民と同盟諸国を直接脅かす無慈悲な敵と向き合うという別の戦場でも努力している。何百万もの米国人を失業せしめた世界的経済危機の衝撃に我々が対処しつつあることも、私は認識している。これらは、米国民を代表して私が日々向き合っている懸念である。

我々が直面している仕事のいくつかは、私が大統領でいる間には完遂できないであろう。核兵器の廃絶のような任務は、私が生きている間には完遂できないかもしれない。だが私は、一人物や一国家だけではこれらの諸課題は解決できないとの認識さえあれば、これらは解決できるということを承知している。この賞は、単に我が政権の取り組みに関するものではない――これは、世界中の人々の勇気ある取り組みに関するものなのである。

だからこそこの賞は、正義と尊厳のために奮闘する者全てによって共有されるべきなのである――己の権利を主張するため、暴力や銃弾に遭遇しようとも静かに街頭を行進する、あの若き女性のために。民主主義への関与を放棄しないがために自宅に軟禁されている、あの女性指導者のために。世界の反対側にいる人々のため、度重なる従軍を通じて己を犠牲にしている、兵士のために。そして、平和のために己の安全を、己の自由を、そして時には己の命すら犠牲にしている、世界中の全人民のために。

それは常に、米国の大義であり続けた。だからこそ、世界は常に米国に注目してきたのである。そして、だからこそ私は、「米国は主導し続ける」と信ずるのである。

どうもありがとう。

訳註[編集]

  1. マリーア・オバマ (Maria Obama, 1998年 - ) は、オバマの長女。
  2. ボー (Bo) は、オバマ家の飼い犬。
  3. ナターシャ・オバマ (Natasha Obama, 2001年 - ) は、オバマの次女。サーシャ (Sasha) とは、ナターシャの愛称。
  4. 原文は「We can't allow the differences between peoples to define the way that we see one another」。逐語訳をするならば、「我々は、人々の間の相違が互いの見方を規定するのを容認できない」
  5. オバマは2009年6月4日、エジプトで「新たな始まり」と題する演説を行い、人種や信教の相違を超えた対話の重要性を訴えた。

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