ディオニュシオス・アレオパギテスの著作/神名論/第6章
神名論
第6章
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第1節
[編集]さあ、永遠の生命を歌いましょう。永遠の生命から、自存する生命、そしてあらゆる生命が生まれます。そして、生命に与っているすべてのものに、それぞれにふさわしい生き方が与えられます。確かに、生命、そして不滅の天使の不滅性、そして天使の永久運動の不滅性は、永遠の生命から、そして永遠の生命によって支えられています。それゆえ、彼らは常に生き、不滅とも呼ばれます。また、不滅ではないとも呼ばれます。なぜなら、彼らはその不滅性と永遠の生命を、自らから得たのではなく、すべての生命を形成し、支えている、生命を与える原因から得たからです。そして、私たちが「存在する者」について、彼は自存する存在の時代でさえあると言いましたように、ここでもまた、生命を超えた神の生命は、自存する生命にさえ命を与え、支えているのです。そして、すべての生命と命を与える運動は、すべての生命を超えた生命、そしてすべての生命の源から来ているのです。そこから、魂さえも不滅の力を得、すべての生き物、そして植物でさえ、その生命の最も遠い響きにおいてさえ、生きる力を得る。そして、神の言葉によれば、それが「取り去られる」と、すべての生命は消滅し、それに加わることができなかったために消滅した物でさえ、再び神のもとに戻り、再び生き物となる。
第2節
[編集]そして神は、主として自存する生命に生命であることを与え、またあらゆる生命、個々の生命に、それぞれが、自然が意図したものに従うようにする。また超天的な生命に、神は非物質的で神のような、不変の不死性と、揺るぎなく逸脱しない永続的な運動を与える。そして、過剰な善を通して悪魔の生命にまで自らを広げる[1]。というのも、これもまた他の原因から存在するのではなく、神から生命はその存在と継続の両方を得るからである。さらに神は、複合的な存在として可能な限り、人間に天使的な生命を与え、人間への溢れる愛によって、私たちが神から離れようとしているときでさえ、私たちを神のもとへ呼び戻す。そして、さらに神聖なものは、私たちの全体(つまり魂と、そのくびきを担う肉体)をも完全な生命と不滅へと導くことを約束しています。これは古代人には自然に反するように思われるかもしれませんが、私やあなた、そして真実にとっては、神聖であり自然を超越するものと映るでしょう。しかし、「自然を超越する」とは、私たちの目に見える性質のことであり、神の生命の全能の性質のことではありません。なぜなら、すべての生き物、特により神聖な生き物の性質であるこの性質に対して、いかなる生命も自然に反したり、自然を超越したりすることはないからです。ですから、この問題に関するシモンの愚かな矛盾した主張は、神聖な集会やあなたの敬虔な魂から遠ざけるべきでしょう。なぜなら、彼は自分が賢明であると考えていたにもかかわらず、このことに気づかなかったからです。正しい考えを持つ人は、すべてのものの目に見えない原因に対する味方として、感覚的な知覚という目に見える理性を用いるべきではないのです。そして、これが彼に対する私たちの返答でなければならない。彼の発言は自然に反するものであり、自然に反するものは何もないのだから。
第3節
[編集]あらゆる生物も植物も、そこから生命と栄養を得ています。知的な生命、理性的な生命、感覚的な生命、栄養を与える生命、成長する生命、あるいはどんな生命であれ、あらゆる生命を超える存在であるそこから、生命は生き、繁栄します。そして、原因として、その中に一様に先在していました。超生命であり、生命を湧き出す生命は、すべての生命の原因であり、生命を生み出し、補完し、分割するものであり、あらゆる生命が数多く生み出された結果として、あらゆる生命から称賛されるべきものであり、多様であり、あらゆる生命によって観想され、歌われるものであり、必要とせず、むしろ生命に満ち、自ら生き、あらゆる生命を超え、生を引き起こし、超生命であるものとして、あるいは、人間の言葉では言い表せないようなあらゆる方法で生命を称賛するのです。
脚注
[編集]- ↑ ローマ人への手紙11:29、「神の賜物と招きとは取り消されないものなのです。」
出典
[編集]- 底本: Pseudo-Dionysius, John Parker "The Works of Dionysius the Areopagite/On Divine Names/Chapter 6" 1897(ENGLISH FROM THE ORIGINAL GREEK)
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