シリヤの聖イサアク全書/第六十四説教

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第64説教

<<神（かみ）より定（さだ）められたる黙想（もくそう）の路（みち）を進行（しんこう）する者（もの）に如何（いか）なる転変（てんぺん）変（へん）化（か）を生（しょう）ずるか。>>

黙想（もくそう）に生活（せいかつ）せんと其（その）心（こころ）に決（けつ）したる者（もの）は、己（おのれ）を整（せい）備（び）して、黙想（もくそう）の順序（じゅんじょ）に循（したが）ひ、余（よ）日（じつ）を其（その）練習（れんしゅう）に送（おく）るべし。汝（なんぢ）の霊魂（れいこん）が内（ない）部（ぶ）に暗黒（あんこく）を満（みた）さるゝ場（ば）合（あい）ある時（とき）〈こは神（かみ）の恩寵（おんちょう）にて定（さだ）められたる黙想（もくそう）の順序（じゅんじょ）に於（おい）て常（つね）に之（これ）有（あ）るなり〉たとへば太陽（たいよう）の光線（こうせん）の地上（ちじょう）雲霧（うんむ）の為（ため）に蔽（おほ）はるゝ如（ごと）く、或（あ）る時（じ）間（かん）心神（しんしん）の安（あん）慰（い）をうばはれて霊魂（れいこん）を蔽（おほ）ふ慾雲（よくうん）の為（ため）に恩寵（おんちょう）の光（ひかり）が内（ない）部（ぶ）に暗（くら）くなり、随（したがつ）て歓（かん）喜（き）を生（しょう）ずる力（ちから）も多少（たしょう）汝（なんぢ）に減少（げんしょう）して、非常（ひじょう）なる濃（のう）霧（む）の心（しん）意（い）を蔽（おほ）ふ時（とき）は、汝（なんぢ）思（し）慮（りょ）を擾（みだ）すなかれ、霊魂（れいこん）の無知（むち）に手（て）を假（か）すなかれ、忍耐（にんたい）して諸（しょ）父（ふ）の書（しょ）を読（よ）み、己（おのれ）を祈（き）祷（とう）に強（し）ひて助（たすけ）を待（ま）つべし。汝（なんぢ）の知（し）らざる助（たすけ）は速（すみやか）に来（きた）らん。けだし地（ち）の表面（ひょうめん）が太陽（たいよう）の光線（こうせん）により、地（ち）を包（ほう）囲（い）する大（たい）気（き）の暗黒（あんこく）の中（うち）より現（あらは）るゝ如（ごと）く、祈（き）祷（とう）も慾雲（よくうん）を霊中（れいちゅう）に散（さん）じ尽（つく）し、愉（ゆ）快（かい）と安（あん）慰（い）の光（ひかり）を以（もつ）て心（しん）意（い）を照（てら）すを得（え）ん、これ祈（き）祷（とう）が神聖（しんせい）なる書中（しょちゅう）より自（みづ）から糧（かて）を借（か）り、心（しん）意（い）を庇護（ひご）する儆醒（けいせい）を有（ゆう）する時（とき）常（つね）に我（われ）等（ら）の思（し）念（ねん）に生（しょう）ずる所（ところ）のものなり。諸聖人（しょせいじん）の書（しょ）を不（ふ）断（だん）に学（まな）ぶは不可思議（ふかしぎ）なる驚嘆（きょうたん）と神聖（しんせい）なる愉（ゆ）快（かい）とを霊魂（れいこん）に満（み）たしめん。我（われ）等（ら）が神（かみ）に光栄（こうえい）は世々（よよ）にあるべし、「アミン」。