エジプトのマカリオス50の霊的説教/説教12

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• 底本: A. J. Mason, Fifty spiritual homilies of St. Macarius the Egyptian/Homily 12
• ウィキソースによる日本語訳

エジプトのマカリオス50の霊的説教

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説教12

<< アダムが神の戒めを破る前、そして自分の姿と天の姿の両方を失った後のアダムの状態について。説教には、非常に有益な質問がいくつか含まれている。>>

1. アダムは戒律に違反したため、二重の災難に遭った。彼は神の似姿と姿に倣った純粋で美しい性質を失った。また、約束に従って彼のために天の相続財産のすべてを蓄えていたその像も失った。王の像が刻まれた貨幣があったとしよう。そして、それが間違った刻印で新たに刻印されたとしよう。金は失われ、像は価値がない。これがアダムに降りかかった災難だった。彼のために大いなる富と大いなる相続財産が用意されていた。大地があり、そこには多くの収入源があったとしよう。ここには繁茂したブドウ園、あちらには実り豊かな畑、あちらには羊や牛の群れ、あちらには金や銀がある。不従順になる前のその土地は、アダム自身の器であったため、それほど価値があった。しかし、彼が邪悪な意図や考えを抱いたとき、彼は神から失われた。

2. しかし、私たちは、すべてが失われ、破壊され、死んだとは言いません。彼は神から死んだが、彼自身の性質のために生きているのです。見よ、全世界が地上を歩き、その営みをしている。しかし、神の目は彼らの心と想像を見て、いわば彼らの周りや彼らの向こうを見て、彼らと交わりを持たない。なぜなら、彼らが考えることは何一つ神に喜ばれないからである。もし、不道徳な歓楽の家や悪評の家、無秩序や放蕩が行われる場所があれば、敬虔な人々はそこを通り過ぎるとき、それを嫌悪し、見ることを拒む。なぜなら、それらは彼らにとって死んだものだからです。それゆえ、神は、神の言葉と戒めに背いた人々に目を向けるが、その目は彼らから離れて行き、そこには交わりを持たないし、主は彼らの考えの中に安息の場を見出すこともできない。

3. 質問。特に、自分が変わった人間であり、進歩し、以前にはなかった知識と理解を得たことを内心自覚しているとき、どうして人は精神的に貧しい者でいられるのでしょうか。

答え。人がこれらのことを得て進歩するまでは、彼は心の貧しい者ではなく、自分自身について何らかの意見を持っています。しかし、この理解と進歩の地点に達すると、恵み自体が彼に心の貧しい者となるように教えます。それは、義にかなっていて神に選ばれた人は、自分を何者ともみなさず、何も知らず何も持っていないかのように、自分の魂を卑しめ、無視することを意味します。しかし、彼は知っていて持っています。これは、自然の法則のように、人々の心の中に固定されたものです。私たちの先祖アブラハムが選ばれた者として自分自身を塵と灰と表現し、ダビデが王として油を注がれ、神が彼と共にいたのに、彼は何と言っているかわかりませんか。私は虫けらであり、人間ではありません。人々から軽蔑され、民の追放者です。

4. ですから、これらの人々と共同相続人となり、天の都の同じ国民となり、彼らとともに栄光を受けようとする人は、このような謙遜な心を持ち、自分を何者かと考えないで、悔い改めた心を持ちなさい。恵みは、各クリスチャンの中でそれぞれ異なった仕方で働き、またその肢体もさまざまですが、みな同じ町に属し、同じ思いを持ち、同じ言葉を使い、互いに認め合っています。からだには多くの肢体がありますが、一つの霊がすべての肢体の中にあってすべてを動かしているように、一つの御霊がすべての肢体の中でそれぞれ異なった仕方で働きますが、みな一つの町に属し、一つの道に属しています。義人はみな、迫害され、苦しめられ、ののしられ、やぎの皮の衣を着て、穴や地の洞穴に住みながら、まっすぐで狭い道を行きました。使徒たちも同じように言っています。「私たちは、この時にまで、飢え渇き、裸で、ののしられ、定まった住まいを持っていません。」彼らのうちのある者は斬首され、ある者は十字架にかけられ、またある者は様々な方法で苦しめられました。預言者と使徒の主である主は、その神聖な栄光を忘れたかのように、どのような境遇に置かれたでしょうか。主は私たちのための模範とされました。嘲笑の的に、主は頭に茨の冠をかぶられ、唾をかけられ、打ちのめされ、十字架につけられました。

5. 神が地上でこのようになさったのなら、あなたも神に倣うべきです。使徒や預言者もそのようになさったので、私たちも主と使徒たちを土台として築き上げられたいのであれば、彼らに倣うべきです。使徒は聖霊によってこう言っています。「私がキリストに倣うように、あなたがたも私に倣いなさい。」しかし、もしあなたが人の栄光を愛し、崇拝されることを望み、安息を求めるなら、あなたは道から外れています。十字架につけられた方とともに十字架につけられ、苦しまれた方とともに苦しみ、栄光をお受けになる方とともに栄光をお受けになるべきです。花嫁は必ず花婿とともに苦しみ、キリストとともにパートナー、共同相続人になる必要があります。苦しみを経験することなく、また険しくまっすぐで狭い道を通らずに、聖徒たちの町に入り、安息を得て、王とともに永遠に統治することは不可能です。

6. 質問。アダムは自分自身のイメージと天のイメージの両方を失ったとあなたは言いました。では、彼が天のイメージを体現していたなら、彼には聖霊があったのでしょうか。

答え。神の言葉と戒めが彼と共にある限り、すべては彼のものでした。言葉そのものが彼にとって相続財産であり、彼の衣服であり、彼の防御となる栄光であり、彼の教えでした。神は彼にすべてのものに名前を付けるよう提案しました。「これを天、この太陽、この月、この地、これを鳥、これを獣、これを木と呼びなさい。」彼は教えられたとおりにそれらに名前を付けました。

7. 質問。彼は聖霊の経験と交わりを持っていましたか。

答え。言葉自身が彼と共におられることは、彼にとって、知識であれ、経験であれ、相続であれ、教えであれ、すべてでした。ヨハネは言葉について何と言っていますか。初めに言葉があった。言葉がすべてであったことがわかります。彼に外的な栄光もあったとしても、私たちはそれに腹を立ててはいけません。なぜなら、彼らは裸であったが、互いに見合わなかったと書いてあるからです。しかし、戒めに背いた後、彼らは自分たちが裸であることに気づき、恥ずかしく思いました。

8. 質問。それ以前に、彼らは神の栄光を外套として着ていたのでしょうか。

答え。預言者の場合と同じように、聖霊は彼らの中に働き、教え、彼らの内にあり、外面的に彼らに現れました。アダムの場合も同じです。聖霊は、望むときには彼と共にいて、教え、「このように語りなさい」と示唆し、彼はそれを言いました。なぜなら、御言葉は彼にとってすべてであり、彼が戒めを守っている限り、彼は神の友だったからです。しかし、そのような存在条件にもかかわらず、彼が戒めに背いたとしても、なぜ私たちは驚く必要があるのでしょうか。聖霊に満たされた人々は、依然として自然の考えを持ち、それに従う意志を持っています。このように、アダムは、楽園で神と共にいましたが、自分の意志で背き、邪悪な側に従いました。それでも、背いた後でさえ、彼は知識を持っていました。

9. 質問。どのような知識ですか？

答え。強盗が法廷に連行され、裁判が始まったとき、裁判官が彼に「これらの悪事を働いていたとき、あなたは捕らえられて死刑に処せられることを知らなかったのか」と言ったとき、彼は「いいえ」と言う顔がありません。彼は知っていたし、罰が下されると、すべてを思い出して告白します。そして、淫行者は自分が悪いことをしていることを知らないのでしょうか。そして、盗みを働く人は、それが罪であることを知らないのでしょうか。このように、聖書がなくても、人々は自然な推論から神がいるのを知らないのでしょうか。彼らはその日に「私たちはあなたが神であることを知りませんでした」と言うことはできません。神は彼らに言います。「あなたたちは天からの雷と稲妻を知らなかったのですか。創造物を統治する神がいることを。」それでは、なぜ悪魔は「あなたは神の子です」と叫んだのですか。なぜあなたは時が来る前に私たちを苦しめるために来たのですか。今でも殉教者の聖地では、「私を燃やせ、私を燃やせ」と言っている。彼らは当時、善悪の知識の木を知らなかった。アダムの罪が知識を伝えたのだ。

10. 誰もが、アダムはどのような状態にあったのか、そして何が彼に起こったのかと尋ね始めます。アダム自身は善悪の知識を受け取りました。聖書から、彼は名誉と清浄の状態にあり、戒めを破ったために楽園から追放され、神は彼に対して怒ったと聞きます。それで彼は自分にとって何が善であるかを学び、何が悪であるかを学んだことで、彼は自分自身を守り、二度と罪を犯さず、死の罰に陥らないようにしました。今、私たちは神の創造物全体が神によって支配されていることを知っています。天と地、動物、這うもの、獣を作ったのは神でした。私たちはそれらすべてを見ていますが、その数は知りません。知っている人はいますか？ すべてのもの、動物のまだ生まれていない子孫にさえ存在する神だけです。彼は地の下にあるもの、天の上にあるものを知らないのでしょうか？

11. ですから、私たちはこれらのことを捨てて、むしろ、商売人らしく、天の遺産と魂にとって有益なものを手に入れることを求めましょう。私たちのそばに残る財産を手に入れることを学びましょう。もしあなたがた人間が神の考えを探求し、「私は何かを発見し、それを理解した」と言い始めたら、人間の心は神の考えを凌駕していることがわかります。しかし、あなたはこの点で大いに間違っています。探求して底に到達したいと望めば望むほど、あなたはますます深みから外れ、何も理解できなくなります。あなたに起こる神の訪問、神が日々あなたの中で何を、どのように行うかは、言葉や理解を超えています。あなたは感謝して受け入れ、信じることしかできません。あなたは、生まれてから今まで、自分の魂を認識することができましたか。もしそうなら、夜明けから夕暮れまであなたの中に湧き上がる考えを私に告げてください。3日間の考えを私に話してください。いいえ、それはできません。自分自身の魂の考えを理解できないのなら、どうして神の考えや心を見つけ出せるでしょうか。

12. いや、パンは見つけたら食べなさい。広い大地をその道に任せなさい。川のほとりに行き、必要なだけ飲み、進みなさい。そして、それがどこから来るのか、どのように流れるのかを知ろうとしてはいけません。足を治したり、目の病気を治したりして、太陽の光を見るように最善を尽くしてください。しかし、太陽がどれだけ明るいのか、どれだけ高く昇るのかを尋ねてはいけません。あなたにとって有益な動物を捕まえなさい。なぜ山に行って、そこにどれだけの野ロバや他の獣が住んでいるのかを見つけようとするのですか。赤子は母親の乳房に来ると、乳を飲んで成長します。乳がこのように流れ出る根や泉を探しません。乳を吸って、全部を空にします。そして、さらに1時間経つと、乳房はいっぱいになります。赤子は何も知らず、母親も、母親のすべての器官から乳が供給されているのに、何も知りません。それで、あなたが主を深みの中に求めれば、そこに主を見出す。あなたが水の中に求めれば、そこに奇跡を行っている主を見出す。あなたが穴の中に求めれば、そこに二頭のライオンの間にいて、正しいダニエルを守っている主を見出す。あなたが火の中に求めれば、そこに、しもべたちを助けている主を見出す。あなたが山の中に求めれば、そこに、エリヤとモーセとともにいる主を見出す。主はどこにでもいる ― 地の下、天の上、そして私たちの中にも。主はどこにでもいる。それと同じように、あなた自身の魂もあなたの近くにあり、あなたの内にあり、あなたの外にもある。なぜなら、あなたが望むところならどこにでも、遠くの国々に、あなたの心はあるからである。西でも東でも、空でも、そこにあなたの心は見つかる。

13. ですから、私たちは何よりもまず、主の焼印と印章をいただくことを求めましょう。なぜなら、審判の日に、神の厳しさが示され、地上のすべての部族、すべてのアダムが集められるとき、よい羊飼いが自分の群れを呼ぶとき、焼印を持つ者はみな自分の羊飼いを認め、羊飼いは自分の印章を持つ者を知り、彼らをすべての国々から集めるからです。羊飼いに属する者は、その声を聞き、彼に従います。世界は二つの部分に分かれており、一つの群れは暗く、永遠の火の中へ入り、もう一つは光に満ち、天の安息へと導かれます。私たちが今自分のものとしているもの、魂の中で同じものがその時輝き、現れ、私たちの体を栄光で包むのです。

14. クサンティコスの月の季節のように、地中に埋もれた根は、自らの果実、自らの花、美しさを出し、実を結び、良い根は現れ、棘のある根は現れる。その日、各人は自分の体で何をしたかを明らかにする。良いことも悪いことも同じように現れる。そこにすべての裁きと報復がある。この目に見える食物のほかに、別の食物がある。モーセが山に登ったとき、彼は40日間断食した。彼は人間として登ったが、それ以上ではなかった。彼は神に憑かれて降りてきた。さて、私たちは自分自身で、もし体が食物によって支えられなければ、数日で疲れ果ててしまうのを見る。しかし、モーセは40日間断食した後、他の誰よりも元気いっぱいに降りてきた。それは、彼が神によって養われ、彼の体に別の、天からの食物が与えられたからである。神の言葉は彼にとって食物となり、彼の顔には栄光が宿りました。彼に起こったことは一つの例です。その栄光は今やキリスト教徒の心の内側に輝いています。復活の際、彼らの体はよみがえり、別の神聖な衣服で覆われ、天の食物で養われます。

15. 質問。女性が頭を覆わずに祈るというのはどういう意味ですか。

答え。使徒の時代には、彼らは覆いとして髪をほどいていたからです。このため、主と使徒たちは創造の世界にやって来て、節制を教えました。しかし、女性は教会の典型として立っています。目に見える世界では、当時の女性は覆いとして髪をほどいていましたが、教会は子供たちを神聖な栄光の衣で着せ、包みます。そして、イスラエルの教会の昔の時代には、会衆は一つで、聖霊に覆われていました。彼らは栄光のために聖霊をまとっていましたが、彼ら自身はそれに一致していませんでした。さて、「教会」という言葉は、個人の魂だけでなく、多くの魂にも使われています。なぜなら、魂はすべての能力を集め、このようにして神の教会だからです。魂は天の花婿との交わりに適しており、天の御方と交わります。これは、多くの人々と一人の人々の両方に見られます。このように預言者はエルサレムについて、「わたしはあなたが荒廃し、裸であるのを見つけたので、あなたに着せた」などと、あたかも一人の人物について語っているかのように語っています。

16. 質問。マルタがマリアについて主に「彼女があなたのそばに座っている間、私は多くのことに熱心に取り組んでいます」と言ったのはどういう意味ですか。

答え。マリアがマルタに言ったであろうこと、主は彼女のことを予期して、答えた。彼女はすべてを捨てて主の足元に座り、一日中神を賛美したのだ、と。ほら、彼女が座っていたのは愛のためだった。しかし、神の言葉がもっとはっきりするために、これを聞いてください。もし誰かがイエスを愛し、真剣にイエスに耳を傾け、気まぐれにではなく、愛をもってイエスに従うなら、その人は自分が何を受け取るのか、神が魂に何を与えようとしているのかを知らないにもかかわらず、神はすでにその魂に愛に対する何らかの報いをしようと計画している。マリアがイエスを愛し、イエスの足元に座ったとき、彼女に与えられた贈り物は気まぐれな贈り物ではなかった。神はマリアに、神自身の本質からある隠された美徳を与えた。神がマリアに平和のうちに語った言葉そのものが、多くの霊と力であった。そして、彼女の心に入ったこれらの言葉は、彼女の魂にとって魂となり、彼女の霊にとって霊となり、そして神聖な力が彼女の心に満たされた。その力が宿る所には、永久に留まらざるを得ず、奪われることのない所有物となる。このため、マリアに何を与えたかを知っていた主は、マリアは良い方を選んだと言われた。しかし、しばらくして、マルタが奉仕の道で熱心に行なったことが、彼女をその恵みの賜物へと導いた。彼女もまた、魂に神の力を受け取った。

17. 主のもとに来て、個人的に主に付き従っていた人々が、使徒たちが御言葉を語り、信じる人々に聖霊が降ったとき、主の力を受けたとしても、驚くには当たりません。コルネリオは聞いた御言葉から力を受けました。まして、主がマリアやザアカイ、髪を下ろして主の足を拭いた罪深い女、サマリアの女、強盗に御言葉を語られたとき、どれほど力が出て、聖霊が彼らの魂と混ざり合ったことでしょう。それでもなお、神を愛し、すべてを捨て、祈りを怠らない人々は、知らなかった秘密のことを教えてもらいます。真理そのものが、彼らの選択に応じて彼らに現され、「私は真理である」と教えられます。使徒たち自身も、十字架刑の前に、主と共に歩み続けることによって、らい病人が清められ、死者がよみがえったという大きなしるしを見たが、神の力が心の中を上下して働くことや、彼らが霊的に生まれ変わり、天の魂と混ざり合って新しい創造物になることを知らなかった。主が行われたしるしのゆえに、彼らは主を愛した。しかし主は彼らに言われた、「なぜしるしに驚くのか。わたしは、全世界が持っていない大きな遺産を、あなたがたに与えるのだ。」

18. イエスの言葉は彼らにとって奇妙に思えましたが、イエスは死からよみがえり、私たちのためにその体を天に上げられました。すると、弁護者の霊が彼らの魂に入り、彼らと混ざり合い、真理が忠実な魂に自ら現れ、天の人があなたという人と共に来て、あなたと一つの交わりを持つようになりました。奉仕に身を捧げ、熱意と信仰と神への愛からすべてのことを熱心に行う人は、その奉仕そのものが時を経て真理そのものの知識へと導きます。主が彼らの魂に現れ、聖霊の道を教えられます。父と子と聖霊に栄光と礼拝を永遠に。アーメン。

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