「大東亜戦争ノ呼称ヲ定メタルニ伴フ各法律中改正法律案」説明基準追補

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一、今回各法律ヲ改正スルコトニ依リ当該法律ノ適用上差異ヲ生ズルカ、現行ノ儘放置シテモ実質上支障ナキモ呼称ガ改メラレタ為体裁ヲ整ヘル丈ノ意味カ。

適用上差異ナシ。条文上ノ措辞ニ付名実一致セシメタルニ止マル。

二、「支那事変ヲモ含メ」云々ト謂ヘル閣議決定ノ趣旨如何。

別紙説明基準二、ノ通。

甲(イ) 「支那事変ヲモ含メ」トハ事変勃発当初迄遡及シテ爾リト観念スルノ義ナリヤ。

今後大東亜戦争ナル呼称ヲ用フル場合ニハ、昭和十六年十二月八日前ノ支那事変ヲモ包含シ指称スルノ意ナリ。(尚次項参照)

(ロ) 昨年十二月七日以前ハ以前事変ノミ存在シタル義ナリヤ、或ハ遡ツテ戦争ト為リタル義ナリヤ。

呼称ノ上ニ於テハ大東亜戦争ト指称サルルモ、支那事変ガ遡ツテ国際法上ノ戦争ト為ルノ意ニハアラズ。
「大東亜戦争」トハ大東亜新秩序建設ノ為ノ軍事行動ノ総称ナリ。該呼称ニ包括セラルル事態ニハ、国際法的ノ戦争ノ部面アリ、又然ラザル部面アリ。

(ハ) 閣議決定ニ「今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ」云々トアル意味如何。

閣議決定ノ趣旨ハ支那事変ニ始リ将来ニ及ブ大東亜新秩序建設ノ為ノ一聯ノ戦ヲ総称シテ「大東亜戦争」ト呼称スル旨ヲ明ニスルニ在リ。「今後生起スルコトアルヘキ戦争」トハ「大東亜新秩序建設ノ為今後新ニ生起スルコトアルベキ軍事行動」ノ意ナリ。

乙 支那事変ナル観念ハ可分ノモノトシテ大東亜戦争ノ一部ヲ成スモノナリヤ、或ハ支那事変ガ生成発展シテ大東亜戦争ト為リタルモノト認ムベキモノナリヤ。

後段ノ通ナリ。

(イ) 対蒋政権軍事行動ハ大東亜戦争ノ一部ト為リタルモノナリヤ。

対蒋軍事行動ハ大東亜新秩序建設ノ一手段タリ、而シテ大東亜戦争ナル呼称ノ中ニ包括セラルル一事態ナリ。

(ロ) 若シ然リトセバ事変ハ戦争ト為リ蒋政権ハ之ヲ交戦団体トシテ認ムル趣旨ナリヤ。

然ラズ。大東亜戦争ト云フ場合ノ「戦争」トハ前掲ノ如ク包括的ノ呼称ナリ。事変ヲ戦争ト為スノ積極的意味ナシ。大東亜新秩序建設ノ為帝国ノ執リタル軍事行動ニハ国際法的ノ戦争ノ部面アリ又然ラザル部面アリ。対蒋軍事行動ハ其ノ後者ニ該当ス。

(ハ) 然ラズトセバ、大東亜戦争ニ際シ依然中華民国ノ領域内ニ於ケル叛徒鎮圧ヲ為シツツアルモノナリヤ。

然リ。大東亜新秩序建設ノ一手段トシテ残存一政権ノ鎮圧ヲ為シツツアルモノナリ。

(ニ) 和蘭等ハ相手国ヨリ宣戦アリテ其ノ結果帝国トノ間ニ戦争状態ニ入リタルモノト解ス。而シテ重慶モ我方ニ対シ宣戦シタリ。此ノ場合ニ於テ重慶トノ間ニハ戦争ヲ生ゼズトスルハ如何ナル根拠ニ基クヤ。

法律的ニハ恰モ一匪賊ノ頭目ガ宣戦セルニ性質上同ジ、対米英宣戦ノ御証書ニモ「重慶ニ残存スル政権」トアリ。

(ホ) 右ノ場合ニ戦争法規ハ蒋政権トノ間ニ於テハ片面的ニ(即、我方ニハ適用ナクシテ重慶側ノミ)適用ヲ見ルモノナリヤ。

我方ニ適用ナキハ勿論ナリ。重慶側ト第三国トノ関係ハ彼等ノ主観ノ問題ナリ。我方ノ関知スル所ニ非ズ。

(ヘ) 蒋政権ヲ相手トセズト謂フ態度ハ今回擲スルモノナリヤ。

然ラズ。(ニ)参照。

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