イソップ童話集/金のたまご

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あるおじいさんが、一羽のがちょうをかって居りました。このがちょうは、ふしぎなことには、まいにち一つずつ、金のたまごをうむのでした。おじいさんは、このめずらしいがちょうを、たからもののように大事にして居りましたが、ある日、ふと、
こんな考えをおこしました。
「こんなりっぱな、金のたまごをうむところを見ると、このがちょうのはらの中には、きっと大きな、金のかたまりがあるにちがいない。まいにち一つずつのたまごをとるよりは、いっそ一度にみんな出してしまおう。」
そこで、さっそく、いやがるがちょうをつかまえて、おなかをさいて見ますと、きたないはらわたがあるばっかりで、金のかたまりなぞは、かげもかたちも見えませんでしたとさ。