雪 (地歌)
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雪
作者:流石庵羽積
花も雪も払えば清き袂かな、ほんに昔の事よ、我待つ人も吾を待ちけん。鴛鴦《をし》の雄鳥《をとり》に物思ひ羽の、凍る衾《ふすま》に鳴く音は嘸《さ》ぞな。さなきだに、心も遠き夜半《よは》の鐘、聞くも淋しき独り寝の、枕に響く霞の音も、若《も》しやいつそ堰きかねて、落つる涙のつららより、辛き生命《いのち》は惜しからねども、恋しき人は罪深く、思はんことの悲しさに、捨てた憂き、捨てた浮世の山かづら。
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』下、武蔵野書院、1975年。
この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。