解析概論/附録I/乗法
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[編集] 7.乗法
乗法の定義は,切断によるよりも,極限の概念を自由に運用する方が得策であろう.与えられた実数
に収束する任意の有理数列を
とすれば,数列
は収束する(Cauchy の判定法).なぜなら: 有理数の乗法(既知)によって

で,
は有界だから,すべての
に関して

なる有理数
がある.さて任意に
が与えられるとき
なる有理数
を取れば,それに対応して
を十分大きくして
,従って

故に数列
は収束する.その極限は
に収束する有理数列
の選択に無関係である(§9).
[定義]
なるとき

の定義とする.
が有理数なるとき,この定義は有理数に関する既定の定義と調和する(
とすればよい).

[定理 13] (交換律)

[証]
とすれば
.有理数に関して
は既知.故に
.[定理 14] (結合律)

[定理 15] (分配律)

[証]
同様.ここでは
をも用いる.[定理 16]
ならば
.[証]
ならば,
に収束する単調増大の正の有理数列
がある(例えば十進数列).然らば
も単調増大で
.
だから
.[注意]
これから
を用いて,
が同符号または異符号なるに従って,
を得る.[定理 17]
ならば
または
.[定理 18] (除法)
と
とが与えられるとき,
なる
が一意的に存在する.[証]
(1º)
まず
なる
の存在を証明する.
として,
に収束する単調増大の正の有理数列を
とすれば,
は単調減少で有界だから,収束する.その極限を
とすれば,

に関しては
が逆数である.(2º)
とすれば
.
ならば
(
とすれば,
.
[
.