解析概論/第9章/Stieltjes積分
[編集] 121.Stieltjes 積分
Euclid 空間
において,区間の函数
が加法的であるとする.そのとき,
を区間の体積
に代用して,Lebesgue 式に,それをひとつの σ 系の集合
にまで拡張して,
を完全に加法的にすることができるならば,その
を §108 の意味の測度として,その測度に基づいて,積分論を組み立てることができるであろう.或る条件の下において,それは実際可能である.そのようにして定義される積分を Lebesgue-Stieltjes 積分という.
今一次元空間
に関して,その大要を述べる.
の有界変動の函数
を取って Riemann 式に積分を定義した.すなわち区間
において,積分されるべき函数を
とするとき,区間の分割



のとき,一定の極限値を有するならば,それを
に関する積分

になる特別の場合である.最も簡単な場合として,
を連続とすれば (1) が可能であることは,Riemann 積分の場合と全く同様である(これを §39 で述べた).今,有界変動の函数
から,
において区間の加法的函数を導くために,まず
において
を有界で単調増大とする.
が区間
においてのみ与えられているときには,
なるとき
,
なるとき
として,
の定義を
に拡張する.そうして開区間
および一点
から成る集合
に関して,区間
の函数
を次のように定義する.

![w=[x]\colon\qquad\mu(w)=\varphi(x+0)-\varphi(x-0).](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/7/c/9/7c953f7e5f4adde6ec34aa99d562d570.png)
任意の区間は開区間と一点からなる集合との単純和に分割されるから,その区間における
を加法的に定義することができる.例えば閉区間
![w=[x_1,x_2]=[x_1]+(x_1,x_2)+[x_2]](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/d/b/6/db6d3146618456afdb52e2066351e010.png)
に関しては

このように定義された
は区間に関して加法的である.例えば
の内に分点
を取れば(
),
![\begin{align}
(x_1,x_2)&=(x_1,x)+[x]+(x,x_2),\\
\mu(x_1,x_2)&=(\varphi(x-0)-\varphi(x_1+0))+(\varphi(x+0)-\varphi(x-0))+(\varphi(x_2-0)-\varphi(x+0))\\
&=\varphi(x_2-0)-\varphi(x_1+0)
\end{align}](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/e/9/f/e9fac93e97de37704c0f154b2ad85f74.png)
で,ちょうど (2) と合う. これは,しかしながら,弱い意味の加法性である.実際は
は完全に加法的である.(3) からみえるように,
なるとき,
が
の連続点ならば
だから,加法に関しては考慮を要しない.
の不連続点は無数にあっても,可算であるが[* 1],もしも
が開区間およびそれらの点の列に分割されて,
ならば 
これは §113 と全く同様にして証明される.
よって §114 と同様の方法によって,
において σ 系を成す集合
の一類にまで,
を拡張することができる.その σ 系は,少くとも,すべての B 集合を含むであろう.
この
を測度として定義されるのが,Lebesgue-Stieltjes 積分である.特に積分範囲が区間
であるときは,積分を

と書く.記号は (1) と同じであるが,積分が Lebesgue 式か,Riemann 式かを明示することが必要である. 一般の有界変動の函数
は二つの増大函数の差:
として表わされる.その場合には,定義として

とするのである.
- ↑ 単調増大函数
の不連続点を,そこでの飛びが
の範囲にあるものに分けて算えればよい.
の範囲にあるものに分けて算えればよい.