解析概論/第9章/積分の性質
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[編集] 110.積分の性質
積分の性質を続けて述べる.
[証]
仮定によって
,従って(前節 3.)

の極限へ行って

の分割
において,
として
(2)


は任意だから,上限へ行って

,すなわち
と書いて
(3)

ならば,(
でも)右辺は
で,左辺は
だから,問題はない.同様に,
ならば,(
でも)問題はない.よって,
とする.
定理 89.
積分は函数に関して線型である.詳しくいえば,任意の実係数
をもって

と
が同時に出ていてはいけない.特に,右辺の各積分が有限なるとき,左辺も有限で,等式が成り立つのである[* 2].[証]
二つの函数
に関して,次の式を証明すれば十分である:
(4)

定理 90. [項別積分の定理]
函数列
に関して
,かつ
(6)

が存在すれば(特に
(定数)ならば),
(7)

[証]
仮定 (6) によって,
は積分有限である.また §109,6.,7.によって,
と仮定してよい. まず一般に
と置けば,
で,
は増大列だから,定理 88によって,

だから


(8)[* 3]

に適用すれば(上記の仮定
を用いて),

を引いて,
(9)

から,


(10)

のはずであるから,(9),(10) から

だから,等式が成り立って,(7) を得る.
(証終)
定理 90 が上記のように寛大な条件の下において成り立つことは,Lebesgue の理論の著しい成功というべきであろう.
以上,積分の最も重要な性質を述べたが,ここで,積分の定義そのものを反省してみよう.我々は
を分割して
における
の下限
をもって
を作って,その上限として積分を定義したが,同様の立脚点において,
における
の上限
をもって,和
を作り,
の下限として積分を定義することも考えられる.しかし,
は有限,また
において
は有界(
)なる根幹的の場合においては,このような定義からも積分は結局同一に帰する[* 5].
今,実数の区間
に目盛り
をして
とすれば,
のこの分割
に関しては
さて
従って
は特別な分割であるが,一般に二つの分割
を合併して分割
が作られる.すなわち
そうすれば,
すなわち
は任意だから
よって,上記の
を用いて
は任意に取れるから
なお考慮すべきは,§109 で
を有限列
に分割して
を定義したが,上に述べたような思想圏において,
を無限単純列
に分割して,そのような分割
に関して
を定義して,
をもって積分を定義することである.然るに,
は
の再分と考えられるから,
であるが,一方
であるから,
である.
に関しても同様である.
に目盛り


のこの分割
に関しては



は特別な分割であるが,一般に二つの分割
を合併して分割
が作られる.すなわち




は任意だから

を用いて

は任意に取れるから

を有限列
に分割して
を定義したが,上に述べたような思想圏において,
を無限単純列
に分割して,そのような分割
に関して
を定義して,
をもって積分を定義することである.然るに,
は
の再分と考えられるから,
であるが,一方
であるから,
である.
に関しても同様である.Riemann 積分に関して §30 に述べた Darboux の和においては,このような結果は得られなかった.あそこでは,
を単に有界としたが,ここでは
を M 函数とした.あそこでは
をば,区間を区間への分割に限定したが,ここでは,M 集合
を自由に M 集合に分割することを許したのである.
§109 に述べた積分の定義は簡明であるが,なお Lebesgue の定義との連絡のために,次の定理をつけ加える.簡明のために正なる函数を考察する.
定理 92.
集合
において
とする.正数の範囲に目盛り
(
)
)(13)


なる条件の下において,
(14)

[証]
目盛り
に対応して,

を取れば,
のとき,

のとき
(15)

(16)

による(§109,6.).さて,ここで二つの場合を区別する.
[附記]
と置けば,
は単調減少であるが,
だから,

すなわち積分
は Riemann 積分
に等しい.次の定理は後に至って応用されるが,それ自身としても興味あるものである.
§109,5.において
とすれば,
において
なるとき,
で,これが本来の平均値の定理ともいうべきものである.この関係は,加法的集合函数としての積分の特徴である.すなわち次の定理が成り立つ.
- ↑ 400 頁脚注参照.
- ↑ 2.0 2.1
が無意味(
)になる点
があっても,定理の‘ただし書き’の下では,それらの点
の集合
の測度は
である.実際,右辺の各項が,例えば,
でないとすれば,各〻の
が
となる点
の集合の測度は
である(前節 7.).故に測度
の集合
を無視して,上記左辺の積分を
の上の積分と書くのである(前節 6.). - ↑ 次の定理 91 によれば,この関係 (8) は404 頁 (2) と同様である.
- ↑ ある M 集合
の部分集合なる M 集合の全体は
を最大集合とする閉じた σ 系を成す.それを
とする.
における函数
の積分
が確定であるとき,
における
の積分
が
における加法的集合函数であることを,簡略して積分は集合函数として加法的であるという(401 頁,[附記]参照). - ↑
,または
が有界でない場合には,
による定義は適切でない.これら極限の場合をも順調に包括するためには,
を取らねばならない. - ↑ この
は通例
と書くのだけれども,和はすべての自然数
の上にわたるのだから,
.すでに 401 頁の規約を設けた上は,上記のように
に
を附記するのが正当である.特にここでは
に関する項が別になるのだから,明瞭のために,この記法を取った. - ↑
の部分集合なる M 集合の成す σ 系における加法的集合函数を,簡単に
における加法的集合函数という.以下同様.
とすれば
なる場合.
とする.
として,
と置く.然らば,
で,
.――なぜなら:
とすれば,或る
以上,
,従って
だから.故に

なるとき




は任意だから,
として,

だから,
は任意だから,

としたから,
で,
).
として上記
から,
(
,すなわち
が階段的で,それぞれ有限個の相異なる値
を取るとする.

と置けば,
は単純和で,
において
.よって(

を
に符号に従って,
とする.然らば
から,
が単純和ならば,

とすれば(






ならば,
である.――この場合,


は加法的集合函数
なるすべての
に関して
なるとき 

をとる場合,
を適用する.
と
とを別々に考察すればよいから,
として,
を得る.また
とすれば,
の場合には,
と置いて
,従って
.また
だから,定理は
を得る(
なる 



を用いて

は任意であるから,
を用いて,

ならば,
,よって
から,
が無意味(
)になる点
があっても,定理の‘ただし書き’の下では,それらの点
が
の部分集合なる M 集合の全体は
とする.
における
の積分
が
を取らねばならない.
は通例
と書くのだけれども,和はすべての自然数
.すでに
を附記するのが正当である.特にここでは
に関する項が別になるのだから,明瞭のために,この記法を取った.