解析概論/第9章/不定積分の微分法

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[編集] 125.不定積分の微分法

定理 120.
[密度定理].L 集合 E の定義函数を \varphi(x) として,F(e)=m(Ee) と書けば,
D_F(x)\simeq \varphi(x).

すなわち E の内では D_F(x)\simeq 1,余集合 E' の内では D_F(x)\simeq 0

[証]
F'(e)=m(E'e) と置けば
F(e)+F'(e)=m(Ee)+m(E'e)=m(e).

故に F,F' が微分可能なる点において,すなわち,ほとんど各所(定理 116),

(1)
D_F(x)+D_{F'}(x)\simeq 1.

さて,E' においては F(e)=m(Ee)=m(0)=0.従って(定理 118D_F(x)\simeq 0.また E においては F'(e)=0,従って D_{F'}(x)=0,従って (1) から D_F(x)\simeq 1[* 1]

(証終)
定理 121.
f(x) を積分可能(有限)なる点函数,
F(e)=\int_e f(x)\,dm

とすれば,

D_F(x)\simeq f(x).
[証]
(1º)
E の定義函数を \varphi(x) とすれば
F(e)=m(Ee)=\int_e f(x)\,dm
密度定理に帰する.
(2º)
f(x) が階段的で,x\in E_i なるとき,f(x)=a_i\,(i=1,2,\ldots, p) とする.然らば \varphi_i(x)E_i の定義函数とすれば,

  f(x)=\sum_{i=1}^{n}a_i\varphi_i(x).
故に

  F(e)=\int_e f(x)dm = \sum a_i\int_e \varphi(x)dm.
従って (1º) によって

  D_F(x)\simeq \sum a_i\varphi_i(x) = f(x).
(3º)
一般の場合には,f(x)\geqq 0 として証明すればよいから,f(x) を階段的なる函数 f_m(x) の増大列の極限とする(定理 83).然らば

  F(e)=\int_e f(x)dm.\quad F_n(e)=\int_e f_n(x)dm
と置くとき,
定理 88

  F(e)=\lim F_n(e).
故に(定理 117

  D_F(x)\simeq \lim_{n\to\infty}D_{F_n}(x)\simeq \lim_{n\to\infty}f_n(x)= f(x).
定理 122.
加法的なる集合函数 F(e) の導函数 D_F(x) は積分可能で,F(e)D_F(x) の不定積分と一つの特異函数との和に等しい.
[証]
定理 99100 によって
F(e)=F(eH)+\int_e f(x)\,dm

で,F(eH) は特異函数である.故に定理 119定理 121 によって

D_F(x)\simeq f(x).

従って

F(e)=F(eH)+\int_e D_F(x)\,dm.

右辺の積分において,e 内の或る零集合 e_0 では D_F(x) が存在しないこともありうるが,そのような e_0 は積分範囲 e から除くべきである.それを了解の上で,上記のように書いた.\bar{D}_F(x),\underline{D\!}\,_F(x) は常に存在して,


  \bar{D}_F(x)\simeq \underline{D\!}\,_F(x)\simeq D_F(x)

であるから,積分記号の下へ \bar{D}_F(x) または \underline{D\!}\,_F(x) を入れてもよい.

以上,我々は D_F(x)446 頁に述べた一般的の意味に取ったが,あるいはそれを狭義にしても,結果は同じである.狭い意味を,かりに記号 {}^0 で示せば,


  \bar{D}_F(x)\simeq \bar{D}_F^0(x)\simeq 
  \underline{D\!}\,_F^0(x)\simeq \underline{D\!}\,_F(x).

  1. この定理においては,F,F' は有限でないから,449頁脚注の条件は満たされないが,(1) を出すには,x を含む或る矩形の外部において,F,F' の値を 0 に変更して,定理116を適用すればよい.
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