解析概論/第8章/Gaussの定理
[編集] 102. Gaussの定理
平面上で閉曲線
の内部の面積が,
に関する線積分として表されるこをを前に述べた(§41,[例 2]).それは線積分の応用の最も簡単な一例であったのだが,それを拡張して三次元において,閉曲面
に関する任意の面積分を
の内部の区域
に関する三次元積分に変形することができる.結果を言えば次の通り:

は
の函数で,それらは
において連続的微分可能とすれば

これが Gauss の定理である[* 1]. (1) は記憶しやすい形に書いたのであるが,今その意味を説明する.閉曲面
の各点において,その外部への法線の方向余弦を
とすれば

または一層簡単に,
をベクトル
の座標と考えて,上記法線上の単位ベクトルを
と書けば

に関する部分が各別に相等しいことを示せばよい.よって今

は
軸に平行なる直線と二つよりも多くの交点を有しないと仮定して

の
平面上への正射影を
とすれば,
は
を底とする直筒面に包まれて,一つの閉曲線
に沿って,その筒面に接するであろう.そうして
は
によって上下の二部分
に分たれる.すなわち
の内部の点
を通る
軸への平行線が
に交わる点を
とすれば,
は
に,
は
に属する.さて
に関して積分すれば

の外部を
の正の側として,面積分を取るならば


は通常の意味の二次元積分であるが,
において
とすれば,(3) をこのように形式上簡明に書き表すことができるのである.
(2) は曲面
の一部が
を底とする直筒面上にある場合にも成り立つ.たとえば
を筒面の部分の境界とすれば,

と
との間にある部分に関しては
で

だから,それでよいのである.
区域
の境界面
が
軸への平行線と二つより多くの点で交わる場合にも,もしも
を前記のような区域に分割することができるならば,(1)はやはり成り立つ.例えば
を曲面
で
に分割して,それらの境界面を
とすれば,
と
とに関して,(1)は成り立つ.さて

に共通なる境界面
に関しては,反対の側において二回面積分を取ることになるから,それらは相殺するのである.
の境界が互いに離れた二つ以上の曲面であってもよい.
が図のように閉曲面
と,その内部に含まれる閉曲面
との間に挟まれる区域である場合が,その一例である.ただし,この場合,
の内部は区域
の外部だから,もしも閉曲面の外側を正の側として面積分をとるならば,
の境界
に関する面積分は
になることに注意すべきである.
平面上においても Gauss の定理は成り立つ.それは上記と同様にして証明されるが,あるいはそれを (1) から導くために,
と置いて閉区域
を高さ
なる直筒,
平面上におけるその底を
,
の周を閉曲線
とする.然らば (1) から

ここで
は
の外部へ引いた法線
と
軸,
軸の正の向きとの間の角で,
は
の微小弧である.もしも
の周を正の向き(内部を左に見る向き)に回るものとして,接線と
軸の正の向きの間の角を
とすれば,

故に

の代わりに二つの函数
を置けば

これが平面における Gauss の定理である.
(二つ以上でもよい)を境界とする区域
の体積を
とすれば

から閉曲面
の上の点
への動径を
,
において
の外側へ引いた単位法線を
とすれば,
が
の外にあるか,または内にあるかに従って
または 

の座標は

の方向余弦を
とすれば,これらはそれぞれ


が
の外にあれば,
の内部
において
は連続であるから,によって

(§21,[例 2]),故に

が
の内にあれば,
を中心とする半径
なる小球面を
として,
から
の内部を除いた残りを
とする.然らば
は
の外にあるから,
に関しては上記の結果が成り立つ.従って

に関しては
だから,第二の積分は


が
の上にあるときには,上記の球面
の
の内部にある部分
だけを取れば

のときにも成り立つが,極限において
は半球面になるから,右辺は
に等しい.ただし,
は滑らかな曲面と仮定していうのである.一般に点
が曲面
の上にないとし,
が
の上を動くとき
が
を中心とする半径
の球面に交わる点を
とすれば,
は球面上の或る面積を掃過する.ただし,
(の延長)が
の負の側から正の側に出るときには球面上の面積を正とし,反対の場合には負とする.このようにして計算された球面上の面積を
とすれば,
は半径
の平方に比例するから,
は
に無関係である.これを
からみた曲面
の立体角という.今
を原点とし,
の長さを
,
と
における
の法線の正の向きとの間の角を
とし,
の上の微小面積
に対応する球面上の微小面積を
とすれば

故に上記立体角は面積分

に等しい.
[例 2]では
が閉曲面であるとき,その外側を正の側として,立体角を計算したのである.


に関して微分して,
を求めることは,
が
内にあるときには,できなかった(348/9 頁).今本節で述べた方法によって,この問題の解決を試みる.



に関して部分積分を行えば,

の境界
に関する積分である.従って (4) と同様に

は曲面
の外部への法線と
軸との間の角,また
は
上の微小面積である.よって

の上にわたるのだから,
.また第二の積分は
の代わりに
を取ったポテンシャルである.故に
を
に関して積分記号下で微分してよい.そこで,再び (8) を用いて

が
の内部にあるとき,
が
に関して連続であることがわかる.
が
の外部にあるとき連続性は既知である(もっとも (11) は
が
の外部であっても通用する).
に関しても同様である.
が
の内部にあるとして,有名なる Poisson の公式


は
の外部への法線と座標軸との間の角,
はその法線上の微分商で,また
は
上にわたるのである. さて,
内で
を中心とする半径
の小さな球を
として,それを
から除いた残りを
と書けば,
は
の外にあるから,
に関しては
(348/9 頁,[注意]),故に

の表面を
とすれば,

の半径
は任意であるが,
における
の絶対値の上限を
とすれば,


のとき (12) の右辺の第二の積分
.また,その第一の積分は

は
上
の平均値で,また
は[例 2]の積分
である.すなわち

のとき

- ↑ または Green の定理ともいう.
とすれば



は,原点を頂点,境界面
の符号に注意すれば,任意の