解析概論/第8章/曲面積
[編集] 97.曲面積
三次元では,曲線の長さのほかに,曲面の面積が問題になる.もしも曲線の例にならうならば,曲面積を内接多面体の表面積の極限値として定義したく思われるが,それはうまく行かない.そのような極限値は無条件では存在しないのである(365 頁参照).
今
平面の区域
において方程式

によって曲面
が与えられて,
は
において連続的微分可能とする.すなわち接平面が連続的に変動するとする.さて
を小区域
に分割して,
の任意の点
における接平面の上への
の正射影を
とする.
の
への分割において,各
の
平面への正射影が,面積確定ならば,後に示すように,
も面積確定である.
のこのような分割に関し,区域
の径が微小になるとき,平面積
の総和
が一定の極限値を有するならば,その極限値をもって曲面
の面積の定義とする. この極限値の存在を確かめるために,次の考察をする.まず一般に
上の小区域を
とし,上のように
の一点を
,
における接平面上への
の正射影を
とする.また
平面上への
および
の正射影をそれぞれ
および
とする.然らば区域
の径
が限りなく小さくなるとき

ただし,
は接平面と
平面との間(すなわち法線と
軸との間)の鋭角である.あるいは
の代りに
を取れば
だから

さしあたり,これを考察の目標とする.
における接平面の代りに,それに平行な任意の平面を取っても,正射影
の面積に変わりはないから,計算の便宜上,射影面を

とする.ただし,
は
の略記で,

然らば
の任意の点
の平面 (3) への正射影を
とするとき,

平面上において,
の正射影は
で,
が区域
内を動くとき,
はそれぞれ区域
を動くが,
が十分小なるとき,
と
との間には一対一対応が成り立って,その対応は (4) によって与えられる.すなわち

ただし
.
と
との面積の関係を求めるために,函数行列式を計算すれば,(5) から

従って

さて

故に

従って354 頁 (19) から

または一層精密に,
において一様に

または
を用いて

さて初めに述べたように,曲面
を小区域
に分けて,
の任意の点
における接平面上への
の正射影を
,接平面と
平面との間の角(
における法線と
軸との間の鋭角)を
とすれば

であるが,仮定によって閉区域
において
は連続,従って

も連続である.その最大値を
とすれば

故に

ここで
は区域
の面積である. さて
は
において連続であるから,
従って
の径を限りなく小さくするとき

故に極限値
も存在して

これが曲面 (1) の面積の公式である.
が広義積分である場合にも,それが収束すれば,それを曲面積の値とする.
なる球の面積を考察する.この場合



平面の上側の半球の面積は

は
平面上の円
の内部である.
平面上で極座標に変換すれば








が一定なる点の
平面上への正射影は楕円



が一定なる線(等傾斜の線)によって細分すれば
と
とに対応する等傾斜線の間に挾まれる微小帯面の面積は


平面の上側において
は
から
まで,従って
は
から
まで変動するから,表面積を
とすれば









のとき
だから,(12) の右辺の第一項は



に対して
,また
に対して
になるが,それを
と略記すれば,結局


このように,一般楕円体の表面積は楕円積分に帰する.ただし,回転楕円体の場合には初等函数で積分されるが,二つの場合が生ずる.
,高さ
なる直円筒において,高さを
等分して,それらの分点を通る直截面に正
角形を内接せしめる.ただし,各截面において正
角形の各頂点
は隣りの截面の正
角形の一辺
が張る弧の中点
と同一母線上にあるとする.今これらの内接多角形の頂点を結んで,
個の二等辺三角形
を面とする多面体を作るならば,各二等辺三角形の底辺
は
で,高さ
は


とすれば,

を限りなく大きくするとき,これは一定の極限値を有しない.例えば
とすれば極限値は
であるが,もしも
とするならば,
になり,また
とするならば極限は
である.
このような事情の生ずる理由は明白である.
を限りなく大きくすれば,上記内接多面体の表面上の各点から円筒面への距離は限りなく小さくなるが,多面体の各面と円筒面との間の角は必らずしも小さくならないで,
と
との間のいかなる値にも近づきうるのである.この角をも限りなく小ならしめるように
を取るならば,多面体の表面積の極限値が円筒面の面積として我々の期待する値(すなわち
)になるであろう[* 1].
- ↑ 曲線の場合には,接線が連続的に変動する限り,弦と曲線との間の角は自然に上記条件を満足させるのであった(135 頁,[注意]).
軸上の半径を直径とする円
を円筒の直截面として,その円筒が
とすれば


を引いた残りで,その面積は
すなわち球の直径の平方に等しい.この結果は発見当時(1692)驚異であったという.






は回転軸を通る截面の離心率である.