解析概論/第7章/曲面の方程式

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[編集] 87.曲面の方程式

x,y,z を三次元空間における直角座標とすれば,方程式

(1)
F(x,y,z)=0

は一般に一つの曲面を表わす.曲面上の点 P_0=(x_0,y_0,z_0) において F_z\ne 0 ならば,P_0 の近傍において (1)

z=f(x,y)

なる形に表わされる(定理 72). この部分において,曲面上の点 (x,y,z) における接平面の方程式は


  Z-z=(X-z)\frac{\partial f}{\partial x}+(Y-y)\frac{\partial f}{\partial y}

で,\tfrac{\partial f}{\partial x}=-\tfrac{F_x}{F_z}, \tfrac{\partial f}{\partial y}=-\tfrac{F_y}{F_z} だから,この方程式が

(2)
(X-x)F_x+(Y-y)F_y+(Z-z)F_z=0

になって,それは x,y,z に関して対称なる形である.曲面上の点 (x,y,z) において F_x,F_y,F_z の中の一つが 0 にならないならば,それに対応して x,y,z の中の一つが他の二つの函数として表わされるから,接平面の方程式 (2)F_x^2+F_y^2+F_z^2\ne 0 なるとき常に有効である.その条件の下において,法線の方向余弦は

(3)

  \cos\alpha=\frac{F_x}{\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}},\quad
  \cos\beta=\frac{F_y}{\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}},\quad
  \cos\gamma=\frac{F_z}{\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}}

である.ただし,この方向は F>0 なる向きを示すのである.すなわち

\begin{align}
  &F(x+\rho\cos\alpha,y+\rho\cos\beta,z+\rho\cos\gamma)\\
  &\qquad =F(x,y,z)+\rho(F_x\cos\alpha+F_y\cos\beta+F_z\cos\gamma)+o(\rho)\\
  &\qquad =\rho\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}+o(\rho)
\end{align}

だから,\rho\gtrless 0 に従って左辺が \gtrless 0

曲面 F=0 の上の一点で F_x,F_y,F_z が同時に 0 になるならば,その点は曲面の特異点で,そこでは一般に確定の接平面が存在しない.

数量の場と等位面
函数 u=F(P) が与えられたとき,空間の各点 P=(x,y,z) に数値 u が配置されているとみて,その空間の一区域をスカラー場scalar field)または数量の場という.もしもその区域において F_x^2+F_y^2+F_z^2\ne 0 ならば,F(P_0)=c_0 とするとき P_0 を通る一つの面 F(x,y,z)=c_0 がある.それをその数量の場における等位面niveau surface)という.上記仮定によって c_0F(P) の極大または極小値でない(§26)から,c_0 に近い或る範囲内の c の値に対応する等位面 F(P)=c の一つの系列が生じて,それらが空間の一区域を満たすであろう.曲面 F=0c=0 に対応する等位面にほかならない. さてこの区域内の各点 P を起点として
F_x(P),\quad F_y(P),\quad F_z(P)
を成分とするベクトルをその点における数量の場の勾配gradient)といい,それを
\text{grad}\,F
で表わす.

このように,空間の各点 P に或るベクトルが配置されているとき,それをベクトルの場vector field)という.

上記のベクトル \text{grad}\,F は,(3) からみえるように,P において等位面に垂直で,その大きさは

  |\text{grad}\,F|=\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}
である.今点 P において方向余弦が \cos\lambda,\cos\mu,\cos\nu なる向きに F を微分すれば,その微分商は(§22

  \lim_{PP'\to 0}\frac{F(P')-F(P)}{PP'}=F_x\cos\lambda+F_y\cos\mu+F_z\cos\nu
である. またはベクトル PP' の成分を dx,dy,dz とし,その長さを ds とすれば,\cos\lambda=\tfrac{dx}{ds},\cos\mu=\tfrac{dy}{ds},\cos\nu=\tfrac{dz}{ds} だから,上記 PP' の向きへの微分商は

  \frac{dF}{ds}
  = \frac{\partial F}{\partial x}\frac{dx}{ds}
   +\frac{\partial F}{\partial y}\frac{dy}{ds}
   +\frac{\partial F}{\partial z}\frac{dz}{ds}
である.すなわち

  \frac{dF}{ds}=\sqrt{F_x^2+F_y^2+F_z^2}\,(
    \cos\alpha\cos\lambda+\cos\beta\cos\mu+\cos\gamma\cos\nu
  ) = |\text{grad}\,F|\cos\theta,
ただし,\theta\text{grad}\,F\overline{PP}' との間の角である.故に,P におけるベクトル \text{grad}\,F の方向は,F(P) の増加率の最大なる向きで,\text{grad}\,F の大きさは,その最大増加率に等しい. \tfrac{dF}{ds}PP' の上への \text{grad}\,F の正射影,すなわち PP' に関するベクトル \text{grad}\,F の成分である.
二つの曲線の交わり
P_0=(x_0,y_0,z_0) が二つの曲面
(4)
F(x,y,z)=0,\quad G(x,y,z)=0
に共通で,その点において行列式
(5)

  \frac{D(F,G)}{D(y,z)},\quad\frac{D(F,G)}{D(z,x)},\quad\frac{D(F,G)}{F(x,y)}
のうち少くとも一つが 0 でないとする.例えば P_0 において,

 \left[\frac{D(F,G)}{D(y,z)}\right]_0\ne 0
とする.然らば P_0 の近傍で,(4) から
(6)
y=\varphi(x),\quad z=\psi(x)
を得る(定理 73).\varphi,\psi は微分可能で,x=x_0 のとき y_0,z_0 になる.すなわち P_0 の近傍では,(4) の二つの曲面の交わりは曲線 (6) である,換言すれば,P0 の近傍で,曲線 (6) が二つの方程式 (4) で表わされる. P_0 における曲線 (6) の接線の方程式は

  \frac{x-x_0}{1}=\frac{y-y_0}{\varphi'(x_0)}=\frac{z-z_0}{\psi'(x_0)}
であるが,\varphi'(x_0),\psi'(x_0)
\left.\begin{align}
  F_x+F_y\varphi'(x)+F_z\psi'(x)=0,\\
  G_x+G_y\varphi'(x)+G_z\psi'(x)=0
\end{align}\right\}
から求められるから,接線の方程式は次のように書かれる.

  \dfrac{x-x_0}{\left[\dfrac{D(F,G)}{D(y,z)}\right]_0}
 =\dfrac{y-y_0}{\left[\dfrac{D(F,G)}{D(z,x)}\right]_0}
 =\dfrac{z-z_0}{\left[\dfrac{D(F,G)}{D(x,y)}\right]_0}.
これは P_0 における二つの曲面 (4) の接平面
\begin{align}
  &(F_x)_0(x-x_0)+(F_y)_0(y-y_0)+(F_z)_0(z-z_0)=0.\\ 
  &(G_x)_0(x-x_0)+(G_y)_0(y-y_0)+(G_z)_0(z-z_0)=0
\end{align}
の交わりである.

もしも P_0 において (5) の三つの行列式が同時に 0 になるならば,P_0 において二つの直線は互に接して,P_0 は一般に曲線上の特異点である.

媒介変数によって曲面を表わすこと
一つの媒介変数によって曲線を定義する(§12)のと同様に,二つの媒介変数によって曲面を表わすことが,本来は合理的である.すなわち媒介変数 u,v の函数
(7)

  x=f(u,v),\quad y=g(u,v),\quad z=h(u,v)
を点の直角座標とすれば,u,vuv 平面上の或る区域内において変動するとき,点 (x,y,z) が一つの曲面を画くとするのである.z=f(x,y)x=u,y=v なる特別の場合にほかならない.実際 (7) の三つの方程式のうちの二つによって u,vx,y,z の陰伏函数として与えられるから,それを他の一つの方程式に持ち込めば x,y,z のうちの一つが他の二つの函数として表わされるであろう.詳しくいえば行列式
(8)

  \frac{D(f,g)}{D(u,v)},\quad\frac{D(f,h)}{D(u,v)},\quad\frac{D(g,h)}{D(u,v)}
のうちの一つ,例えば \tfrac{D(f,g)}{D(u,v)}(u_0,v_0) において 0 に等しくないとすれば,(u_0,v_0)(x_0,y_0,z_0) が対応するとするとき,(7) の初めの二つの方程式から,(x_0,y_0) の近傍において
u=\varphi(x,y),\quad v\psi(x,y)
を得る.従って (7) の最後の方程式から
(9)
z=h(\varphi,\psi)=F(x,y)
を得る.(7) から得られる (x,y,z) は,(x_0,y_0,z_0) の近傍では,(9) によって与えられるものと全体において同一である.
[注意] 
uv 平面上の或る閉域において (u,v)(7)(x,y,z) との間の対応が一対一であるとき,曲面 (7)Jordan 曲面という.上記のように,(8) の行列式の中一つが (u_0,v_0)0 にならないならば,(u_0,v_0) の近傍では (u,v)(x,y,z) との間に一対一の対応が成り立つのである.
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