解析概論/第7章/包絡線

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[編集] 88.包絡線

xy 平面において媒介変数 \alpha を含む方程式

(1)
f(x,y,\alpha)=0

によって曲線の一つの族(family)が表わされる.\alpha の値を固定すれば,(1) は一つの曲線を表わすが,\alpha の値を連続的に変えるならば,その曲線は形および位置において連続的に変わるであろう.さて一つの曲線 E(1) の各曲線に接して,しかもその接点の軌跡であるとき,E曲線族 (1)包絡線という.

例えば,一つの曲線 C のすべての法線の包絡線は C の縮閉線である(§27).また曲線 C のすべての接線の包絡線はすなわち曲線 C 自身である.

曲線族 (1) が包絡線 E を有するとすれば,(1)E との接点を (x,y) とするとき,x,y\alpha の函数である.それを

(2)
x=\varphi(\alpha),\quad y=\psi(\alpha)

とすれば,これが \alpha を媒介変数としての E の方程式である.(2)(x,y) において (1) に接するから

f_x\varphi'(\alpha)+f_y\psi'(\alpha)=0.

然るに \varphi(\alpha),\psi(\alpha)(1) の上の点だから

f(\varphi(\alpha),\psi(\alpha),\alpha)=0,

\alpha に関して微分して

f_x\varphi'(\alpha)+f_y\psi'(\alpha)+f_\alpha=0,

従って

f_\alpha=0.

故に包絡線の各点 (2) は,曲線

(3)
f(x,y,\alpha)=0,\quad f_\alpha(x,y,\alpha)=0

の交わりである. 逆に,(3) の二つの方程式から,定理 73 の条件の下において,

(4)
x=\mathit\Phi(\alpha),\quad y=\mathit\Psi(\alpha)

なる \alpha の函数が生ずる.或いは \alpha をおい出して

(5)
R(x,y)=0.

さて


  f(\mathit\Phi(\alpha),\mathit\Psi(\alpha),\alpha)=0,\quad
  f_\alpha(\mathit\Phi(\alpha),\mathit\Psi(\alpha),\alpha)=0

から

f_x\mathit\Phi'(\alpha)+f_y\mathit\Psi'(\alpha)+f_\alpha=0,

従って

f_x\mathit\Phi'(\alpha)+f_y\mathit\Psi'(\alpha)=0.

故に f_x=f_y=0 でないならば,曲線 (5)(1) に接する.すなわち \mathit\Phi(\alpha),\mathit\Psi(\alpha) は包絡線上の点である.故に (5)曲線族 (1) の特異点の軌跡と (1) の包絡線とから成り立つものである.方程式の用語を転用して (5)(1)判別式という.

[例 1]
x^4-y^2+(x-\alpha)^2=0.この場合には f_\alpha=0x-\alpha=0.よって (5)y^4-x^2=0.これは三つの直線 y=0,y=\pm1 を表わす.y=0 は特異点(x=\alpha,y=0)の軌跡で,y=\pm1 が包絡線である.
x^4-y^2+(x-\alpha)^2=0とその三つの包絡線 定長lなる直線とその包絡線なるasteroid
[例 2]
定長 l なる直線の両端が直交軸上を動くとき,その方程式は
x\cos\alpha+y\sin\alpha=l\sin\alpha\cos\alpha.
\alpha に関して微分すれば
-x\sin\alpha+y\cos\alpha=l\cos2\alpha.
ここでは (4)
x=l\sin^3\alpha,\quad t=l\cos^3\alpha.
故に包絡線として
x^{\frac23}+y^{\frac23}=l^{\frac23}
を得る(アステロイド,asteroid83 頁).

(1) の一つの曲線 f(x,y,\alpha)=0 と,それに近接する f(x,y,\alpha+\Delta\alpha)=0 とが交わって,\Delta\alpha が限りなく小さくなるとき,その交点が極限において f(x,y,\alpha) の上の点 (x_1,y_1) に近づくとすれば,(x_1,y_1) は判別式 R(x,y)=0 上の点である.実際


  f(x,y,\alpha+\Delta\alpha)-f(x,y,\alpha)
  =\Delta\alpha\cdot f_\alpha(x,y,\alpha+\theta\Delta\alpha)

から

f_\alpha(x,y,\alpha+\theta\Delta\alpha)=0,

従って \Delta\alpha\to 0 のとき,

f_\alpha(x,y,\alpha)=0.
ただし,(1) における接近する曲線が交わらないでも,包絡線の生ずる場合はある.例えば三次放物線の族
y=(x-\alpha)^3
は交点を有しないけれども,y=0 が包絡線である. 同様にして,一つまたは二つの媒介変数を有する曲面族の包絡面を考察することができる.包絡は幾何学または微分方程式論において重要であるが,ここではその基本的概念を述べるに止める.
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