解析概論/第6章/Weierstrassの定理

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[編集] 78. Weierstrass の定理

連続函数に関する次の定理は重要である.

定理 67.
閉区間 [a,b] において f(x) は連続とする.然らば任意に \varepsilon > 0 を取るとき,[a,b] において常に
|f(x) - P(x)| < \varepsilon
なる多項式 P(x) が存在する.[Weierstrass

約言すれば,閉区間において,連続なる函数に一様に近似する多項式が存在するのである.

この意味では,上記定理は任意次元に関して成り立つ.むずかしかったこの定理の証明は,一次元に関しては,§74 の Fejér の定理から,簡単に導かれる.

[証]
変数 x に一次変換を行えば, [a,b] は全く [-\pi,\pi] の内部にあるとみてよい.そうして [a,b] 以外では与えられた f(x)[-\pi,\pi] に連続的に延長して f(-\pi) = f(\pi) とすることができる.然らば Fejér の定理によって [a,b] において
n > n_0 なるとき |f(x)- S_n(x)| < \frac{\varepsilon}{2}.
S_n(x) は整函数であるから,それの Taylor 展開の第 m 項までの部分和を P_{m,n}(x) とすれば,巾級数の一様収束性を用いて
m > m_0 なるとき |S_n(x) - P_{m,n}(x)| < \frac{\varepsilon}{2}.
故に十分大なる n に関して,m を十分大きく取れば,多項式 P_{m,n}(x) = P(x)に関し,
|f(x) - P(x)| < \varepsilon.
(証終)

Fejér の定理から出発すれば,Weierstrass の定理の証明は上記の通り簡単であるが,次に掲げる直接の証明法[Serge Bernstein]は初等的である.

二項定理
(x+y)^n = \sum_{\nu = 0}^n \binom{n}{\nu} x^\nu y^{n-\nu}
から, x に関して一回,二回微分して,x, x^2 を掛ければ
nx(x+y)^{n-1} = \sum_{\nu=0}^n \nu \binom{n}{\nu} x^\nu y^{n-\nu},
n(n-1)x^2(x+y)^{n-2} = \sum_{\nu=0}^n \nu(\nu-1) \binom{n}{\nu} x^\nu y^{n-\nu}.
ここで y=1-x として
(1)
\varphi_\nu(x) = \binom{n}{\nu} x^\nu (1-x)^{n-\nu} \qquad (\nu = 0, 1, \cdots, n)
と置けば
(2)
\sum_{\nu=0}^n \varphi_\nu(x) = 1,
(3)
\sum_{\nu=0}^n \nu\varphi_\nu(x) = nx,
(4)
\sum_{\nu=0}^n \nu(\nu-1)\varphi_\nu(x) = n(n-1)x^2.
これらから
(5)
\begin{align}
\sum_{\nu=0}^n (\nu - nx)^2 \varphi_\nu(x)
 &= n^2x^2 \sum\varphi_\nu(x)-2nx\sum\nu\varphi_\nu(x)+\sum\nu^2\varphi_\nu(x) \\
 &= n^2x^2 \cdot 1 - 2nx \cdot nx + (nx + n(n-1)x^2) \\
 &= nx(1-x).
\end{align}
次の証明で,これを使うのである.
さて変数の一次変換によって区域を [0,1] にする.また与えられた連続函数に或る定数を掛けて
(6)
[0,1] において |f(x)| < 1
としてよい.

連続の一様性によって,\varepsilon > 0 に対応して \delta を定めて, [0,1] において

(7)
|x-x'|<\delta なるとき |f(x)-f(x')|<\varepsilon
とする.然らば n を十分大きく取れば
(8)
\left| f(x) - \sum_{\nu=0}^n f\left( \frac{\nu}{n} \right) \varphi_\nu(x) \right| < 2\varepsilon
になって,定理が証明されるのである.──まず (2) によって
(8) の左辺 = \left| \sum_{\nu=0}^n \left( f(x) - f\left( \frac{\nu}{n} \right) \right) \varphi_\nu(x) \right|.
この和を |\tfrac{\nu'}{n}-x| < \delta および |\tfrac{\nu''}{n}-x | \geqq \delta なる \nu', \nu'' に関する二つに分ける.

\nu' に関しては,(1) によって [0,1] において \varphi_\nu(x) \geqq 0 であることを用いて,(7) から, n に無関係に,

\left| \sum_{\nu'} \right| < \varepsilon \sum_{\nu'} \varphi_\nu(x) \leqq \varepsilon \sum_{\nu=0}^n \varphi_\nu(x) = \varepsilon.

また \nu'' に関しては,まず (6) から

\left| \sum_{\nu''} \right| < 2\sum_{\nu''} \varphi_\nu(x).
\tfrac{(\nu''-nx)^2}{\delta^2 n^2} \geqq 1 だから
\left| \sum_{\nu''} \right| < 2\sum_{\nu''} \frac{(\nu - nx)^2}{\delta^2 n^2} \varphi_\nu(x) \leqq \frac{2}{\delta^2 n^2} \sum_{\nu=0}^n (\nu - nx)^2 \varphi_\nu(x).
そこで (5) を用いて
\left| \sum_{\nu''} \right| < \frac{2x(1-x)}{\delta^2 n} \leqq \frac{1}{2\delta^2 n},
それを <\varepsilon にするには n > 1/2\delta^2\varepsilon とすればよい.すなわち (8) が成り立つ.
[附記] 
上記 Weierstrass の定理によれば,区間 [-1,1] において,Legendre の球函数 P_n(x) が,連続函数に関して §73 の完備条件を満すことが分る.――任意の多項式は \textstyle\sum \gamma_i P_i(x) の形に表わされるから,§73,(1º)によって,それは明白であろう(§74 の終りを参照).

直交函数系 P_n(x) によって,任意の函数 f(x) を区間 [-1,+1] でFourier式に展開することは,古典数学で応用上重要であった.

f(x) から生ずるFourier式級数 \textstyle\sum c_n P_n(x) における係数は
c_n = \frac{2n+1}{2} \int_{-1}^{+1} f(x)P_n(x) dx,
そうして
f(x) = \sum_{n=0}^\infty c_nP_n(x)
は右辺の級数が [-1,+1] において一様に収束する場合には確かに成り立つ(§73).

すなわち P_n(x) に関して §73 (I) の問題は解けたが,(II) の問題f(x) を滑らかとしても,三角函数の場合(§75)のように,簡単には解けない.事実は,f(x) が三角級数に展開されるのと同様の条件の下で,P_n(x) の級数に展開されるけれども,不幸にしてその証明が手軽にできないのである.

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