解析概論/第5章/z=∞における解析函数

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[編集] 60.z=\infty における解析函数

領域 |z|>R において f(z) は正則とする.然らば z=0 に関する Laurent 展開(前節 (6))は,原点を中心とする円環において内円 C_2 の半径を R よりも大きく,また外円 C_1 を任意に大きく取って成立する(218 頁,[附記]参照).すなわち

(1)
f(z)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}a_nz_n,\quad (|z|>R)
(2)

 a_n=\frac{1}{2\pi i}\int_C \frac{f(z)dz}{z^{n+1}},\quad
 (n=0,\pm1,\pm2,\ldots)

ただし,C は原点を中心として半径が R よりも大なる任意の円周,または内円 C_2 を内部に含む任意の閉曲線である.

この場合には Laurent 展開 (1) の負巾項の部分

(3)

  \frac{a_{-1}}{z}+\frac{a_{-2}}{z^2}+\cdots+\frac{a_{-n}}{z^n}+\cdots

C_2 の外部では収束するが,それは z\to\infty のとき 0 に収束する.さて正巾項の部分

(4)
a_1z+a_2z^2+\cdots+a_nz^n+\cdots

は(C_1 の内部,しかし C_1 は任意に大きくしてよいから)すべての z に対して収束する.z\to\infty のとき f(z) の行動は主としてこの部分によって支配されるのだから,それを z=\infty における f(z)主要部という.(1)前節の (6) と形式上同様であるが,正巾項と負巾項との役目は転換されている.そこに注意して,前節と同様に次の三つの場合を区別する.

(1º)
主要部なし,すなわち

 f(z)=a_0+\frac{a_{-1}}{z}+\frac{a_{-2}}{z^2}+\cdots=P\!\left(\frac{1}{z}\right).
z\to\infty のとき f (z) \rightarrow a _0.この場合,f(z) は‘z=\infty において正則である’と略言する.
(2º)
主要部は有限級数,すなわち

 f(z)=a_kz^k+\cdots+a_1z+P\!\left(\frac{1}{z}\right),\quad (a_k\ne 0)
z\to\infty のとき f(z)\to\infty\tfrac{f(z)}{z^k}z=\infty において正則である.この場合‘z=\inftyf(z)k 次の極である’という.
(3º)
主要部は無限級数,すなわち

 f(z)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}a_nz^n
において,a_n\ne 0\,(n=1,2,3,\ldots) なる係数が無数にある.この場合には‘z=\inftyf(z) の真性特異点である’という.z\in\infty のとき f(z) は一定の極限(\infty をも入れていう)を有しない.しかし z_n\to\infty なる数列 \{z_n\} を適当に取れば f(z_n)\to\infty にも,また f(z_n)\to c にもなる(c は任意の定数).
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