解析概論/第5章/練習問題(5)

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[編集] 練習問題(5)

(1+x)^\frac1xMaclaurin の級数に展開される.その収束半径は 1 である.最初の二,三の項は

  (1+x)^\frac1x=e\left(1-\frac{x}2+\frac{11}{24}x^2-\frac{7}{16}+\cdots\right).
[解]
f(x)=(1+x)^\frac1x=e^{\frac1x\log(1+x)}|x|<1 において正則であるが,x=-1 は分岐点であるから,Maclaurin 級数の収束半径は 1 である.展開は
\begin{align}\frac{f(x)}e
  &=e^{\frac{1}{x}\log(1+x)-1} = e^{-\frac{x}{2}+\frac{x^2}{3}-\cdots}\\
  &=1-x\left(\frac{1}{2}-\frac{x}{3}+\frac{x^2}{4}-\cdots\right)
   +\frac{x^2}{2!}\left(\frac{1}{2}-\frac{x}{3}+\cdots\right)^2
   -\frac{x^3}{3!}\left(\frac{1}{2}-\frac{x}{3}+\cdots\right)^3+\cdots
\end{align}
から求められる(定理 58).

このような問題は別段重要性を有しない.ただ解析性の応用の一例として挙げたのである.§25 の方法では,計算が冗長になる.

(2)
(不定形) x=a が解析函数 f(x),g(x) の零点ならば,

   \lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}
  =\lim_{x\to a}\frac{f''(x)}{g''(x)}=\cdots
  =\lim_{x\to a}\frac{f^{(n)}(x)}{g^{(n)}(x)},
ただし \lim として \infty をも許容する.また,n は,f^{(n)}(a)=g^{(n)}(a)=0 でない最初の番号.例えば
[1º]

  \lim_{x\to 0}\frac{\tan x-x}{x-\sin x}=2.
[2º]

  \lim_{x\to 0}\frac{\log(1+x+x^2)+\log(1-x+x^2)}{x\sin x}=1.
[解]
[1º] では \tfrac{f'(x)}{g'(x)} を変形してから \lim へ行く. [2º] ではむしろ分母分子の Taylor 展開を用いるがよい.
(3)
[1º]

  \lim_{x\to 0}(1+ax)^\frac{1}{x}=e^a.
[2º]

  \lim_{x\to 0}\left(\frac{\tan x}{x}\right)^\frac{1}{x^2}=e^\frac{1}{3}.
[3º]

  \lim_{x\to+\infty}\left(\frac{2}\pi\mathrm{Arc\,tan}\,x\right)^x=e^{-\frac{2}\pi}
(4)

  \int_0^\infty\frac{\cos ax-\cos bx}{x^2}\,dx=\frac{\pi}2(b-a).
  \quad (a>0, b>0)
[解]
簡単のために e^{iaz}/z^2 に関して計算すれば

  \int_\varepsilon^\infty\frac{\cos ax}{x^2}\,dx
  =\frac{1}\varepsilon-\frac{a\pi}2+O\varepsilon.
を得る.その後 ab を代入して引くとよい.
(5)

  \int_0^\infty e^{-x^2}\cos 2ax\,dx=\frac{\sqrt\pi}2 e^{-a^2}.
[解]
これは既知である(§48,[例 6])が虚数積分を使って e^{-z^2}x=0,x=R,y=0,y=a で囲まれた矩形の周に沿って積分すれば簡単に求められる.
(6)

  \int_0^\infty\frac{dx}{ax^3+bx^2+c}=\frac\pi{2\sqrt c\sqrt{b+2\sqrt{ac}}}.
  \quad (a>0, b>0, c>0)
[解]
at^2+bt+c=0 が実根を有しないか,または二つの相異なる負根または相等しい負根を有するかに従って三つの場合が生ずるが,結果は上記の通り.
(7)

  \int_0^\infty\frac{dx}{(1+x^4)^{n+1}}
  =\frac\pi{2\sqrt 2}\,\frac{3\cdot7\cdots(4n-1)}{n!\,4^n}.
[解]
n=0 のときは半円の代りに図のような第一象限の積分路を用いて \textstyle\int_0^\infty\frac{dx}{1+x^4}=\frac\pi{2\sqrt 2}.それを

  \int_0^\infty\frac{dx}{a+x^4}\quad (a>0)
の形にして a に関して微分するがよい.
(8)

  \int_0^\infty\frac{x^{m-1}\,dx}{1+x^n}=\frac\pi{n\sin\frac{m\pi}n}.
ただし,m,n は正の整数で m<n
[解]
\alpha=e^{\frac{\pi i}n} は被積分函数の極点である.図のように角が \tfrac{2\pi}n なる扇形の周に沿って積分するとよい.
[注意] 
これから極限へ行って(242 頁,[例]

  \int_0^\infty\frac{x^{a-1}}{1+x}\,dx=\frac{\pi}{\sin a\pi}.\quad(0<a<1)
(9)

  \int_0^\infty \frac{\cos ax\,dx}{1+x^2}=\frac{1}{2}\pi e^{-a}.\quad(a>0)
 (Laplace
(10)
n\geqq 3 が奇数なるとき,Bernoulli の多項式 B_n(x) は区間 [0,1] において,x=0,\tfrac12,1 においてのみ 0 になる.n\geqq 2 が偶数のとき,B_n(x)[0,1] において,ちょうど二つの根 x_0,1-x_0 を有する.また,n>0 のとき,B_{2n+1}(x)(1,\tfrac12) において B_{2n}(0) と同じ符号,(\tfrac12,1) において反対の符号を有する.
[解]
n\geqq 3 を奇数とする.B_n(0)=0B_n(x) の式(233 頁)から,B_n(1)=B_n(\tfrac12)234 頁 (16) からわかる.さて,もしも B_n(x)[0,1] においてその他に根を有するならば,234 頁 (15) によって,B_{n-1}(x)[0,1] の内部において少くとも三つ,従って B_{n-2}(x) は少くとも二つ,すなわち x=\tfrac12 以外の根を有しなければならない.従って B_{n-4},B_{n-6},\ldots も同様であるが,B_3(x) は三次だから,これは不可能である.問題の後段は上記からわかる(234 頁 (16) 参照).
(11)

  \mathit\Gamma\Bigl(\frac{s}{n}\Bigr)
  \mathit\Gamma\Bigl(\frac{s+1}{n}\Bigr)\cdots
  \mathit\Gamma\Bigl(\frac{s+n-1}{n}\Bigr)
  =\frac{(2\pi)^\frac{n-1}{2}}{n^{s-\frac12}}\,\mathit\Gamma(s).
 (Gauss
[解]

  f(s)=n^s\mathit\Gamma\Bigl(\frac{s}{n}\Bigr)
  \mathit\Gamma\Bigl(\frac{s+1}{n}\Bigr)\cdots
  \mathit\Gamma\Bigl(\frac{s+n-1}{n}\Bigr)
と置いて f(s+1)=sf(s) から(252 頁,[注意]f(s)=a\mathit\gamma(s)s=1 として定数 a が求められる.252 頁 (7) を用いるのである.
(12)

  \int_0^1\frac{x^{m-1}\,dx}\sqrt{1-x^n}
  =\frac\sqrt{\pi}n
    \mathit\Gamma\Bigl(\frac{m}n\Bigr)\Big/
    \mathit\Gamma\Bigl(\frac{m}n+\frac12\Bigr).
 (m,n は正の整数)
特に(練習問題(3)(10) 参照)
\begin{align}
  &\int\frac{dx}\sqrt{1-x^4}=\frac{\mathit\Gamma(\frac14)^2}\sqrt{32\pi}, &
  &\int\frac{x\,dx}\sqrt{1-x^4}=\frac\pi4,\\
  &\int\frac{x^2\,dx}\sqrt{1-x^4}=\frac{\pi\sqrt{2\pi}}{\mathit\Gamma(\frac14)^2}, &
  &\int\frac{x^3\,dx}\sqrt{1-x^4}=\frac12.
\end{align}
[解]
\mathit\Beta(\tfrac{m}n,\tfrac12) に変換 x=t^n を行うとよい.
(13)
\left\{\begin{align}
  &\mathit\Gamma'(1)+C=0.\\
  &\frac{\mathit\Gamma'(n)}{\mathit\Gamma(n)}+C=1+\frac12+\cdots+\frac{1}{n-1}.
  \quad (n=2,3,\ldots)
\end{align}\right. (1)
(2)
CEuler の定数である.
[解]
(1)254 頁 (16) から得られる.(2) も同様.しかし \mathit\Gamma の函数方程式を用いて (1) からも得られる.
(14)
\mu(s)§69 の通りとすれば
\left\{\begin{align}
  &\frac{\mathit\Gamma'(s)}{\mathit\Gamma(s)}
    =\log s-\frac{1}{2s}+\mu'(s),\\
  &\mu'(s)
    =-\frac{B_1}{2s^2}+\frac{B_2}{4s^4}
     -\cdots+\theta\frac{(-1)^mB_m}{2ms^{2m}}.
  \quad (0<\theta<1)
\end{align}\right.
[解]
第二の等式は 262 頁 (15) から(剰余項は積分記号下で微分して)あそこと同様の方法で得られる.
[注意] 
C の計算
問題 (13) において \mathit\Gamma'(s)/\mathit\Gamma(s)問題 (14) によって計算すれば,C が計算される.今 n=10 とすれば,B_2=\tfrac{1}{30} だから,\mu'(s) の最初の一項だけを取って,

  C=1+\frac12+\cdots\frac19-\log 10+\frac1{20}+\frac1{1200}=0.577216
としても,小数第 6 位まで正しい結果が得られる.
(15)
実数軸上の区間 [a,b] において \varphi(x) が連続ならば,\zeta を線分 ab 外の任意の複素数とするとき

  f(\zeta)=\int_a^b\frac{\varphi(x)}{x-\zeta}\,dx
は正則なる解析函数である(\zeta に関する微分可能性!)線分 ab の代りに任意の曲線 C を取ってもよい.特に C が閉曲線ならば

  f(\zeta)=\int_C\frac{\varphi(z)\,dz}{z-\zeta}
C 内および C 外において正則なる解析函数である.
[注意] 
それらは一般に別々の解析函数である.\varphi(z)C 上で連続であるだけで,解析函数であるのではないから,これはCauchy の積分公式とは違う.
(16)
原点 0 を中心とする半径 R の円周 C に関するCauchy の積分公式

  f(a)=\frac{1}{2\pi i}\int_C\frac{f(z)\,dz}{z-a}
を実数に引き直すために,f(z)=u+vi と置いて,極座標を用いる.すなわち C 上では z=Re^{\theta i},また C 内の a=re^{\varphi i}\,(r<R) とすれば
(1)

  u(r,\varphi)=\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi}
     \frac{R^2-r^2}{R^2-2Rr\cos(\theta-\varphi)+r^2}
   \,d\theta,
(2)

  v(r,\varphi)=v_0+\frac{1}{\pi}\int_0^{2\pi}
      \frac{Rr\sin(\varphi-\theta)}{R^2-2Rr\cos(\theta-\varphi)+r^2}
  \,d\theta.
ただし v_0 は原点における v の値である(Poisson).
[解]
a'C 外の点とすれば,積分定理によって
\int_C\frac{f(z)\,dz}{z-a'}=0.
故に
(3)

  f(a)=\frac{1}{2\pi i}\int_C f(z)\left(\frac{1}{z-a}\pm\frac{1}{z-a'}\right)\,dz.
これを用いて計算が短縮される.さて問題を簡約して,C を単位円(R=1),また a を実数,0\leqq a<1 とすることができる.そのとき a'=\tfrac{1}a として (3)\pm- とすれば (1) を得る.(1) を手際よく出すには

  f(a)-f(0)
  =\frac{1}{2\pi i}\int_C f(z)\left(
      \frac{1}{z-a}+\frac{1}{z-\frac{1}{a}}-\frac{1}{z}
  \right)\,dz
を用いるがよい.
(17)
(1)

 \frac{1}\sqrt{1-2xz+z^2}=\sum_{n=0}^\infty P_n(x)z^n,
係数 P_n(x)Legendre の球函数(§36)である.収束半径は |x|\leqq 1 ならば 1 で,|x|>1 ならば 1 よりも小さい.ただし平方根は z=0 なるとき 1 なる枝を取るのである,また x は実数である.
[解]
収束半径は 1-2xz+z^2=0 の根によって決まる.z に関して微分して (1) と比較すれば 121 頁公式 (7) が得られるから,P_n(x)Legendre の球函数であることがわかる.
(18)

  P_n(x)=\frac{1}{n!\,2^n}\,\frac{d^n(x^2-1)^n}{dx^n}119 頁 (1))から Cauchy の積分公式(215 頁 (4))によって

  P_n(x)=\frac{1}{2\pi i}\int_C\frac{(z^2-1)^n\,dz}{2^n(z-x)^{n+1}}.
C は点 x を含む閉曲線である.今 -1<x<1 として,x を中心とする半径 \sqrt{1-x^2} の円を C とすれば

  P_n(x)=\frac{1}\pi\int_0^\pi(x+i\sqrt{1-x^2}\cos\varphi)^n\,d\varphi.
 (Legendre
[解]
C の周上で 
  z=x+\sqrt{1-x^2}e^{\theta i},\frac{z^2-1}{z-x}=z+x-\frac{1-x^2}{z-x} なることを用いる.
(19)

  P_n(x)=\pm\frac{1}\pi\int_0^\pi\frac{d\varphi}{(x+i\sqrt{1-x^2}\cos\varphi)^{n+1}},
  \quad 0<|x|<1,
 根号は x の正負に従う. (Laplace
[解]
z 平面上 1-2xz+z^2=0 の二つの根 \alpha,\beta を結ぶ線分 \overline{\alpha\beta}z 平面から除けば

  \frac{1}{z^{n+1}\sqrt{1-2xz+z^2}}
z=0 における極のほか,全平面で(z=\infty でも)正則であるから,\overline{\alpha\beta} を包む閉曲線を C とすれば

  -\frac{1}{2\pi i}\int_C\frac{dz}{z^{n+1}\sqrt{1-2xz+z^2}}
z=0 における留数に等しい.それは問題 (17) の (1) によって P_n(x) に等しい.一方 C は極限において \alpha\beta 間を往復する二重線分としてよい.そのとき \textstyle\int_C から標記の積分を得る.\overline{\alpha\beta} 上では z=x+i\sqrt{1-x^2}\cos\varphi.(0\leqq \varphi\leqq\pi
(20)
z=af(z)k 次の零点ならば z=a\tfrac{f'(z)}{f(z)} の一次の極で,留数は k に等しい.z=af(z)k 次の極でも,z=a\tfrac{f'(z)}{f(z)} の一次の極であるが,留数は -k に等しい.
(21)
領域 K において f(z) は一意的で,極よりほかの特異点(真性特異点)をもたないとき,f(z)K において有理型meromorphic)であるという.そのとき K 内の閉域において f(z) の極の数は有限である.f(z) が一定の値 c を取る点も同様である.
[解]
問題の条件の下において,f(z) の極も,f(z)-c の零点も,孤立するのである.219 頁,[注意]と同様.
(22)
単連結な領域 K において f(z) は有理型で,CK 内で f(z) の零点および極を通らない閉曲線とする.然らば C の内部に含まれる f(z) の零点および極の数(次数を計算に入れて)を n および p とすれば

  n-p=\frac{1}{2\pi i}\int_C\frac{f'(z)}{f(z)}\,dz
に等しい.すなわち zC 上を正の向きに一周するとき,\log f(z)(任意の枝)の増加は 2(n-p)\pi i に等しい.
[解]
問題 (20) の応用.
(23)
f(z),\varphi(z)K において正則,C は前の問題と同様として,なお C 上で常に |\varphi(z)|<|f(z)| とするならば,C の内部において
f(z)+\varphi(z)=0
f(z)=0 と同数の根を有する.[Rouché の定理]
[解]
前の問題の応用である.zC を一周するときの

  \log(f(z)+\varphi(z))=\log f(z)+\log\left(1+\frac{\varphi(z)}{f(z)}\right)
の増加をみればよい.C 上で |\tfrac{\varphi(z)}{f(z)}|<1 であることによる.

  1. 問題 (1)-(19) は実数への応用である
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