解析概論/第5章/指数函数 三角函数
[編集] 64.指数函数 三角函数
§54 で実数に関する展開

において
を複素数にして,
の定義を拡張したが,このような拡張は全く規約的 (conventional) で,拘束力が薄弱である.然るに前節に述べた解析的延長の原則によれば,
を拡張して解析函数を得るには,上記が唯一無二の方法であることが確定したのである(227頁,[注意]).
等に関しても同様である.
本節では,このような立場から指数函数,三角函数を再考する.(いわゆる代数解析の現代化!)
この拡張の実質上の意味を示すために次の考察をつけ加える.§54 で,拡張された
に関しても加法定理
が成り立つことを計算によって証明したが,解析的延長の原則によれば,それは当然で,計算を用いないでも明白である.今まず
を一つの実数とする.然らば左辺の
もまた右辺の
も
に関しては正則で,それらが実軸上の
に関しては一致することが既知だから,任意の
に関しても一致する.さて今度は
を任意の複素数として,上記の両辺を
の函数とみて,同様に解析的延長の方法を適用すれば,任意の複素数
に関して指数函数の加法定理の成り立つことがわかる.約言すれば函数
は解析的延長に際して,その解析的性質を保有する.これは重要な論点である.
の展開
を
に換えて

の時
になる.それは
の一次の極である.さて

を
に換えて,まず
を考察する.この函数は
の近傍で正則で,
に最も近い特異点は
であるから,
において Taylor 級数に展開される.それを次のように書く.

は

,また
の係数を比較して

を掛けて

のところを
と書けば


の係数を下におろして添え字にするのである.例えば
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
等々. |


以外,奇数番号の
は
である.また後にわかるように(237頁),

は正である.
を Bernoulli の数という[* 1].よって

は循環式

を用いて上記の

と置いて,

は有理数で,分母は
が
の約数であるような素数
の積である.
の展開であるが,(1),(4) から

から

から,(6)によって

の展開は
からも得られるが,直接に




を Euler の数または正割係数という.
は正の奇数であるが,奇数番号の
は末位が
で,偶数番号の
は(
を除いて)末位が
である.





![]() |
が偶数ならば , |
が奇数ならば . |
を Bernoulli の多項式 という.

の係数を比較して

を
に換えて

として,加えて

![]() |
, |
( は偶数) |
. |
( は奇数) |
を部分分数に分割すること


で

を十分大きくとれば
.
のとき,(18) の左辺で
.それを示すために積分を変形して

は偶函数だから,右辺の第一の積分は
に等しい.また
のとき

.故に (18) から,
を
と書き換えて
![\begin{align}
\cot z &= \lim_{n \to \infty} \sum_{k=-n}^n \frac{1}{z-k\pi}\\
&=\frac{1}{z} + \sum_{n=1}^\infty \left[ \frac{1}{z-n\pi}+\frac{1}{z+n\pi}\right]\\
&=\frac{1}{z} + 2z \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{z^2-n^2\pi^2}.
\end{align}](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/b/b/8/bb861e6a91511267a32fd1d3f12e6371.png)
を含まない閉区域において一様に収束する.よって

から
まで項別に積分して


これは
が実数なるときに証明されたのであるが,
は超越整函数であり,また右辺の無限積は
平面上任意の閉区域で一様に収束する(定理 46)から,右辺も整函数である(定理 57).故に解析的延長の原則によって (20) は任意の
に関して成り立つ.
を部分分数に分割すること
と同様の方法によって
を部分分数に分割することができる.極は
と同じく
であるが,留数は
になる.結果は次の通り:

を
に換えて)次の公式を得る:




とすれば




とすれば



の値は
の値から容易に得られる.すなわち








- ↑ 本文の係数
をそのまま
と書いて,それを Bernoulli の数ということもある.Bernoulli の数は
まで計算されている
(D. H. Lehmer, Duke Math. J. vol. 2, 1936).
の分母は 7590,分子は 250 桁の整数である.





等々.
,
.
,
.
を与えられた多項式とするとき



はこれの特別の場合である. 
,従って

において一次の極を有して,その留数は

で囲まれた正方形の周
に関して積分すれば

とする(
と
と,また
と
とは,別々には収束しない.
がわかる(
.
まで計算されている