解析概論/第5章/ガンマ函数
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[編集] 68.ガンマ函数
をこれまでしばしば引合いに出したが,本節で
を主題にして総括をする.
なる区間内の任意の閉区間において,
(E)

は一様に収束し,従って実変数
に関して連続函数である(§48,167/8 頁).
に関して次の関係式は既知である(§35,[例 4]).
(1)

(1º)
今
を複素数として,慣例に従って
と書いて,
なる領域(
平面上虚数軸の右側)において,上記の積分 (E) を考察する.積分の路は実数軸の正の部分で,
において,
は主値を表わすものとする. 然らば
だから,積分 (E) は変数
が
なる領域内の任意の有界なる閉域にあるとき,
のときにも,
のときにも,一様に収束する.従って
は領域
において連続である.(2º)
は
において連続であるのみでなく,
の函数として正則である.上記一様収束のおかげで,
が半平面
において閉曲線
を画くとき,
が積分記号下において積分される,すなわち

は
の(超越)整函数だから,Cauchy の積分定理によって
,従って
.故にMorera の定理によって,
は
において正則である.(3º)
なるとき,(1) によって
.然るに
,従って
も
も,
のとき正則であることが確定して,それらが実数軸上において一致するから領域
においても一致する.すなわち
なるとき,常に[* 1]
(2)

(4º)
この関係を用いて,
を
なる領域にまで解析的に延長することができる.すなわち
なるとき
(3)

ならば
の実数部は正だから,右辺は
だけを除けば正則で,
ならば,もとの
と一致する.このようにして
にまで拡張された
は
以外では正則であるが,
のとき
だから,
は一次の極で,主要部は
である.
よって (1) は
においても成り立つ.それは (3º) におけると同様である.
等式 (1) が
において成り立つから,それによって上記と同様に (3) によって
を
なる領域にまで解析的に延長することができる.そのとき
は
のほかに
においても一次の極を有する.主要部は
である.
を
平面の全部に延長することができる.それは
において一次の極を有するほかは,常に正則なる解析函数である.(5º)
このように
を
平面全部において解析函数として定義することができたけれども,Euler の積分 (E) は
なる領域においてのみ収束するから,
において
を表わす能力がない.然るに
が実数なるときには,
は次の Gauss の公式 によって表わされる:
(G)

は除く.
これは
が複素数でも成り立つのだが,現代的に書き直せば

(W)

は Euler の定数(150 頁)である.
(6º)
まず (W) の右辺の無限積を

平面上の任意の有界なる閉域において絶対にかつ一様に収束することを証明する.それができれば,
は
平面上において正則,すなわち整函数であることがわかる(定理 57).
そのために

なるとき,
を十分に大きく取れば,或る定数
に関して
(4)


従って
は収束するから,目的は達せられる(定理 46).まず

であるが,今
と書いて
(7)
なるとき 
は
でよい.――実際,今

は分子においても二次の零点だから,これは整函数である.故に閉域
におけるそれの絶対値は境界線
の上で最大値をとる(定理 63).その最大値を
にしてもよいのだが,
のとき

とすれば十分である(
に特別の意味はない).
さて,公式 (W) の右辺が整函数であることが確定したから,(W) を証明するには,それが実数軸の一部分において正しいことを示せばよい.そうすれば解析的延長の原則によって,それは全複素数平面において成り立つことがわかる.
(7º)
そこで実変数に返って,
として (G) を証明する.証明の方法はいろいろあるが,次に掲げるのは簡明である[* 2].
まず
は凸函数(§20)である.すなわち
(6)


に関して

の二次式の判別式
は正でない.従って (6) の通り.
そこで
を自然数とし,また
として,§20(1′′) で
として,
にまず
を代用し,次にまた
を代用すれば





は任意だから左辺で
を
に換えて


を入れて,
とすれば Gauss の公式 (G) を得る.(W) はそれの変形であることは前に述べた.
よってすべての複素数
に関して (W) が成り立つ.
[注意]
上記の証明では,
のとき,
が凸函数であることと,函数方程式 (1) とが根拠であった.今
の代りに
を取って,
なるとき
で,
は凸函数,また函数方程式
が成り立つとするならば,
に関しても上記 (G) の証明は通用するが,ただ最後に
とするところへ
がくる.従って
に関する上記仮定から
を得る.
は定数である.後にこれを応用するであろう.(8º)
公式 (W) で
を
に換えて,
を用いるならば,

(7)

とすれば
(8)

を
に換えるならば,(8) から既知の積分 {{解析概論/equation|
を得る.また (8) において
を (G) で表わせば Wallis の公式(§35,[例 5])を得る.すなわち
(9)

(9º)
函数に関しては,なお重要な公式

の意味は(§33,[例 3])
(11)

(12)

(13)



さて
のとき
が凸函数であることは 251 頁と同様にして確かめられる.よって(前頁,[注意])





(10º)
公式 (W) の両辺を
で割って
を用いて
を取れば,
として
(14)

を巾級数に展開して(
)
(15)

(16)

(17)

上記 (14) は (W) から得られるが,右辺の級数は,
からわかるように,
なる任意の有限区間内で一様に収束する.故に
の解析性を用いて,定理 57(C)によって (16) が得られる.同様に定理 58 によって (15),(17) が得られるが,虚数軸の右側で
は正則で,
は極だから,(15),(17) の右辺の級数の収束半径は
である.
が複素数ならば (14),(15) は
の適当な枝を取らねば成り立たないであろうが,(16) は
のとき,また (17) は
ならば成り立つ.
は,
が偶数なるとき,Bernoulli の数と関係して三角函数の展開に現れたのであったが,奇数番号の
は
函数に関する展開において出てきた.
まで,
の値が小数 32 位まで計算されてある[* 3].次にその初めの部分を簡約して掲げる.容易にわかるように
で
は相当緩慢に
に収束する.
に関しては小数 8 位までは
.
のとき
が凸函数であることは前に述べた(251 頁).さて
だから,
は
と
との間で極小になる.極値点
および極小値
は計算されている.すなわち
詳しくは述べないが,
および
の概略の値は次頁の表から比較挿入法によって計算される.

なる任意の有限区間内で一様に収束する.故に
の解析性を用いて,定理 57(C)によって (16) が得られる.同様に定理 58 によって (15),(17) が得られるが,虚数軸の右側で
は正則で,
は極だから,(15),(17) の右辺の級数の収束半径は
である.
が複素数ならば (14),(15) は
の適当な枝を取らねば成り立たないであろうが,(16) は
のとき,また (17) は
ならば成り立つ.
(15) によって区間
において
が計算されるはずであるが,次に掲げる
の表からみえるように,(15) の収束は不良だから計算に適しない(計算法は後述,263頁).
は,
が偶数なるとき,Bernoulli の数と関係して三角函数の展開に現れたのであったが,奇数番号の
は
函数に関する展開において出てきた.
まで,
の値が小数 32 位まで計算されてある[* 3].次にその初めの部分を簡約して掲げる.容易にわかるように

は相当緩慢に
に収束する.
に関しては小数 8 位までは
.
![\begin{array}{c|c||c|c||c|c}\hline
& & & & &\\[-9pt]
\ n\ & S_n-1 &\ n\ & S_n -1 &\ n\ & S_n-1 \\[2pt]\hline
& & & & &\\[-9pt]
2 & \quad 0.64493\,407\quad &\ 7 & 0.00834\,928 & 12 & 0.00024\,609\\
3 & 0.20205\,690 &\ 8 & \quad 0.00407\,736\quad & 13 & 0.00012\,271\\
4 & 0.08232\,323 &\ 9 & 0.00200\,839 & 14 & \quad 0.00006\,125\quad\\
5 & 0.03692\,776 & 10 & 0.00099\,458 & 15 & 0.00003\,059\\
6 & 0.01734\,306 & 11 & 0.00049\,419 & 16 & 0.00001\,528\\[3pt]
\end{array}](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/f/b/e/fbea932c20a88c9d833385586d3a8f08.png)
次の頁に
のグラフと,
における
の表を掲げる.
の欄に掲げたのはもちろん常用対数である.
のとき
が凸函数であることは前に述べた(251 頁).さて
だから,
は
と
との間で極小になる.極値点
および極小値
は計算されている.すなわち

および
の概略の値は次頁の表から比較挿入法によって計算される.
![\begin{array}{c|c|c|c||c|c|c|c}\hline
& & & & & & &\\[-10pt]
s&\ \log\mathit\Gamma(s)\ & \mathit\Gamma(s)&\ \mathit{\Gamma'(s)/\Gamma(s)}\ &
s&\ \log\mathit\Gamma(s)\ & \mathit\Gamma(s)&\ \mathit{\Gamma'(s)/\Gamma(s)}\ \\[2pt]\hline
& & & & & & &\\[-10pt]
\ 1.00\ & 0.00000 & 1.00000 & -0.5772 & 1.50 & \bar1.94754 & 0.8862 & 0.0365\\
1.05 & \bar1.98834 &\ 0.9735\ & -0.4978 & 1.55 & \bar1.94884 & 0.8889 & 0.0822\\
1.10 & \bar1.97834 & 0.9514 & -0.4238 &\ 1.60\ & \bar1.95110 & 0.8935 & 0.1260\\
1.15 & \bar1.96990 & 0.9330 & -0.3543 & 1.65 & \bar1.95430 &\ 0.9001\ & 0.1681\\
1.20 & \bar1.96292 & 0.9182 & -0.2890 & 1.70 & \bar1.95839 & 0.9086 & 0.2085\\
1.25 & \bar1.95732 & 0.9064 & -0.2275 & 1.75 & \bar1.96335 & 0.9191 & 0.2475\\
1.30 & \bar1.95302 & 0.8975 & -0.1692 & 1.80 & \bar1.96913 & 0.9314 & 0.2850\\
1.35 & \bar1.94995 & 0.8912 & -0.1139 & 1.85 & \bar1.97571 & 0.9456 & 0.3212\\
1.40 & \bar1.94805 & 0.8873 & -0.0614 & 1.90 & \bar1.98307 & 0.9618 & 0.3562\\
1.45 & \bar1.94727 & 0.8857 & -0.0113 & 1.95 & \bar1.99117 & 0.9799 & 0.3900\\
1.50 & \bar1.94754 & 0.8862 & +0.0365 & 2.00 & \bar1.00000 & 1.0000 & 0.4228\\[3pt]
\end{array}](http://upload.wikimedia.org/wikisource/ja/math/d/c/f/dcf2c9ab7122a1b7c428b58b0fbcbf8e.png)
(11º)
終りに一,二の定積分を計算する.
[例 1]
(18)


は対応するのであるが,
に
をかけて加えて一括すれば
(19)


によって
の実部
だから,
.よって
の主値を取れば

(20)

が実数ならば,これは
(21)

を
に変換して得られる.すなわち
(22)

が複素数の場合にも,(21) において変数
を
に変換すれば (22) が得られようけれども,積分が広義積分だから,極限の考察が煩わしいであろう.さて Cauchy の積分定理を応用すれば,その考察が見通しよくできるのである.
次の図に示す積分路に関して


(23)

のときの極限を考察するのである. まず,

だから






(
).
とすれば

を用いて)

と置けば,この等式のようになるが,
とすれば(次の図),例の通り

を確かめればよい.さて

は
を用いた.次に


は
なるとき収束する.
と書けば,この広義積分は
のとき
で正則なる
なるとき成り立つ.(右辺は