解析概論/第4章/無限級数

提供:Wikisource
移動: 案内, 検索

[編集] 42.無限級数

数列 a_1, a_2, \cdots, a_n, \cdots の最初の n 項の和を

s_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n

とする.もしも(有限なる)極限値

\lim_{n \to \infty} s_n = s

が存在するならば,無限級数

\sum_{n = 1}^{\infty} a_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n + \cdots

収束するといい,極限 s をこの無限級数の和と略称する.極限値が存在しないとき( \lim s_n = \pm \infty をも含めていう)には無限級数は発散するという.発散する級数は直接には計算の用に立たない.

Cauchy の判定法(§6)によれば収束の必要かつ十分なる条件は, n を十分に大きくして,任意の  m > n に関して

|s_n - s_m| = \left| a_{n + 1} + \cdots + a_m \right|

がどんな \varepsilon よりも小さくされることである.すなわち

R_{n, m} = s_m - s_n = a_{n + 1} + \cdots + a_m

と置けば,或る番号以上 \left| R_{n, m} \right| < \varepsilon

故に収束の場合には部分和 s_n に対応する剰余 R_n ,すなわち

R_n = s - s_n = \sum_{p = 1}^{\infty} a_{n + p}

も収束して \lim_{n \to \infty} R_n = 0

特に a_n = s_n - s_{n - 1}だから, \lim_{n \to \infty} a_n = 0 は収束の必要条件である.しかし,それは十分なる条件ではない.

例えば調和級数 \textstyle 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots

R_{n, 2n} = \frac{1}{n + 1} + \cdots + \frac{1}{2n} > \frac{1}{2n} \times n = \frac{1}{2}

だから発散する.

正項級数( a_n \geq 0 )の場合には, s_n は単調増大だから,収束の条件は s_n の有界性である.

級数 \textstyle \sum_{n = 1}^{\infty} a_n, \sum_{n = 1}^{\infty} b_n がそれぞれ a, b に収束するならば \textstyle \sum_{n = 1}^{\infty} (a_n + b_n)a + b に収束する.すなわち \textstyle \sum_{\nu = 1}^{n} ( a_\nu + b_\nu ) = \sum_{\nu = 1}^{n} a_\nu + \sum_{\nu = 1}^{n} b_\nu \to a + b (定理5).

同じ条件の下で,c が定数ならば \textstyle \sum_{\nu = 1}^{\infty} ca_\nu = ca .これらは収束の定義によって明白である.

無限級数から有限個の項を取り除き,またはそれに有限個の項を挿入しても,収束性に影響ののないことも同様である.

級数 \textstyle \sum a_n が収束すれば,連続する若干項を括弧でくくって一項としても,やはり同じ和に収束する.それは収束する数列 \{ s_n \} の部分数列を取ることに帰するからである(定理 3).しかし逆はいけない.例えば (1 - 1) + (1 - 1) + \cdots = 0 であるが,括弧をはずしてしまえば, 1 - 1 + 1 - 1 + \cdots は収束しない.

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
印刷/エクスポート
ツールボックス