解析概論/第4章/無限積
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[編集] 51.無限積
無限数列
から無限積
が生ずるが,乗法における
の特異性を考慮して,収束の定義を適当に緊縮することが大切である.まず因子の中に
があって,その
を除いたあとの無限積が収束しない場合は無用である.また因子が一つも
でなくて,しかも積の極限が
に等しい場合(例:
)を一般論に取り入れることは,不便である.これらを除けば,収束の場合には
なることが必要である.よって初めから

と仮定して,無限積
(1)

を考察する.最も簡明なのは次の場合である.
定理 45.
無限積 (1) は
(2)

も収束する).これを絶対収束という.
絶対収束の無限積は,多くの点において,有限積と同様に取扱うことができる.すなわち因子の順序は積に関係なく,また分配法則によって無限積を無限級数に展開することができる.また因子の中に
がなければ,積は
にならない.
[証]
今

(3)


の収束は
の収束に帰する.さて,仮定によって,(2) は収束するから,



,従って
,従って
が収束する.
今
を
で置き換えて,
と同じような積
を作れば
も収束する.その項
は (3) のような形の積だけれども,それをほぐして
を
のような項の級数にしても,それは収束する.(
は正項の和であるから,
をほぐしても収束に妨げないのである.)よって
を
のような項の無限級数としても,それは絶対に収束して,その和はもちろん
に等しい.この無限級数はすなわち
を分配法則によって展開したものである.
このように
が分配法則によって絶対収束の級数に展開されるから,
において因子の順序を変えても,積には影響しない.
)は
であるが,
とすれば,下に示すように
(4)


として極限へ行っても

番までも,
ならば

(証終)
不等式 (4) は証明の手段であるが,それは次のようにして得られる.
は
なるとき凸函数である.故に
とすれば
において
すなわち
とすれば,
故に
なるとき
よって
ならば,
函数(§44)
を無限積に直してみよう,今すべての素数
を大きさの順序に
と名づけて無限積
を考察する.ここでは
で,
は
の一部分だから収束する.故に (5) の無限積は絶対に収束する.もしも (5) の右辺に機械的に分配法則を適用するならば
(ただし
,また
)を得るが,すべての自然数
は一意的に素数巾の積に分解されるから,これは形の上では
に等しい.それが実際に相等しいことを示すために,(5) の左辺で最初の
この因子だけを取れば
で,
における
は
以下の素数因子のみを含む自然数の全部である.それらの中には
までの自然数は全部含まれているから
と置けば,
は
の部分級数であるから,
を十分大きく取れば,どれほどでも小さくされる.故に実際
故に
すなわち
と置けば,
のとき
. そこで
とすれば,
が収束するのだから,
,従って
は有界である.故に
は(絶対)収束する.今
とすれば
から,極限
へ行って
は
なるとき凸函数である.故に
とすれば
において


とすれば, 
なるとき 
ならば, 
[例 1]
一例として Riemann の
函数(§44)

を大きさの順序に
と名づけて無限積
(5)


は
の一部分だから収束する.故に (5) の無限積は絶対に収束する.もしも (5) の右辺に機械的に分配法則を適用するならば
(ただし
,また
)を得るが,すべての自然数
は一意的に素数巾の積に分解されるから,これは形の上では
に等しい.それが実際に相等しいことを示すために,(5) の左辺で最初の
この因子だけを取れば

における
は
以下の素数因子のみを含む自然数の全部である.それらの中には
までの自然数は全部含まれているから

は
の部分級数であるから,
を十分大きく取れば,どれほどでも小さくされる.故に実際

[例 2]
無限積
は
が収束すれば,収束する.
は
が収束すれば,収束する.
これは絶対収束をしない無限積の例を与える.
[証]
Taylor の公式によって

すなわち 
のとき
. そこで

が収束するのだから,
,従って
は有界である.故に
は(絶対)収束する.今
とすれば

へ行って

が絶対収束をしないならば,因子の順序を変更するとき,
従って
が変じ,または収束性を失うこともある.
は或る区域における変数の函数である場合には,無限積
に関して一様収束の問題を考察することができる.簡単のために,ここでは応用上重要な次の場合について述べる.
定理 46.
閉区域
において
は連続,
は一様収束とする.然らば無限積
は
において一様に収束し,従って連続である.[証]
仮定によって
は
において連続(定理 40,(A))だから,その最大値を
とすれば,任意の
に関して,前のように

は一様に収束するから,変数に関係なく,
なるとき 

は確定の定数で,
は任意だから

が複素数であっても成り立つから,