解析概論/第4章/指数函数および三角函数
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[編集] 53.指数函数および三角函数
初等数学では,指数函数
は任意指数
に関する巾として定義せられ,その逆函数として対数函数
が導かれる.特に
の底は
として定義された.これは指数函数の歴史的の発生で,その理論はかなり煩雑といわねばならない.
によって
の連続函数
が区間
において定義される.それは単調に(
から
まで)増大するから,逆函数
が確定する.さて (1) から
故に
従って
(1) において
とすれば
.従って
よって,Maclaurin の展開
を得る[* 1].これは
のすべての値に関して収束する(§25). このようにして指数函数が導かれるが,変数の記号を換えて
と書く.指数函数の性質はこの巾級数から得られる.まず Taylor 展開[* 2]
において,すべての
に関して
だから
故に
これを繰り返して
と置けば[* 3]
これは自然数
を指数とする巾(乗法
)であるが,任意の
に関しても同様の記号を用いて
を
または
と書く.このようにして定義される函数を,底
の任意指数
に関する巾という.然らば (3) から
もしも
として
と置くならば,(3) から
今度は
と書いて,前のように
によって巾
を定義する.
の逆函数を
と書けば,
であるから
このようにして任意指数の巾の意味が確定する.
は任意指数
に関する巾として定義せられ,その逆函数として対数函数
が導かれる.特に
の底は
として定義された.これは指数函数の歴史的の発生で,その理論はかなり煩雑といわねばならない.
今もし伝統を離れて,ひとまず有理式のみを既知の函数と考えて,その積分函数として生ずる新函数を考察するならば,自然に対数函数が得られ,その逆函数として指数函数が得られるであろう.
今その理論の概要を述べるが,虚心で考えるならば,それはすこぶる簡単である.積分(1)

の連続函数
が区間
において定義される.それは単調に(
から
まで)増大するから,逆函数
が確定する.さて (1) から



とすれば
.従って

(2)

のすべての値に関して収束する(§25). このようにして指数函数が導かれるが,変数の記号を換えて


に関して
だから


(3)

と置けば[* 3]

を指数とする巾(乗法
)であるが,任意の
に関しても同様の記号を用いて
を
または 
の任意指数
に関する巾という.然らば (3) から

として




を定義する.
の逆函数を
と書けば,
であるから

三角函数は歴史的には幾何学の見地から定義されたのであるが,これも解析的に積分から導かれる.今度は
を取る.この積分は
において単調に
から
まで増大する.ただし
よって
が
の函数として区間
において確定する.それを
と書く.然らば
従って
今便宜上
と書けば
故に
これから
(4) において
とすれば,
,従って
よって (5) を用いて Maclaurin の展開
を得る(§25).すなわち実際
であるが,その幾何学上の意味を上記の定義から導くことができる.
積分 (4) は半径
なる円
の弧長の計算(§40)から生ずるものである.すなわち
とすれば,円弧
の長さは
ただし
従って
故に積分 (4):
は
の弧長である.従って
のとき
と置いたが,それは弧長
である.故に円周の長さを
と書くならば
は区間
に属する
に関してのみ定義されたけれども,Maclaurin の展開 (6) は,
のすべての値に関して収束する.よってこの展開 (6) によって
を定義することにすれば,まず Taylor 展開[* 4]
右辺の偶数番号の項と奇数番号の項とを別々にまとめて書けば,
についても同様に,あるいは
に関して微分して,
すなわち加法公式が得られる.この後の式で
と置けば,
を得る.これは
と
との関係が定義の拡張の後にも成り立つことを示すのである. 三角函数の周期性も,上の式で
と置いて得られる.すなわち
よって
微分して
このようにして,三角函数の諸性質が,幾何学の助けなしに得られるのである.
(4)

において単調に
から
まで増大する.ただし

が
の函数として区間
において確定する.それを






(5)

とすれば,
,従って

(6)

であるが,その幾何学上の意味を上記の定義から導くことができる.
積分 (4) は半径
なる円
の弧長の計算(§40)から生ずるものである.すなわち
とすれば,円弧
の長さは




の弧長である.従って

のとき
と置いたが,それは弧長
である.故に円周の長さを
と書くならば

これで
において
が
と一致することが示された.
の加法定理および周期性は級数 (6) から解析的に(計算によって)導かれる.それは単なる計算であるが,その計算を見通しよく実行にするには,複素数を用いねばならない(次節参照).
[附記]
上文
は区間
に属する
に関してのみ定義されたけれども,Maclaurin の展開 (6) は,
のすべての値に関して収束する.よってこの展開 (6) によって
を定義することにすれば,まず Taylor 展開[* 4]


についても同様に,あるいは
に関して微分して,

と置けば,

と
との関係が定義の拡張の後にも成り立つことを示すのである. 三角函数の周期性も,上の式で
と置いて得られる.すなわち





)から出発するのが適当であるが,その過程は上記のように単純でない.今かりに微積分法の発見以前に,三角函数が知られていなかったと想像するならば,円弧の計算の必要上,自然に
を考察して,楕円函数発見の糸口を得たのである.
は
のときに収束するから
として定義するのである.複雑な