解析概論/第4章/収束の判定法(絶対収束)
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[編集] 44.収束の判定法(絶対収束)
実際に与えられた級数
の収束性を判定する実用的の方法のうちで,最も普通に用いられるもの二,三を次に述べる.ただし,本節では絶対収束を考察するから,正項級数のみを取扱う.
(I)
は
よりも小なる正の定数で,或る番号以上では常に
ならば,
は収束する.[注意]
有限個の項を取り除いても収束性に影響はないから‘或る番号以上’ということわりを取り去って証明をすれば十分である.以下同様.[証]
仮定によって
.故に
.
は有界.従って
は収束する.(II)
は
よりも小なる正数で,或る番号以上常に

は収束する.[証]
仮定によって
,
は有界,従って
は収束する.実際
のとき,
とすれば,
の定義によって,或る番号以上
であるから,
は収束する.また
ならば,
なる
が無数にあるから,収束の必要条件
が満たされない.
同様に
ならば収束,
ならば発散,その他の場合は疑問.
上記 (I),(II) では
を幾何級数
と比較して収束性を判定したのであるが,級数を無限区間の積分と比較して有効なる場合がある.次にその一例を掲げる.
(III)

ならば収束し,
ならば発散する.[証]
とすれば
は単調に減少するから
(1)
.
ならば
.
は収束する.
故に
なる区間において
の和は
の函数である.それを
と書く.
を Riemann のゼータ函数という.
とすれば,
.
は発散する(既述).
ならば,
はなお強い理由で発散する.同じように
.故に
は発散する. 一般に

は
ならば収束,
ならば発散する.
一般に,
なるとき
が正で単調減少ならば,
は
と同時に収束または発散する.
Eulerの定数
上記 (1) において
とすれば
.


は
が増すとき単調に減少する.それが正(すなわち下方に有界)だから,

を Euler の定数という.
の値は
である[* 1].
や
とは違って,
の数論的の性質は未知である.例えば
が無理数であるかどうかも知れていない.[附記]
上記の比較法は、なお若干拡張して利用することができる.まず次の例は最も簡単である.(IV)
正項級数
において,十分大なる
に関して常に

のとき),二つの級数は共に収束または共に発散する.[証]
.故に
が収束すれば
も収束する.また
.故に
が発散すれば,
も発散する.[例]
を
次の多項式として
とすれば
は |
![]() |
なるとき収束. |
| なるとき発散. |
のとき
だから,この級数を既知の級数
と比較すればよい.(V)
正項級数
において,十分大なる
に関して常に
(2)

(1º)
が収束すれば,
も収束する.(2º)
が発散すれば,
も発散する.正項級数
において
が存在する場合には,(II) によって
ならば級数は収束し,
ならば発散するが,
なる場合には,次の判定法がしばしば適用される.
[証]
(1º)
仮定によって
.そこで,
なる
を取って
を収束する級数
と比較する.(V) を応用するために
と置けば,Taylor の公式によって
(4)
.
だから,
が十分大なるとき

は収束する.(2º)
なるときは,
を発散する級数
と比較する.このとき
だから,ついには
になってしまう.故に
は発散する.
これは簡単であるが,
なるときには,通用しない.この場合には
を発散級数
と比較する.然らば
.
と区間
とに適用すれば,

,
だから,ついには

は発散する.[例]
が
の有理函数として


だから,収束の必要かつ十分なる条件は
である(Gauss).Gauss は,つとに(1812),このように有力な判定法を持っていて,超幾何級数の収束性を考察したのである.
[注意]
応用上,たいがい (VI) によって収束性は判定される.それでいけない場合には,問題はむずかしい.
と置けば,
は 

と置けば
.故に 
なるとき,
.
は前出(