解析概論/第3章/線積分

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[編集] 41. 線積分

平面上の或る区域において P(x,y) が連続で,またその区域内において滑らかな曲線

C\colon\qquad x=x(t),\quad y=y(t)\qquad (a\leqq t\leqq b)

が与えられているとき

\int_C P(x,y)\,dx=\int_a^b P(x(t),y(t))\frac{dx}{dt}\,dt

を曲線 C の上の線積分という.

\int_CQ(x,y)\,dy=\int_a^bQ(x,y)\frac{dy}{dt}\,dt

も同様である. 曲線 C を細分して,これらを


  \lim\sum P(x_i,y_i)(x_{i+1}-x_i),\quad\lim\sum Q(x_i,y_i)(y_{i+1}-y_i)

として,直接に定義することもできる.故に線積分は媒介変数 t の選択に関係しない一定の値を有する.

Cが滑らかでないならば,これらの \lim は,有界変動の函数 x(t),y(t) による Stieltjes 積分である.

[例 1]
次の図に示す曲線 AB に関する線積分
(1)
S=\int_{AB}f(x,y)\,dx
は次の意味を有する.

AA_1,A_1A_2, A_2B をそれぞれ y=\varphi_1(x),y=\varphi_2(x),y=\varphi_3(x) とすれば,

\begin{align}
 S&=\int_{AA_1}+\int_{A_1A_2}+\int_{A_2B} \\
  &=\int_a^{a_1}f(x,\varphi_1(x))\,dx
   +\int_{a_1}^{a_2}f(x,\varphi_2(x))\,dx
   +\int_{a_2}^bf(x,\varphi_3(x))\,dx.
\end{align}
右辺の三つの積分は,x を積分変数とする通常の意味の積分であるが,その和を (1) のように略記するのである.
[例 2]
C を図のような閉曲線 AMBNA とし,f(x,y) を特に y として C に関して正の向き(xy を常例のように右系とすれば,内部を左手に見る向き)に取った線積分 \textstyle\int_C y\,dx を考察しよう.

今弧 AMB においては y=\varphi_1(x),また弧 ANB においては y=\varphi_2(x) とすれば

\begin{align}\int_Cy\,dx
  &=\int_a^b\varphi_1(x)\,dx+\int_b^a\varphi_2(x)\,dx \\
  &=\int_a^b\varphi_1(x)\,dx-\int_a^b\varphi_2(x)\,dx \\
  &=-\int_a^b[\varphi_2(x)-\varphi_1(x)]\,dx.
\end{align}
すなわち C 内の面積を S とすれば,\textstyle S=-\int_Cy\,dx.もしも xy とを交換すれば,y-x は左系になるから \textstyle S=\int_Cx\,dy になる.よって
(2)
S=\int_Cx\,dy=-\int_Cy\,dx=\frac{1}{2}\int_Cx\,dy-y\,dx.
C 上の隣接した点を P=(x,y),P'=(x+\Delta x,y+\Delta y) とすれば,微小三角形 OPP' の面積は符号を計算に入れて
\frac{1}{2}\begin{vmatrix} x & x+\Delta x \\ y & y+\Delta y \\ \end{vmatrix}
	=\frac{1}{2}(x\,\Delta y-y\,\Delta x)
だから,(2) の幾何学上の意味は明白である.
Amsler の面積計]
定長 l なる線分 AA' の両端 A,A' がそれぞれ閉曲線 C,C' の上を動くとする.その運動の過程において,A=(x,y), A'=(x',y').また A'Ax 軸との間の角を \theta とすれば,
x=x'+l\,\cos\theta,\quad y=y'+l\,\sin\theta.
よって

  dx=dx'-l\,\sin\theta\,d\theta,\quad dy=dy'+l\,\cos\theta\,d\theta,

  x\,dy-y\,dx=x'\,dy'-y'\,dx'
   +l(x'\cos\theta+y'\sin\theta)\,d\theta
   +l(\cos\theta\,dy'-\sin\theta\,dx')
   +l^2\,d\theta.
C,C' の面積をそれぞれ S,S' とすれば,(2)によって
2S=\int_C(x\,dy-y\,dx),\qquad 2S'=\int_{C'}(x'\,dy'-y'\,dx')
だから

  2S=2S'+l\int_{C'}(x'\,\cos\theta+y'\,\sin\theta)\,d\theta
        +l\int_{C'}(\cos\theta\,dy'-\sin\theta\,dx')+l^2\int_{C'}d\theta.
さて
\begin{align}
   \int\cos\theta\,dy'&=y'\,\cos\theta+\int y'\,\sin\theta\,d\theta, \\
  -\int\sin\theta\,dx'&=-x'\sin\theta+\int x'\cos\theta\,d\theta.
\end{align}
一周の後 y'\,\cos\theta,x'\,\sin\theta はもとの値に帰るから

  \int_{C'}(x'\,\cos\theta+y'\,\sin\theta)\,d\theta
 =\int_{C'}(\cos\theta\,dy'-\sin\theta\,dx').
また n を或る整数として
\int_{C'}\,d\theta=2n\pi.
故に
S-S'=l\int_{C'}(\cos\theta\,dy'-\sin\theta\,dx')+n\pi l^2.
さて C' の弧長を s',接線と x 軸との間の角を \varphi とすれば
dx'=ds'\cos\varphi,\quad dy'=ds'\sin\varphi.
故に \varphi-\theta=\psi と置けば
(3)
S-S'=l\int_{C'}\sin\psi\,ds'+n\pi l^2.

Amsler の面積計(planimeter)はこの公式を応用したものである.面積計の主要部は A' の関節において自由に屈折する二つの杆 OA',A'A と杆 A'A を軸として回転する小車輪 K である.今閉曲線 C が紙上に画かれているとき,C の外部に O を固定して,O から C 上の点への距離が,OA'+A'A よりも小さいようにして置けば,AC に上を一周するとき,A' は一つの円周上を動くけれども,それを一周しない.故にこの場合(3)において S'=0,n=0

(4)
S=l\int_{C'}\sin\psi\,ds'.

さて杆 A'A が微小なる変位をして,A_1'A_1 の位置にきたとすれば,

\sin\psi\,ds'=dp
A_1' から A'A への垂線の長さである.

この変位を次のように三つの変位に分解することができる.すなわち (1º) A'A がそれに垂直に dp だけ平行移動をして B'B にくる(2º) B'B がその直線上を A_1'A^* まで進む(3º) A_1'A^*A_1'A_1 まで d\theta だけの回転をする.さて (1º) は車輪 K の回転の角度に比例する.(2º) では車輪は回転しない.(3º) では車輪は A'K\cdot d\theta だけ回転するが,\textstyle\int d\theta=0 だから,結局 \textstyle\int\sin\psi ds'=\int dp は車輪の回転の純量に比例する.実際は車輪に ldp を示すように,目盛りがつけてあるから,面積 S がすぐに読めるのである.

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