解析概論/第3章/不定積分の計算
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[編集] 37.不定積分の計算
通例微積分法で‘不定積分ができる’というのは,
が初等函数であるとき,その原始函数が初等函数の範囲内に存在することをいうのであるが,そのような場合には,変数を適当に変換すれば,たいがい有理函数の積分に帰するのである.その意味において,有理函数の積分は初等解析において重要なる問題であるが,複素数を用いないと,見通しよく了解することができない.それは後(第 5 章)に延ばして,ここでは二,三の例を掲げる.
(I)
を有理函数として




が
から
まで変動するときは,
は
から
まで単調に増大する.さて


定積分の場合には
の周期性を利用して,左辺の積分区間を
の内に直して,
に関する積分の限界を定めねばならない.
が
を周期とするときには,
としてすでに有利化ができる.その場合には
で,それは
および
の有理函数になり,従って
は
と
との有理函数として表わされるからである.次に一例を掲げる.
ならば
として
ならば,
を
と書き換えて,
の周期性を利用して,左辺の積分区間を
の内に直して,
に関する積分の限界を定めねばならない.
[例 1]

[注意]
が
を周期とするときには,
としてすでに有利化ができる.その場合には
で,それは
および
の有理函数になり,従って
は
と
との有理函数として表わされるからである.次に一例を掲げる.[例 2]

ならば
として

ならば,
を
と書き換えて,


(II)
は有理式として

の正負に従って平方根を
または
の形にすることができる.そこで
または
とすれば,積分は (I) の場合に帰する.従って有理化される. しかしながら,三角函数を経由しないで,代数的変換によって直接に有理化することもできる.今上記平方根を
と書けば
(1)

を通る截線
(2)

以外の一点
において曲線 (1) に交わる.従ってその交点
と
とは一対一に対応するが,座標
を計算すれば,
は
の有理式で

(2º)
二次式が実根を有しないときには,それが正なるためには
を要するが,
ならば一般に変換
(3)


この場合,(1) は双曲線で,截線 (3) は (1) の漸近線に平行だから,(3) と (1) とはただ一つの点
で交わり,従ってその交点
の座標が媒介変数
の有理式として表わされるのである.







[注意]
は変換
によって上記の場合に帰する. なお一般に,
は有理式で,

は有理指数なるとき,

によって有理化される.ただし,
は
の公分母である.上記 (I),(II) の積分の有理化の理論を述べた.実際の計算に当たっては,上記の一般的方法に拘泥する必要はないが,有理化の可能なる理由の認識なしに盲算することはよろしくない.それでは計算の統制ができないであろう.
において
が,平方因子を有しない三次または四次の多項式ならば,その積分は初等函数でない.それはいわゆる楕円積分である.
がなお高次ならば超楕円積分である.互に一次独立な一次式の平方根が三つ以上含まれる場合も同様である.
(III)
二項微分の積分.これは

が有理数なるとき,すでに Newton が考察したものである.
として変形すれば,定数因子を外にして

が有理数でかつ
または
が整数(正,負または
)ならば,これは有理函数の積分に帰する.まず
が整数ならば,
として変換
によって

が正の整数ならば,初めから
を展開するがよい.また
が整数ならば
を変数とすれば前の場合に帰する.また
が整数ならば
を変数にすればよい.これらの場合のほか,二項微分の不定積分は初等函数ではできないことが証明されている[* 1].元の形でいえば,
が有理数で,
または
または
が整数であるときに限って‘不定積分ができる’のである.
- ↑ Tschebyscheff, journal de Liouville,18 巻,1853.

としてよいから,

は変換
によって二項微分
になる.従って,
が有理数で,
または
が正または負の奇数,または
が偶数であるときに,有理化ができる.
においては
で有理化ができない(