解析概論/第1章/連続的変数に関する極限
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[編集] 9.連続的変数に関する極限
点
の函数
が或る区域内において定義されているとする.そのとき
がこの区域内において変動して,限りなく一つの定点
に近づくとき,それに伴って
が限りなく一定の値
に近づくならば,
を
における
の極限という.記号では
のとき 
または二次元を例に取って
とすれば,

詳しくいえば,
を任意に取るとき,それに対応して
を定めて
なるとき 
ならしめることをうるのである[* 1].
このような極限に関しても,定理 5 と同様なる定理が成り立つこと明白である.すなわち
のとき ならば, |
(ただし ). |
極限値としての
の意味も,数列の場合と同様である.
次の二つの例は基本的だから,周知であろうけれども,一応述べて置く.
[例 1]

は
が自然数なるとき
として定義されたのであったが(§4,[例 5]),連続的変数
に関しても標記の等式が成り立つのである.
(
は自然数)とすれば,

すなわち

のとき,第一辺と第三辺とは極限値
に収束する(定理 5).故に任意の
に対して一つの正数
を取って,
なるとき

なるとき

すなわち

故に

[例 2]

半径
なる円において弧
を張る弦が
であるから,これは弧,従って弦が限りなく小さくなるとき,弦と弧との比の極限が
に等しいというのである.これは弧長の定義(後述,§40)からの当然の帰結であるが,通常次のように説明する.
まず
として証明をすれば十分である.さて
なるときは
さて
から,
.故に
を用いて
.故に (1) から標記の関係を得る.
として証明をすれば十分である.さて
なるときは

弧
の長さは,弧に内接する折線の長さの上限として定義されるから,それは弦
よりも大で,折線
よりも小である.
従って
の長さは,弧に内接する折線の長さの上限として定義されるから,それは弦
よりも大で,折線
よりも小である.(1)

から,
.故に
を用いて
.故に (1) から標記の関係を得る.
(証終)
連続的変数に関しても,Cauchy の収束条件は適用される.それを説明するために,まず次の考察をする.
今
とするならば,
に収束する任意の点列
,に関して
なることは明白である.さて逆に
に収束するすべての点列
,に関して
が収束すると仮定する.然らば
は点列
の選択に無関係な一定の値を有するであろう.なぜなら,もしも
のとき
のとき
とすれば,
と
とを合併して作られる点列(例えば
)を
と書けば,
も
に収束するから,仮定によって
も収束する.その極限を
とする.然らば
も
も
の部分数列であるから,
(定理 3).従って
,すなわち極限値
は一定である.
とするならば,
に収束する任意の点列
,に関して
なることは明白である.さて逆に
に収束するすべての点列
,に関して
が収束すると仮定する.然らば
は点列
の選択に無関係な一定の値を有するであろう.なぜなら,もしも
のとき 
のとき 
と
とを合併して作られる点列(例えば
)を
と書けば,
も
に収束するから,仮定によって
も収束する.その極限を
とする.然らば
も
も
の部分数列であるから,
(定理 3).従って
,すなわち極限値
は一定である.
さてこの
に関して,
が任意に
に近づくとき,
であることを証明することができる.それを間接法でするために,(2) を否定してみよう.(2) を否定することは何を意味するか.それは或る
が存在して任意の
に対して
でかつ
なる点
が存在することである.然らば
に対応して
なる
が存在するはずである.さて (3) によれば点列
は
に収束するが,
は
に収束しない.これは不合理である.故に (2) が成り立つ.
に関して,
が任意に
に近づくとき,
(2)

が存在して任意の
に対して
でかつ 
が存在することである.然らば
に対応して
(3)

が存在するはずである.さて (3) によれば点列
は
に収束するが,
は
に収束しない.これは不合理である.故に (2) が成り立つ.
(証終)
さて Cauchy の収束条件は次のように述べられる.
が存在するために必要かつ十分なる条件は
に
が対応して
なるとき 
実際,この条件の下において,
,を
に収束する任意の点列とすれば,
は収束する(定理 8).故に (2) によって
は存在する.条件が必要なることは明白であろう.
[附記]
連続的変数に関する上極限,下極限
点
が限りなく定点
に近づくとき,
の上極限,下極限が,数列の場合と同様に定義される.今
なる点
に対応する
の値の全体を
の値域と名づける.
が小さくなれば,値域は減縮するから,値域の上限
は単調に減少(不増大)し,下限
は単調に増大(不減少)する.
のときそれらの極限
が,それぞれ上極限,下極限である.記号で書けば[* 2]

に収束する任意の点列
,から生ずる数列
の上極限の上限,下極限の下限がそれぞれ
に等しい.
は
が限りなく
に近づくとき,
がついには上越しえない最小限界で,
は
がついには下越しえない最大限界である.
上限,下限として
をも許すならば,
は常に確定する.
が一致すれば,その共通の値はすなわち
である.| この日本を法管轄とする文書は、著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の死亡した日の属する年の翌年から起算して50年を経過したものであるため、日本の著作権法第51条及び57条の規定により著作権の保護期間が満了しています。 |
ならば,
(ただし
).
式の陳述で,
が正数であることを一々ことわらないこともある.
は上限(
は
なる
は下限(
また
とも書く.それらは最小上界(