解析概論/第1章/連続函数の性質

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[編集] 11.連続函数の性質

定理 12.
[中間値の定理]. 或る区間において連続なる函数 f(x) が,この区間に属する点 a,b において相異なる値 f(a)=\alpha,f(b)=\beta を有するとき,\alpha,\beta の中間にある任意の値を \mu とすれば,f(x)a,b の中間の或る点 c において,この \mu なる値を取る.すなわち

  a<c<b,\quad f(c)=\mu
なる c が存在する.
[証]
\alpha<\mu<\beta として証明する.F(x)=f(x)-\mu と置けば,F(a)=\alpha-\mu<0,F(b)=\beta-\mu>0F(x)[a,b] において連続で,F(a)<0 だから,a の或る近傍では F(x)<0.故に [a,\xi] において常に F(x)<0 なる \xi が存在する.しかし F(b)>0 だから \xi<b.故にこのような \xi に上限がある.それを c とすれば,F(c)=0 でなければならない.もしも,かりに F(c)<0 とすれば,上記の区間 [a,\xi]c を超えて延長されるであろう.それは c の意味に反する.またもし F(c)>0 とすれば,十分小なる \varepsilon に関して f(c-\varepsilon)>0[a,\xi] の右端は c-\varepsilon を超えない.それも c の意味に反する.故に F(c)=0,すなわち f(c)=\mu.さて a<c\leqq b であったが,f(b)=\beta\ne\mu だから c<b でなければならない.
(証終)
定理 12 は二次元以上にも通用する.或る区域 K において f(P) が連続で,K に属する点 A,B において f(A)=\alpha,f(B)=\beta とする.今 K 内において A,B を一つの連続曲線 C(例えば折線 AB)で連結して,P はこの線上を動くとする.この線上任意の一点を起点として P までの長さを s とすれば,C 上において f(P) は変数 s の連続函数である.それを \varphi(s) とする.今点 A,B に対応する s の値を a,b とすれば \varphi(a)=\alpha,\varphi(b)=\beta で,a<c<b なる c において \varphi(c)=\mu.すなわち s=c に対応する曲線 C 上の一点 P において f(P)=\mu.もちろん \mu\alpha,\beta の中間の値である.

次に述べる定理は各次元に関して成立するけれども,たいていは一次元または二次元に関して説明する.変数の区域は閉じたものとする.すなわち境界をも入れていう.一次元ならば閉区間である.

定理 13.
有界なる閉区域 K において連続なる函数 f(P) は有界で,かつその区域において最大および最小の値に到達する.
[注意] 
閉区域とせねばならない一例は -\tfrac{\pi}{2}<x<+\tfrac{\pi}{2} における \tan x
[証]
まず上界を論ずる.かりに f(P) が上界を有しないとする.然らば f(P_0)>0 なる点 P_0 がある.同様に f(P_1)>2f(P_0) なる点 P_1f(P_2)>2f(P_1) なる点 P_2,等々がある.P_1,P_2,\ldots は,無数の相異なる点で,K は有界なる閉区域だから,K において集積点を有する(定理 9).その一つを A とする.さて P_1,P_2,P_3,\ldots の部分列で,A に収束するものを取って,それを P_{\alpha_1},P_{\alpha_2}, \ldots,P_{\alpha_n},\ldots とする(15 頁参照).然らば \lim_{n\to\infty}f(P_n)=f(A).然るに f(P_{\alpha_n})>2^{\alpha_n}f(P_0) で,\alpha_n は限りなく大きくなるのだから,これは不合理である.故に f(P) は上界を有する.下界も同様.

よって K における f(P) の値の上限,下限を M,m とする.定理の後の部分は K において f(P)=M,f(Q)=m なる点 P,Q が存在することである.

もしも K において f(P)\ne M とするならば,F(P)=\tfrac{1}{M-f(P)}K において連続である.然るに M-f(P) はどのようにも小さくなるから,F(P) は有界でない.それは不合理である.故に K において,f(P_0)=M なる点 P_0 がある.f(P)M よりも大きくはならないから,M=f(P_0) が最大値である.最小値も同様.

定理 1213 を総括していえば,閉区域における連続函数の値域は閉区間 [m,M] である.

定理 14.
[連続の一様性]. 有界なる閉区域 K において,f(P) は連続とする.正なる \varepsilon が任意に与えられたとき,それに対応して正なる \delta があって,区域 K の任意の点 P,Q に関して
(1)
PQ<\delta なるとき |f(P)-f(Q)|<\varepsilon
になる.
[注意] 
まず定理の意味を説明する.K に属する一点 P を固定すれば,f(P)P において連続だから
(2)
PQ<\delta_P なるとき |f(P)-f(Q)|<\varepsilon
なる \delta があるが,P が変動すれば,\delta も変わるであろうから,それを明示するために,\delta の代りに \delta_P と記したのである[* 1].然るに定理は P の位置にかかわらず,一定の \delta をもって (1) が成り立つというのである.故にそれを連続の一様性という[* 2]
区域 K における f(P) の連続性として,(1) が成り立つことを要望するのは,自然であるが,一点 P における f(P) の連続性を (2) のようにいい表わすのは技巧的である.然るに我々は各点 P における‘原子的’の連続性をもって,区域 K における連続性を定義した.このような暫定的の定義によって,はたして上記の要望が満たされるであろうか.そこに問題があるのだが,少なくとも有界なる閉区域に関しては,我々は然りと答えうるのである.
[証]
K に属する点 P を中心として半径 r の円を画いて,その周上および内部の点の集合を C(P,r) と名づける.円 C(P,r) は区域 K の外に跨る場合もあろう.よって,C(P,r) の点の中で,K にも属する点の集合を C_r' とする.C_r' は有界なる閉集合だから(16 頁脚註),定理 13 によって,C_r' における函数 f の最大値と最小値が存在する.その差を,その円 C(P,r) に関する f の振動量といい,それを v(P,r) と書く.然らば P を固定すれば,r が増大するに従って,v も増大(不減少)する.いま,閉集合 K に関する f の振動量を V とする.もしも,0\leqq V<\varepsilon ならば定理は明白である.よって,0<\varepsilon\leqq V のときに証明をする.そのとき v(P,r)<\varepsilon なる r に上限がある.それを \rho とする.\rhoP の函数だからそれを \rho(P) と書けば,\rho(P)>0 である.実際,fP において連続だから,十分小なる r_0>0 をとれば,C_{r_0}' に属する任意の二点 A,B に関し

  |f(A)-f(P)|<\frac\varepsilon2,\ |f(B)-f(P)|\frac\varepsilon2.
従って,

  |f(A)-f(B)|\leqq|f(A)-f(P)|+|f(B)-f(P)|<\varepsilon.
故に,v(P,r_0)<\varepsilon.それは,\rho(P)\geqq r_0 を意味する.すなわち,\rho(P)>0 さて \rho(P) は連続函数であることを示そう.今円 C(P,\rho) の内部に K に属する点 Q を取って,Q を通る直径 AB を引く.Q を中心とし QA よりも小なる半径を有する円は C(P,\rho) の内部にあるから,その中における f の振動量は \varepsilon よりも小である.従って \rho(Q)\geqq QA.また Q を中心として,QB よりも大なる半径を有する円は C(P,\rho) を内部に含むから,その中における f の振動量は \varepsilon よりも小でない(さもなければ C(P,\rho) が拡大される).従って \rho(Q)\leqq QB.さて QA=\rho(P)-PQ,QB=\rho(P)+PQ だから

  \rho(P)-PQ\leqq\rho(Q)\leqq\rho(P)+PQ,
従って
|\rho(P)-\rho(Q)|\leqq PQ,
すなわち \rho(P) は連続である. 有界なる閉区域 K において連続なる \rho(P) は最小値を有する(定理 13).それを \rho_0 とすれば,\rho(P)>0 だから,\rho_0>0v(P,\rho_0/2)\leqq v(P,\rho/2)<\varepsilon.すなわち PQ<\rho_0 なるとき |f(P)-f(Q)|\leqq v(P,\rho_0)\leqq \varepsilon
(証終)

  1. 明確を欲するならば,\delta_PP における \delta の上限とするがよい.然らば \delta_PP の函数として確定する: \delta_P=\delta(P).
  2. 一様(uniform)を平等(gleichmässig)ともいう.



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